教育

2017/10/20

校長「引っ張る」系、教員は長時間労働に 早大教授調査

 氏岡さんの記事。なるほどなあ。

校長「引っ張る」系、教員は長時間労働に 早大教授調査(朝日新聞)    校長が自ら教職員を引っ張るタイプだと、教員の勤務時間が長くなる――。こんな傾向が、早稲田大学の菊地栄治教授(教育社会学)の調査で明らかになった。文部科学省は校長のマネジメント能力の大切さを強調してきたが、「トップダウンの学校運営が、教員を疲れさせる一因になっているのでは」と菊地教授は見る。  調査は学校運営の実態を調べるため3月に実施。全国の公立中学校の校長275人と、154校の教員1768人から回答を得た。  校長が「自ら教職員を引っ張っていくタイプかどうか」という質問について、校長自身に「とてもあてはまる」「ややあてはまる」「あまりあてはまらない」「まったくあてはまらない」の4択で聞いたところ、「とても」「やや」の合計は60%で、これらの学校では教員の平日の平均勤務時間が11時間30分だった。一方、「あまり」「まったく」と答えた校長の学校は11時間11分で、19分短かった。「あてはまる」学校の方が、1週間に換算すると勤務時間が1時間30分余、1カ月で6時間以上長くなる計算になる。  ログイン前の続きまた、「学校の目標を全教職員の話し合いで決めているか」という質問でも、校長が「あてはまる」と答えた学校の教員の平均勤務時間は11時間8分。「あてはまらない」と答えた学校は11時間27分で、19分長かった。  菊地教授は2002年にも中学校の校長・教員を調査している。その時と比べると、教員の労働時間は長くなっており、文科省が実施している勤務実態調査とも傾向が一致する。特に「学校で12時間以上勤務している」教員は49%で、前回の26%の倍近かった。睡眠時間は5時間57分で、21分短くなった。  「校長のリーダーシップ発揮は、教育改革で進められてきた方向だ。文科省は教員の働き方改革に取り組んでいるが、教育改革の方向も検討する必要がある」と菊地教授は話す。調査結果は、21日の日本教育社会学会で発表する。

 学校現場が、市場競争的な環境のもとにあるだけに、さらにこのことは加速しているのだと思う。そういう環境のなかで、トップダウンのシステムがつくられていることにたいして、どのように抵抗し、民主的な学校をつくっていくのか。そうとうの智恵と、高い思想が求められていることもよくわかるのだけどなあ。
 教育社会学会かあ。一橋だったっけ。行きたいけど、無理。

熱心な指導、過度な負担か 池田・中2自殺

 背景をしっかり見なければいけない。

熱心な指導、過度な負担か 池田・中2自殺(中日新聞)

 池田町立池田中学二年の男子生徒=当時(14)=が校舎から飛び降り自殺した問題の第三者による調査委員会に対し、遺族は男子生徒が担任と副担任それぞれから同じ宿題などの課題を何度もやらされていたと訴えていた。学力全国トップクラスを競っている教育環境の中、過度な負担が生徒にかかっていた可能性が浮かぶ。
 生徒は小学生のころから文字を書くのが苦手だったといい、担任も調査委に「英語で話すことが好きで、意欲もあったが、書くのは苦手だった」と説明。生徒は中学二年の後期に生徒会の副会長などを担っており、課題の提出が遅れることがさらに増え、担任や副担任から厳しい指導を受けていた。
 人口約二千七百人の池田町には小学校と中学校が一校ずつあるだけで学習塾がない。それでも全国トップクラスの学力を長年維持する県内で上位の成績だったという。教職員は生徒の高校進学のため土日にも出勤するなど教育熱心で宿題にも力を入れていた。特に副担任は宿題の提出について厳しい態度で臨んでいたという。今年二月、生徒が家族に「学校に行きたくない」と訴えたときには宿題の未提出を巡り「副担任は何を言っても言い訳と決めつける。担任にも強く怒られた。どうしていいかわからない」と話していた。
 学校が実施したアンケートで、複数の生徒が「死にたいと言っていた」と回答。男子生徒は亡くなる前日にも副担任から注意を受け、泣きだして過呼吸に陥っており、調査委は「担任、副担任の両教員から立て続けに強い叱責(しっせき)を受け、精神的なストレスが大きく高まった」と指摘している。
 調査委は報告で「教員は生徒の学習活動の遅れや生活態度に目がいきがちになるが、根底にある発達特性を踏まえた生徒理解が必要。生徒指導は生徒の持つ潜在的な能力を引き出す働きかけでなければならない」と求めている。

