読書

2020/03/19

〈ヨコへの発達〉とは何か?: 障害の重い子どもの発達保障

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 びわこ学園に行ったときのことを思い出しながら、読む。やまゆり園の事件の判決があっただけに、重い障害のある人のことをどう考えるか、いろいろ考えながら読んだ。

 では、ヨコへの発達とは何か。糸賀や岡崎、田中たちが、重い障害と向き合いながら、その認識をどう深めていったのかということがテーマ。ボクは、あらためて「共感的発達」や「関係性」ということに目を引かれた。発達というものの理論的展開のなかで、「共感」や「関係性」がどのような飛躍をつくりだしているのか、いろいろ知りたいと思った次第。

 糸賀と、「優性思想」の問題は、近江学園でのいわゆる「手術」問題もあり、いろいろ言われている。おそらく、大事なのは、糸賀自身の葛藤と認識の深まりということなのだと思う。糸賀は人生を通して変化していった。ならば、糸賀の変化と、そしてどこまで到達したのか、限界や、未来にどう開かれていて、それがいま、私たちがどこまで来ているのか、そういうなかで位置づけたいとも思ったり。ヨコへの発達観自身が、今後どのように変わっていくべきなのか、いろいろな課題についても考えさせられたりする。

 

2020/03/07

無敗の男 中村喜四郎 全告白

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 面白かった。この世界で仕事をしていると、保守の政治家と話すことは多い。そのときも感じることだけど、喜四郎もやはり伝統的な保守の政治家だと思う。政治や政策の選択の幅が大きい。それは右にもそうだけど、左にもそうである。だからわれわれと一致点も少なくない。しかも、有権者との結びつきはとてつもなく強い。支持者・世論の動向に敏感だ。これだけ、困難を抱えて生きる層が拡大しているなかでは、いっそう一致点は広がる。なぜ敏感か。喜四郎のような政治家の活動の根底にはどぶ板がある。災害のときの活動は、共産党の活動とすこぶる似ている。この点もおもしろい。コービンや、サンダースの活動とも共通するのだろう。一定程度、戦後民主主義の発展は、こういう有権者との結びつきのありようによって支えられていたのかもと思う。ただ、小選挙区から安倍内閣への過程で、そのありようは大きく棄損するわけだけど。ただ、選択肢の広さは、ともすれば脱法、違法な腐敗にもつながる。さらに、政局への敏感さ、たたかいのなかで生きているということも大事なんだろうと思う。そこなかで自分のありようと位置づけるわけだから、敵を明確化する。それが安倍内閣であるというのが今なのだと思う。だからますます一致する。

 哲学も、手法もまったくわれわれとは違う。だけど、いまは一致するところはとてつもなく大きい。その違いは、今後大きなことかもしれない。そのことも含めて、一致点で共同する。そういうしっかりした見方が必要なのだと思う。しかし、とてももなく面白く、怖い政治家である。ぜひ、会ってみたいと思った。

2020/01/24

イランvsトランプ

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 高橋さんの新書を読んだ。イランや、サウジアラビアなど中東諸国、イスラエル、そして、アメリカのユダヤ人社会などにおける政治戦力の動向がていねいに分析されている。表層の政治勢力の動きといえばそうなのだけど、どのように入り組んでいるのかについては、やっぱり、よくわかっていなかったなあ。ということで、いろいろ知ることができた感じ。なるほど、と思うことが多く。ほんとうにそれだけなのかという突っ込みもいろいろ考えさせられる。日本政府の外交は、ほんとうに、あぶないなあ。

 世界の変化は激しいのに、しかし、日本のメディアが報じていることは、ほんとうに少ない。大手メディアの大きな記事だけをみていると、正直言って、世界の動きからは取り残されてしまう。そういうことも強く、反省させられた。世界の動きに向き合っていくには、相当、努力しないとなあ。そこは、今年の挑戦課題の一つだな。しっかりしなくっちゃねえ。

2020/01/06

故郷喪失と再生への時間―新潟県への原発避難と支援の社会学

51q9ljlgjl_sx354_bo1204203200_  福島から新潟に避難した人を継続的に調査したものをまとめたもの。2年と少し前に出されている。避難者の自立を支える、それが災害支援のあり方として、新潟できずいてきたもの。しかし、原発事故の広域避難が、勝手がちがうことが徐々に明らかになる。突然、生活も、人間関係も、未来をも切り離される理不尽さ。そして、あきらめや葛藤、決断や、孤立、見えなくなる困難。さまざまな形で被災者の現実の困難が、隠されていく。なによるも、最終的な決断ができずに、宙づりのような形で、現在にいたっている。それを、政治の都合、時間軸で、支援がすすめられるというのが復興なのだろうか、そういう問いかけが、被災者の声とともに、ずっしりと胸に響く。いろいろ勉強になった。

