読書

2018/02/02

ペリリュー 楽園のゲルニカ 1~3

61kuk7wol_sx350_bo1204203200_ ガイドをするにあたってということもあるけど、この漫画を読んでみた。吉田さんも、あとがきで書いているけれど、ペリリューのたたかいは、徹底した持久戦をおこなって、米軍がてこずったことから、日本軍の強さということで称賛されたりするのだけど、実際のペリリューのたたかいはどうだったのか。そのことが、コミカルな可愛い絵柄で、しかし、内容的には、リアルに描かれる。もちろん、ほんとうの戦争の地獄には程遠いのだろうけど、その地獄について想像力もかりたてられて、ものすごくリアルな感じで迫ってくるのだ。いろいろ、当時の戦場を知るうえでポイントになるようなこともしっかり描かれていて。これはとてもおすすめの漫画だな。4巻が待ち遠しい。


2018/01/19

これからの日本、これからの教育

416bsovzkl_sx304_bo1204203200_ 話題の本。話題の前川さん。政治が文部行政に介入し、そこに抵抗する官僚がいて、そこには一致して、抵抗するという基盤がつくられているということなのだろうけど。
 読んだ感じ、寺脇さんは、かつて文科の改革派と呼ばれていた時期を思い出す。この本でも、やたら「生涯学習」ということを強調し、学習する権利を強調する。それが、どうも薄っぺらい感じがするのだけどね。どうも、ボクらが言う憲法や教育基本法にもとづく、教育権論、学習権論や子どもの権利論とは、ちょっと違う感じがする。彼のやった限定的と言いたいのだろうけどもその規制緩和の議論の浅さや、そこがもたらしたものということが気になるところ。そもそも、「自由」というのがキーワードで、やっぱりそれは、中曽根・臨教審だったりするのだろうなあ。
 前川さんは、まさに保守リベラルという感じだな。だから、国というものや、安定的な経済というものも前提としながら、そのなかでリベラルな教育をめざすという感じ。一致点も多いのだろうけど、とても現実的な世界で生きていて、そういう前提があるから、実際の力関係のなかで、選択するということになる。とりわけ教員配置の問題や、高校の教育課程の規制緩和は、そういう見方でいいのだろうかと思ってしまう。
 だけど、やはりトップ官僚。ボクらがなかなか深め切れているな問題にまで、目をくばり、問題意識をもっているのは、すごいなあと思う。「適格者主義」へのこういう批判をするとは、などなど。だけど、彼らの討論で出てこないんは、教員自体の運動であり、そして国民の教育運動なのだ。そこは、やっぱり考えてしまうなあ。
 ある意味保守リベラルという点で言えば、歴代の内閣法制局長官などとも通じるところがあり、だからこそ、安倍さんの官邸主導のなかでいろいろな問題が起きていることかあ。そう考えると、こういう官僚の意味や、いまそれがどんどん排除されている現状など、90年代以降の政治改革の帰結ということも考えさせられることもであるのだけど。
 いろいろ刺激をうける1冊でもある。


2018/01/18

日本軍兵士―アジア・太平洋戦争の現実

51cc1mrxbal_sx318_bo1204203200_ 吉田さんの、ある意味での集大成のような本。アジア・太平洋戦争の時期の日本軍はどのような地点にいたったのかを、さまざまな資料から紐解く。第一章の「第1章 死にゆく兵士たち―絶望的抗戦期の実態」は、藤原彰さんの仕事を受け継いだものだけど、さらに、その死の実態について、多面的に海没死や特攻死のあまり知られていない特徴とその背景にあるもの、自殺というものがどう広がり、それがどう扱われていたのか。「第2章 身体から見た戦争―絶望的抗戦期の実態」もまた、吉田さんの真骨頂。『日本の軍隊』で描いたものの先にある兵士と軍隊の実像である。兵士の体格や身体について、徴兵検査の実態から知的障害者の位置づけなどにも迫る。虫歯の話から、栄養不良への対応の遅れ、戦争神経症など病む兵士の問題の裏側にある覚せい剤使用の広がりなどは、驚くべき実態。被服や装備の話、とりわけ靴の話など、こういうところにも、この戦争の性格がよくわかるのだ。「そして、第3章 無残な死、その歴史的背景」で、日本軍にある異質な軍事思想の特徴、短期決戦、作戦至上主義、極端な精神主義、そこから米英への過小評価などなどが明らかにされる。戦車戦への対応の問題などにも驚かされる。さたに日本軍の制度として根本的欠陥 、その背景にある日本という国家のもつ根本的な後進性などについての明らかにされる。どんどん、日本軍について、誤った議論が広がる時期だけに、そしてあの戦争の教訓がないがしろにされようとしているだけに、こうした日本軍兵士の実相をとおして、日本の戦争について、しっかり向き合うことがいつにもまして重要。これは、絶対に読むべき1冊であるのだ。

