学問・資格

2021/12/23

「地球科学者の先駆け 猿橋勝子」

 朝から、腰が……。大丈夫かなあと思いつつ、痛み止めを二重三重に対策して、職場に向かったけど、ちょっと無理だったかな。やっぱり疲れているのだろうなあ。

 来月の常設コーナーの発注にいろいろ動く。第一候補は見事に断られたけれど、第二候補を何人かあたって、なんとか着地できそう。あとは、来月企画の資料読み。いろいろ決め切っていかないといけない。

 夜には、今野先生や鈴木先生がとりくまれているふくしま復興支援フォーラムの第191回フォーラムに参加する。191回っていうのがすごいなあ。宇都宮大学の清水奈名子さんの「不可視化される原発事故被害ー語りにくい被害について考える」。清水さんは、栃木への避難、栃木における被災(被曝)者のていねいな聞き取りをされている方。なかなかシャープな語りで、勉強になった。原発事故災害とはどういうものか、あらためて考えさせられる。

 昨日の夜のコミズックフロントの再放送は、「地球科学者の先駆け 猿橋勝子」。何となく、見ていたら、これがすごくおもしろかった。というか感動した。

 

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地球温暖化や核実験による放射能汚染など、深刻な環境問題に取り組んだ女性科学者の草分け・猿橋勝子。戦後すぐから活躍し、世界的な研究成果を残した激動の生涯に迫る。

地球温暖化やオゾン層のメカニズムなど、さまざまな環境問題に関する研究に取り組んだ女性科学者の草分け・猿橋勝子。1954年、日本の漁船が被爆した「第五福竜丸事件」をきっかけに核実験による放射能汚染を分析。その深刻な影響を突き止め、部分的核実験禁止条約の締結に大きく貢献した。さらに、女性科学者を支援する「猿橋賞」を創設し、女性の地位向上に尽力。数々の世界的な研究成果を残した激動の生涯に迫る。

 こうした先達の築き上げたものは、ちゃんと学ばなければならないなあと、あらためて思う。女性が研究者として認められなかった時代に、きりひらいたもの。その社会的な貢献。ほんとうにすごいなあ。現代史のさまざまな姿もそこにはあるのだろうけれど。うん、また読みたくなってくるなあ。

2009/08/03

死んだ女の子 再び

 今日のこのブログのアクセスは、どういうわけか、この「死んだ女の子」の検索をとおしてのものが多かった。
 広島の日に近いからだろうか。もう4年ほど前に書き込んだページへのアクセスである。

 久しぶりに、ボクに、この曲を聴いてみた。平和への願いというものが胸に迫る。やっぱり心が揺さぶられた。

 Youtubeにも、アップされている。

 元ちとせのHPにも、パフォーマンスの動画が配信されている。

 この曲を聴きながら、10代の夏、京都の町を一軒一軒、署名をとりながら歩いたことを思い出した。

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2009/07/13

虜囚の記憶

 10数年前、『戦争と罪責』で、加害兵士の、罪とその人間性の回復について追跡した、野田正彰氏が、侵略の被害者の心の傷を、精神医学の立場から追いかけたのが本書である。

07468 「過ぎ去ろうとしない記憶は、老いてさらに鮮明になっていく。今生きている日本人に、そして中国人に、中日戦争で何が起こったか、民衆はいかに苦しんだか、知ってもらうために記憶は生き続けている」(「第1章」より)
 日中戦争時(1937~45年)、日本に強制連行された中国人男性、日本軍に性的暴力を受けた女性たち――虜囚にされた人びとは、その後の人生を抑圧と障害を背負い続けて生きて来ている。著者は中国・台湾を訪ね、老いた被害者から体験を丹念に聞き取り、記録としてまとめた。歴史の証人の言葉を伝え、戦争の罪責を訴えかける貴重なドキュメント。
 「90年代末から2000年代初めにかけて、中国人強制連行と従軍慰安婦の裁判判決が続き、遠い過去の出来事とか、サンフランシスコ講和条約で解決済みとか、1972年の日中共同声明で戦争被害の請求権はなくなっているとかの理由によって、被害者原告の訴えを斥けていくのを見て、何かしなければならないと焦るようになった。戦争被害者は過去の犯罪について訴えている以上に、今なお苦しんでいるのである」(「あとがき」より)
 本書は、元日本兵の体験の聞き取りと分析を行った『戦争と罪責』(岩波書店1998)と対をなす。今回は被害者である中国民衆の体験を語り伝える。