2018/04/11

連鎖する貧困

19 いちおう買ってきましたよ。ボクも、いわゆる貧困ジャーナリストにはいるのでしょうかね。それそうと、実際に、いま貧困を議論するのは相当難しい。正直、それで売れるものではないし。自己責任論は実は強まっている。そのなかで、どう議論するのか。
目次は、こう。
深刻化する子どもの貧困購読者限定
 アルマーニ騒動で浮き彫りに  広がる子どもの格差
塾にも通える! 支援に動き出した自治体
 貧困家庭をピンポイント支援
 自宅に食品を届ける「こども宅食」
前川喜平×湯浅誠が直言 やれることはたくさんある! 子どもを救う処方箋を示そう
 幼児教育の無償化より待機児童の解消が優先だ
新しい奨学金制度始まる
 給付型奨学金の拡充で未婚・少子化へ歯止めを
 探せばこんなに見つかる購読者限定給付型奨学金の活用術
会社規模が明暗分ける購読者限定
 高卒就職という選択肢
I nterview|慶応義塾大学准教授・中室牧子 「意欲の格差解消へ供給サイドに投資せよ」
富裕層は都心名門が好き
 首都圏|浮かび上がる公立小格差

階級社会化が進む日本  階級社会ニッポンの実像
 搾取され続ける絶望 ルポ アンダークラスの現実
 Interview 橋本健二・早稲田大学人間科学学術院教授購読者限定
 「最低賃金の引き上げがアンダークラスを救う」
 非正規は救われるのか始まった無期転換ルール
 アンダークラスに大打撃 切り下げられる生活保護費

 この特集もそう。よまなくっちゃいけないけど、なかなか難しい。ここで、湯浅さんか? 前川さんか? 彼らが語らないのは何なのか? なぜ中牧と親和するのか??? うーん。


2018/03/18

平成の天皇制とは何か――制度と個人のはざまで

41qlrfd1bgl_sx343_bo1204203200_ いよいよ代替わりに、いろいろ物事がすすんでいくので、ちゃんといろんなことを頭の中で整理しなくっちゃいけないと思って、きちんと読んでみた。
 象徴天皇制というのはとても不思議な制度である。そもそも憲法の規定は、きわめて矛盾したものになっている。主権の存ずる国民の総意といっても、国民が選んだわけではないし、総意ということと、世襲ということの間はなかなか、難しい。では、明仁天皇と美智子皇后は、そこでどんな天皇として立ち振る舞ってきたのか。
 あらためて、いまの象徴天皇制ということの内実が、とりわけ平成の時代につくられて、天皇自身や皇后が主導的にその像をつくってきたことは驚かされる。そこで肥大化したのは、公的行為というものであり、さらにいえば、私的行為とされる宮中祭祀も肥大化している。そこから、見えるのはやはりある意味で「君主」としての自覚でもあるのだ。
 その像は、かなり日本国憲法の想定とは違う。その危うさと、さらにそれを支える国民意識との乖離という危うさ。平和意識の強い天皇というイメージも、実は政治の大きな枠組みのなかにある。天皇の問題は、やはり政治的な問題。この問題をどう議論していくのか。さまざまな乖離があるなかで、どう議論するのか。しかし、いまだからこそ、あらためて、この問題についてのきちんとした議論をすべきときにあるのは同感。さて、どう料理しますかねえ。

2018/02/02

ペリリュー 楽園のゲルニカ 1~3

61kuk7wol_sx350_bo1204203200_ ガイドをするにあたってということもあるけど、この漫画を読んでみた。吉田さんも、あとがきで書いているけれど、ペリリューのたたかいは、徹底した持久戦をおこなって、米軍がてこずったことから、日本軍の強さということで称賛されたりするのだけど、実際のペリリューのたたかいはどうだったのか。そのことが、コミカルな可愛い絵柄で、しかし、内容的には、リアルに描かれる。もちろん、ほんとうの戦争の地獄には程遠いのだろうけど、その地獄について想像力もかりたてられて、ものすごくリアルな感じで迫ってくるのだ。いろいろ、当時の戦場を知るうえでポイントになるようなこともしっかり描かれていて。これはとてもおすすめの漫画だな。4巻が待ち遠しい。


