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2017年11月

2017/11/28

2017年11月28日の新聞社説

《朝日新聞》
衆院予算委 議論深まらぬ与党質問
関電大飯原発 課題はまた置き去りか

《読売新聞》
中間貯蔵施設 除染土の有効活用も図りたい
森友予算委審議 検査院の指摘に丁寧に応えよ

《毎日新聞》
山本前地方創生相の暴言 国際常識が欠如している
予算委で与党質問5時間 増やすに足る内容なのか

《日本経済新聞》
利便性を競う卸売市場へ規制改革急げ
国有財産の処分に透明性を

《産経新聞》
ロシアと平昌五輪 薬物汚染に毅然と厳罰を
三菱マテの不正 背信を重ねた罪は重大だ

《東京新聞》
悪質クレーム 人の不寛容が気になる
増える与党質問 「事前審査」廃止しては

 自民党の質問。あれだけさわいで、時間をふやしたけど、あまりにもあまりにも。質問というより、合いの手? 政府にしゃべらすだけのもの。そもそも、何か論点が深まる、深めるという目的がある、わけでもない。うーん。国会のありようがほんとうに根本から問われるよなあ。

OKINAWA1965

Okinawa1965_p13 表題のドキュメンタリー映画が完成した。いま沖縄のドキュメントでは、カメジローがヒット中。カメジローがかなり経年的に戦後の沖縄史を描いているのに対し、こちらは、どちらかというと、テーマを設定して、問題を提起するやりかた。まずは嬉野さんの、米軍車両による少女轢死の写真をめぐる問題や復帰前のたたかい、アレンネルソンさんの訴えと9条について、阿波根さんの非暴力のたたかい、若い世代の思いなどなど。お金もない若い監督たちが、それまで全くと言っていいほど知らなかった沖縄の問題を、とあるきっかけで知り、どのように受け止めて、何を伝えようとしているのか、そういうことがストレートに伝わってくる映画。そういう議論のあり方が、若い人とのあいだでも、とても大事なのだろうなあと思った次第。ぜひ、広く、見られるといいなあ。


67教委調査 小中教員不足357人 非正規頼み困難に

 うーん。これだけ教員の働き方が問題になっているというのに……。これは教育の「質」にかかわる重大な問題ではないのか?

67教委調査 小中教員不足357人 非正規頼み困難に(毎日新聞)

 全国の公立小中学校で定数に対する教員の不足が、今年度当初に少なくとも357人に上ったことが、都道府県と政令市の67教育委員会への取材で分かった。団塊世代が大量退職した後も教員採用は抑制気味で、OBを含む臨時講師や非常勤講師など非正規教員の比重が高まっているが、その臨時講師が減っていることが影響しているとみられる。
 取材に、52教委が欠員を補充できなかったり、補充が遅れたりしていると回答。うち24教委は今年4~5月の不足数を明らかにし、合計すると357人だった。それ以外の教委は「不足数はゼロ」か「数をまとめていない」とした。
 52教委の回答を総合すると、年度当初は不足数ゼロでも途中で病気休職する教員が出ると、予測できないだけに産休や育休以上に補充が難しい。2010年以降、団塊世代の教員が相次いで退職したが、これを機に今まで採用試験に通らずに臨時講師として登録していた教員志望者の多くが採用され、臨時講師が不足する現状につながっている。
 文部科学省によると、公立小中学校の教員採用数は00年度から増加傾向だが、大量退職分を完全に埋めてはおらず抑制気味だ。同省関係者は「各教委は少子化で将来的に教員が余る可能性があるとみており、欠員対応は非正規に頼りたいと考えているようだ」と言う。さらに、近年の好景気で民間企業を志す大学生が増え、教員志望者数自体が低下傾向であることも拍車をかけている。同省によると、小学校教員の倍率はここ10年で4.6倍から3.6倍に、中学校は9.8倍から7.1倍に下がった。
 不足数を29人とした北海道は「(定員を)埋められない状況が増えている」▽13人とした大阪市は「臨時講師登録の状況は変わっていないが、病気休職が増えている」--などと回答した。

