歴史

2025/11/10

前衛12月号ができています。

 すっかり風景はかわっていくが、こちらの風景は、色鮮やかだ。それが心地よい。

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 やっぱり、こっちは人が多いなあ。出勤の電車も、道路も、職場のなかも、なんでこんなに人があるんだろう。それでいて、そんなにちゃんと話したりしているわけではないんだよなあ。職場で、提稿作業1本。原稿の処理作業を半分ぐらい。いろいろなことがおこり、早めに帰宅。こっちでは、いろいろ独特のしんどさがある。難しいことが多い。明日、明後日、あたりで、3,4つぐらい仕事をすすめないと。個人的にやりたいこともあるが、どこまでできるのかなあ。

 

 しんどいことがあっても、傷つくことがあっても、酔っ払うこともなくなったなあ。家事があるから、外で飲まないし、明日があるから深酒はしない。なんとまじめな日々をおくっていることか(笑)。

 

 前衛12月号ができています。

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 とにかく政局不安定で、どんな政権が、どんな性格をもってできるのかが、まったくわからないなかで雑誌をつくらなければいけなかったので、上脇さんに緊急にやってもらったのが冒頭の企画。しかし、その後の政局の展開は、実際に「政治とカネ」が軸になるという展開。

 学術会議の企画を2本。これも、結局、政治の軸の一つに軍事化ということがあり、それとの関係ですすんでいるのが学問、科学の問題だから、とても重要なものとなっている。

 教育の分野では、学習指導要領の改訂問題にいどんだ。この特集は次にもつづく。大きな財界、経産省の動向と、政治の動きがからまりながら、今回の改訂も、異様なものになりそう。柔軟化を言いながら、法的なしばりはなさない。その学習指導要領の意味はと分ければいけない。

 そして、百武日記について、満を持して山田さんが登場。木戸日記などの記述で共有されていたことのうえに、いろいろわかったことが多い。ずっとと若ければいけないのは、これがいまに通じるから!

 いまの時期、もっとやらないといけない企画もある。その焦りも大きい。だけど、なんだかんだ言っても先月も結局、よく働いたってこと……。

2025/10/14

外国籍教員 教育現場に残存する「差別の壁」

 朝から、送られてきた原稿を読んで、字数オーバー削除について相談。それから職場に行って会議という日程。

 正直、今年前半の、とくに夏から秋への、あまりにも年齢相応でないハードな仕事に、相当、疲れが出てきているのかもしれない。とにかく眠い。すぐウトウトしてしまう。頭の中にあるものを絞り出して、切り売りして、どんどん自分がスカスカになるような感覚もある。ある意味で、ある面では孤立してる感じもある。ゆとりはなくても、スカスカになっていく感覚はやだなあ。

 世界の中村一成さんの「外国籍教員 教育現場に残存する「差別の壁」」を読む。

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 こうしたこともわかっているつもりでいたけど、実は全然わかってないなあとショックをうける。人権擁護の最先端にあるべき教育の現場でのこの事態に、日本の根深さを感じる。それはやはり、外国人、植民地支配からの歴史をきっちりおさえきらないといけない。戦後に何があったのかを。教育の分野ほどね。勉強しないといけないのになあ。

2025/10/11

戦後80年所感は「期待外れ」? 随所に「石破カラー」は見えたが…識者が指摘する「不十分」な部分とは

 今日は早朝仕事スタート。ちょっとだるい。結構、寒い。

 朝から、緊急インタビュー①原稿づくり。もろに政局の混迷の影響をうけながら右往左往して作成中。昨日までの作成中のものを、大胆に構成を変えて……。必死でがんばったけど。とにかく、構成までは決めて、打ち込み切った。明日から、修正・補強作業にはいる。

 夜も今日は寒い。だけど、また暑くなるんだよなあ。服も、体調も、管理が難しい。

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 土日は、あまり政局は見えてこない。どんな動きになっているのか。とにかく全然、予想があたらないからなあ。

 