2018/01/19

これからの日本、これからの教育

416bsovzkl_sx304_bo1204203200_ 話題の本。話題の前川さん。政治が文部行政に介入し、そこに抵抗する官僚がいて、そこには一致して、抵抗するという基盤がつくられているということなのだろうけど。
 読んだ感じ、寺脇さんは、かつて文科の改革派と呼ばれていた時期を思い出す。この本でも、やたら「生涯学習」ということを強調し、学習する権利を強調する。それが、どうも薄っぺらい感じがするのだけどね。どうも、ボクらが言う憲法や教育基本法にもとづく、教育権論、学習権論や子どもの権利論とは、ちょっと違う感じがする。彼のやった限定的と言いたいのだろうけどもその規制緩和の議論の浅さや、そこがもたらしたものということが気になるところ。そもそも、「自由」というのがキーワードで、やっぱりそれは、中曽根・臨教審だったりするのだろうなあ。
 前川さんは、まさに保守リベラルという感じだな。だから、国というものや、安定的な経済というものも前提としながら、そのなかでリベラルな教育をめざすという感じ。一致点も多いのだろうけど、とても現実的な世界で生きていて、そういう前提があるから、実際の力関係のなかで、選択するということになる。とりわけ教員配置の問題や、高校の教育課程の規制緩和は、そういう見方でいいのだろうかと思ってしまう。
 だけど、やはりトップ官僚。ボクらがなかなか深め切れているな問題にまで、目をくばり、問題意識をもっているのは、すごいなあと思う。「適格者主義」へのこういう批判をするとは、などなど。だけど、彼らの討論で出てこないんは、教員自体の運動であり、そして国民の教育運動なのだ。そこは、やっぱり考えてしまうなあ。
 ある意味保守リベラルという点で言えば、歴代の内閣法制局長官などとも通じるところがあり、だからこそ、安倍さんの官邸主導のなかでいろいろな問題が起きていることかあ。そう考えると、こういう官僚の意味や、いまそれがどんどん排除されている現状など、90年代以降の政治改革の帰結ということも考えさせられることもであるのだけど。
 いろいろ刺激をうける1冊でもある。


2018/01/18

日本軍兵士―アジア・太平洋戦争の現実

51cc1mrxbal_sx318_bo1204203200_ 吉田さんの、ある意味での集大成のような本。アジア・太平洋戦争の時期の日本軍はどのような地点にいたったのかを、さまざまな資料から紐解く。第一章の「第1章 死にゆく兵士たち―絶望的抗戦期の実態」は、藤原彰さんの仕事を受け継いだものだけど、さらに、その死の実態について、多面的に海没死や特攻死のあまり知られていない特徴とその背景にあるもの、自殺というものがどう広がり、それがどう扱われていたのか。「第2章 身体から見た戦争―絶望的抗戦期の実態」もまた、吉田さんの真骨頂。『日本の軍隊』で描いたものの先にある兵士と軍隊の実像である。兵士の体格や身体について、徴兵検査の実態から知的障害者の位置づけなどにも迫る。虫歯の話から、栄養不良への対応の遅れ、戦争神経症など病む兵士の問題の裏側にある覚せい剤使用の広がりなどは、驚くべき実態。被服や装備の話、とりわけ靴の話など、こういうところにも、この戦争の性格がよくわかるのだ。「そして、第3章 無残な死、その歴史的背景」で、日本軍にある異質な軍事思想の特徴、短期決戦、作戦至上主義、極端な精神主義、そこから米英への過小評価などなどが明らかにされる。戦車戦への対応の問題などにも驚かされる。さたに日本軍の制度として根本的欠陥 、その背景にある日本という国家のもつ根本的な後進性などについての明らかにされる。どんどん、日本軍について、誤った議論が広がる時期だけに、そしてあの戦争の教訓がないがしろにされようとしているだけに、こうした日本軍兵士の実相をとおして、日本の戦争について、しっかり向き合うことがいつにもまして重要。これは、絶対に読むべき1冊であるのだ。

2018/01/11

誰も置き去りにしない社会へ―貧困・格差の現場から

41tjdrbgwyl_sx342_bo1204203200__1 さて、いよいよあす発売です。雑誌で連載したものを1冊の本に。10本のうち、8本がボクのインタビュー。結局、子どもと女性の貧困がテーマとなったわけなのだけれど。一昨年から、さまざまな本が出て、鋭い議論だなあと思た人に、声をかけてというのが、この本。女性が多いのも特徴から。それなり、思い入れもある。だから、売れるといいのだけどなあ。買ってよんでほしいなあ。ちなみに本になっても、売れても、ボクには何の恩恵もないのですけどね。


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