経済

2017/10/20

校長「引っ張る」系、教員は長時間労働に 早大教授調査

 氏岡さんの記事。なるほどなあ。

校長「引っ張る」系、教員は長時間労働に 早大教授調査(朝日新聞)    校長が自ら教職員を引っ張るタイプだと、教員の勤務時間が長くなる――。こんな傾向が、早稲田大学の菊地栄治教授(教育社会学)の調査で明らかになった。文部科学省は校長のマネジメント能力の大切さを強調してきたが、「トップダウンの学校運営が、教員を疲れさせる一因になっているのでは」と菊地教授は見る。  調査は学校運営の実態を調べるため3月に実施。全国の公立中学校の校長275人と、154校の教員1768人から回答を得た。  校長が「自ら教職員を引っ張っていくタイプかどうか」という質問について、校長自身に「とてもあてはまる」「ややあてはまる」「あまりあてはまらない」「まったくあてはまらない」の4択で聞いたところ、「とても」「やや」の合計は60%で、これらの学校では教員の平日の平均勤務時間が11時間30分だった。一方、「あまり」「まったく」と答えた校長の学校は11時間11分で、19分短かった。「あてはまる」学校の方が、1週間に換算すると勤務時間が1時間30分余、1カ月で6時間以上長くなる計算になる。  ログイン前の続きまた、「学校の目標を全教職員の話し合いで決めているか」という質問でも、校長が「あてはまる」と答えた学校の教員の平均勤務時間は11時間8分。「あてはまらない」と答えた学校は11時間27分で、19分長かった。  菊地教授は2002年にも中学校の校長・教員を調査している。その時と比べると、教員の労働時間は長くなっており、文科省が実施している勤務実態調査とも傾向が一致する。特に「学校で12時間以上勤務している」教員は49%で、前回の26%の倍近かった。睡眠時間は5時間57分で、21分短くなった。  「校長のリーダーシップ発揮は、教育改革で進められてきた方向だ。文科省は教員の働き方改革に取り組んでいるが、教育改革の方向も検討する必要がある」と菊地教授は話す。調査結果は、21日の日本教育社会学会で発表する。

 学校現場が、市場競争的な環境のもとにあるだけに、さらにこのことは加速しているのだと思う。そういう環境のなかで、トップダウンのシステムがつくられていることにたいして、どのように抵抗し、民主的な学校をつくっていくのか。そうとうの智恵と、高い思想が求められていることもよくわかるのだけどなあ。
 教育社会学会かあ。一橋だったっけ。行きたいけど、無理。

熱心な指導、過度な負担か 池田・中2自殺

 背景をしっかり見なければいけない。

熱心な指導、過度な負担か 池田・中2自殺(中日新聞)

 池田町立池田中学二年の男子生徒=当時(14)=が校舎から飛び降り自殺した問題の第三者による調査委員会に対し、遺族は男子生徒が担任と副担任それぞれから同じ宿題などの課題を何度もやらされていたと訴えていた。学力全国トップクラスを競っている教育環境の中、過度な負担が生徒にかかっていた可能性が浮かぶ。
 生徒は小学生のころから文字を書くのが苦手だったといい、担任も調査委に「英語で話すことが好きで、意欲もあったが、書くのは苦手だった」と説明。生徒は中学二年の後期に生徒会の副会長などを担っており、課題の提出が遅れることがさらに増え、担任や副担任から厳しい指導を受けていた。
 人口約二千七百人の池田町には小学校と中学校が一校ずつあるだけで学習塾がない。それでも全国トップクラスの学力を長年維持する県内で上位の成績だったという。教職員は生徒の高校進学のため土日にも出勤するなど教育熱心で宿題にも力を入れていた。特に副担任は宿題の提出について厳しい態度で臨んでいたという。今年二月、生徒が家族に「学校に行きたくない」と訴えたときには宿題の未提出を巡り「副担任は何を言っても言い訳と決めつける。担任にも強く怒られた。どうしていいかわからない」と話していた。
 学校が実施したアンケートで、複数の生徒が「死にたいと言っていた」と回答。男子生徒は亡くなる前日にも副担任から注意を受け、泣きだして過呼吸に陥っており、調査委は「担任、副担任の両教員から立て続けに強い叱責(しっせき)を受け、精神的なストレスが大きく高まった」と指摘している。
 調査委は報告で「教員は生徒の学習活動の遅れや生活態度に目がいきがちになるが、根底にある発達特性を踏まえた生徒理解が必要。生徒指導は生徒の持つ潜在的な能力を引き出す働きかけでなければならない」と求めている。

