“無縁老人”をどう支えるのか ~生活保護急増の中で~
今日のクローズアップ現代。
去年11月、東京・新宿の路地裏にある木造アパートが火災で全焼。住人のうち、5人の高齢者が焼死。しかし、遺骨を引き取る人も現れないまま、山梨の無縁墓地へ葬られていった。そのアパートは「福祉アパート」といわれる“身元保証人なし”の生活保護受給者専用の住まいだった。命が助かった住民を取材していくと、「生活保護・独り暮らし」の高齢者が急増し、支援が行き届かず孤立を深めている実態が浮かび上がってきた。本来、支援が届くはずの「生活保護」の受給者が、なぜ、社会に居場所を見つけられ“無縁化”してしまうのか?福祉が救いきれない“無縁老人”の姿を浮き彫りにし、急増する単身高齢者を支えるために、本当に必要な支援を考える。
もちろん、孤立する生活保護の老人たちの姿をていねいに追いかけている。「人と会わない日がある」「ある」39%、「時々ある」29&。その理由は、負い目を感じる、人に生保を知られたくない。自殺を考えたことが「ある」27%、「時々ある」7%。そして、介護を必要とする保護老人たちの実態。
番組をとおして、いろいろ考える。
生活保護ゆえに老人たちは孤立するが、同時に、経済的困難とともにさまざまな困難があるがゆえに孤立した老人たちが生活保護にたどりついたということも言えるのではないか。そういう意味では、貧困問題はここでも複合的な問題であるのでは。社会が高度化するゆえに、単純に、労働や賃金にとどまらない形で貧困がおこり、社会的孤立を生む。そう考えると、貧困対策は総合的な対策である必要がある。
だけど、この番組の調査は、新宿区だ。ここは財政力もある。実際には、生活保護にたどり着けないケースも存在するに違いない…。
そもそも、この番組の取材の発端は、昨年11月に新宿で起きたアパート火災。築50年の木造アパートに住んでいた高齢者5人が亡くなった。このアパートに住んでいた23人のうち19人が生活保護を受けていた。4畳半ひと間、風呂はなくトイレは共同…。住民の多くは"社会との接点"も少なかったという。
ではどうすればいいのか。総合的な貧困対策が必要だということ以外にない。だけど、政権は、それには後ろ向きだ。社会的包摂ということへの実効性は後継におしやられる。政治的な力関係を変えないと実際には解決しない。ここが悩ましい。
だけど、もう少し、社会的な合意が広がれば…。そんな思いも捨てられない。だから悩ましい。それでも、その土壌はなかなか、難しい。労働運動にはなかなか位置付かない。社会的包摂という言葉でも言い、5重の排除という言葉でもいい、そういう視点が社会の中で、大きな合意になっていくうえで、何が必要なんだろう。言い換えれば、政治的な力関係を考える取り組みのなかで、そういう社会的な合意づくりをどう位置づければいいのか。悩ましい。
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