2018/01/11

誰も置き去りにしない社会へ―貧困・格差の現場から

41tjdrbgwyl_sx342_bo1204203200__1 さて、いよいよあす発売です。雑誌で連載したものを1冊の本に。10本のうち、8本がボクのインタビュー。結局、子どもと女性の貧困がテーマとなったわけなのだけれど。一昨年から、さまざまな本が出て、鋭い議論だなあと思た人に、声をかけてというのが、この本。女性が多いのも特徴から。それなり、思い入れもある。だから、売れるといいのだけどなあ。買ってよんでほしいなあ。ちなみに本になっても、売れても、ボクには何の恩恵もないのですけどね。


2018/01/01

児童虐待から考える 社会は家族に何を強いてきたか

17 昨年、最後に読み終えたのは、敬愛する杉山春さんのこの本。うーん、重かった。「子どもを育てられなくなった親たち。誰が『家族』を壊しているのか? 年間10万件を突破し、今なお児童虐待は増え続けている。困窮の中で孤立した家族が営む、救いのない生活。そこで失われていく幼い命を、なぜ私たちの社会は救うことができないのか? 『愛知県武豊町3歳児餓死事件』『大阪2児置き去り死事件』、そして『厚木男児遺体放置事件』と、数々の児童虐待事件を取材した著者が、
私たちの社会において、家族の『あるべき形』がいかに変わってきたかを追いながら、悲劇を防ぐ手だてを模索する」。なぜ、問題は、家族のなかに封じ込められるのか。もともとある、不利が契機に、このように置き去りにされる人たちがなぜ、生じるのか。そこで子どもたちは何に直面しているのか…。胸が張り裂けそうな思いで、読み通した。
 自分の直面してきたことと重なりながら、でも、やっぱり自分は、どこまでつめて考えてきたのか、いろいろ重たい思いをもっちながら、自分が問いかけてきた問題とも重ねながら、考えるのだけど。それはとっても苦しいことではあるのだけど。
 日本の社会の生きづらさってものの正体を、もっともっと、つきつめて言葉にしなければならないなあ。それが一つの自分の大きな課題だなあ。今年は、この点では、すきのない仕事をしたいなあ。そう思うんだけどなあ。


2017/12/27

海を渡る「慰安婦」問題――右派の「歴史戦」を問う

51o0tylgdol_sx341_bo1204203200_ 山口智美さんには、2年ほど前に話を聞いたことがある。その山口さんたちの本。去年の6月に出されているけれど、いまのサンフランシスコ市と大阪市の問題等をみると、いまこそ大事と思って、もう1度読んだ。たぶん、そのときには紹介しなかったんではないか。あらためて面白かった。
 今もそうだが、「慰安婦」問題をはじめとした、歴史修正主義の動きは、アメリカを舞台に展開されている。「米中韓が連携し、『慰安婦』問題で日本を攻撃している」という具合の主張をかかげ、「歴史戦」と称して、アメリカなど海外への情報発信を強めているというわけだ。ネットによる情報拡散のみならず、現地での集会や訴訟も展開している。しかも、そこには日本政府や自民党も加わっているのだ。その「歴史戦」の経緯や背景などを明らかにしながら、その問題が現地でどのようにみられているのか、現地ではどのような動きがあるのかなども、紹介されている。国際的に見れば、日本での右派勢力の「慰安婦」問題、歴史問題の議論は、異様であり、異常だ。それは、彼らにとっても分かちがたい矛盾。しかし、国内では、朝日の問題を機に、勝利の状況にあると彼らは考えている。国内的にも、矛盾はあるのだが、絶対的な物量で、彼らの議論が一定の影響を持っているのは事実でもある。そういう時代に、どのように、この歪んだ歴史認識、さらにはヘイトやレイシズムなどに向き合っていくのか。いろいろ考えさせられる重要な本だと思う。