 教育委員会のホームページに、報告書の概要が掲載されている。
 それなりに、真相に迫ろうとしているが、やはり、大きな視点で背景を考えることも必要か。福井はとても学テ圧欲が強いということも聞く。ひっしになって、好成績を維持する学校の姿も垣間見えるわけだけど、はたして、対策にはそれが反映されているのか? 子ども、学校のあり方、教師の役割、地域のかかわり、さまざまに投げかけている問題は多そうだな。

2017/10/19

私立高生「学費が切実」 全国1万4000人アンケート

 高校生もがんばっている。

私立高生「学費が切実」 全国1万4000人アンケート(東京新聞)

 身近な社会問題について考えようと、高校生のグループが今年六月、全国の私立高校生約一万四千人を対象に、高校・大学の学費などに関するアンケートを実施した。十八歳選挙権の導入後、初めての衆院選を前に、アンケート実行委員会の中心メンバーの一人、大東学園高校(東京都世田谷区)三年の濱中美樹さん(17)は「学費の心配が少しでも減るよう、私たちの声が政治の場に届けばうれしい」と話す。
 グループは毎年五月に「全国高校生サミット」を開いている東京都、愛知県などの私立高校生のメンバー。質問内容を考え、二十八都道府県の私立高百二十六校の協力を得て調査した。
 アンケートでは「切実だと感じる社会問題」(複数回答可)について、36・4%が「大学進学と奨学金」、33・3%が「高校の学費」を選んだ。続いて「少子高齢化」「非正規雇用・長時間労働」「震災・災害復興」「平和と人権」「憲法」「原発」の順に多かった。
 私立高の学費について(同)は、45・4%が「公立・私立間の格差はおかしい」、38・7%が「住んでいる県による負担の差をなくしてほしい」、25・7%が「施設・設備費など含め学費全体を無償にしてほしい」を選んだ。大学の奨学金について(同)は、59・8%が「返済義務のない給付型奨学金を増やしてほしい」、27・1%が「無利子貸与の枠を増やしてほしい」と回答した。
 実行委の高校生は八月、自民、民進、共産、自由、社民各党の国会議員計五人の事務所を訪ねて集計結果を手渡し、私立高通学や大学進学の負担軽減を訴えた。その後衆院が解散し、十八歳が初めて一票を投じる衆院選が実施されることになった。
 「生徒たちの約七割が、親の学費負担を後ろめたく感じていることもアンケートで分かった。私たちの気持ちが表れていると思う」と話す濱中さん。候補者に対しては「高校生の切実な声にもちゃんと耳を傾けてほしい」と注文を付け「選挙権を持ったら、政党や候補者をよく知り、しっかりと投票したい」と意気込んでいる。 
<回答の一部>
私立高校に通うようになり、家庭でどんな影響があったか(抜粋)
・親がアルバイトを始めた
・一家全員で節約し、必要最低限のものしか買わなくなった
・「あんた1人にお金がどれだけかかっていると思っているの」とよく言われる
・親がストレスでイライラしやすくなり、体調を崩しやすくなった
・家族がよくけんかするようになった
・兄弟が進学をあきらめた
・親が妹に「絶対公立に行け!」って言っている
・弟たちに習い事をさせてあげられない
・ローンが払えなくなり、家を売ってアパートに移ることになった
・親が深夜まで働いて、見ているだけで大変そう
・祖父も働き始めた