戦後80年所感は「期待外れ」? 随所に「石破カラー」は見えたが…識者が指摘する「不十分」な部分とは(東京新聞) 
 戦後80年に合わせて石破茂首相が発表した所感は、先の大戦において軍部の暴走を止められなかった戦前の翼賛体制を批判。現代にも通じる「無責任なポピュリズム」に屈しない政治家の重要性を強調するなど随所で「石破カラー」をちりばめた。党内の反対を振り切って、退任間際の発表にこぎ着けたが、歴史認識や戦争責任に関する言及は乏しく、野党からは「期待外れ」との声も漏れた。
◆「使命感を持ったジャーナリズムを含む健全な言論空間」
 「国内の政治システムは、なぜ歯止めたりえなかったのか。戦後80年の節目に、国民の皆さまとともに考えたい」。首相は所感の冒頭で呼び掛けた。戦後50年から10年ごとに発表されてきた過去3度の首相談話では、戦争を回避できなかった原因の記述が少ないと指摘し、今回の所感の狙いを示した。……

 昨日も書いたけど、ポイントは、山田朗さんの言っているように、「中国や東南アジアでは日本の戦争によって多くの犠牲者が出ているが、戦後50年の村山談話にあった「植民地支配」や「侵略」がひと言もない」だと思うよ。われわれ自身が、小泉談話からの20年で、かくも後退したことについて、よく認識する必要があるなあ。

 民主主義の危機への言及とか、統帥権の問題などにふれていることを評価したい気持ちはわかるが、ならば、なぜ、天皇に言及しないのか、また、自衛隊についての言い方と立憲主義の問題について、ちゃんと批判をしないのかということもあると思う。

 政治的にも、理論的にも、なんだかなあということが多すぎる。一つ一つ、きちんと言及するのはとても疲れるのだけど、いろいろおこっていることを追いかけるだけど、この年になると、相当しんどいんだけど、やっぱり、最低限について、きちんとしておかないと、そのぐらいの頑張りと、次に向かって、残せるものをどう伝えるのかと言うことと。明日もがんばる。

2025/10/10

ニュースをチェックしたりでほんとに落ち着かない

 いろいろ朝から原稿が来たり、メールが来たり、その対応からのスタート。

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 政局の行方がよくわからないので、おちつかない。今日は、結局、緊急インタビュー①の原稿づくり。会議があったり、ニュースをチェックしたりでほんとに落ち着かない。

 党首会談後の記者会見を見ていて考えたこと。なぜ、萩生田を要職につけたり、公明の頭越しで国民と会談したり、公明が怒ることをするのかと思っていたが、麻生さんは公明を切るつもりだったのだろうな。公明も、企業団体献金の受け手を都道府県にと、別に企業団体献金を禁止するわけではないのだけど、現行の制度は、支部など議員の単位の受け皿になっているものを変えるのには自民にとっては時間がかかる高いハードル。離脱の腹は決まってたのあろうなと。

 そうなると気になるのは維新。もともと麻生さんにはプランBがあって、それが維新の組み入れ。これだと河村を丸め込めば過半数を取れる(実際には維新に離党者が相次いでいるからそう単純ではないのだろうけど)。維新となると、社会保障・医療がいよいよ大変になるぞ。いずれにしろ、次の焦点は維新。舞台に上がってくるアクターが日々変わるなあ。うちは蚊帳の外だけど。

 しかし、政権の枠組みまで変わるのだから、有権者の信を問うべき。選挙管理内閣だとか、解散を前提にの短期処理政権であるべきなのだけど……と思うのだけれども。

 昨日は、ガザの停戦のニュースが。これがほんとうに停戦の第一歩になればいいのだけれども。そして第二歩つながればいいのだけど、実際には、わからないし困難が大きい。国連・国際社会の関与がしっかりできる状況になればいいのだけど、そこは相当困難。そもそも、国連のもつ二面性が深く反映した問題、同時に、国連の関与なくしては次のステージは見えてこないわけなのだから。しかし、この点も、関係者がよく理解できているとは思えないのが、難しさ。

 

 石破さんの所感は、結局、植民地支配は視野の外にある。侵略戦争への言及はない。歴代の内閣の歴史観を受け着くと言いながら、実際には、石破さんがいう戦争は、1941年以降の戦争。国内の政治をめぐる狭い範囲でのできごとについて解説して見せるが、大きな戦争と植民地支配をめぐる問題への理解はまったくないと言っていい。かつての小泉談話には、植民地支配と侵略への反省が明確に書かれていたに比べると、そのことにまともにふれることができないということそのものにしんどさがある。半分以上は石破さんの歴史観の歪みにその原因はあると思うので、やっぱりボクは石破所感を評価はできないなあ。もちろん、残りの半分は、この時代の政治の状況そのものであるということなのだろうけれども。こんな話を悦に入って語っている、退場寸前の首相というのは一体何なんだろうなあということも、無性に悲しくなる。