 教育委員会のホームページに、報告書の概要が掲載されている。
 それなりに、真相に迫ろうとしているが、やはり、大きな視点で背景を考えることも必要か。福井はとても学テ圧欲が強いということも聞く。ひっしになって、好成績を維持する学校の姿も垣間見えるわけだけど、はたして、対策にはそれが反映されているのか? 子ども、学校のあり方、教師の役割、地域のかかわり、さまざまに投げかけている問題は多そうだな。

2017/10/19

私立高生「学費が切実」 全国1万4000人アンケート

 高校生もがんばっている。

私立高生「学費が切実」 全国1万4000人アンケート(東京新聞)

 身近な社会問題について考えようと、高校生のグループが今年六月、全国の私立高校生約一万四千人を対象に、高校・大学の学費などに関するアンケートを実施した。十八歳選挙権の導入後、初めての衆院選を前に、アンケート実行委員会の中心メンバーの一人、大東学園高校(東京都世田谷区)三年の濱中美樹さん(17)は「学費の心配が少しでも減るよう、私たちの声が政治の場に届けばうれしい」と話す。
 グループは毎年五月に「全国高校生サミット」を開いている東京都、愛知県などの私立高校生のメンバー。質問内容を考え、二十八都道府県の私立高百二十六校の協力を得て調査した。
 アンケートでは「切実だと感じる社会問題」(複数回答可)について、36・4%が「大学進学と奨学金」、33・3%が「高校の学費」を選んだ。続いて「少子高齢化」「非正規雇用・長時間労働」「震災・災害復興」「平和と人権」「憲法」「原発」の順に多かった。
 私立高の学費について(同)は、45・4%が「公立・私立間の格差はおかしい」、38・7%が「住んでいる県による負担の差をなくしてほしい」、25・7%が「施設・設備費など含め学費全体を無償にしてほしい」を選んだ。大学の奨学金について(同)は、59・8%が「返済義務のない給付型奨学金を増やしてほしい」、27・1%が「無利子貸与の枠を増やしてほしい」と回答した。
 実行委の高校生は八月、自民、民進、共産、自由、社民各党の国会議員計五人の事務所を訪ねて集計結果を手渡し、私立高通学や大学進学の負担軽減を訴えた。その後衆院が解散し、十八歳が初めて一票を投じる衆院選が実施されることになった。
 「生徒たちの約七割が、親の学費負担を後ろめたく感じていることもアンケートで分かった。私たちの気持ちが表れていると思う」と話す濱中さん。候補者に対しては「高校生の切実な声にもちゃんと耳を傾けてほしい」と注文を付け「選挙権を持ったら、政党や候補者をよく知り、しっかりと投票したい」と意気込んでいる。 
<回答の一部>
私立高校に通うようになり、家庭でどんな影響があったか(抜粋)
・親がアルバイトを始めた
・一家全員で節約し、必要最低限のものしか買わなくなった
・「あんた1人にお金がどれだけかかっていると思っているの」とよく言われる
・親がストレスでイライラしやすくなり、体調を崩しやすくなった
・家族がよくけんかするようになった
・兄弟が進学をあきらめた
・親が妹に「絶対公立に行け!」って言っている
・弟たちに習い事をさせてあげられない
・ローンが払えなくなり、家を売ってアパートに移ることになった
・親が深夜まで働いて、見ているだけで大変そう
・祖父も働き始めた