 午前中、駅で公明党の街頭宣伝に遭遇した。そこでは学費の問題をとりあげ、給付制奨学金を、自分たちの実績として宣伝していた。もちろん、給付制奨学金ができたのは大きな前進だけど、それは大きな運動のひろがりがあったからこそ。しかし、できあがったものの実際は厳しい。なにしろ、今年4月から私立の自宅生約2800人分(月4万円)を対象に先行実施が始まり、来年度から月2万~4万円を約2万人に支給するという計画。これは1学年の学生の人数でみるとわずか「55人に1人」という、極めて“狭き門”にしかならないし、これでとても学費を網羅できるものでもないからだ。残りは大きな借金だと。2人に1人が奨学金を借りなければならないのが現実があり、貸与型を借りた場合、卒業後の返済額は1人平均約300万円に上る。不安定な雇用のもとでは、返済できない人が増える。2万人規模ではとても「本格実施」の名に値しないのだ。本気度がとわれている。
 ちなみに、日本共産党は、(1)大学の授業料を国立も私立も公立も段階的に引き下げ10年間で半減する(2)月額3万円(年間36万円)の給付型奨学金を70万人(学生総数の4人に1人)に支給する制度をまず創設し、規模を拡大する―などの抜本的な改革を提案。税金の集め方と使い方を変え、高等教育予算を経済協力開発機構(OECD)平均並みに引き上げること。憲法が掲げる教育の機会均等にもとづく政治の実現こそ!

2017/10/14

火葬を前に婚約者が指輪 NHK記者、結婚間近に過労死

 NHKの過労死事件の真相がだんだん明らかになりつつある。やっぱり、企業というものは、こういうものだ。だからこそ、厳しい規制と監視が必要なのだけれども。

火葬を前に婚約者が指輪 NHK記者、結婚間近に過労死(朝日新聞)

 日本放送協会(NHK)の記者だった佐戸未和(さど・みわ)さん(当時31)が4年前に過労死していた問題で、佐戸さんの両親が13日、東京都内で記者会見を開いた。
 「かけがえのない宝、生きる希望、夢、そして支えでした。娘亡き後、私の人生は百八十度変わり、心から笑える日はなくなりました」。母は娘を失った悲しみを口にした。
 「未来に平和を」という意味を名前にこめた。3人きょうだいの長女で、弟や妹の面倒をよくみる孝行娘だったという。05年にNHKに入局。鹿児島放送局での勤務を経て、10年に東京・渋谷の首都圏放送センターに異動した。亡くなった当時は東京都庁の記者クラブに在籍。5人の担当記者の中で佐戸さんが最も若く、「人間関係が希薄だ」とぼやいたこともあったという。母は、過労死の原因の一つに「チームワークの悪さがあったと思う」と指摘した。佐戸さんは当時結婚を控えており、遺体を火葬する前、婚約者がその指に指輪をはめたという。
 両親によると、死後3年間は命日の1カ月ほど前にNHK側から連絡があり、日程調整の上で弔問を受けていた。だが、今年は命日の4日前になっても連絡がなく、代理人を通じて問い合わせた後で、命日の2日後の26日に訪問があったという。当時、佐戸さんと親交があったNHK職員から過労死の事実が局内で周知されていないと聞かされた。「不名誉な案件として表に出さない方針ではないか」と疑念を抱き、今夏以降、過労死の事実を局内全体に周知するよう求めてきたという。弔問について、NHK広報局は取材に「毎年命日の後にうかがっており、ことしは7月末にご自宅を訪問した」と答えた。
 会見の最後、父は集まった記者に呼びかけた。「この場に未和と同業の記者の皆さんがいらっしゃる。自分のこととして考え、未和のような過労死で亡くなるということが絶対にないようにしていただきたい」
■NHKと遺族、公表の経緯に食い違い
 佐戸さんは2013年7月24日ごろ、うっ血性心不全を起こして急死。過重労働が原因で死亡したとして、14年に労災認定された。死亡前1カ月間の時間外労働(残業)は159時間にのぼった。
 NHKは死後4年以上たった今月4日夜のニュース番組で、佐戸さんの過労死について発表。翌5日に開いた上田良一会長の記者会見などで、4年余りにわたって公表しなかった理由について、「代理人から、ご両親は公表を望んでいないというふうに聞いていた」と説明していた。
 だが、佐戸さんの父は会見で「亡くなった当時は娘を突然失った悲しみで、公表について考えたこともなかった」とした上で、「両親が公表を望んでいないという事実はない」と反論した。両親の代理人の川人博弁護士も「私が公表しないでほしいと言ったことはない」と述べた。
 NHKは「労災認定後に(佐戸さんが所属していた)首都圏放送センターの責任者がご自宅を訪問したとき、謝罪を申し上げたと認識していた」とも説明していたが、父はこれも否定。労災認定された14年の弔問の際に同センター長から受け取った文書の一部に言及し、「哀悼の意を表す(とは書いていたが)、一言のおわびも記載されていない」と指摘した。
 両親はNHKの公表の方法や内容への不満も吐露した。両親によると、NHKが公表に踏み切った当日の午後も公表の時期や方法について協議していたが、打ち合わせを終えて自宅に戻ると、NHKから突然、「数社から取材があった」ことを理由にその日の夜に放送すると告げられたという。報道内容について母は、「9時のニュースで2分ほど放送しただけで、がっかりした」と話した。……

