無敗の男 中村喜四郎 全告白
面白かった。この世界で仕事をしていると、保守の政治家と話すことは多い。そのときも感じることだけど、喜四郎もやはり伝統的な保守の政治家だと思う。政治や政策の選択の幅が大きい。それは右にもそうだけど、左にもそうである。だからわれわれと一致点も少なくない。しかも、有権者との結びつきはとてつもなく強い。支持者・世論の動向に敏感だ。これだけ、困難を抱えて生きる層が拡大しているなかでは、いっそう一致点は広がる。なぜ敏感か。喜四郎のような政治家の活動の根底にはどぶ板がある。災害のときの活動は、共産党の活動とすこぶる似ている。この点もおもしろい。コービンや、サンダースの活動とも共通するのだろう。一定程度、戦後民主主義の発展は、こういう有権者との結びつきのありようによって支えられていたのかもと思う。ただ、小選挙区から安倍内閣への過程で、そのありようは大きく棄損するわけだけど。ただ、選択肢の広さは、ともすれば脱法、違法な腐敗にもつながる。さらに、政局への敏感さ、たたかいのなかで生きているということも大事なんだろうと思う。そこなかで自分のありようと位置づけるわけだから、敵を明確化する。それが安倍内閣であるというのが今なのだと思う。だからますます一致する。
哲学も、手法もまったくわれわれとは違う。だけど、いまは一致するところはとてつもなく大きい。その違いは、今後大きなことかもしれない。そのことも含めて、一致点で共同する。そういうしっかりした見方が必要なのだと思う。しかし、とてももなく面白く、怖い政治家である。ぜひ、会ってみたいと思った。
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