 午前中、駅で公明党の街頭宣伝に遭遇した。そこでは学費の問題をとりあげ、給付制奨学金を、自分たちの実績として宣伝していた。もちろん、給付制奨学金ができたのは大きな前進だけど、それは大きな運動のひろがりがあったからこそ。しかし、できあがったものの実際は厳しい。なにしろ、今年4月から私立の自宅生約2800人分(月4万円)を対象に先行実施が始まり、来年度から月2万~4万円を約2万人に支給するという計画。これは1学年の学生の人数でみるとわずか「55人に1人」という、極めて“狭き門”にしかならないし、これでとても学費を網羅できるものでもないからだ。残りは大きな借金だと。2人に1人が奨学金を借りなければならないのが現実があり、貸与型を借りた場合、卒業後の返済額は1人平均約300万円に上る。不安定な雇用のもとでは、返済できない人が増える。2万人規模ではとても「本格実施」の名に値しないのだ。本気度がとわれている。
 ちなみに、日本共産党は、(1)大学の授業料を国立も私立も公立も段階的に引き下げ10年間で半減する(2)月額3万円(年間36万円)の給付型奨学金を70万人(学生総数の4人に1人)に支給する制度をまず創設し、規模を拡大する―などの抜本的な改革を提案。税金の集め方と使い方を変え、高等教育予算を経済協力開発機構(OECD)平均並みに引き上げること。憲法が掲げる教育の機会均等にもとづく政治の実現こそ!

2017/10/16

「聞いた人が身震いするくらい怒られていた」 中2自殺

 教育委員会が調査委員会の報告書を公表した。

「聞いた人が身震いするくらい怒られていた」 中2自殺(朝日新聞)

 福井県池田町で自殺したとされる中学2年の男子生徒は、担任や副担任から再三しかられ、「死にたい」と漏らしていた。町教委は15日、有識者らでつくる調査委員会の報告書を公表。生徒が逃げ場を失い、追い詰められていく状況が詳細につづられていた。
 「改めて亡くなられた生徒さんのご冥福を祈りますとともに、遺族の方々におわび申し上げます」。15日夜に池田町内であった記者会見で、内藤徳博教育長や堀口修一・池田中学校長らは深々と頭を下げた。
 会見では16ページの調査報告書の概要版が配られた。内藤教育長は学校の指導体制に問題があったと認め、「生徒の特性を見極めていきたい。二度と繰り返さぬようにしたい」と述べた。
 調査報告書は男子生徒の自殺の理由を「関わりの深い担任、副担任の両教員から立て続けに強い叱責(しっせき)を受け、精神的なストレスが大きく高まった」「一方で、指導叱責について家族に相談したが、事態が好転せず、絶望感が深まり、自死を選択したものと考えられる」と判断した。学校実施のアンケートで複数の生徒が、男子生徒が死にたいと言っていた、などと回答したことも明らかにした。
 報告書によると、生徒会副会長だった男子生徒はマラソン大会の運営にも携わっていた。だが昨年10月、校門前で担任から大声で、準備の遅れを怒鳴られた。目撃した生徒は「(聞いた人が)身震いするくらい怒られていた。かわいそうだった」と話したという。
 昨年11月、宿題を出していない男子生徒が、理由を生徒会や部活動のためと答えると、副担任は「宿題ができないなら、やらなくてよい」と言った。生徒は「やらせてください」と土下座しようとしたという。
 今年も生徒会の開催日に、担任から大声で「お前辞めてもいいよ」としかられたり、宿題の未提出の理由を副担任にただされ、過呼吸の症状を訴えたりしていたという。
 報告書は、男子生徒は「まじめで優しい努力家だが対人関係が器用でない一面がある」とし、担任らが「よく観察すれば、厳しい指導が不適切だと気づくことはできた」と記した。
 その上で、担任が生徒指導について副担任と協議したり、上司や同僚に報告したりなど、問題解決に向けた適切な行動をとらず、副担任と一緒に厳しい叱責を繰り返したと指摘。土下座や過呼吸の件なども家族に知らせず、その結果、「生徒は逃げ場の無い状況に置かれ、追い詰められた」と結論づけた。……

 報告書はまだ、アップされていない。だけど、教育活動の名の下で、こうも子どもを追い詰める学校の現状って。なぜ、そのようになっているのか?