2025/10/07

11月号ができています。

 朝からメールのやりとり。来月以降の企画の発注相談。今月の原稿の抑えなど。

 今日は少し涼しめ。

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 体調管理が難しい。そこそこ眠れているはずなのに、日中眠いなあ。簡単に疲れはとれないか。

 昨日の夜から、昨日病院で処方された薬がみつからない。家にない。職場にない。昨日昼に息子に送ったレターパックに紛れ込んだか?とか一人で大騒ぎ。家に帰ってさがしたら、新聞の合間にはさまっていた。なんなんだろう。

 昼からは会議。いろいろ議論はするが……。

 

 無性に無力感にさいなまれる。自分はよくわっていないなあと、いろいろもがく。発言などしたくない(苦笑)。ものごとには、その前史があるし、そこからしっかりみないと、ものごとはよくわからないはず。ちょっと読んだだけでも、ぜんぜんこれは違っているということが多い。ほんとうは、きちんと勉強しないといけないのに。目の前のことにおわれて、そういうことができないし、一方で、何から手をつければいいかよくわからない。きっと、苦しいことは続くのだろうなあ。

 

 そういうなかでも11月号ができています。

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 まずは、渡辺治さんのロングインタビュー。参議院選挙の結果を読み解けば、いまの政治の大きな構造がわかります。大きな自民党のゆきづまりの進行という視野で解き明かします。とにかく読んでほしいです。佐々木森夢さんには、恒例の憲法審査会リポート。いまの政党状況との関係でも、改憲動向をしっかりつかんでおくことは大事です。

 給特法「改正」後の教員の働き方の問題を、論戦を中心に藤森さんに、労働時間外のアンケートを中心に板橋さんに。魔女先生には、学校の男性性について、緊急に書いてもらいました。

 そして戦後80年は、吉見さんん新書「日本軍慰安婦」について大いに語ってもらいました。この間の歴史学の展開に注目しながら、戦争の語られ方を佐々木啓さんに。

 それぞれ読みどころも多く、ぜんたいにおもしろいはず。ほんと、無茶苦茶がんばったんですけどね。

2025/10/06

遺骨はある 海底炭鉱で待つ183人

 今日は午前中は病院。この年になると、いろいろな体の変化や不調がいろいろなところで出てくるという典型。午前中いっぱいかかる。とにかく、しっかり病院にかからないといけないけど、面倒は面倒。どこまでがんばるか? 難しいところ。

 

 朝から暑い。朝顔は今日も咲いている。

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 職場で仕事。今月原稿の追及ややってきた原稿についての今後の相談や、今後の資料読み、発注のお手紙書きなどなど。結構、仕込みもいろいろあわただしい。ただ眠い。孫相手疲れもやっぱりある。老人はつらい。

 録画していたテレメンタリープラスの「遺骨はある 海底炭鉱で待つ183人」を見た。

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戦時中に朝鮮半島出身者を含む183人が水没事故で死亡した山口県宇部市の「長生炭鉱」。 市民団体による遺骨収集調査開始から1年余、ついに遺骨が発見された。 日本の朝鮮半島植民地化政策や、戦時下に国策として進められた石炭増産を背景に起きた水没事故。 市民団体は「遺骨が出てきたことでステージが変わった」と訴える。 一方、国は遺骨収集に慎重姿勢を崩さない。83年ぶりに日の光を浴びた遺骨に今の日本はどう映っているのだろう。

 前回、別のドキュメントを見たときは、とりくんでいる人の執念を感じたけど、あらためて、亡くなった人たちの無念さ、残された遺族の悔しさや悲しみをとてもすごく感じた。映像でうつされた靴と人のような形のものは、ご遺骨なのだろうか? ガマフヤーは3人の遺骨と明言していた。DNAもとれるのでは? 韓国では80人のDNAを用意している。無責任な態度しか示さない政治の責任。矛盾だらけの政治。この政治と言うものあらためて問わないといけないと強烈に思う。

 

