読書

2017/11/22

「慰安婦問題」を子どもにどう教えるか

513uy6v5jzl_sx348_bo1204203200_ 読んでいて、背筋がピンとなります。平井先生が、教師として、どのように子どもたちと向き合ってきたのか、その実践の記録。とにかく、熱く、真っ直ぐな、直球勝負の平井先生である。
 「慰安婦問題」をどう教えるかというテーマ設定だけで、足がすくむ。そのくらい現場の教師たちに、右翼勢力が直接的な攻撃をかけ、学校現場がゆれたこの20年だ。だけど、平井さんの情熱で、まわりの先生や、学校もよくがんばったと思うなあ。この20年は、とくかに90年代後半、元「慰安婦」が名乗り出たことによって、「慰安婦」問題が7社の中学校の歴史教科書に載ったことから、右派による激しい教科書攻撃、教育現場への圧力がつよまり、ついに現在では「慰安婦」問題の記述がある教科書は1社、授業で取り組む教師もほとんどいなくなったという20年だ。だけど、平井さんは、韓国で元「慰安婦」に出会い、沖縄で元ひめゆり学徒に教えを請い、自ら歴史の現場に足を運んで獲得した「戦争」の実相と「平和」への思いを教室の子どもたちとともに学びあったのだ。学んだ子どもたちの姿も、さまざまな困難に直面した時に、平井さんの思いも、読んでいて涙が出てくる。悔しさと感動と。そんな20年にわたる実践記録。
 へなちょこのボクの、さまざまな悩みや葛藤を直球でしかってくれ、いろいろなことにチャレンジするときに、背中を押してくれる。行動力あふれ、学びにみちた、平井さんに負けないよう、ボクもがんばらなきゃねえ。


2017/11/20

労働者階級の反乱 地べたから見た英国EU離脱

51fqls6hjol_sx303_bo1204203200_ ブレイディ みかこさんの本、やっぱりおもしろいなあ。ボクのイギリスへの知識は、ボクが世界にさまざまな問題について、関心をもつようになったのは、すでにイギリス病ということが日本でいわれてずいぶんたっていたし、ほぼサッチャー以降だろうなあ、ということで、一通りに知識があっただけで、やっぱり薄っぺらい理解だったなあと思わされる。
 全世界を驚かせた2016年6月の英国国民投票でのEU離脱派の勝利。ブレグジットについては関心は高いし、そのことについて、海外では「下層に広がった醜い排外主義の現れ」とする報道が多かったりもするわけだけど。実は、
イギリス国内では「1945年以来のピープル(労働者階級)の革命」と評す向きも多いそうだ。そのことを考えようというのが本書。実際に、離脱に賛成した白人労働者の声、実態をていねいに取材する。そこから、白人労働者のとはどういう人たちかということをうかびあがらせる。そして、その労働者たちの歴史をふり返る。これがおもしろい。世界で最初に産業革命を経験し、最初に労働運動が始まった国イギリス。そこでは労働者たちこそが民主主義を守ってきた。そこへの誇り。そして、ブレグジットが、グローバル主義と緊縮財政により社会のアウトサイダーにされつつある彼らが投じた怒りの礫だったというのなら、実際に存在する分断をどうのり越えていくのか。移民である著者が、白人労働者の生の姿を紹介するのがおもしろい。そこにあるイギリスの現代史のおもしろさ。やっぱり勉強せんなあかんなあ。『ピープル』もぜひ読んでみた。コービンやサンダースのCOはどぶ板というのも面白い。
 同時に、日本やアメリカとの共通性と、差異をどうつかむのかということもいろいろ考えさせられる。いまの社会をつかんでいくうえでは、もっといろんなことを知らなければいけないし、そうしないと本当の論点はわからない。自分の論点の設定や理解がいかに一般的で、浅いことかということを痛感させられるのだけどなあ。

