読書

2017/07/25

シングルマザーをひとりぼっちにしないために~ママたちが本当にやってほしいこと

Photo  先に発表された国民生活基礎調査でも、母子家庭など大人一人で子どもを育てている世帯の人の貧困率も五〇・八%と高かく、母子世帯は、八二・七%が「(生活が)大変苦しい」「やや苦しい」と回答している。施策は、いまだに十分に届いていない。そんななかで、結成された「大阪シンママ応援団」の活動を紹介するのが本書。シンママとはシングルマザーのことだ。
 当事者たちの座談会からは、シンママがいまどんな困難を抱えているのかがわかる。収入の不安定さにとどまらず、夫の依存症やDV、雇用の不安定や子どもの高学費、本人の健康と不安はつきない。だからこそ、二章で紹介される、どこまでの当事者によりそう応援団の役割は重要なのだ。そのとりくみは、制度や行政をいかに変えていくのかということも視野にいれながら、多くの人がつながっていくすべを示している。


2017/07/24

社会権 人権を実現するもの

41pkktsjiml_sx339_bo1204203200_ 結構、難解な本。抽象的な議論が多いから。ただ、それはどうしても必要なこと。著者たちは、憲法が保障する人権を、自由権を基礎に理解し、社会権をその付随的なものとして理解するような議論に対しての批判からはじまる。個人の自己決定、個人の尊厳といった市民権、自由権を偏重し、社会権を二次的なものと見なす議論は、奥平さんや樋口さんに代表されるリベラル憲法学者を含め根強い。その理論的な背景にまで切り込もうとして行く。それは、能力の個人所有という枠組みにまで迫ることになる。優生思想や能力主義への批判にもそれはつながる。そして、社会権を二次的なものと見なすこうした枠組みは、実は、新自由主義とは親和性が高くなる。そのことも例証していく。
 そもそも、生存、教育、労働を保障する憲法をもちながら、格差や不平等が広がり、豊かな福祉が実現しないのはなぜなのか? 実際には、社会保障はどんどん削減されている。それに対し、自由と生存を、誰にでも保障する社会の実現への議論は必ずしも強くはない。そこには、社会権を軽視してきた日本の法学・社会理論の影響があり、その批判的検討の必要性を考える。では、どう社会権を独自のものとして、根づかせるのか。市民的自由権の限界の認識と、社会権再生の意義を示すことだとする。その道を探求する。格差と貧困に抗する共同が大きな課題になっているとき、新自由主義批判をどう位置づけるのかは、なかなか苦労のいる課題だと思う。そのときに、こうした原理にまでつっこんだ、批判的な議論を踏まえて、議論を重ね、合意を広げていくことが、とても重要だという思いをもった次第。


2017/07/22

これってホント!? 誤解だらけの沖縄基地

12 沖縄の企画を考えるとき、何冊か、沖縄の関連本を何冊か読む。今回読んでいる本の1冊がこれ。「オール沖縄」の覚悟みたいなものが、タイムスのこの仕事を通して伝わってくる。
 もう一度、基本に立ち返る。それは県がやっていることでもあるし、沖縄の人の思いでもあると思う。本土と沖縄の認識のズレは、沖縄への誤解から生まれる。その誤解を解く発信を沖縄からするというわけだ。目次からひらってもそれはよくわかる。
 I章 在日米軍をめぐる誤解として、「中国の近海進出にどう対抗するのか?」「「普天間飛行場がなければ尖閣は取られるのか?」「地理的に重要だから沖縄に海兵隊を置くのか?」「「海兵隊撤退で沖縄は『南沙状態』になるのか?」…などからはじまって、I章 基地経済にまつわる誤解、III章 こんな誤解、あんなデマはネットにあふれるバッシングの嘘を明らかにする。IV章 沖縄の基地をめぐる誤解は基地のそもそもと基地被害の実際、V章 「普天間」にまつわる誤解やVI章 海兵隊の抑止力をめぐる誤解では沖縄の基地の歴史まで。VII章 日米地位協定をめぐる誤解では、それを支える法的制度まで明らかにする。基地の現状、被害の実相、そして歴史。読んでいるとやはり、限界は超えている、黙っていられない沖縄のやるせなさ、切羽詰まった決意がわかる。そう、決意を伝える。そういう企画をボクもしたいなあ。

2017/07/14

保育現場に日の丸・君が代は必要か?

