各社世論調査 9条改正 「自衛隊明記」理解進まず
毎日の9条改正についての世論調査への論評。
各社世論調査 9条改正 「自衛隊明記」理解進まず(毎日新聞)結果ばらつき 頭を抱えている自民党
自衛隊の存在を明記する憲法改正について、報道各社が今月実施した世論調査の結果が分かれた。安倍晋三首相は昨年5月、憲法9条第1項(戦争放棄)と第2項(戦力不保持)を維持したうえで明記する案を提起したが、世論の理解は必ずしも進んでいない。首相の方針に沿って党内を取りまとめようとした自民党は頭を抱えている。
NHKの調査によると「憲法9条を変える必要はない」が38%で最も多く、「戦力の不保持などを定めた9条2項を削除して、自衛隊の目的などを明確にする」が30%で続いた。首相案に近い「9条2項を維持して、自衛隊の存在を追記する」は16%だった。
読売新聞の調査では「9条2項は削除し、自衛隊の目的や性格を明確にする」が34%、「9条2項を維持し、自衛隊の根拠規定を追加する」が32%で拮抗(きっこう)した。
両調査の「2項削除」の選択肢は、自民党憲法改正推進本部が昨年12月に発表した論点整理を踏まえたとみられる。同党は首相案と「2項を削除し、自衛隊の目的・性格をより明確化する」案を併記した。石破茂元幹事長らが第2項の削除を強く主張しているためだ。
これに対し、毎日新聞が20、21両日の調査で選択肢を「9条の2項を削除して自衛隊を戦力と位置付ける」にしたところ、結果は12%。「9条の1項と2項はそのままにして自衛隊を明記する」の31%と大差がついた。
自民党関係者は「2項削除案の本質は自衛隊の軍隊化だが、党の論点整理ではそれが分からないから、世論の支持が集まった」と分析する。推進本部は世論調査をすれば「2項維持」が多数になると見込んでいただけに、NHKと読売新聞の結果は「誤算」だった。
2項削除案は自衛隊を戦力と認めることだという理解が広がれば、首相案への支持が増えるとは限らない。昨年11月の毎日新聞の調査では、第1項と第2項を維持して自衛隊を明記する改憲案に「賛成」が33%、「反対」が29%。賛否で尋ねると回答は接近する傾向がある。
自民党は23日、同党地方議員向けの憲法研修会を開くことを決めた。推進本部幹部は「国民投票で過半数の賛成を得るには、改憲の内容を分かりやすく説明する必要がある」と語っている。
自民党はいらだつ。高村は、昨日、こんなことを言っている。「(憲法9条改正をめぐり)国民投票は難しい。我々は国会で法律を通そうと一生懸命やるが、反対派は院外闘争のプロ。『PKOをやったら徴兵制になる』『平和安全法制(安保法制)をやったら徴兵制になる』。私はあえてデマと言うが、そういうデマをやって、彼らは刹那(せつな)的世論を作るのが本当にうまい。我々も国民投票に耐えられるような国民運動を一生懸命、展開する。だが、彼らのように、刹那的民意を作るために『後で恥をかいていいから、何でもやる』という、やり方は慣れていないし、できない。国民投票は、反対派の方が非常にたけている、と言えるのではないか」と。
だけど、自民党の苛立ちは、われわれにとっても危険である。質問項目によって、大きく変化するのは、世論がはっきり固まっていないということの裏返しである。彼らが本気でとりくんだら、それをうわまらなきゃねえ。
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