 読んでいて、とてもつらい、かなり心のなかにまで痛みをともなう本である。本当に、ボクらは、侵略の加害についてどこまで、わかっていたのかを問いかけてくる。たしかに、実は、ボクらは何もわかっていなかったのかもしれない。強制連行で、どこかもわからない場所で、ひたすら奴隷的生活を強いられる苦しみ。性奴隷として、暴力のもので、恐怖と絶望の日々を長期にわたっておくるということがどういうこyとなのか? そして、そこでの体験が、その人たちの戦後にどのような精神的な苦悩や、実際の「傷」をつくりだしたのか。それに対して、いったい日本は何をしてきたのか?

 著書のなかには、戦後の補償裁判もとりくみに対する批判もある。ボクは、対象となった花岡事件の裁判の詳しい経過を知らないので、簡単に判断を下すことはできないけれども、少なくとも、われわれのとりくみが、被害者の苦しみによりそって、どこまでとりくむことができていたのかという著者の問題提起は大事な視点であることは、まちがいはない。

 かなりボロボロになるほど、苦しい本であるけれど、和解と、われわれの社会の「回復」のためにも、向きあわなければいけない問題の1つがたしかにここにあるのだろうと思う。

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2009/06/10

爆笑問題のニッポンの教養 :「私は ここに いる」 福島智(障害学)

 この番組を見たいと思っていて、つれ合いにもこんな番組があるよって言っていたのに、子どもの用事に少しつきあわさせられて、時間に間に合わず、半分しかみれなかったし、つれ合いは録画もしてくれなかった。

 目が見えず、耳が聞こえない東大教授・福島智。爆笑問題の二人は、当初一体どうやってコミュニケーションをとればいいのか戸惑っていたが、やがて福島と徹底的に議論を繰り広げるようになる。テーマは「障害とは何か」「生きる意味」や「人間の価値とは何か」。
 福島は9歳で失明、18歳で聴覚を失った。光も音もない世界で、孤独と絶望にさいなまれてきた。その後、指先を点字タイプライターのキーに見立てて打つ、“指点字”という方法を母とともに考案、他者とのコミュニケーションを取りもどし社会とつながっている。
 福島の専門は「障害学」。これまで、医療や福祉、教育の視点で語られてきた“障害”に関する様々な課題を、社会や文化の視点から捉え直していく、新しい学問だ。
 そもそも障害とは、近代になって生み出された概念だと、福島は主張する。産業革命のころ、社会は大量生産を可能にする均質な労働力を求めた。それは一定程度の労働に耐えうる身体条件を備えた均質な労働者を必要とする社会でもあった。そこからこぼれ落ちる生産能力の低い人間を “障害者”とひとくくりにしたのだと福島は言う。
 常に自分自身や人間の存在を問い続け、思索を重ねてきた福島。爆笑問題との議論の行方は!?

 半分だけ見ていても、議論はおもしろかった。新しい広さをもった視点での、障害というもののとらえ方というのがあるのだろうと。盲ろうという世界そのものが、なかなか想像もつかないもの。指点字をとおしてのコミュニケーションというもの向こうにあるものとはも少し考える。

 やっぱり本を読んでみようかな。明日にでも、探してみようかな。

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2009/01/08

告発のとき

20080125002fl00002viewrsz150x この映画も見逃していたので、レンタルがはじまった日に早速、借りて見た次第。
 ストーリーはとてもシンプル。イラクからの帰還兵のPTSDにストレートに焦点を当てた映画。しかし、主人公の息子が戦場でとった携帯電話のムービーから、この戦争の狂気を見事に再現する。国旗というものを使って、誰がこのような戦争をすすめのかということもうまく象徴させている。

