同性婚認めないのは違憲「法の下の平等に反す」 札幌地裁、全国初判決 賠償請求は棄却
提稿作業をしつつ、冷静に、今後の仕事の進行を整理。ほんの少しずつ、仕事は進行。よき返事も、残念な返事もある。課題の難しさを自覚したりもする。ただ、目先の雑誌がちょっとピンチ。補強もうまくできていないのだけど……。ちょっと困っている。さて、どうすればいいのか? 会議でも、なかなか先が見えないなあ。
季節はすっかり春。
ただ、今日は嬉しいニュースが1つ。
同性婚認めないのは違憲「法の下の平等に反す」 札幌地裁、全国初判決 賠償請求は棄却(共同通信)
国が同性婚を認めていないのは憲法に違反するとして、北海道に住む同性カップル3組が国に計600万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、札幌地裁は17日、法の下の平等を定めた憲法14条に違反し、違憲との初判断を示した。請求は棄却した。全国5地裁で争われている同種訴訟で判決は初めて。性的少数者の権利保護の意識が高まる中、同性婚の導入を巡る議論に影響しそうだ。
武部知子裁判長は判決理由で「同性カップルに婚姻によって生じる法的効果の一部すら与えないのは立法府の裁量権を超える」と指摘した。
原告は男性カップル2組と女性カップル1組で、いずれも2019年1月に婚姻届を提出したが、不適法として受理されず、同2月に提訴した。
憲法24条は「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立」するとし、結婚に関する民法の規定では「夫婦」という用語が使われている。このため、国側は当事者が「男女」であることが前提との法解釈をしている。(共同)
賠償請求は却下しているから、国は控訴できない。原告が控訴しないかぎり、確定判決となる。これって以前もあったなあ。と、そうイラク訴訟名古屋判決だな。ちからのこもった、判決のようだから、はやく判決文を読みたい。
基本は、
1 同性間の婚姻を認める規定を設けていない民法及び戸籍法の婚姻に関する諸規定(以下「本件規定」という。)は,憲法24条1項及び2項には違反しない。
2 本件規定は,憲法13条には違反しない。
3 本件規定が,同性愛者に対しては,婚姻によって生じる法的効果の一部ですらもこれを享受する法的手段を提供しないとしていることは,立法府の裁量権の範囲を超えたものであって,その限度で憲法14条1項に違反する。
14条違反の判断は以下の内容だ。
4 次に,当裁判所が,本件規定が,憲法14条に違反するかについて検討したところの要旨は次のとおりである。
(1) 憲法24条及び13条について述べた先の解釈を前提とすれば,立法府は,同性間の婚姻及び家族に関する事項を定めるについて,広範な立法裁量を有していると解するのが相当である。
(2) ところで,民法及び戸籍法の諸規定に照らすと,婚姻とは,婚姻当事者及び その家族の身分関係を形成し,戸籍によってその身分関係が公証され,その身分に応じた種々の権利義務を伴う法的地位が付与されるという,身分関係と結び付いた複合的な法的効果を同時又は異時に生じさせる法律行為であると解することができる(以下「婚姻によって生じる法的効果」という。)。
異性愛者のカップルは,婚姻によって生じる法的効果を享受することができるが,同性愛者のカップルは婚姻することができず,婚姻によって生じる法的効果を享受することはできない点で,区別取扱いがあるといえ(以下「本件区別取扱い」という。),これが合理的根拠に基づくものであるかが検討されなければならない。
この点,本件規定の下にあっては,同性愛者であっても異性との間で婚姻をすることができるが,同性愛者が,性的指向と合致しない異性との間で婚姻したとしても,婚姻の本質を伴ったものにはならない場合が多いと考えられ,そのような婚姻が,憲法24条や本件規定が予定している婚姻であるとは解し難い。同性愛者が,異性愛者と同等の法的利益を得ているとみることはできないから,性的指向による区別取扱いがないとはいえない。
(3)ア 性的指向は,自らの意思に関わらず決定される個人の性質であるといえ,性別,人種などと同様のものということができ, このような事柄に基づく区別取扱いが合理的根拠を有するか否かの検討は,慎重にされなければならない。
イ 明治民法以来,婚姻という制度が維持されてきたこと,いまだ多くのカップルが婚姻していることなどの各事情に照らすと,婚姻することにより,婚姻によって生じる法的効果を享受することは,重要な法的利益であると解することができる。そして,異性愛者と同性愛者の差異は,性的指向が異なることのみであり,かつ,性的指向は人の意思によって選択・変更できないことに照らせば,異性愛者と同性愛者との間で,婚姻によって生じる法的効果を享受する利益の価値に差異があるとする理由はなく,そのような法的利益は,同性愛者であっても,異性愛者であっても,等しく享有し得るものと解するのが相当である。