 政治の先行きは見えないなあ。国会はいつから? 組閣はどうなるのか。本格論戦はまだまだ先だなあ。国民の苦難対策はどんどん先送りされる。

 中秋の名月はこんな感じ。

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2025/09/28

3分の1が丸1日食事なし ガザ、3歳未満の子ども

 北の国。今日は早起きして、さらに東に。

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 お昼すぎにはアパートに戻ってきて、午後には、来月講演①の起こし作業を引き続き。夕方までがんばる。

 

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 いろいろ心が落ち着かない。スキっとしない理由は何なのか。少し、自分の心がざわめくのはなぜなのか。すっきりしないことも多く、だからと言って、それをどうすればいいのかの答えをもつことができない。うーん。

 

 ずっとというか、どんどん事態は悪化する。

3分の1が丸1日食事なし ガザ、3歳未満の子ども(共同通信)
 国際救済委員会(IRC)は26日までに、人道危機が深刻化するパレスチナ自治区ガザでの先月の調査で、3歳未満の子どもの3人に1人が調査前の過去24時間に何も食べていなかったとする報告書を公表した。

 IRCはガザ北部ガザ市や中部デールバラハ、南部ハンユニスで避難生活を送る469世帯を対象に調査を実施。幼い子どもを抱える世帯の約4分の3から栄養失調の兆候に関する報告があったほか、食料が確保されていると考える世帯はわずか1%で、タンパク質や生鮮食品はほとんど手に入らない状態で生活しているとも指摘した。…

 国際的には、どんどん、イスラエルが孤立度を高め、アメリカもいろいろ押し込まれ、ヨーロッパ内部でもいろいろな変化があるにしても、現実の生命の危機に有効な手立てが発見できているわけではない。もちろん、我々の手にあるのは、国連憲章であり、国際法であり、その道を行くしかないのだけれども。事態の酷さに、何とも言えない気分を、ずっと持ち続けている。さまざまな歴史の矛盾を背負った現実は、どのように明日を拓くことができるのか。もっともっと、ボクらは考え続けなければいけないのだけれども…。

2025/09/23

記録をひらく 記憶をつむぐ

 先週は、怒涛の1週間。そして、今週は工場籠城。ほんとに短時間で、インタビューから原稿づくりという作業だったのできつかったけど、考えてみれば、インタビュー相手の方とは、もう20年以上のおつきあいで、ボクより上の世代。ボクがこれだけくたびれているのだから、さらにたいへんな仕事をさせてしまったと心が痛む(まだ、進行中なのでそうは言ってられないのだけど)。もっとしっかりしないとなあ。

 ただここのところ、すっかり涼しくなって、エアコンなしでやっていけているので、少し体は楽か。

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 先週はいろいろあった。怒涛の原稿づくり。1つ、研究会にも参加。その合間に、竹橋に「コレクションを中心とした特集 記録をひらく 記憶をつむぐ」にいってきた。
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 第一のお目当ては、《大東亜戦皇国婦女皆働之図》(春夏の部)を見ること。秋冬の部は遊就館で見ているけど、こちらは福岡の筥崎宮蔵。そのほか、いろいろなことを知ることができたし感じることができた。へえっと思ったのは、「満洲観光」というものがかなり力をいれてやられていたこと。最近、日本史の研究でも、帝国と観光などが大きなテーマになっているようなのだけど、こういうことかと。

 近代美術館のコレクション中心の展示なので、メインは藤田嗣治や宮本三郎。戦争画を書いて、筆は乱れないのかということをいつも思うのだけど、そもそもどんな精神状態で描いたのか。嬉々とした雰囲気しかかんじられないのだけど。戦後、彼らは何を思ったのか、ほんとうのところでは……。なかなか答えはでてこないなあ。

 

2025/09/15

「平和を求め軍拡を許さない女たちの会シンポジウム」

 昨日は、朝から、最悪想定仕事をして、そこそこの形まで。あと、追加することが一塊と、シェイプアップ。それは、最悪の局面になってから。

 夕方から、関西から友だちがやってきてのいつもの歓迎の宴。話するといろいろ励まされる。その反面、いまの自分は、なかなか元気が出てこないのも事実。がんばらないとなあ。

