映画・テレビ

2017/06/08

私たちのこれから #子どもたちの未来

 先週のNHKスペシャルは子どもの貧困。うーん。番組の途中で、チャンネルを変えた人が多かったんだろうなあ。

Thum_01 市民参加の討論番組「私たちのこれから」、今回は「子どもたちの未来」を取り上げる。「あなたは、自分の将来に明るい希望を持っていますか?」―― 日・米・英・韓国など7か国の若者を対象に、日本政府が行った意識調査によると、「明るい希望を持っている」と答えた日本の若者は62%。80%以上の他の国を大きく下回った。こうした状況に大きな影を落としているのが、6人に1人の子どもが相対的貧困の状態に置かれている問題。この状況を放置すれば、子どもの教育や成長に著しい影響を及ぼすだけでなく、社会全体にも大きな損失を及ぼすという試算もある。一方で、海外の研究では、解決の秘策が幼少期からの「早期介入」にあることもわかってきていて、日本でも幼少期の支援を充実させる方策が議論され始めている。日本が、すべての子どもたちが未来に可能性と明るい希望を持てる「公正な社会」であるために、「貧困の連鎖」をどう断ち切るか。番組では、専門家・市民による徹底討論、そして生放送での視聴者の声を交え、今打つべき対策を具体的に探っていく。

 実態編はこれまでのおさらいのような話で、あまり深めたような話はない。ではどうするのか、の対処編は、やたらと「公平」ということが強調される。貧困な子どもへの支出が増えれば、消費税も公平な負担だということまで、主張されてしまう。いつのまにか、そういう議論が強まり、税の再配分、累進課税という問題が、明らかに骨抜きにされているのは注意が必要だなあ。加えての実践編は、ジェームズ・J・ヘックマン。ノーベル賞経済学者だけど、こちらもその公平性。幼児期の教育の重要性に注目するのは、大事なことだけど、幼児教育の制度も、社会的な環境もちがう日本とアメリカで、そのまま議論を持ち込むのはどうなのだろうか。ヘックマンの議論への疑問は、山野良一さんが、『岩波講座 教育 変革への展望3』で書いていたので、ぜひそちらを。しかも番組の解説は、竹中さんの弟子の、中室さん。エビデンスを掲げ、『「学力」の経済学』で売れた人ね。いつのまにか、この言葉も、恣意的に、経済的に強い人の意のままに使われていく感じがするなあ。というわけで、子どもの貧困に向き合うということからすれば、かなりしんどい議論になっていく。「私たちのこれから」は、これが最後だった。うーん。何という幕切れなのかなあ。

わたしの話を聴いてほしい

 4月にNNNドキュメントで放映されたもの。やっと、見ることができました!

Oa_170430600x338 昨年7月、神奈川県相模原市にある障がい者施設で19人もの命が凶行によって奪われた。事件後、1人の映画プロデューサーが動きだす。向かったのは、13年前に撮影した障がい者施設「びわこ学園(滋賀)」。そこには、重度の障害を抱えながらも離れて暮らす男性を思い続ける女性や、目や手のかすかな動きを頼りに"声なき会話"をする親子の姿が。不自由な体から絞り出される言葉に込められた、今だからこそ伝えたい思いと願いとは。

 びわこ学園で暮らす、重度の障害者たち。すごいなあ、不自由だけど、自由に生きている。ボクらは、よくタテの発達と、ヨコの発達と言ってきたけど。竹内さん流に言えば、上への発達と「社会と文化の水平的展開」。いずれにしても、そういう関係性のなかでしっかり豊かに生きる姿がそこであるし。時間の流れ方もまったく違う感じがする。悔しさや悲しみも、喜びもしっかりそこにある。ボクには、まったく知らない、見えない世界と生き方。これからの社会をどうつくるかということのビジョンを考えるとき、そういう見えない世界への想像力というものがないとダメだし。自分には見えない世界があることをしっかり自覚しないといけないなあと、とりわけそう思った。

2017/06/02

風かたか 「標的の島」撮影記

417jnjrpjjl_sx340_bo1204203200_ 「風かたか」は、「風よけ」のことだ。子どもの成長を願う母の思いを歌った古謝美佐子さんの「童神」にもその語がある。昨年の元米海兵隊員による暴行・死体遺棄事件に抗議する県民大会で、稲嶺進名護市長が、「『風かたか』になれなかった」とのスピーチをしたことからとられている。これから生きる世代が、平和に生きていけることを願い、自らが「風よけ」にとの思いが込められている。本の帯には、沖縄を日本の風よけにするのかという批判の言があるが、こっちがいいなあとボクは思う。
 県民がいくら民意を示しても、沖縄では、高江・辺野古で米軍の新基地建設がすすむ。さらには宮古・石垣島も自衛隊による要塞化がすすめられている。沖縄の軍事拠点化は、まさに沖縄を戦場にすることを意味する。それは、日本全体の戦場化につながるのだから。二一〇五年から一年余の現地からの迫真のリポートである。
 ただ、三上さんの思いが綴られている本でもある。それは三上さんの思いで、沖縄におこっていることは、つねに様々な面がある。政府の横暴、警察の忖度? 暴力的な抑圧。だけど、平和で、豊かな文化的なたたかい。そうしたなかで起こっていることをどう使えるのか。悔しい思いや、そこにある感動や。連帯の熱い思いや……。