 弁護士ドットコムの記事もとてもつらい。

 過労死というものが、どれだけ本人にとっても苦しくつらいものであるのか。残された人間にとって、どれだけ悲しいものなのか。何とも言えない思いになる。どうしても許せないし、許してはいけない。こうしたことが放置される社会を、政治を変えなくてはいけない。そのために何が必要なのか。「働き方」改革という掛け声が空々しい。政権や与党からは、その改革すらまともに論議しよう、訴えようという姿勢も感じられないのだから、よけいに。うーん。

2017/10/10

「生業を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟判決を受けての声明

 嬉しい判決のニュース!「生業を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟原告団・弁護団の声明を紹介。

「生業を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟判決を受けての声明

 本日、福島地方裁判所(裁判長金澤秀樹)は、「生業を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟の判決(以下、「判決」という。)を言い渡した。

1 国の法的責任と東京電力の過失
 判決は、本年3月17日言渡の前橋地裁判決に続き、国の法的責任と東京電力の過失を認め、断罪した。
 判決は、
ⅰ 国が2002年の地震本部「長期評価」等の知見に基づき、2002年末までに詳細な津波浸水予測計算をすべきであったのにこれを怠ったこと(予見義務)。
ⅱ 予測計算をすれば、福島第一原子力発電所の主要施設の敷地高さを超える津波が襲来し、全交流電源喪失に至る可能性を認識できたこと(予見可能性)。
ⅲ 非常用電源設備等は「長期評価」から想定される津波に対する安全性を欠き、技術基準省令62号4条1項の技術基準に適合しない状態となっていたこと(回避義務)。
ⅳ 2002年末までに国が規制権限を行使し、東京電力に適切な津波防護対策をとらせていれば、本件津波による全交流電源喪失を防げたこと(回避可能性)。
をいずれも認めた。また、必要な津波対策をとらなかった東京電力についても過失があったと認めた。
 本日の判決は、安全よりも経済的利益を優先する「安全神話」に浸ってきた原子力行政と東京電力の怠りを法的に違法としたものであり、憲法で保障された生命・健康そして生存の基盤としての財産と環境の価値を実現する司法の役割を果たすものとして、今後の司法判断の方向を指し示すものと評価される。