ウ 明治民法及び現行民法においては,同性婚は当然に認められないものと解されてきたが,その理由は,立法当時,同性愛は精神疾患であるなどとして,正常な婚姻関係を営むことができないと考えられていたことにあると解される。しかしながら,平成4年頃までには,同性愛は精神疾患ではないとする知見が確立し,同性婚を否定した科学的,医学的根拠は失われた。
エ 現行民法の諸規定,民法改正の経緯,明治民法における婚姻の目的に関する解釈などに照らすと,本件規定は,夫婦が子を産み育てながら共同生活を送るという関係に対して法的保護を与えることと共に,子の有無にかかわらず夫婦の共同生活自体の保護も,重要な目的としていると解することができる。また,憲法24条も,同性愛者が営む共同生活に対する一切の法的保護を否定する趣旨まで有するとは解されない。そうすると,本件規定や憲法24条は,同性愛者のカップルに対する一切の法的保護を否定する理由となるものとはいえない。
オ 我が国において,登録パートナーシップ制度を導入する地方公共団体が増加していること,各種の調査において,同性婚や同性愛者のカップルに対する法的保護に肯定的な回答が増えていることは,性的指向による区別取扱いを解消することを要請する国民意識が高まっていることを示しているといえ,このことは諸外国においても同様であるといえる。
カ もっとも,同性愛を精神疾患の1つとし,禁止すべきものとする知見は, 昭和55年頃までは通用していたものであり,それは教育の領域においても広く示されていた。60歳以上の比較的高い年齢層においては,同性婚について否定的意見を持つ国民が多数を占めているのは,そのような知見が通用していた結果,同性婚に対する否定的な意見や価値観が国民の間で形成されてきたことが,理由の1つであると考えられる。このような経緯に照らせば,そのような否定的な意見や価値観を持つ国民が少なからずいることは,立法府が裁量権を行使するに当たり,斟酌することができる事情である。
しかしながら,同性愛は精神疾患ではなく,自らの意思に基づいて選択・変更できないことは,現在は確立した知見になっている。圧倒的多数派である異性愛者の理解又は許容がなければ,同性愛者のカップルは,重要な法的利益である婚姻によって生じる法的効果を享受する利益の一部であってもこれを受け得ないとするのは,同性愛者の保護が,異性愛者と比してあまりにも欠けるといわざるを得ない。性的指向による区別取扱いを解消することを要請する国民意識が高まっていること,外国において同様の状況にあることなども考慮すれば,同性婚に否定的な意見や価値観を持つ国民が少なからずいるとの事情は,同性愛者に対して,婚姻によって生じる法的効果の一部であってもこれを享受する法的手段を提供しないことを合理的とみるか否かの検討の場面においては,限定的に斟酌されるべきものである。
(4) 同性間の婚姻や家族に関する制度は,その内容が一義的ではなく,立法府の裁量判断を待たなければならない。婚姻及び家族に関する事項は,国の伝統や国民感情を含めた社会状況における種々の要因を踏まえつつ,それぞれの時代における夫婦や親子関係についての全体の規律を見据えた総合的な判断を行うことによって定められるべきものであること,同性婚に否定的な意見や価値観を持つ国民が少なからずいることを,立法府が有する広範な立法裁量の中で考慮し,本件規定を同性間にも適用するには至らないのであれば,そのことが直ちに合理的根拠を欠くものと解することはできない。しかしながら,異性愛者と同性愛者の違いは,人の意思によって選択・変更し得ない性的指向の差異でしかなく,いかなる性的指向を有する者であっても,享有し得る法的利益に差異はないといわなければならない。そうであるにもかかわらず,同性愛者に対しては,婚姻によって生じる法的効果の一部ですらも,これを享受する法的手段が提供されていない。また,我が国及び諸外国において,同性愛者と異性愛者との間の区別を解消すべきとする要請が高まっていることは考慮すべき事情である一方,同性婚に対する否定的意見や価値観を有する国民が少なからずいることは,同性愛者に対して,婚姻によって生じる法的効果の一部ですらもこれを享受する法的手段を提供しないことを合理的とみるか否かの検討の場面においては,限定的に斟酌すべきものである。
以上のことからすれば,本件規定が,同性愛者に対しては,婚姻によって生じる法的効果の一部ですらもこれを享受する法的手段を提供しないとしていることは,立法府の裁量権の範囲を超えたものであるといわざるを得ず,本件区別取扱いは,その限度で合理的根拠を欠く差別取扱いに当たると解さざるを得ない。
なるほど。
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