 そもそも、定数崩しやいろいろな方法で、正規教員を抑制しながら非正規を増やしている流れがある。そのうえで、正規教員にいろいろなことがおこれば、非正規や臨時で埋められなくなっているということなのだろうなあ。そもそも、正規教員の大幅補充を含め、教育予算を増やし、学校にゆとりを取り戻すことからはじめないとなあ。だけど、教育現場がいろいろな面で、ギスギスと困難になっている状況がおおもとにあるのだから、そうとう根の深い問題として、考えていかないと難しいのだろうなあとも思えるのだけど。

2017/11/27

本社世論調査認可保育無償化「高所得者は負担を」57% 内閣支持横ばい52%

 日経の世論調査。

本社世論調査認可保育無償化「高所得者は負担を」57% 内閣支持横ばい52%(日経新聞)

 日本経済新聞社とテレビ東京による24~26日の世論調査で、政府が検討する教育無償化(総合・経済面きょうのことば)で3~5歳の認可保育所をどうすべきか聞いたところ「高所得者は一定の自己負担をすべきだ」が57%と過半を占めた。政府は全世帯を無償化の対象にする方針だが「所得に関係なく無償化すべきだ」は26%にとどまった。「所得に関係なく無償化すべきでない」は11%だった。(関連記事総合・政治面に)
 政府は12月上旬に教育無償化を柱とした2兆円規模の政策パッケージをまとめ、3~5歳の認可保育所の費用を無料にする。現在は利用者が所得に応じて料金を負担している。
 18~29歳では45%が「所得に関係なく無償化すべきだ」と答え「高所得者は自己負担すべきだ」の35%より多かった。しかし、30代以上のすべての世代で「高所得者は自己負担」が「所得に関係なく」を上回った。
 安倍内閣の支持率は52%。1~2日の前回調査の54%からほぼ横ばいだった。不支持率も39%と前回(38%)から横ばい。支持率は学校法人「加計学園」の獣医学部新設を巡る問題などで7月に39%まで落ち込んだが、8月に上昇に転じ、衆院選前の9月調査から3回連続で5割を維持した。
 財務省は年収800万~900万円を上回る会社員を増税、自営業やフリーランスなどを減税する所得税改革案を検討している。これについては「賛成」が53%で「反対」の28%を上回った。
 林芳正文部科学相が加計学園の獣医学部新設を認可したことを「評価する」は27%どまりで、60%が「評価しない」と答えた。学部新設の手続きをめぐる政府の説明に「納得できない」は71%を占め、「納得できる」の19%を大幅に上回った。…

 この世論調査では、政党支持率の分析も。
 「立憲民主党の支持率は14%と11月初旬の前回調査と同じで、衆院の野党第1党として勢いを保った。希望の党や日本維新の会など他の野党は3%以下で低迷。野党陣営で立憲民主が一歩抜け出し、他党と開きがある。民進党から分裂した立憲民主、希望などの関係について「ひとつにまとまる必要はない」との回答は61%に達し、再結集は進みにくそうだ。…
 衆院選後の野党第1党の支持率はどれくらいか。14年12月の衆院選後の旧民主党は11%。自民党が政権に復帰した12年12月衆院選の後の旧民主党も11%だった。いずれも自民党が圧勝した後で野党第1党は支持率が低くなりがちだが、立憲民主の方が旧民主党や分裂前の民進よりも支持を集めているのが分かる。
 立憲民主の辻元清美国会対策委員長は日本経済新聞に『国会でも党の立ち位置を世の中に示し続けている』ことが要因だと分析した。国会論戦では枝野幸男代表が憲法9条改正への反対を明言するなど、リベラル勢力の支持をつなぎ留めているとみられる。
 年代別にみると、18~29歳の支持率は1割程度だが、70歳以上は2割と高齢者層になるほど支持率が高い傾向にある。…
 希望や維新、民進は低迷が続いている。希望の支持率は2%と、前回の4%から下落。維新も3%から2%に落ちた。民進は1%のままだった。
 希望は安倍政権への提案路線に重点を置き、立ち位置が曖昧になった面がある。希望幹部は『何でも反対ではなく、正しい提案を出すのはこれからも必要だ』と指摘するが、対決姿勢を強める立憲民主の陰に隠れる。…
 特定の支持政党を持たない無党派層は30%と前回から7ポイント増え、立憲民主の支持率を上回る状況は変わ」らなかった。自民党の支持率は5ポイント減の39%となったが、野党をなお引き離す。自民の背中を追いながら、連携を強められない難しさを野党は抱えている」。