2 被害救済の範囲と水準
 判決は、被告らの「年間20ミリシーベルトを下回る被ばくであれば健康リスクは極めて小さい」「原告らの被害は、科学的根拠のない危惧不安のたぐいにすぎない」などの主張について、放射性物質による居住地の汚染が社会通念上受忍すべき限度を超えた平穏生活権侵害となるか否かは、「低線量被曝に関する知見等や社会心理学的知見等を広く参照したうえで決するべき」との理由で退けた。
 その上で、判決は、平穏生活権侵害による慰謝料について、本件原告3824名のうち、約2907名の請求を認め、原賠審の中間指針等に基づく賠償対象地域よりも広い地域について賠償の対象とし、かつ既払の賠償金に対する上積みを認めた。
 しかし、避難者原告のうち帰還が困難となった原告らが求めていた「ふるさと喪失慰謝料」については、実質的にこれを認めなかった。
 原告らが居住していた全ての地域について救済対象とする判断ではなく、また上積みの額についても原告らが求めていた水準に達していない地域もあり、その点は極めて不十分である。判決は、権利侵害性の判断枠組みについては国や東京電力の被害隠しの主張を明確に退けたものの、実際の損害認定については、現地検証、原告本人尋問等で明らかにしてきた原告らの被害実態を正しく反映したとは到底評価しがたい。
 しかし、原告ら被害者に対する権利侵害を認めて、賠償の対象地域の拡大や賠償水準の上積みを認めた点は、原告らのみにとどまらず広く被害者の救済を図るという意味においては一歩前進と評価することができる。

3 原状回復請求について
 原告らが求めた原状回復請求については、判決は「本件事故前の状態に戻してほしいとの原告らの切実な思いに基づく請求であって、心情的には理解できる」と理解を示しつつ、「求める作為の内容が特定されていないものであって、不適法である」として、これを棄却した。
 この点は非常に残念であると言わざるを得ないが、現在の裁判実務において、作為内容を具体的に特定しない作為請求が認められることは技術的に困難な部分があり、現在のわが国の司法判断の限界を示しているとも言える。原告らは、今後も、「もとどおりの地域を返せ」という被害者の正当な要求を実現するため、迅速かつ実効的な原状回復を求めて法廷内外で奮闘していく。

4 訴訟団の原点とたたかい
 私たち生業訴訟団は、次の要求の実現を求めている。
ⅰ 二度と原発事故の惨禍を繰り返すことのないよう、事故惹起についての責任を自ら認め謝罪すること。
ⅱ 中間指針等が最低限の賠償を認めたものにすぎないという原点に立ち、中間指針等に基づく賠償を見直し、強制避難、区域外(自主的)避難、滞在者など全ての被害者に対して、被害の実態に応じた十分な賠償を行うこと。
ⅲ 被害者の生活・生業の再建、地域環境の回復及び健康被害の発生を防ぐ施策のすみやかな具体化と実施をすること。
ⅳ 金銭による損害賠償では回復することができない被害をもたらす原発の稼働の停止と廃炉。
 原告団・弁護団は、本日の判決を力にして、これら4つの要求の実現に活かす活動に踏み出す。そして、全国各地で進められている原発事故被害者の方々の集団訴訟において、各地の裁判所が正義の判断を示すことを心から希望する。またその実現のために、引き続き、全国の原告・弁護団・支援の方々とともに闘う決意である。
                           以上                                        
2017年10月10日
                          「生業を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟原告団
                                       同             弁護団

 ちなみに判決の骨子・要旨はここ。

2017/10/06

(問う 2017衆院選)教育の未来、目指す社会像から

 朝日の氏岡さんの記事。「安倍政権はこれまで教育にどの程度、お金を使ってきたのだろうか」と問いかける。

(問う 2017衆院選)教育の未来、目指す社会像から(朝日新聞)

