社会に欠かせぬケア仕事 続けた拍手、未来のため
今日は、朝からZOOM取材。インタビューです。なんか、WEB取材が定着した感がある。ついでの、その横にいた人とも、企画の相談。取材は、やっぱり楽しいんだけどね、WEB上であっても、ね。
終わった後は、座談会原稿の格闘を夕方まで。何となく、方向性は見えつつあるのか? というところ。仕事のペースと幅をあげないと。
新聞を読んでおもしろかったのが、ブレイディみかこさんの欧州季評。
(欧州季評)社会に欠かせぬケア仕事 続けた拍手、未来のため(朝日新聞)
ロックダウンで休校になってから、息子の中学の先生たちから毎週のように電話がかかる。それぞれの教科の教員たちが定期的に保護者に連絡し、生徒たちのオンライン学習は順調か、何か問題はないかと確認しているのだ。「先生たちこそ、オンライン授業は大変でしょう」
と言うと、ある数学の教員はこんなことを言った。
「興味深いこともあるんです。ふだんは質問なんかしてこなかった子たちがメールを送ってくる。成績も振るわず、授業に関心もなさそうだった子に限って『ここがわからない』と言って……」
「それは面白いですね」と答えると彼女は言った。
「ひょっとして、私はそういう子が質問できない雰囲気の授業をしていたのではと反省しました。今の状況はこれまで気づかなかったことを学ぶ機会になっています」
オンライン授業の準備、教員たちとのZOOM会議、保護者たちへの定期的な電話など、休校でかえって仕事は増えたに違いないと思うが、教員たちはみな熱心だ。
*
著書「負債論」で有名な人類学者のデヴィッド・グレーバーは、何年も前から「ケア階級」という言葉を使ってきた。医療、教育、介護、保育など、直接的に「他者をケアする」仕事をしている人々のことである。今日の労働者階級の多くは、じつはこれらの業界で働く人だ。製造業が主だった昔とは違う。コロナ禍で明らかになったのは、ケア階級の人々がいなければ地域社会は回らないということだった。……
彼女の書くものは、最初は、ちょっと違和感もあった。なんだか、新自由主義に近い面もあるんじゃないかって。だけど、たぶん、政治の進展と、そのなかでの彼女の思考の発展のなかで、どんどん研ぎ澄まされてきた。いまや、反自由主義、反緊縮財政の旗手とも言えるシャープなものを書く。ケア階級とブルシット・ジョブ、なるほどなあ。
そういえば数日前には、毎日で彼女の記事があった。
社会回復、英国の転機 コロナ禍から見えた ブレイディみかこさん(毎日新聞)
新型コロナウイルスの感染拡大は学校や職場、地域社会を一変させ、緊急事態宣言の解除後も以前と全く異なる日常が続いている。死者数が4万人を超える英国も、コロナが政治や社会の重大な転換点となりそうだ。1990年代から英国で暮らしているライターのブレイディみかこさん(55)が語った。サッチャー主義否定した首相発言に驚き
ブレイディさんが住む英国では、日本の緊急事態宣言前の3月23日に都市封鎖(ロックダウン)が始まり、6月に入った現在は段階的な緩和が進められている。ボリス・ジョンソン首相自身、3月にコロナ感染が判明し、一時は集中治療室に入るまでに悪化したが4月に退院、職務復帰した。退院時の国民に向けたメッセージでジョンソン首相は、自らの命を救った公的医療事業「国民医療サービス(NHS)」への感謝を強調した。……ブレイディさんにとって、ジョンソン首相が感染判明直後に「本当に『社会』は存在する」と発言したのは衝撃だった。「これは明らかに、80年代当時のサッチャー首相が『社会などというものはない』と言ったことの裏返し」。頼りにできるのは自分自身と家族だけという「自己責任論」、市場原理にのっとった新自由主義を推し進めていったサッチャリズムを象徴するフレーズとして知られてきた。ジョンソン発言こそ、首相自身が「社会」の空気を読んだ上での発言――ブレイディさんはそう見る。サッチャー首相以来の英国政治の流れは過去のものになる、ということか。……
これを読んで、企画の具体化に動き出す。ちょうどその専門家と話せたし……。
今日は、いよいよ梅雨入り。
夕食は、アジ、ごぼうさらだ、キムチ、きゅうりとわかめの酢の物、みそ汁。
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