 希望と立民の対比はおもしろい。

2017年11月27日の新聞社説

《朝日新聞》
大学改革 目先の利益傾く危うさ
JR北海道 国と道が議論主導

《読売新聞》
「量子」計算機 日本発の技術を磨き上げたい
TPP大綱改定 足踏み許されぬ「攻めの農業」

《毎日新聞》
危機の社会保障 「働けど貧しい」 支える側がやせ細っていく

《日本経済新聞》
減反廃止を機にコメの競争力を高めよ
賃金改革と残業削減を着実に

《産経新聞》
ロヒンギャ問題 民主化前進への試金石だ
社会保障改革 「俯瞰の目」で全体像描け

《東京新聞》
新「目的税」浮上必要性があいまいだ
メルケル氏苦境欧州の安定にかかわる

原発事故7年目 甲状腺検査はいま

 昨日、BS1スペシャルとして、2時間やっていた番組を見た。

3482071 福島第一原発事故後、相次いで見つかる子どもの甲状腺がん。専門家は、チェルノブイリとの比較などから「放射線影響は考えにくい」と報告。「過剰診断」の可能性が指摘されている。「不要な手術」が行われる恐れがあると、「検査を縮小すべき」という声も挙がり、波紋が広がっている。世界が経験したことのない難問に直面する福島。前編は、最新研究を交え、放射線被ばくとの関係に、後編は、検査のあり方を巡る混乱の根源に迫る。

 そもそも、大きな議論がある問題だけに、いろいろな意見が出るだろうなあ。やはり難しい問題。
 だけど、見ていて、何よりも思ったのは、原発事故の国と東電の責任をはっきりさせないと、いろいろな問題がすすまないということ。こうした健康調査も、一地方自治体の責任ではなく、国家プロジェクトとして仕組みをつくらないとと思う。だけど、国は事故の当事者だから、その責任が裁かれて、独立性をもった機関によって、国の責任ですすめるべきなのかなああ? 
 問題は、まだまだ未解明なことも多い。そもそもヨウ素小初期被ばくは、最初から隠蔽されていた経過もあるだけに、その影響の解明はものすごく難しい。過剰検査の問題もたしかにそうだどうけれども、わからないことが多いということを前提に、ではどうするのか、PTSDなどの問題なども含め、しっかり問題にむきあうべきだとも思った。それに番組は甲状腺についてがテーマになっていたが、そもそも健康調査の対象は、甲状腺だけではないだろうし。問題を矮小化させないような議論にしていかないといけないんだろうなあとも思ったりする。
 当事者、被災者に立場に立って、もっともっと議論をしないといけないと思う。そんなことも考えた。

原発事故後に甲状腺がん手術 8割が将来に不安 福島(NHKニュース)