 安倍晋三首相は、少子高齢化を「国難」だという。
 そして選挙の公約で、消費税を増税した分の使い道を変え、幼児教育の無償化や大学生の奨学金の増額に振り向ける方針を掲げた。
 たしかに日本が国家として教育にあてている予算の割合は、先進国の中でも最も低いレベルだ。特に幼児教育や大学は、家庭の負担の割合がログイン前の続き高い。
 このあり方を選挙で問うことは大切だ。積極的な議論を期待したい。
 だが、少子高齢化や家庭負担の重さは、いまに始まったわけではない。負担軽減を議論するために政府が設けた有識者会議も、9月にスタートしたばかり。それだけに、首相の発言は唐突だ。
 翻って安倍政権はこれまで教育にどの程度、お金を使ってきたのだろうか。
 大学生向けの給付型奨学金は来年度から本格的に始まるが、対象者は1学年約2万人に限られる。民主党政権が始めた高校の無償化には、所得制限を設けた。少人数学級の拡充も進んでいない。予算を積極的にあててきたとは言い難い。
 その一方で安倍首相が強いこだわりを持ち、熱心に進めてきたのは、教育の理念についての改革だ。第1次政権から「教育再生」を掲げ、教育の目標に「我が国と郷土を愛する態度」を盛り込んだ改正教育基本法を成立させた。
 課題を積み残したままの退陣を経て復活した第2次政権でも、「教育再生」の「実行」を最重要課題と位置づけた。
 2014年の衆院予算委では、自らの思いをこう語っている。「憲法や教育基本法などを私たち自身の手で変えていくことこそが、戦後体制の脱却になる」
 官邸と文部科学省、自民党が一体となり、どのように教育制度を変えたのか。
 道徳を教科に位置づけ、教科書検定では政府見解をはっきり書かせる仕組みを作った。政治的中立が重んじられてきた教育委員会に対し、知事や市町村長の権限を強める法改正もした。
 教育は子どもを通じて、未来をつくり出す営みだ。与党の政治的な判断が教育にそのまま反映される状況は危うい。国が特定の価値や行動を「正しい」と決め、すべての子に教えようとすれば、価値観の幅が狭まり、多様な社会の生まれる芽をつみかねない。
 予算をどうあてるかだけでなく、次にどんな社会を目指すのか。選挙では各党に、その点を聞きたい。

 そして、熱心に進めてきたのが、教育の理念についての改革だとして、とりわけ道徳教育をあげる。こうした点についての議論もすすめばいいなあと思うよ。ほんとに。

2017/10/05

NHKの31歳女性記者が過労死 残業、月159時間

 うーん。あまりにも悲しい事件。それがくり返され続けているということ。

NHKの31歳女性記者が過労死 残業、月159時間(朝日新聞)

 日本放送協会(NHK)の記者だった女性(当時31)が2013年7月に心不全で死亡したのは過重労働が原因だったとして、14年に渋谷労働基準監督署(東京)が労災を認定していたことが分かった。NHKが4日、発表した。ピーク時の時間外労働は月150時間を超えていた。
 新入社員が過労自殺した広告大手・電通に続いて、公共放送の職員の過労死も発覚したことで、メディア関連企業の長時間労働の是正を求める声がさらに強まりそうだ。
 遺族は今夏以降、女性の過労死を局内全体に周知して再発防止に生かすようNHKに強く求めてきた。女性が労災認定を受けてから3年余り。NHKはこの間、電通の過労自殺事件をはじめ、過労死問題を手厚く報道してきたが、局内で起きた過労死については、遺族から強い要望を受けるまで職員に広く周知していなかった。
 NHKや遺族の説明によると、亡くなったのは、入局9年目だった佐戸未和(さど・みわ)さん。05年3月に一橋大法学部を卒業後、同年4月に記者職としてNHKに入局。鹿児島放送局で5年間勤めた後、10年7月から東京・渋谷の首都圏放送センターで勤務していた。同センターでは、主に東京都政の取材を担当。都庁の記者クラブに所属していた。亡くなる直前は、13年6月の都議選、同7月の参院選の報道にかかわった。参院選の投開票から3日後の7月24日ごろ、都内の自宅でうっ血性心不全を起こして急死した。
 渋谷労基署によると、亡くなる直前の13年6月下旬から7月下旬まで1カ月間の時間外労働(残業)は159時間37分。5月下旬からの1カ月間も146時間57分にのぼった。労基署は都議選と参院選の取材で「深夜に及ぶ業務や十分な休日の確保もできない状況にあった」と認定。「相当の疲労の蓄積、恒常的な睡眠不足の状態であったことが推測される」とした。
 遺族は13年10月に労災を申請し、翌年4月に認められた。遺族が業務用のパソコンや携帯電話の使用履歴などを調べたところ、労基署が認定した残業(6月下旬からの1カ月で約159時間)を上回る長時間労働が判明したという。
 佐戸さんの父は「適切な労務管理が行われず、長時間労働が放置されていた。NHKは未和の死を忘れず、全職員で未和の死を受けとめ、再発防止に力を尽くしてほしい」と話している。
 NHK広報は朝日新聞の取材に対し、「当初は遺族側から公表を望まないとの意向を示されていたので、公表を控えていた。佐戸さんの死をきっかけにした働き方改革を進める上で、外部への公表が必要だと判断した」としている。