2017/05/29

変貌するPKO 現場からの報告

 昨日のNスぺ。一昨日テレビが壊れて、あわてて、新しいものを注文して、セットして……。少し、いままでより、小ぶりで、性能もダウン。まあ、ほぼ、ボク専用なわけだから、安いやつ、安いやつ。しかし、このNスぺには驚いたなあ。

Img_02 南スーダンで国連のPKO活動に派遣されている陸上自衛隊が、5月末までに撤収することが決まった。治安情勢が悪化する中で、様々な活動を行ってきた自衛隊。その活動を振り返ると、施設部隊としての実績とともに、PKOが直面する「課題」や「任務の変化」がみえてきた。  世界中で展開するPKOは、いま大きな分岐点を迎えている。これまで「停戦監視」や「国づくり支援」が中心だったのに対し、今やテロ組織の脅威にも対応しなくてはならず、任務は長期化。住民や国連職員を守るための「戦闘も辞さない文民保護」が求められるようになった。  そうした中、オランダはPKOから一部の部隊を撤退。アメリカも「アメリカ第一主義」を唱えるトランプ大統領のもと、国連の活動への関与を弱めつつある。しかし一方で、中国は、アフリカPKOに積極的に派遣するなど、存在感を増している。  いったいPKOはこれからどうなっていくのか。日本は、世界は、それにどう向き合おうとしているのか。自衛隊や世界各国の活動を検証しながら、国際貢献のありかたを探っていく。

 南スーダンのPKOの間近での戦闘の様子や、自衛隊がどこまで危険だったのかということがかなりリアルに取材されている。自衛隊が隠してきた事実も。その背景にあるPKOの変質、変化。オランダの話も生々しかったし、中国の話も。
 自衛隊員も、死を覚悟して、家族への思いを手帳に震えながら書いた話だとか。うーん。
 ここまで、迫ったのは驚いた。しかも、それが放映されたのが、完全撤退が完了した直後。これもまた、なんともはやだけど。
 今後の議論の参考にしていくべきなんだろうなあ。まずは。

2017/05/22

障害児の学童疎開 語り継ぐ記念碑の除幕式 長野

 こういうところはさすがにNHK。大事なニュースを発信している。

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障害児の学童疎開 語り継ぐ記念碑の除幕式 長野(NHKニュース)

 戦時中、学童疎開で障害のある東京の子どもたちを受け入れた長野県のホテルに、疎開の記憶を語り継ぐ記念碑が建てられました。
 記念碑は、長野県千曲市にある上山田ホテルに建てられ、21日、除幕式が行われました。
 このホテルでは昭和20年、東京・世田谷区の体の不自由な子どもたちが通う学校から学童疎開でおよそ60人を受け入れました。当時、障害のある子どもは疎開の対象になっていませんでしたが、校長の強い要請で実現したということです。疎開を始めた10日後に学校の校舎は空襲で焼けましたが、子どもたちは難を逃れました。
 記念碑は、多くの人たちの支援で命が守られた歴史を語り継ごうと建てられ、疎開中、松葉づえをついて歩く訓練をしていた2人の子どもの姿が描かれています。
 疎開した子どもの1人だった今西美奈子さん(82)は「親元を離れ、夜になると泣いていましたが、長野の皆さんの愛情に支えられました。記念碑で感謝の気持ちと戦争のつらさが伝わってほしい」と話していました。
 また当時、近くの郵便局に勤めていた若林恒正さん(92)は「子どもたちが川で楽しそうに遊んでいたのを覚えています。地元の誇らしい歴史が形になってよかった」と話していました。

 3年ほど前に、「戦闘配置されず~肢体不自由児たちの学童疎開~」という番組がETV特集で放映されている。今回のニュースはその舞台となった光明養護が疎開した先のこと。また、さらにそれ以前には、障害者たちの太平洋戦争という番組が、同じETV特集で放映された。日ごろから、お世話になっている人が出ていた番組。いまも、いろいろな調査や研究がコツコツと続いているが、障害者を、生きている価値のない存在として究極が戦争体制にあるわけで、そうした考えがいまも根強く存在する以上、こうした積み重ねを伝えていかないといけない。