 やはり「告発のとき」という邦題は、映画の内容とはむすびつかないのは事実。原題の"IN THE VALLEY OF ELAH"(エラの谷で)は、旧約聖書の少年ダビデと巨人ゴリアテのたたかいの場。ハギス監督は言う。「僕はこう考えたんだ。いったい巨人と戦わせるためになぜ罪もないこんなにも若い者が送り込まれなければならないのか、とね。若い兵士たちを戦争に送り込んだわれわれの責任を問うこの作品には、象徴的なタイトルに思えた」と。
 戦争を理解するうえでは、兵士の実相を理解することがキーポイントになる。兵士の姿をとおして、イラク戦争とは何かをまざまざとうかびあがらせた秀作である。

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2008/03/20

米国民の71%、イラク戦費が景気停滞の一因 世論調査

 イラク戦争から5年の今日、ネットで次のような記事を見つけて、ちょっと考えさせられた。

米国民の71%、イラク戦費が景気停滞の一因 世論調査(CNN)

 イラク軍事作戦の開始から19日で5年となる中で、米国民の71%がイラク戦費が米経済の現在の低迷につながっていると判断していることが19日分かった。反対意見は28%だった。CNNとオピニオン・リサーチ社の共同世論調査で判明した。
 経済問題は、信用力の低い人向け住宅ローン(サブプライムローン)焦げ付き問題が引き金となって金融市場が混乱、景気後退への懸念が強まり、今年の大統領選で主要争点に浮上している。
 ブッシュ大統領は先月、米NBC放送との会見で、戦費が景気後退を引き起こしているとの見方を軍需産業の雇用促進などに言及しながら否定、経済減速の主因は住宅ローンとの判断を示していた。 …

 サブプライムローンを発端とした金融の混乱とアメリカ経済のゆきづまりは、日本でも大きくとりあげられ、議論されているが、現在の経済情勢を、このイラク戦争の失敗とむすびつけて議論するということは、実は、ほとんど見かけない。考えてみれば、金融ショックがあまりにも大きかっただけに、現在の経済の低迷は、たんに信用収縮だけでおこっているのかという点もあまりちゃんとした議論はない。アメリカの実体経済とのかかわりで、イラク戦争への財政の異常な支出がどのような影響を、どれだけ与えたのか。もし戦費の支出ではなく民生のその予算が使われていたら、金融の危機への対応もちがったものになっていたのか。問題は、世界の経済にも波及する問題だけに、たしかに、これはこれで、ちゃんと見るべき論点ではあると。

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2008/03/11

法政大学の総長選挙結果

 今日の「朝日」に次のような小さな記事が出ていた。別に法政大学と関係があるわけでもないけれど、何人か、知り合いが勤めている。

法政大総長に経済学部の増田壽男氏(朝日新聞)

 法政大(東京都千代田区)は10日、次期総長に経済学部の増田壽男教授(67)を選出した。任期は4月から3年間。
 法大の総長選挙は以前、専任教員10人以上の推薦を得た専任教員ならだれでも立候補できた。ところが昨年、候補者を推薦委員会が選ぶ制度に変更されたために学内の対立が続いていた。このため、今回に限って専任教員50人以上の推薦があれば立候補できる特例措置を実施。この措置で候補になった増田氏が、推薦委員会などに選ばれた候補の小林尚登・デザイン工学部長(56)を投票で破った。

 私立大学も全入時代になっていて、激しい競争にさらされている。評価にさらされ、短期間に結果をだすことが求められるようになっている。巨大私学でも、改革と称して、さまざまな大学の自治と民主主義を奪うような動きがある。たとえば教授会の権限などを奪い去るようなことがおこなわれたりする。法政大学では、上記のように、総長選挙を教授の手からすら離そうとした動きがあり、大学の管理・運営を理事会に集中させようとしていた。この動きの推進派の小林氏を破って、その動きに反対する教授たちに推薦された増田氏が総長になることになったわけである。
 法人化された国立大学の学長選挙をめぐっても、新しい動きが少なくないわけだけれど、この法政の動きも注目されるものである。