■男子生徒が自殺するまでの経緯
2016年
10月 マラソン大会のあいさつの準備が遅れたことを理由に担任が校門前で大声で怒鳴る
11月 課題未提出で副担任が問いただす。生徒は土下座しようとする
2017年
1月か2月ごろ 生徒会の日に職員室の前で担任から「お前辞めてもいいよ」と大声で叱責(しっせき)される
2月上旬 忘れ物をした生徒を担任が強く叱責
2月21日 登校を拒否
3月6日 担任から課題未提出の指導。早退を求める
3月7日 登校を拒否。「僕だけ強く怒られる」
3月13日 過呼吸を訴える
3月14日 中学校で自殺

■教員の指導が原因とみられる主な自殺
 2004年3月 長崎市立中学校2年の男子生徒が、校内でのたばこ所持で、教員から指導を受けた直後に校舎から飛び降り自殺。遺族が起こした訴訟で、長崎地裁は08年、判決で自殺の原因を「行きすぎた指導」と判断
 06年3月 北九州市立小学校5年の男児が自宅で首つり自殺。新聞紙を丸めた棒を振り回して女児に当たったことを、担任から胸ぐらをつかまれるなどして注意されていた。両親が訴訟を起こし、福岡高裁で10年、市側が責任を認める内容の和解が成立
 12年12月 大阪市立の高校2年のバスケットボール部主将の男子生徒が、男性顧問から暴力を受けて自殺
 16年3月 広島県府中町の中学3年の男子生徒が、万引きしたとの誤った情報にもとづいた進路指導を受けて自殺したことが学校の報告書で明らかに
 17年2月 愛知県一宮市の中学3年の男子生徒が飛び降り自殺。担任からプリントを何度も配布をさせられるなどし、ストレスを蓄積させた、と第三者調査委が検証
(学年はいずれも当時)

 うーん。

2017/10/06

(問う 2017衆院選)教育の未来、目指す社会像から

 朝日の氏岡さんの記事。「安倍政権はこれまで教育にどの程度、お金を使ってきたのだろうか」と問いかける。

(問う 2017衆院選)教育の未来、目指す社会像から(朝日新聞)

 安倍晋三首相は、少子高齢化を「国難」だという。
 そして選挙の公約で、消費税を増税した分の使い道を変え、幼児教育の無償化や大学生の奨学金の増額に振り向ける方針を掲げた。
 たしかに日本が国家として教育にあてている予算の割合は、先進国の中でも最も低いレベルだ。特に幼児教育や大学は、家庭の負担の割合がログイン前の続き高い。
 このあり方を選挙で問うことは大切だ。積極的な議論を期待したい。
 だが、少子高齢化や家庭負担の重さは、いまに始まったわけではない。負担軽減を議論するために政府が設けた有識者会議も、9月にスタートしたばかり。それだけに、首相の発言は唐突だ。
 翻って安倍政権はこれまで教育にどの程度、お金を使ってきたのだろうか。
 大学生向けの給付型奨学金は来年度から本格的に始まるが、対象者は1学年約2万人に限られる。民主党政権が始めた高校の無償化には、所得制限を設けた。少人数学級の拡充も進んでいない。予算を積極的にあててきたとは言い難い。
 その一方で安倍首相が強いこだわりを持ち、熱心に進めてきたのは、教育の理念についての改革だ。第1次政権から「教育再生」を掲げ、教育の目標に「我が国と郷土を愛する態度」を盛り込んだ改正教育基本法を成立させた。
 課題を積み残したままの退陣を経て復活した第2次政権でも、「教育再生」の「実行」を最重要課題と位置づけた。
 2014年の衆院予算委では、自らの思いをこう語っている。「憲法や教育基本法などを私たち自身の手で変えていくことこそが、戦後体制の脱却になる」
 官邸と文部科学省、自民党が一体となり、どのように教育制度を変えたのか。
 道徳を教科に位置づけ、教科書検定では政府見解をはっきり書かせる仕組みを作った。政治的中立が重んじられてきた教育委員会に対し、知事や市町村長の権限を強める法改正もした。
 教育は子どもを通じて、未来をつくり出す営みだ。与党の政治的な判断が教育にそのまま反映される状況は危うい。国が特定の価値や行動を「正しい」と決め、すべての子に教えようとすれば、価値観の幅が狭まり、多様な社会の生まれる芽をつみかねない。
 予算をどうあてるかだけでなく、次にどんな社会を目指すのか。選挙では各党に、その点を聞きたい。

