漫画 君たちはどう生きるか
ある意味では、少し不思議な現象でもあろうか。いまから80年も前に書かれた本の漫画版が、大ヒットである。それはなぜなのか?
ボクがこの本を読んだのは、中学のときか高校のときか? 高校時代には、吉野源三郎の書いたものについて、友人と議論していたのだから、それより前のことだと思う。岩波の編集者の神様みたいな存在としての吉野源三郎は、高校時代にはすでに大きな存在だったのだということ。
20代に高校生向けの新聞をつくっていたころ、推薦図書にこの本が入っていて、その感想文が出されていたから、そのときにも読んでいる。もっとも、当時の岩波版には、丸山真男の一文も載っていて、それがいろいろ物議をかもしたり。めんどくさい。
というわけで、何度も読んだ本。とりわけ、「生産関係」のくだりのところは、強烈に覚えているわけでもある。社会的存在としての人間が、人間らしく生きることを探求する。思春期のまぶしいような模索の姿、葛藤したり、失敗したり、等身大の若者としてのコペルくんは、ほんとうにだれにも身近ということなのだろうと思うけど。
もちろん、時代は変わった。社会的存在といっても、社会は得体のしれないほど複雑化している。個人として、生きることができ、個人であることが強く求められる時代に、社会をどう認識するのかも難しさもある。そのなかで、社会的存在としてのつながり、あり方はどうあるべきなのかの答えも難しい。そんな時代に、この本をどう具体的にうけとめるのか。
単なるノスタルジーというわけでもないのだろうとは思う。ならば、そこにある普遍性のようなものに、人として、人とともに生きる生き方にやっぱり人はひかれるのだろうか? どんな人が、どのように読んでいるのか、とても知りたいと思うなあ。
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