 少し涼しくはなってきているが、湿度が高いのが体にさわる。

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 今日は、午前中から提出原稿。夜も含め提稿作業を5本。作業をはじめた原稿が2本。一気に慌ただしくなるのはわかっていたけど……。今週は、ほんとうにトコトンたいへんになるのははっきりしているのだけれども……。体力もつかなあ。

 今日は、「平和を求め軍拡を許さない女たちの会シンポジウム」。講師は平井美津子さん。

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 youtubeで配信されているのでぜひ。https://www.youtube.com/live/mw2l-Ox38ig


 話を聞きながら、ここ数年のフラワーデモからとらつばで、フェーズが変わったとつくずく痛感する。まだ、主流とは言えないにしろ、力強い流れになっているし、主体的な力をつけている。ボクもここ数年で、たくさんの企画をやってきたなあ。そのことと今日の話はどっぷり重なる。だけどね、ボクの発するものは、なかなか伝わわらないんだよなあ。

2025/09/13

埋葬を許さず―八〇年過ぎても宙を漂い続ける女たち

 早朝仕事スタート。でも二度寝はできず、結局、しばらくしてからソファーでウトウト……。

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 朝顔はくそがんばり。さすすべりがきれいだ!

 

 なかなか仕事がすすみません。くそ。最悪事態用の対策は形が見えてくるまではもう少し。

 昼間に、息子の世代ぐらいの人としゃべる機会があり、しっかりしたまっすぐな正義感に感心。学ぶことも多かった。ボクらのような高齢者がはたすべき役割を、しみじみふり返る。

 ほんとに、学ばなければならないことが多すぎる。だのに……。

 

 先月の『思想』の言葉にはっとさせられる。書いたのは平井和子さん。大好きな歴史研究者の一人。

 

埋葬を許さず―八〇年過ぎても宙を漂い続ける女たち(『思想』)
平井和子

崖                  石垣りん

戦争の終り、/サイパン島の崖の上から/次々に身を投げた女たち。

美徳やら義理やら体裁やら何やら。/火だの男だのに追いつめられて。

とばなければならないからとびこんだ。/ゆき場のないゆき場所。/(崖はいつも女をまっさかさまにする)

それがねえ/まだ一人も海に届かないのだ。/十五年もたつというのに

どうしたんだろう。/あの、/女。

(『表札など』一九六八年)

女性を「集団自決」に追い込むもの
 サイパンに限らず、女性の「集団自決」や自死は、戦場となった沖縄や、敗戦後の「満洲」をはじめ旧「日本帝国」の各地で数多く起こった。軍人や集団の男性リーダーたちに強いられた「集団自決」であろうと、自分たちで選んだ自死であろうと、その背後には、純潔=女の価値とする家父長的イデオロギーが存在する。この貞操観念はナショナリズムと強固に結びつき、この教えに殉じた女性たちは「日本女性の誇り」として顕彰される。……

 全文が公開されているのでぜひ。

 戦時下の「自発性神話」の向こう側にあるものを問いつつ、戦後の性暴力のもとにあった女性の問題をうきぼりにする。

 9月号で平井和子インタビューをやった。昨日も、友人から、おもしろかったと興奮した電話をもらった。平井さんの仕事は続く。「現在、拙著『占領下の女性たち―日本と満洲の性暴力・性売買・「親密な交際」』(岩波書店、二〇二三年)に関する講演をしたことをご縁に、日本新聞労働組合連合の女性記者を中心とする有志が、学習会を重ねられ、それぞれ自社の新聞と地元の歴史資料から、占領軍「慰安所」の開設の有無や、場所、女性たちの置かれた状況などの悉皆調査を進行中だ。長年、一人でこつこつ調べてきたわたしの、全国占領軍「慰安所」マップの空白部分が、各紙の横断的連携によって埋められ、敗戦国政府がとった性暴力の全容が明らかにされようとしている。再び、何人も「火だの男だのに追いつめられて」、「美徳やら義理やら体裁やら」に縛られて、まっさかさまにされないために」と。

 すごいなあ。また仕事をいっしょにしましょうねって言われている。ボクよりも年は上。まだまだ自分だからこそ、若い人のためにやれる仕事をやる気だ。こういう年の取り方はいいなあ。と、同時に、自分も、まだ、やるべきことは、ささやかでもあってもきっとあるんだろうなとも反省させられる。

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