『昭和天皇拝謁記』と「戦争の中の芸術家」
朝から相変わらず慌ただしいなあ。朝の仕事(家事)は、だいたい1時間半。図書館によって本を返して、職場に。今日は、来ている原稿の公刊されている史料照合と、それからインタビュー①の原稿づくり。少しずつ形はみえつつある。それから会議。いろいろ頭を使う。基本、今日は、とにかく、休まない一日だったなあ。
ちょっと、必要性にせまられて、『昭和天皇拝謁記』を読む。とくに、3巻を少し、4巻、5巻が中心。吉田内閣の政治に、ここまで、介入をしようという意思をもっていたことに、おどろかされる。労働運動や、革新の運動、平和運動に対しての冷たい視線、社会主義、共産党に対する恐れ、ソ連、中国への敵視はすごいなあ。対抗するために保守合同を願う。改憲や、再軍備にもくり返し言及している。その司令官になる意志まで!
そういう意味で、裕仁というのは恐ろしい。しかも、日本国憲法が、外形的には、形のうえだけではあるが、明治憲法の天皇条項をひきついでいるだけに、暴走の危険性はつねにあったということもあるのか。現憲法の厳守ということを、そうとう意識しなければ、それが前提である。だけど、正直、天皇制というのはとてもやっかいで、難しいものであることも考えてしまう。やっぱ、『拝謁記』はしっかり読んだ方がいいんだよなあ。
昨日の映像の世紀バタフライエフェクトは「戦争の中の芸術家」。
ベルリンフィル指揮者フルトヴェングラーはユダヤ人楽団員を守りながらもドイツに留まり、戦後ナチ協力者の疑いをかけられた。作曲家ショスタコーヴィチは、スターリン体制で生き延びるために意に沿わない作曲を続け、独ソ戦では反ファシズムの象徴となる交響曲を作る。芥川賞作家・火野葦平は従軍して書いた「麦と兵隊」がベストセラーとなるが、戦後は罪の意識に苦しんだ。芸術家たちは、国家と表現の自由との間で揺れ続けた。
映像や録音はさすがなだあ。政治からの介入という面だけではなく、それへの抵抗なども描かれていて、いろいろ考えさせられる。だけど、芸術が政治と全く無関係であれるはずはない。現実の世界から、作品をつくるわけだから。だけど、ならば、政治に翻弄されるということだけではなく、どのように葛藤していくのかという、その質も問われるのだと思う。ヨーロッパの音楽家の面従腹背の一方で、日本でのそれの追随というか、信奉。しかし、そのまわりにはいろいろな人もまた存在していたのも事実。たとえば日本で戦争に追随しなかったのは、社会主義者であったのも事実。それが社会主義リアリズムそのものをどう考えるのかということを実は、複雑にするという気もする。ベルリンフィルはある意味、わかりやすいが、ずっと明らかではなかった、ウィーンフィルについてはどうなんだろうか? カラヤンなどはどう考えるのだろうか? 日本でも実はまだまだ深められていない問題はたくさんある。もっともっと考えなければならないテーマだと思った。
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