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2008/03/06

筑波大大学院教授ら、論文の実験データを改ざん

 先端の科学技術分野の実験結果について、改ざんが相次いでいる。ボクらにとって、これらの分野というのは、いわばブラックボックスといっていいような、理解が不可能な分野でもある。そうした研究に科学技術の分野の未来がかかっているのに、その信頼性が揺らぐような事件が続くのはなぜなのか?

筑波大大学院教授ら、論文の実験データを改ざん(日経新聞)

 筑波大学は6日、大学院数理物質科学研究科の長照二教授(54)らが米国物理学会誌に発表したプラズマ核融合に関する論文に実験データの改ざがあったと発表した。同大学は論文を取り下げるよう求めるとともに、長教授が務めていたプラズマ研究センター長を6日付で解任した。
 長教授は同大学に対し、現象は存在している、などとして改ざんを否定しているという。
 …同大学は「論文執筆者のうち、長教授と3人の講師は実験から得られたデータを適正に処理せずに都合の良いデータだけを組み合わせるなどした。論文の主張に密接に関係する部分の改ざんで、問題だ」としている。

 正直言って、ボクらが心配するのは、こうした研究の分野を支える予算が、競争的な経費が基本になっているということである。競争的な経費であるということは、結果を早く出すということが当然求められるからだ。同時に、日常的な、実験やデータの分析の作業は、ポスドクと呼ばれる、博士号をもつ不安定雇用の研究者によって支えられているという問題もある。彼らは、ボスにあたる教授などの裁量によって、雇用されるケースも少なくはない。
 データの改ざんという、モラルの問題は、研究者の世界の自浄力によって解決されなければならないのは当然ではあるが、同時に、ここには明らかに研究現場にもちこまれている構造というものがある。ここには、科学技術の未来そのものが問われている問題があると言ってもいいと思う。

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2006/12/03

日本科学者会議の総合学術研究集会

 昨日と今日は、日本科学者会議の総合学術研究集会に参加してきました。会場は一橋大学です。約4ヵ月ぶりの一橋大学は、国立の駅がすっかり変わっていました。
 さて、科学者会議とは、「科学を人類に役立て正しく発展させるようにするためには、何よりも科学研究に携わる科学者がその社会的責任を自覚し、科学の各分野を総合的に発展させ、その成果を平和的に利用するよう社会に働きかけねばなりません」という科学の目的の実現をめざして活動している団体です。その成果をもちよって話し合う場が、総合学術研究集会です。さまざまな分科会がありますが、昨日は「グローバリゼーションとアメリカ経済・社会の今」と「大学・研究機関の法人化と労組を含む各種団体の役割」に、今日は、「憲法九条の過去・現在・未来」という分科会に参加してきました。それぞれ、興味深い報告があります。アメリカの分科会や憲法の分科会は、比較的若い研究者の発表があり、若い、院生などの参加もあって、その討論もなかなか新鮮でした。とくに「戦争」「平和」をめぐっては、若い人のとらえ方は、私たちとは確実に違っていて非常に刺激になります。
 大学問題の分科会は、法人化後、大学がどうなっているのかについていろいろ情報をえることができました。会場で、大学の人と話しても、なかなか事態は深刻です。少なくとも、学術・文化の中心的な場とはほどとおい、荒廃と民主主義の形骸化はすすんでいると言えます。

 さて、今回参加したのは、若手の研究者で、知り合いになりたい人がいたのと、大学問題の情報の収集と、あとは研究者の方の顔を見にというかあいさつです。昨日は、経済の研究者数名と政治学数名、歴史の先生、そして、今日は憲法の研究者。まあ、それぞれ、10分から20分ぐらいお話をして。目的を達することはできたでしょうか。
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