 原発事故のあと甲状腺がんと診断され、手術を受けた福島県の子どもやその保護者に支援団体とNHKがアンケートを行ったところ、がんの再発や将来などへの不安を抱えている人が8割近くに上りました。支援団体は患者たちの不安の実態が明らかになったとして、十分な支援を国などに求めることにしています。
 原発事故を受けて、福島県が当時18歳以下だったおよそ38万人を対象に行っている甲状腺検査では、これまでに190人余りが、がんやがんの疑いと診断され、検査を大規模に実施したことで多く見つかっている可能性が高いと指摘される一方、事故との因果関係をめぐって専門家の間で議論が続いています。
 支援団体の「3・11甲状腺がん子ども基金」とNHKは、ことし8月、甲状腺がんの手術を受けた子どもまたはその保護者、合わせて67人に郵送でアンケートを行い、52人から回答を得ました。
 この中で、今不安に感じていることがあるか尋ねたところ、「ある」という回答が77%に上りました。
不安の内容としては「がんの再発」が23人と最も多く、次いで「がんの転移」と「体調」がそれぞれ9人、「妊娠や出産」と「就職や仕事」がそれぞれ5人など、手術のあとも健康面や将来などに、さまざまな不安を抱えていることがわかりました。
 自由記述には「娘がひどく不安定になり、夜も眠れず学校に行けず退学した」とか、「甲状腺を全摘した息子は一生薬を服用しなければならず、親としては将来がとても心配」など、切実な声がつづられています。
 また見つかったがんについて、有識者で作る県民健康調査検討委員会が、現時点で放射線の影響とは考えにくいとする見解を示している一方、アンケートではほぼ半数が「事故の影響はあると思う」と答えていて、認識の違いも浮き彫りになりました。
 「3・11甲状腺がん子ども基金」は、これまで知られていなかった実態が明らかになったとして、患者への精神的なサポートや診療などにかかる費用など、国や県に十分な支援を求めることにしています。
 代表理事の崎山比早子さんは「何が原因であろうと、原発事故がなければこのような状況にはならなかったことは確かで、継続的な患者のケアが必要だ」と話しています。
福島県の甲状腺検査
 甲状腺は首の前側にある成長などにかかわるホルモンを出す臓器で、原発事故で放出された放射性物質ヨウ素131は、甲状腺に蓄積しやすい性質を持っています。
 チェルノブイリ原発事故の際、周辺地域で子どもたちに甲状腺がんが多く見つかり、のちに被ばくが原因と結論づけられたことから、福島第一原発事故のあと、福島県は県民健康調査の一環として、子どもの甲状腺検査を実施することにしました。
 検査の対象は事故当時、福島県内にいた18歳以下の子どもたちおよそ38万人で、事故から最初の3年で1巡目、その後、2年置きに2巡目、3巡目と対象者の検査を繰り返し行います。
 検査は現在3巡目で、有識者で作る福島県の県民健康調査検討委員会によりますと、これまでに190人余りががんやがんの疑いと診断され、このうち150人余りが甲状腺を切除する手術を受けました。
 これについて検討委員会では、1巡目の検査を取りまとめた去年3月の段階で、被ばく線量が総じて小さいことなどを理由に「放射線の影響とは考えにくい」とし、検査を大規模に実施したことで、甲状腺がんが多く見つかっている可能性が高いという見解を示しています。
 最終的な結論は出されておらず、患者からは検討委員会の見解に戸惑う声や真相の解明を求める声が出ています。

2017/11/26

2017年11月26日の新聞社説

《朝日新聞》
核ごみ説明会 議論深める場へ見直せ
被告の高齢化 認知症の増加に備えを

《読売新聞》
寺院の拝観料 負担を共有して文化財保護に
自民合区解消案 参院の役割も同時に議論せよ

《毎日新聞》
危機の社会保障 迫る超高齢化 長期展望を欠く政治の罪

《日本経済新聞》
補助金のバラマキで生産性は上がらぬ
「アンドロイド」の成功に学ぶ

《産経新聞》
米国の慰安婦像 歴史戦の構図に目向けよ
日欧EPA対策 競争力高める改革を促せ

《東京新聞》
週のはじめに考える あいまいな日本の私たち

 「慰安婦」問題。政府の言説が限定的であっても、産経など右派論壇は、かなり広範囲な、河野談話そのものの否定に向かう。だから、全体として、河野談話を葬り去る流れをつくるという図式。ほんとに酷い状態になっている。
 社会保障と高齢化。財源問題について、これをかみあわせるのは、どのような議論がいちばん効果的なのか。うーん。いろいろ悩むところ。

政治動かす母親たちの声 「無償化より待機児童対策を」

 そらそうだと思う。子どもや親がいちばん何に心配しているのか、何についで、どのように困っているのかについて、よくわかってないと思うけどなあ、多くの政治家は。きっと、そんな世界をみたこともないのかもしれないなあ。

政治動かす母親たちの声 「無償化より待機児童対策を」(東京新聞)