 適用されていた事業場外みなし労働時間制というのは、1988年につくられたもの。労働の規制緩和の走りだとも言える。運用するとき、いかに長時間労働を抑えるかという立場には、NHKはたたなかった。むしろ、この抜け穴的法律を悪用することを「是」としたとも言える。それだけに、きちんとした、検証をしてほしい。そうしてこそ、「働き方改革」についての報道ができるのではないのだろうか。

2017/10/04

日本学術会議 新会長に京都大の山極寿一学長

 これも、すごいニュースだなあ。おとといのニュースだけど、きちんとクリップしておかないと。

日本学術会議 新会長に京都大の山極寿一学長(毎日新聞)

 日本学術会議は2日、東京都内で総会を開き、第24期の新会長に京都大の山極寿一(やまぎわ・じゅいち)学長(65)を選出した。任期は同日から2020年9月末まで。
 山極氏は取材に対し、今年3月に取りまとめた軍事研究に否定的な新声明について「声明の見直しは考えていない。ただ、声明はあいまいな部分もある。今年度内に軍事と学術の距離の置き方を常設で議論する場を設けたい」と述べた。また、「政治が強くなっており、学術の自律性を主張していけるのか今が正念場だ」と抱負を語った。
 山極氏は霊長類学者でゴリラの研究で知られる。京都大理学部卒、京大大学院理学研究科教授などを歴任。現在は国立大学協会会長も務める。

 昨年は、軍事研究容認の立場の大西隆前会長のもとで、学術会議は揺れにゆれた。危機感が高まり、いろんな人の努力で、「声明」が出され、それを力に、しっかりした態度をとろうという大学が広がった。山極さんは、学術会議の場で、「大学が軍事研究を行うことには極めて慎重にならなければいけない」と繰り返し表明していた。そういう人を会長に選出したのは、ほんとうに学術の世界の良識の現れだと思う。さらに、踏み込んだ議論が展開されていくことを期待しつつ、注視したいなあ。

2017/09/20

保育園を呼ぶ声が聞こえる

512drrjlfol_sx343_bo1204203200__1 読みましたよ! うーん、なかなか衝撃的。待機児の問題の裏側で進む保育政策が、ここまで、子どもをふみにじったものであるのか、絶望的になる。ちょうど、障害児の問題について、いろいろ調べていたのだけど、かなりユニバーサルな政策だと言える保育で、こんな状況で、どうさまざまな課題に向き合っていくのかを考えると、ほんとうに絶望的になる。誰もが、おかしいと声をあげる、人権について、もっと語れる社会になるにはでしたらいいのか。
 だけど、まあ、ブレイディさんも猪熊さんも、基本、イギリス労働党への評価は甘い感じ? とりわけOfSTEDに対してはなあ。だけど、実は、激しい競争にさらされて、そういう面でも公正さが建前としてもとめられている社会を前提に、ならば、その評価制度は、できるだけいいものにということか。そういう意味で、外国との比較は難しいし、日本の特殊性と思っていたことが、実はちょっとちがったりなどなど、いろいろ考えさせられるわけで。
 やっぱり、大事なのは、対抗軸について、考えたり、発信したり、ちょっとでも合意をひろげていくような議論をどう積み重ねていくかということで、いろいろ考えないとなあ。