 そして、熱心に進めてきたのが、教育の理念についての改革だとして、とりわけ道徳教育をあげる。こうした点についての議論もすすめばいいなあと思うよ。ほんとに。

2017/10/04

日本学術会議 新会長に京都大の山極寿一学長

 これも、すごいニュースだなあ。おとといのニュースだけど、きちんとクリップしておかないと。

日本学術会議 新会長に京都大の山極寿一学長(毎日新聞)

 日本学術会議は2日、東京都内で総会を開き、第24期の新会長に京都大の山極寿一(やまぎわ・じゅいち)学長(65)を選出した。任期は同日から2020年9月末まで。
 山極氏は取材に対し、今年3月に取りまとめた軍事研究に否定的な新声明について「声明の見直しは考えていない。ただ、声明はあいまいな部分もある。今年度内に軍事と学術の距離の置き方を常設で議論する場を設けたい」と述べた。また、「政治が強くなっており、学術の自律性を主張していけるのか今が正念場だ」と抱負を語った。
 山極氏は霊長類学者でゴリラの研究で知られる。京都大理学部卒、京大大学院理学研究科教授などを歴任。現在は国立大学協会会長も務める。

 昨年は、軍事研究容認の立場の大西隆前会長のもとで、学術会議は揺れにゆれた。危機感が高まり、いろんな人の努力で、「声明」が出され、それを力に、しっかりした態度をとろうという大学が広がった。山極さんは、学術会議の場で、「大学が軍事研究を行うことには極めて慎重にならなければいけない」と繰り返し表明していた。そういう人を会長に選出したのは、ほんとうに学術の世界の良識の現れだと思う。さらに、踏み込んだ議論が展開されていくことを期待しつつ、注視したいなあ。

2017/09/29

「軍が強制」の記述は復活せず 沖縄戦の「集団自決」 教科書検定の県民大会から10年

 そうか、あの県民大会から10年か。

「軍が強制」の記述は復活せず 沖縄戦の「集団自決」 教科書検定の県民大会から10年(琉球新報)

 高校の歴史教科書から、沖縄戦の「集団自決」(強制集団死)での日本軍による強制を示す記述を削除した検定意見の撤回を求める沖縄県民大会が2007年9月に開かれてから、29日で10年となる。「歴史の改ざんだ」と県民から抗議の声が上がり、文部科学省は07年12月に記述を「日本軍の関与」として部分的に認めたが、「日本軍の強制」を示す記述は復活してない。
 文科省が06年度検定で「集団自決」の強制の記述を削除した背景には、慶良間諸島に駐留していた元日本兵や遺族らが「沖縄ノート」の著者・大江健三郎さんと版元の岩波書店を訴え「集団自決」の軍命の有無などを争った「大江・岩波」裁判があった。元日本兵らが「軍命はなかった」と裁判で陳述した。
 この裁判は「新しい歴史教科書をつくる会」の活動に代表される、従軍慰安婦や南京大虐殺などアジア太平洋戦争での日本の加害性を薄める歴史修正主義の流れに位置付けられる。高嶋伸欣琉球大名誉教授は「南京大虐殺などに続き、歴史修正主義の矛先が『集団自決』に向いた」と指摘する。
 文科省と検定審議会は、裁判でのこの陳述を参考に「沖縄戦の実態を誤解する恐れがある」との検定意見を付け、高校歴史教科書の5社7冊から「集団自決」での「日本軍の強制」を示す記述を一斉に削除させた。県内で抗議が広がり、県民大会には11万6千人が結集し、検定意見撤回と記述回復を求めた。
 県民大会後の同年10月、渡海紀三朗文科相(当時)は再修正を認める考えを示し、各教科書会社も再修正作業に入った。しかし文科省は「強制」の明示を認めず、各社は文案を何度も練り直す。ある社の編集者は「文科省は具体的に『こう直せ』とは言わないが、意図する記述に誘導するように修正を求めてきた」と調整の厳しさを語った。
 結局、07年12月に多くの社が、日本軍が住民に教育や宣伝をしていたことや手りゅう弾を配ったことに触れ、住民が「集団自決」に「追い込まれた」という記述で検定に合格した。
 検定意見の撤回はなされず、07年12月に文科省は「軍の命令によって行われたことを示す根拠は、現時点で確認できていない」とする「検定審議会の基本的なとらえ方」を出す。現在も「集団自決」を巡る記述はこの基準を基に判断されている。
 10年を迎えた今、実教出版教科書の執筆に携わった石山久男さんは「文科省の決めた枠内でしか記述できない。根本的解決には検定意見の撤回しかない」と語気を強めた。