41xutf4nuil_sx350_bo1204203200_ 中西さんの、新しいブックレット。保育や幼稚園の現場での日の丸・君が代のおしつけがいよいよはじまろうとしている。この導入の問題を、現場感覚で考えたとき、ほんとうにどうなんだろうかって感じる人は少なくはないと思う。学校でおこったことは、その押しつけの結果、子どもが主人公の行事がことごとくつぶされていったことだ。なぜ、そういうことがすすめられてしまうのか、そのことを国旗や国歌の働きもふくめて考えようというもの。その役割から考えれば、国民が主人公では日の丸・君が代は決してないということ。そして、やり過ごそうと思うことが、思考停止に、そして洗脳につながっていく危険も明らかにする。ほんとうに子どもの成長というところにたって、真剣に考えなければいけない問題、そしてそれは、この問題にとどまらず、ずけずけと、子どもや家族の問題にまで、国家が支配しようという大きな流れの中にあるということ。保育の場で譲ってはならないことがあると、筆者は強く訴えている。


2017/07/04

自民党―「一強」の実像

516rzbmi7dl_sx312_bo1204203200_ しばらくほおっておいたのだけど、この間の政治の動きをみながら、あわてて読み終えた。いろいろ考えた。ほおっておいたのは、理由がある。独特の書き方をしているからだ。自民党と政党の組織の側からの分析で、その時代時代に、この党が何をし、どんな役割を国民との関係ではたしたのかなど、大きな流れの中でも分析は基本ないから、ボク的には読みづらいのだ。いちばんの特徴である、財界や経済界との関係も、最小限にとどまっている。だけど、たしかに、なぜ、官邸の力が強まり、一強と言う状況がうまれたのかなど、おもしろい分析は随所にある。だけど、権力のほかのメンバーの分析はないから、分かるのは自民党の側の話だけだけどね。地方との関係などは、あまり知らない話もあって、初めて知ったことも多かった。いずれにしても、安倍「1強」の正体、そしてその脆弱性、支持基盤の狭さ、一方での相対的な強さ、都市圏での流動化の歴史などを見ていくと、今回の情勢激変の背景や、都議選での都民ファーストの躍進などの背景の一端はよくわかるような感じもする。いろいろ役に立った。


2017/06/30

『裸足で逃げる』の若者たちの生育環境・ネットワーク・暮らすこと

Exchange40 選挙も最終版だから、いろいろあるのだけど、仕事上もどうしてもはずせないということで、今日は、この講演を聞きに、国立に。今日は上間講演。この本の面白さ、貴重さをいろいろ考えた1日。本当にいろいろ考えた。沖縄のこと、地続きにある世界。彼女の研究の葛藤。
 話のなかみは、本については、一度書いたし、また今度書く機会があると思うので、個人的に思ったことをちょっと。うーん。ちょtっと失礼なんだけど、彼女はボクと似ているかも、なんて。すぐれた研究者や実践家というのは、その対象(当事者)との距離感が、あるんだよなあ。だけど、その距離感がかなり接近しすぎる。感情移入が、たぶんとびきりに激しい。たぶん、そう。そして、自分もへとへとになる。だけど、タフなのは、たぶん自分の体験からか。きっと、取材者向きかもね。なんていうことを考えながら、話を聞いていた。すみません、上間さん。

2017/06/21

無言宣伝 京都・北野白梅町駅頭月曜日のアサ

9784903882857 毎週月曜の朝、(京都市北区の嵐電北野白梅町の駅前で、秘密保護法や戦争法に、無言でチラシも配らずに反対を表明してきたたたかいの記録。無言であっても、沈黙ではない。二〇一三年、車いすに乗る障害者である井上吉郎さんが始めたたたかいだ。
 無言宣伝が終わるたびにFacebookに書き込んだ報告(Ⅱ章)を読むと、それがいかにたたかいを広げ、情勢を切り開いてきたのか、そして、人を結びつけ広がってきたのかがよくわかる。いまでは、無言の宣伝は、スタンディングなど各地で多様におこなわれている。もの言う市民のありようは多様に広がった。Ⅲ章はこのとりくみに参加した人々による証言。「微力かもしれないが、無力ではない」という思いと決意にあふれているその思いが未来をつくる。