2017/11/19

「ホロコーストの記憶」を歩く 過去をみつめ未来へ向かう旅ガイド

16 ナチの歴史はある程度詳しく知っているつもりであった。だけど、この本を読んで、600万人の犠牲者という重みを感じた。なによりも子どもの犠牲者150万人…。とてつもない数である。そして、そこには1人ひとりの人生があったということ。ナチのそうした迫害にあらがった人たちがこれだけヨーロッパにはいたこともまた、感動的である。それこそがもう一つの歴史であると。さらに、そうした歴史をヨーロッパではどれだけ、心に刻もうとしているか。忘却に抗う人々のとりくみ。その規模や深さについてはものすごく考えさせられるのだ。集団としての本気度といえばいいのか。そのことがいまの社会のなかでどのように大切なのか。ものすごく心に刻まれる本であったなあ。やっぱり、自分は、ちっぽけだよ。世界はすごいなあ。きっと、未来はここからはじまるんだよ。


2017/11/10

新聞記者

51l8dva8kl はじめて望月さんを知ったのは、軍学共同にかかわるシンポだったと思う。鋭く、かつ、づけづけ質問する人がいるなあと思った。そして、いまや、もっとも輝いている記者になっている。すごいなあ。でも、彼女、日歯連事件を含め、ほんとうに調査取材を続け、スクープも連発してきた。その取材力と行動力は、やっぱりすごいし、そこには、「記者魂」がたしかに存在する。(もちろん、この記者魂と、先日のNHK過労死の問題など、働き方の問題をどう考えるのかといういまやとても難しい問題はあるが、それはまたの機会に)
 ボクらの世代は、民主的なジャーナリズムの人も、ある意味では、師匠みたいな人がいて、その人から教えられながら、チーム(組織)の中で、育っていくというのが普通だったと思うけど、もっと個人の内的な動機を核にしながら、ある意味で、個人の取り組みの中で、記者として育ってきている感じがする。そこもまた新しい世代の登場という感じもする。だから、そこから学ぶべきことも多いのだろうしなあ。その一方で、苦しみや葛藤のようなものもあるのだろうし。そういうなかで、権力犯罪をしっかり視野に入れながら、権力に対峙していく。うーん、彼ら、彼女らと、どうつながったり、とみに歩んでいくのか。などなど、いろいろ考えるなあ。


2017/11/09

「子どもの貧困」を問いなおす: 家族・ジェンダーの視点から

51sv1qofpjl_sx350_bo1204203200_ やっと、読み終えました。津富先生は、「この本は切れてる 特に第二部までは目の覚めるよう」と書いていたけど、ほんとうにそう。ものすごく刺激をうけた。湯沢さんの、貧困対策と教育、家庭の位置づけの議論からはじまって、なぜ「子どもの貧困」を問うのか、新自由主義をとうフェミニズムの役割をしてきする藤原さん、どこに貧困があるのかを実証的にあらためて押さえないしおししながら、その対策を提起する阿部さん……。後藤さんたちの議論を踏まえながら、アンデルセンの議論とむすびつけて、家族主義を問いかける蓑輪さんの議論も教えられたし、実際の家族の実相をどう把握するのかという点で、丸山さんや鳥山さんの議論はたくさん教えられた。三部だって、おもしろく、刺激的。DVと貧困の関係をどう考えるかの吉中さんの議論はなるほど。それにつづくジェンダーの議論は、実際にはどんな選択(の困難)があるのかを考える論考や、ケヤに封じ込められるその実態との隣接の問題なども、考えさせられる。そして、この本を送ってくれた杉田さんが、ずっと対象の女性たちと自分との間にあるものにこだわりながら、性的サービス労働へのまさざしを問い、彼女たちの自立を考える姿勢にあらためて頭なさがったのです。ものすごく勉強もしたくなる本だと思います。

2017/11/07

助け合いたい~老後破綻の親、過労死ラインの子~

61zgvk1w8il_sx357_bo1204203200_ とっても重いテーマなので、買ってから、なかなかページを開けなかった。話そのものは、「夫の介護が始まった」「働けない息子」「過労死ラインの夫たち」「実家の困窮」「再生、そして…」と進んでいく。その展開は、貧困が、だれもが陥る可能性のある、どこにでもあることを教えてくれる。だからこそ、重いのだけど。登場人物たちが、みなさん真面目で、誠実であることが、逆に気になったりするのだけど、家族の問題を沈殿させないために、何が必要なのかを考えないといけないなあ。そして、事例的には、さらにさまざまな実態の側面もあるから、もっといろいろ多面的に考えることも必要なのだと痛感させられる。相方が、北海道に持って行ったけど、学生さんたちは、手にとってくれるだろうか。いろいろな議論が、そこからはじまってくれればいいなあと、強く思うのだけどなあ。