 あらためて、この経過といまの教科書の現状をきちんと確認しておくことは、とても大事だと思う。沖縄からは、『県史』の発行を含め、くり返し、沖縄戦の実相について、日本軍が何をしたかについて、発信をしている。問題は、本土のメディアだと思う。無視するのではなく、どう共有し、みずからが発信していくのか。相当、深刻に考えないといけないと思うなあ。

2017/09/20

保育園を呼ぶ声が聞こえる

512drrjlfol_sx343_bo1204203200__1 読みましたよ! うーん、なかなか衝撃的。待機児の問題の裏側で進む保育政策が、ここまで、子どもをふみにじったものであるのか、絶望的になる。ちょうど、障害児の問題について、いろいろ調べていたのだけど、かなりユニバーサルな政策だと言える保育で、こんな状況で、どうさまざまな課題に向き合っていくのかを考えると、ほんとうに絶望的になる。誰もが、おかしいと声をあげる、人権について、もっと語れる社会になるにはでしたらいいのか。
 だけど、まあ、ブレイディさんも猪熊さんも、基本、イギリス労働党への評価は甘い感じ? とりわけOfSTEDに対してはなあ。だけど、実は、激しい競争にさらされて、そういう面でも公正さが建前としてもとめられている社会を前提に、ならば、その評価制度は、できるだけいいものにということか。そういう意味で、外国との比較は難しいし、日本の特殊性と思っていたことが、実はちょっとちがったりなどなど、いろいろ考えさせられるわけで。
 やっぱり、大事なのは、対抗軸について、考えたり、発信したり、ちょっとでも合意をひろげていくような議論をどう積み重ねていくかということで、いろいろ考えないとなあ。


2017/09/14

教育への公的支出、日本また最下位に 14年のOECD調査

 うーん。かなしすぎる日本の現状。これは許していてはいけないと思う。何とかしよう!

教育への公的支出、日本また最下位に 14年のOECD調査 (日経新聞)

 経済協力開発機構(OECD)は12日、2014年の加盟各国の国内総生産(GDP)に占める小学校から大学までに相当する教育機関への公的支出の割合を公表した。日本は3.2%で、比較可能な34カ国中、最低となった。OECD平均は4.4%で、日本が最低となったのは12年調査以来。教育支出の多くを家計が負担している現状が浮かんだ。
 また調査では、高等教育機関への女子入学者のうち、理工系分野に占める割合が日本は13%と加盟国中最低だったことも判明。国公立学校の教員の年間勤務時間は1891時間で、OECD平均より200時間以上多かった。
 公的支出割合が最も高かったのはデンマークの6.3%で、ノルウェー6.1%、アイスランド5.7%、ベルギーとフィンランドの各5.6%と続いた。
 公的支出割合の中で、高等教育を見ると日本は34%で、OECD平均の70%を大きく下回った。高等教育における私費負担の割合が05年以降、ほとんど変化していないことも分かった。
 日本の幼児教育に関する分析も示され、在学率は3歳で80%、4歳児は94%だった。ただ、幼児教育への支出のうち、公的支出の割合はOECD平均の82%を下回る46%にとどまった。
 政府が現在、議論を進めている教育無償化では、幼児教育や高等教育が対象となっている。調査を担当したシュライヒャーOECD教育・スキル局長は「日本の私費負担は重い。家庭の経済状態による格差をなくすためにも、一層の公的支出が必要だ」と指摘した。