2017/12/25

終活期の安倍政権―ポスト・アベ政治へのプレリュード


51td0ulq1gl_sx339_bo1204203200__2  二宮さんの新著。二〇一七年五月安倍首相は改憲メッセージを発表した。その後、内閣支持率の急落と東京都議選での惨敗、小池新党「希望の党」の結成と民進党の合流、立憲民主党の結成などの大激動が続いた。著者は、その底流に安倍政権が「終活期」に入ったことを見る。「もり・かけ疑惑」や南スーダン日報問題での首相自身の「終活発言」(そんなことがあればやめます)は、対米従属性や極右的性格安倍政権の異常性の裏返しであるとする。
 そして、なによりもアベノミクスが、「深刻な二日酔いに見舞われ」、その対処が、ますます安倍政権を終末へと導くと予想する。著者ならではのの痛快で明快な解析で、総選挙後に第二ラウンドに突入した「終活期の安倍政権」の性格と構造を抉り出し、国民的攻防戦の構図を巧みな比喩で解き明かしている。


沖縄子どもの貧困白書

51iv9r35ll_sx351_bo1204203200_ 沖縄の強い決意を感じる。沖縄県では、全国初、子どもの貧困率を独自に算出した。その二九・九%は大きな衝撃を広げた。沖縄の子どもの貧困は、すでに多くの人の実感にはなっていて、地元紙でも大きくとりあげられてきた。沖縄の貧困は、沖縄戦の被害、米軍施政権下の福祉の遅れ、復帰後の振興策の歪み、昨今の新自由主義と歴史的構造的な背景をもつ。県をあげてのとりくみがはじまり、困難だからこその官民協力でのひっしの貧困対策の推進は「沖縄モデル」を形成しつつある。本書に掲載された実践の数々はどれも胸を打つのだ。
 子どもの貧困対策法がつくられ、いま全国で子どもの貧困対策が取り組まれている。その実践にかかわる、市民・行政関係者、子どもに関わる人にぜひ手にとってほしい一冊となっている。

 きちんと練られたいい本。ボクの仕事は粗製濫造だなあ。編集段階で練られていない。でも、最近思うのは、いろいろな難問を解決するのはボクの世代じゃないなあ。きっと若い人の方が答えの近いところにいる。だけど、その答えに向かうに時間が必要なら、ボクは時間稼ぎと、材料発掘のために役に立てれば。そのために頑張れればそれでいいと思う。今の仕事のやり方も、きっと意味があるのだよ。

2017/12/09

ハンナのかばん―アウシュビッツからのメッセージ

Photo 劇団銅鑼のお芝居になっていて、その存在はしっていたけど、どんな話なのかはぜんぜんsらなかった。一つの古びた旅行かばんが、日本のNPOに虐殺の地・アウシュビッツから届いたのは2000年春のことた。幅65センチほどの大きな茶色いかばんの表面に白いペンキで書かれた名前。ハンナ・ブレイディ。アウシュビッツのガス室に送られ、13歳で短い生涯を閉じた少女だ。「持ち主はどんな子だったのだろう」との物語がはじまる。
 ホロコーストの中で殺されたユダヤ人の数は約600万人。そのうち150万人は子どもだった。被害は弱いものに。ハンナはその中の一人。このハンナの物語を探し、たどることで、ホロコーストの歴史が、私たちに何を問いかけているのかを考えることになる。しかも家族でただ1人奇跡的に生きのびていたハンナの兄ジョージ・ブレイディさんにたどりつく。世界の45ヶ国で出版されているそうだ。なぜホロコーストは起きたのか、なぜ「ユダヤ人である」というだけで、憎しみや偏見は人の心に生まれてしまうのか、私には何ができるのか、いろいろなことを考えさせてくれる。

2017/12/05

新聞の噓を見抜く  「ポスト真実」時代のメディア・リテラシー

41zrrfd6al_sx303_bo1204203200_ この本も、なかなか面白かった。とくに後半になるほど面白い。客観的事実よりも感情に強く訴えるほうが世論形成に影響する「ポスト真実」の時代、しかしながら、政権に近い新聞(読、産、経)とそうでない新聞(朝、毎、東)との間に深い亀裂が走り、2分化している。それを政権が見透かし、利用し、分断をひろげる。そういうなかで世論形成がされることになる。まさに、民主主義の危機でもある。新聞は新聞は部数の落ち込みが激しいだけでなく、内容的にも「終わった」メディアとしての視線も強いのだ。しかし、本当にそうなのか。それでいいのか。一方で安倍さんのメディア支配の強まりがあるが、そのもとで新聞は、構造上の問題をもっている。そこから、新聞報道の作為、不作為の嘘が……。そこをどう乗り越えて、ジャーナリズムとしての新聞を再生するのか? 市民が持つべき力と、その市民といっしょになって、メディアはどうあるべきなのか。ジャーナリズムほんらいの権力の番犬としての役割を手放さないあり方。一方で目の前にある危機(アメリカの「取材空白地帯」などはほんとうに恐怖!)、そしてスローニュースという問題提起。ほんとうにいろいろ考えさせられた1冊だった。


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