2017/09/16

ハンセン病刑務所、保存断念 隔離政策の象徴解体へ

 うーん。これは……。

ハンセン病刑務所、保存断念 隔離政策の象徴解体へ(朝日新聞)

 国内でただ一つのハンセン病患者専用の刑務所として使われた「菊池医療刑務支所」(熊本県合志市)。約20年前に閉鎖された元庁舎が、姿を消そうとしている。現地で学校の建設計画が進み、熊本地震で安全面への不安も生じたため、元患者らが保存を断念した。
 国内最大のハンセン病療養所・菊池恵楓園の向かいにあるコンクリート造り2階建ての白い建物。1986年に建て替えられた菊池医療刑務支所の元庁舎だ。
 53年に熊本刑務所の支所として設置された。同年にできた、らい予防法に基づく隔離政策やハンセン病への偏見から、犯罪に関わった患者の受け入れを一般の刑務所が拒んだことなどが背景にあったとされる。
 当時の宮崎松記・恵楓園長は手記「癩(らい)刑務所の出来るまで」(53年)に、こう記した。「癩(らい)患者の犯罪があつた場合も、警察や検察当局では矢張(やは)りこれを非常に怖(おそ)れ嫌がり、又(また)一方刑務所の方でも健康なものと一緒に収容することは困ると(中略)療養所に送り込まれることが屢々(しばしば)あつた」
 菊池恵楓園入所者自治会長、志村康さん(84)は「ハンセン病専用の刑務所がつくられること自体、当時の根強い差別や恐怖心を表している」と言う。法務省によると、らい予防法廃止に伴い97年に閉鎖されるまでに計171人を収監。記録に残る限り、54年末には最も多い19人の患者がいた。
 旧庁舎では、ハンセン病患者を隔離した場所で裁く「特別法廷」もたびたび開かれた。48~72年の95件のうち、同支所と恵楓園で35件。患者とされた男性が無実を訴えながら殺人罪で死刑になった「菊池事件」の裁判も、ここで行われた。
 閉鎖後、刑務支所の元庁舎の建物だけを残し更地になった。管理する九州財務局は2008年、隣接する菊池恵楓園の旧宿舎跡地と併せて競売にかけた。だが恵楓園入所者らが厚生労働省などに保存を要求。元庁舎の土地は対象から外れた。そのほかの土地約5万6千平方メートルについて、地元の合志市が小中一貫校の建設用地として取得を要望。18年中に九州財務局との売買契約がまとまる見込みだ。
 恵楓園の入所者は、刑務支所を運営した法務省などに対し、ハンセン病の歴史を学ぶ場として元庁舎の有効活用を求めたが、国は保存に動かなかった。老朽化が進み、昨年4月の熊本地震後は外から見えるひびも入った。学校建設が進めば校庭に元庁舎が残ることになり、入所者自治会は「子どもの教育環境を大事にしたい」と、解体もやむを得ないとの結論を出した。
 6月に東京であった厚労省との協議で、志村さんは元庁舎の保存を諦める方針を伝えた。そのうえで、跡地にモニュメントを建てることや獄舎の一部を恵楓園の資料館に展示することを要望した。「ハンセン病だけの刑務所をつくったのは、世界で日本だけと再認識してほしい」と訴えた。
 自治会副会長の太田明さん(73)は「差別が起きていた証拠が一つ失われることになり、残念だ。新しくできる学校では、ここがどういう場所であったのかを学び、考える機会を設けてほしい」と話した。……

 ハンセン病問題はまだ終わっていない。「特別法廷」の「菊池事件」をめぐる裁判もはじまったばかりなのに。
 「負の遺産」に対して、もっと向き合うべきだ。そうしてこそ、人権が花開くような日本になっていけるはずなのに。全生園だって、貴重な「負の遺産」が、朽ち果てるばかりになっている。そのことは、ボクらの人権の未来と表裏一体。ボクら自身の問題として考えないといけないと思う。

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