2017/10/30

市民政治の育て方 新潟が吹かせたデモクラシーの風

511xpsiu4jl 新潟での市民と野党の共闘の立役者の一人であった佐々木さんによる本。なかなかおもしろい。政治学者によるものであるから、政治学の本としてもとても関心をもつ。市民運動のよりそいながらの政治学は、ちがやさんの本などとも重なるところもあるが、こちらは、議会制民主主義、代表制民主主義にそくしての議論。リアリティもある。実践的民主主義論と言えばいいのか、臨床的民主主義論と言えばいいのか。市民が、悩み悩み、模索をし、積み上げている様子が手に取るようにわかるし、そういう意味で「臨床的」。政治というものはそういうものなのだと考えさせられる。
 視点がずっと運動の側にあるので、政党として、ふりかえったものとくらべての違いも興味深い。しかし、そうだからこそ、この1年あまりのドラスティックな展開の底流にあるものが、よくわかるというもの。市民が観客から参加へ、そのための模索の底流にあるのは、やはり、いまの政治というものが、ここままでは持続することができないものであることをしめしていて、その転換の方向を、この取り組みからくみとることができるということなのだと思う。もちろん、それは模索の過程でもあるが、それは、市民がともに歩む模索でもあるのだと思うなあ。


2017/10/24

いま学校に必要なのは人と予算 少人数学級を考える

51ywca3gpil_sx351_bo1204203200__1 山﨑洋介さんと、ゆとりある教育を求め全国の教育条件を調べる会による本。
 学校の先生の数がどう決まっているかは、普通に暮らしている市民にはわかりにくい。各地で少人数学級化が進んでいることは、子どもたちに行き届いた教育をと願う親や教師にとって大事な改革です。ところは、よく見てみるとどうも、先生の数が増えておらず、かえって先生の忙しさが増しているのです。たとえ先生が増えていても、それは非常勤講師ばかりというところも少なくありません。
 なぜ、そんなことがおきているのか。本書は、現在のしくみの問題点をわかりやすく解説、そのなぞを解き明かしてくれます。その核心は、いまの政府の政策が、学校に人と予算つけることをしていないことにあります。教育をよくし、教育費を抑制するいまの政治に対抗していくうえで不可欠な一冊です。


2017/10/23

子ども白書2017 「子どもを大切にする国」をめざして

51gb6vwnyol_sx352_bo1204203200_  結成から六五年を迎えた「日本子どもを守る会」編の今年の『子ども白書』の特集は「改憲は子どもに何をもたらすか」。「児童憲章の再発見」との副題があります。宇宙物理学者の池内了さんなどのインタビューのほか憲法学者・木村草太さんの論考、教育勅語や学習指導要領の改訂問題、森友学園問題、原発避難者への差別、教育無償化など、児童憲章が踏みにじる子どもをめぐるさまざまな問題を考察します。
 また、「子どもをめぐるこの一年」として、いのちと健康・医療・家庭・福祉・司法・学校・地域・文化・メディア・環境とホットな問題を幅広く紹介しています。たとえば、給付型奨学金創設をどうみるかや保育所保育指針の大改定など、今知りたいことを、簡潔にまとめてくれています。


2017/10/22

ハンナ・アーレント - 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者

15 なかなか難しかった。アーレントの魅力を思う存分、示した本ではあるのだけど。いまの時代だから、民主主義があやうい時代だからアーレントは読まれるのだろうなあ。だけど、難しいと感じるのはボクと違うからというのもある。だけど、ボクが考えなかったことを示してくれるのが魅力でもあるのだろうなあ。過酷な、ナチのもとでのユダヤ人としての体験。その体験のうえでの思考。その思考にある強い倫理観と哲学的思考。そこがまた、難しい。イデオロギーと事実との関係が難しいのか? ボクはずっとヤスパースがものすごく気になっていたけど、そのヤスパースのアーレント評が、なるほどだなあ。思考しなくっちゃね。他者のもとめながら。


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