 OECDのホームページにはいろいろな資料がアップされている。
 そもそもの「図表で見る教育2017(Education at a Glance 2017)」はここから。
 国別のレポートの日本はここから。
• 幼児教育及び高等教育に対する支出は、その50%以上が家計から捻出され、各家庭に極めて重い経済的負担を強いている。
• 技術産業に対する依存度の高さにもかかわらず、商学・経営学・法学に比べ、科学関連分野が特に好んで専攻されているというわけではない。科学関連分野では、男子学生が依然として非常に高い割合を占める。日本の高等教育入学者の半数は女子学生であるが、自然科学・技術・工学・数学分野を専攻する女子学生の割合は、OECD加盟国の中で最も低い。
• 教員は、他のOECD加盟国より長時間勤務している。教員の初任給はOECD平均を下回るものの、日本の場合、勤続年数に応じた給与の上昇幅が他のOECD加盟国に比べ大きい。
• 生産年齢人口の半数が高等教育を修了し、その割合は 25~34 歳人口で 60%に達する。これは同年齢層における割合としては OECD 加盟国の中で最も高いものの一つである。
• 日本は、高等教育の授業料がデータのある加盟国の中で最も高い国の一つである。また、過去10年、授業料は上がり続けている。
 項目をひらうと、
科学関連分野を専攻する女子学生は依然として極めて少ない
高等教育及び幼児教育に対する支出は家計負担が最大を占める
日本の教員の勤務時間は他の OECD 加盟国より長い
高等教育修了率が上昇を続ける一方で、留学状況は低調である
 何という国か。問題の3・2%はすぐには出てこない。GDP比で出されているのは、教育公+私だから。計算して出されている。

採択の道徳教科書、支持意見は最少 那覇地区、閲覧者の8社評価

 やっぱりひどいよなあ。

採択の道徳教科書、支持意見は最少 那覇地区、閲覧者の8社評価(琉球新報)

 2018年度から使用する小学校道徳教科書について沖縄県の那覇市や浦添市などでつくる那覇採択地区協議会が愛国主義的傾向の強い教育出版(東京)を採択した問題で、採択地区協議会の事務局を担当した浦添市教育委員会が13日、教科書を決定した選定委員会の議事録や巡回展示会で寄せられた意見をまとめた閲覧意見書などを公開した。「選定してもらいたい教科書名」と「意見」について教員や保護者から443件の回答があった。その多くは内容を評価するものだが、教育出版に対しては38件で検定に合格した8社中最も少なかった。
 那覇採択地区の選定委員会は保護者3人を含む15人で構成。教科書の比較研究などについては現場教員である研究員6人による「教科用図書研究会」に委嘱した。採択に関する議論は守秘義務が課され、委員長を含め委員、研究員の名前は非公開。議事録では名前は黒塗りになっている。
 選定委員会は6月6日、7月12日、14日の3回開かれた。第2回会合で研究員から3社が推薦され、学校関係者とみられる委員らが「(文章の末尾にある)発問が子どもの助けになる」「教師の力量に左右されず使える」などの意見を出し、教育出版採択の方針をまとめた。
 第3回会合では教育出版5年生用教科書の文章に安倍晋三首相の写真が掲載されていることについて、教員以外から「意図が分からないので採用しないでほしい」という意見があることが指摘された。これに対し複数の委員が、文章は「補助教材」に当たり「違和感があることを考える学年・教員は、取り上げなくてもいい」などと発言し、問題ないという結論になった。
 閲覧意見書では「採用しないでほしい」など明確に意思表示した意見は6件あり、うち3件が教育出版に対するものだった。学校図書が2件、日本文教が1件だった。

 こうなると、手続き的に民主的で、公正だったのかという問題よりも、なんらかの政治的な動きが背景にあるのか、その政治的狙いとはなんなのかということが問われるよなあ。と思うけど。

より以前の記事一覧

無料ブログはココログ
2017年10月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31