2017/05/10

戦争孤児12万人の戦後史に迫る

 去年、「戦争孤児」の企画を、数本やって、その関係で、ボクもかかわりのある戦争孤児研究会のことが、ニュースで放映された。

20170505_02戦争孤児12万人の戦後史に迫る(NHK・NEWSWACTH9)

桑子
「今日、5月5日は、こどもの日。
祝日に制定されたのは、今から69年前の昭和23年のことです。」

有馬
「実は当時、こどもをめぐって大きな社会問題がありました。
こちらなんです。
戦争で親を失った『戦争孤児』。
昭和23年といいますと、終戦から3年たっているわけなんですが、駅や繁華街では、まだたくさんの孤児たちが路上生活をしていました。」

桑子
「当時の調査では、この戦争孤児は12万人あまり。
その存在は知られていましたが、戦後どのように生き抜いてきたのか、孤児自身が語らなかったこともあり、実態はよくわかっていません。
今、その空白を埋めようと、戦争孤児の調査が始まっています。」
……

 映像で出てくる3月の研究会は、仕事で行けなかったけど。直前まで行くつもりだったけど、インタビューが入ったんだ! そのインタビューもやっと、原稿化が完了しているけどね。
 NHKは本気で、この孤児の体験、資料の発掘に協力してとりくんでいる感じ。この放映でも、かなりの連絡があったそうだから。バラバラになっている、日本のこの戦争にかかわる大きな体験が、きちんとした形で集積・蓄積され、継承されることは、とても大事だと思うし、とりわけ、子どもたちにとって、それがどんなものであったのかを考えることは、2重に大事なことだと思うなあ。


2017/05/02

午後8時の訪問者

 ダルデンヌの映画は、もう何本も見てきたけど、この映画もやっぱりダルデンヌ!、そう思わせる。

640_5 若き女医ジェニー。まもなく、大きな病院に好待遇で迎えられる予定だ。今は知人の老医者の代わりに小さな診療所を診ている。今度、勤める病院から歓迎パーティーの連絡電話を受けているときに鳴ったドアベル。しかし、時間は午後8時過ぎ、診療時間はとっくに過ぎていた。応じようとする研修医をジェニーは止める。  翌日、警察がやってきて、診療所の近くで身元不明の少女の遺体が見つかったと聞く。午後8時過ぎにドアホンを押している姿が監視カメラに収められた少女こそ、遺体となって発見された少女だった。ジェニーは罪悪感から少女の顔写真を携帯のカメラに残し、時間を見つけては少女の名前を聞いてまわる。彼女の名前は何? 何のためにドアホンを押したのか? なぜ死んでしまったのか?……あふれかえる疑問の中、少女のかけらを拾い集めるジェニー。ある日、患者のひとりを診察中に少女の写真を見せると、脈が急激に早まったことに気づく。そこから少女の目撃情報を得ていくジェニー。少しずつ少女に迫っていけるように思えたその時、ジェニーは襲われ「この件に近づくな」と脅される。そして、警察からは名前がわかった、という連絡が入る。  すべては解決し、これから元の生活に戻るかに思われたその時、意外な真実が発覚する――。

 カメラは、主人公をアップで追う。お得意のカットだなあ。ちょっとした過ちからはじまる。小さなものから、許せないものまで、さまざまな思いが、少しずつ重なっていく。そこにある葛藤が、主人公の葛藤や悩み、それを乗り越える選択と重なっていく。そういうなかで謎が解き明かされていく。その葛藤の背景にはさまざな思いがある。出世と正義、誇り、親子のこと、虐待、それでも人とともにいきたいというヒューマニズム、それが移民だかの問題とかさなりながら。静かに、重なりながらすすんでいく。事件の真相のつらさと、そして、だからこそ主人公の行動が生み出した、救いと再出発。あいかわらず効果音楽もなく、静かに淡々と、その思いをていねいに描く。ダルデンヌ。

2017/05/01

憲法70年 “平和国家”はこうして生まれた

 昨日のNスぺ。

Img_01 日本国憲法の施行から70年を迎える。今、新たな資料の公開で憲法誕生の知られざる舞台裏が明らかになりつつある。
 たとえば「昭和天皇実録」などの公開で浮かび上がった新事実。それは昭和天皇が敗戦直後の昭和20年9月4日、勅語で「平和国家の確立」を明らかにし、憲法改正の調査を命じていたことである。
 さらに幣原喜重郎首相が戦争放棄をマッカーサーに提唱。GHQは戦力不保持の草案を作成する。しかし、GHQ草案の条文に「平和」の文字はなかった。では、どこから来たのかー。
 番組では、近年、発掘された新たな資料をもとに、日本国憲法が誕生していく1年8か月を描く。