教育勅語と道徳教育 ―なぜ、今なのか―

51r3kmyrnkl_sx350_bo1204203200__3  園児に暗唱させる幼稚園の出現に端を発した問題は、教育勅語を容認する閣議決定と政府の答弁へのすすんだ。しかし、その教育勅語にはいったい何が書かれているのかを読み解き、その危険性を告発する。そして教育勅語は、戦後の出発点、憲法・教育基本法の制定とともにきっぱり否定され、廃止された歴史も紹介。後半の、道徳教育では、大阪の「維新」による教育現場の実態もリアルに紹介しながら、その問題性を明らかにする。
 なによりも本書の魅力は、そのわかりやすさ。「変わった子」だった著者が教師となり、子どもたちをとことん信頼し、ともに成長しようという思いにあふれれている。「憲法が生きる学校に」という現場からの強い思いが伝わり、読者にも、共感をもってうけとめられるものになっている。


2017/06/02

風かたか 「標的の島」撮影記

417jnjrpjjl_sx340_bo1204203200_ 「風かたか」は、「風よけ」のことだ。子どもの成長を願う母の思いを歌った古謝美佐子さんの「童神」にもその語がある。昨年の元米海兵隊員による暴行・死体遺棄事件に抗議する県民大会で、稲嶺進名護市長が、「『風かたか』になれなかった」とのスピーチをしたことからとられている。これから生きる世代が、平和に生きていけることを願い、自らが「風よけ」にとの思いが込められている。本の帯には、沖縄を日本の風よけにするのかという批判の言があるが、こっちがいいなあとボクは思う。
 県民がいくら民意を示しても、沖縄では、高江・辺野古で米軍の新基地建設がすすむ。さらには宮古・石垣島も自衛隊による要塞化がすすめられている。沖縄の軍事拠点化は、まさに沖縄を戦場にすることを意味する。それは、日本全体の戦場化につながるのだから。二一〇五年から一年余の現地からの迫真のリポートである。
 ただ、三上さんの思いが綴られている本でもある。それは三上さんの思いで、沖縄におこっていることは、つねに様々な面がある。政府の横暴、警察の忖度? 暴力的な抑圧。だけど、平和で、豊かな文化的なたたかい。そうしたなかで起こっていることをどう使えるのか。悔しい思いや、そこにある感動や。連帯の熱い思いや……。


2017/05/30

沖縄戦、新たな視点で 県史刊行記念、那覇でシンポ

 なかなか注目される本なのだ。

沖縄戦、新たな視点で 県史刊行記念、那覇でシンポ(琉球新報)

 県教育委員会は28日、3月に発行した「県史各論編6 沖縄戦」の刊行を記念し、「『沖縄戦』を語る」と題したシンポジウムを那覇市の県立博物館・美術館講堂で開いた。約220人が参加した。県史の刊行に携わった研究者らが登壇し、意義や沖縄戦研究の現状について議論を展開した。
 前半の基調講演では沖縄国際大の吉浜忍教授と関東学院大の林博史教授が県史刊行の意義などについて紹介した。吉浜さんは県史の特徴を「沖縄戦だけで完結させず、戦後の継承の問題も議論している点にある」と述べた。林さんは今後の研究課題について「東南アジアや南洋諸島などで、沖縄の人々がどのように戦争に関わったかを明らかにする必要がある」と話した。
 後半のパネル討議では執筆者ら7人が登壇し、沖縄戦の研究成果や課題について議論を展開した。「日本軍慰安所」の項目を担当したひめゆり平和祈念資料館の古賀徳子さんは、辻遊郭の女性も慰安所に動員されたことに触れ「(朝鮮半島など)植民地だけでなく、沖縄の女性も慰安所で性被害を受けたことを明らかにできた」と述べた。
 参加した沖国大2年の山田珠妃さん(19)は「沖縄戦研究でこれまで光の当たらなかった分野に、若い研究者がスポットを当てていることが分かった」と話した。
 県史の沖縄戦編は増刷分もすでに完売し、県教委は再増刷を検討している。県立図書館や各市町村の図書館などでも閲覧できる。

 これがその目次。
Okinawasen_coverOkinawasen_sample まだまだ、明らかにされつくせない、戦争の実相というものがあるということ。
 ボクは、県に注文して、そして振込用紙が来た段階。ところが振り込みは、こちらでは、みずほの窓口でやらないといけない。ところが、そのみずほが近くにない! ということで、その後の手続きができないでいる。そして、お金を振り込んだら、それをまた県に送って、それで発送されてきて、郵送料は、配送の際にという、とってもややこしい手順。うーん。しかも完売というから、どうなるのやら。はやく何とかしないと。


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