 最初の天皇勅語のくだりは、おいおい天皇をめぐるこういう描き方は、いいのかというかなりの不安からはじまった。総じて、天皇への評価は? 天皇制の維持に走った支配層の動きへの評価も甘い。中盤は、よく知られた、マッカーサー・幣原会談から、1章と2章のバーターの話など。やや普通の描き方。そして、後半が帝国議会の小委員会での議論になるわけだけど。ここはそれなりに見せるところがあったけれども……。大きな戦争の違法化などへの意識があったり、国中に厭世観が広がり平和意識の背景になったことはそうだけど、だけど、そのことをふまえつつ、外務省などは、戦争の加害面をこの時点から覆い隠し、戦争を軍部の責任におしつけることをしてきている。だから、さまざまな政治的な思惑のなかで、憲法の議論がすすんでいる。だから、公表された小委員会の会議録を見ても、きっとそんなに単純なものではない。天皇制のあつかいからはじまって、そうとう右往左往があり、ときにはGHQも介入している。だから、一面的な描き方という感はぬぐえないけどなあ。ただ、おもしろかったのは、それでも、さまざまな議論が、ここではなされていること。鈴木義男と油井先生関係なども知らなかったし。

 すでに公開されている資料などもきちんと読まないとなあ。

Photo ちなみに、川村さんのこんな本がある。題して『日本国憲法はこうして生まれたー施行70年の歴史の原点を検証する』。これはなかなかいろんな資料を読みこなしていて、かつ、視野も広い。こちらをぜひ読んでほしいところだな。

2017/04/30

ETV特集「日本の文化財を守れ~アトキンソン社長の大改革~」

 これはちょっと驚いた。メディアでも結構とりあげられているそうだけど、あまり詳しくしらなかったので。

161fb1ccf6b949099f346e4ccbbaec4f 外資系金融会社の幹部だったイギリス人が老朽化の危機にひんする日本の文化財を救おうとしている。職人たちとの対立を越え、日光東照宮や春日大社をよみがえらせた改革とは
 今、日本各地の歴史的建造物が、老朽化しながらも予算や職人の不足により修繕が進まない事態が進んでいる。その中で救世主として期待されているのが、デービッド・アトキンソン氏。外資系金融会社の幹部だったが、7年前、老舗の文化財修復会社の社長に就任。職人たちと衝突しながらも、斬新な発想と実行力で、日光東照宮や春日大社など名だたる文化財の修復を進めてきた。日本の文化財の可能性を信じるアトキンソン氏の改革とは。

 アナリストの改革だから、もっと経済原理重視かとおもったら、実は、伝統のそいながら、オーソドックスなバランス。
 地方再生大臣の二条城の学芸員発言にある、二条城の再建にもかかわっている。大臣は、こうしたとりくみの一端をつまみ食い的に仕入れていて、勝手に解釈して、ああいう発言をしたのだろうか。保全と活用を模索するこうした努力はまったく眼中にないのか?
 しかしまあ、日本というのは、ほんとうにこうした文化の保全という問題についても、貧弱なのか。社会全体を豊かにしていくビジョンがないというか、思想がないというか。そういうことをつきつけられると悲しくなるなあ。
 その模索と葛藤は、いろいろな立場の人の意見もていねいに聞いてみたいものだなあ。


2017/04/26

少女を非行から救え ―福岡・更生保護の現場から―

 昨日のハートネットTV。なるほどと思いながら見た。

2000643909_403_v 去年2月、福岡県田川市に少女を専門にした日本で唯一の更生保護施設が誕生しました。入寮しているのは17歳~19歳の5人の少女。少年院を出たり、非行の末に保護されたりして、この施設にやってきました。
 施設を運営するのは、“元暴走族の総長”という異色の経歴を持つ工藤良さん(40)。自分も非行の経験があるからこそ、自身が親代わりとなって向き合い、自立を促したいと取り組んでいます。これまで数多くの少年たちの更生で実績を積んできた工藤さんのモットーは、「決して諦めない」。しかし、少女ゆえの自立の難しさにも直面しているといいます。
 番組では、少女たちと向き合う工藤さんの日々に密着し、どうすれば再犯を防ぎ、更生させることができるのか、そのヒントを探っていきます。

 騙されても、それでも立ち直りを支援する。そんな世界だと思う。そこで、実際に、立ち直りへの思いを、ていねいに引き出して、そして支えていく。同じ痛みをもってきた人だから理解できるのだろうなあ。その人が、さらに、深い理解を深めている姿には、驚いた。メディアでもよく取り上げられている人だけど、すごくていねいで、かつ深い理解をされている方だと感じた。

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