 政府が、幼児の保護者らでつくる市民グループなどの意見を受け、三~五歳の幼児教育・保育の無償化で認可外保育施設の一部を除外する案から、すべての子どもを対象に無償化または補助する方針に転換した。無償化よりも待機児童対策を優先すべきだとする母親らの声も、政策に反映させようとしている。保護者らは関係省庁や政党に出向いて実情を説明してきた。政府や政党が、母親らから直接意見を聴き、子育て政策に反映させる流れが見えてきた。 (坂田奈央)
 「なぜ政治に声が届かないんでしょうか」
 市民グループ「希望するみんなが保育園に入れる社会をめざす会」(東京都)の天野妙代表らが二十二日、衆院第一議員会館で希望の党役員と面会し、こう疑問をぶつけた。保育施設に子どもを預けられない保護者がいかに多く、女性の社会での活躍を阻んでいるかを体験を交え説明した。
 同党が国会質疑に生かしたいとレクチャーを依頼した。説明を聞いた玉木雄一郎代表は「保育施設に預けること自体がいかに難しいかよく分かった」と納得。「無償化より前に全入化(待機児童ゼロ)。優先順位が間違っている」として、この問題を国会で徹底追及することにした。
 同会は自民党議員とも意見交換したり、厚生労働省や財務省に子育て政策の説明を求めたりしている。
 政府が認可外保育所の一部を無償化から外す案を検討していることを知った際には、「#子育て政策おかしくないですか」をキーワードにツイッターなどで、反対の声と待機児童対策の優先を求める意見の拡散を呼び掛けた。今月八日からはインターネットで署名を募り、二十五日時点で二万八千人超分が集まった。
 無償化と待機児童対策のどちらを優先すべきか、ツイッター上でアンケートも実施。回答した約六千人のうち77%が待機児童を選んだという。この結果も与野党に伝えた。
 こうした活動が実り、政府は三~五歳の子どもすべてを対象に保育園や幼稚園にかかる費用を無償化または補助する方向に転換。待機児童対策でも、安倍晋三首相が国会で、保育士や幼稚園教諭の処遇改善に取り組む考えを表明した。

 もちろん、子育て世代は貧困化しているから、”無償化”という方向はいいことではある。だけど、もともとの保育の制度そのものは、経済的に困難をかかえた世帯に優しい制度であったはず。そういう優しい制度設計を回復しながら、だれもが認可園に入れるようにする。規制緩和で、安上がりな保育園なんて絶対ダメだ。子どものいのちの成長がかかっているのだもの。

沖縄米軍基地と性犯罪

 昨日の報道特集はかなり衝撃的な内容。

 「在日アメリカ軍基地の兵士らによる性犯罪に関する軍の報告書をイギリス人ジャーナリストが情報公開で入手した。直近2年分の報告書に何が?新基地建設が進む辺野古の現状は?」
 下の記事の記録と、軍法会議の記録の2つで、ドキュメントがつくられている。この2年間で、59人が性犯罪で服役しているというが、これまで公になっていない。ここまで、酷い状態がいまなの沖縄では続いている。
 そして、その被害は子どもにも向かっている。

 また、沖縄タイムスが、次のように報道している。
 

米海兵隊・海軍、沖縄で性犯罪55件 未成年被害も6件 2015年調査(沖縄タイムス)

 米海軍捜査局(NCIS)が2015年、沖縄で起きた主な犯罪だけで69件を捜査していたことが、本紙が情報公開請求した捜査報告書で分かった。うち8割に当たる55件が性犯罪で、日本側の統計には表れない深刻な実態が明らかになった。
 開示対象は法定刑が禁錮1年以上の罪に問われた事件。捜査が続いている事件は公表されなかった。NCISは海兵隊と海軍の構成員を捜査し、空軍と陸軍の事件は含まれないため、実際の件数はこれより多い可能性が高い。
 69件のうち49件は大人への性暴力容疑だった。2人による犯行があり、容疑者は50人。うち40人が海兵隊員の男、7人は海軍の男、1人は民間人の男で、残り2人は性別などが不明。
 2人が被害に遭った事件があるため、被害者の合計も50人。女性の海兵隊員が最多で29人、米軍内では次いで海軍の女性5人、空軍の女性2人だった。民間の女性10人、日本人女性1人、男性の海兵隊員も2人いた。1人は詳細が不明。
 捜査の結果軍人8人が除隊になり、16人は禁錮、降格、減給などより軽い処分を受けた。3人は軍事法廷で無罪判決を得た。
 残る22件では何の対処もされなかった。証拠不足、被害者による訴え取り下げが主な理由で、民間人が関与している事件では米司法省が起訴しなかった例もあった。
 未成年への性暴力、ポルノ容疑は6件あった。4人が禁錮や除隊処分になり、1人はより軽い処分になった。
 麻薬関連容疑は5件で、4人が大麻の所持や販売に問われた。うち2件では逮捕時に容疑者が暴れた。
 このほか、2件の暴行、軍人の家族による子どもの虐待、基地内居住地区で車や住居への侵入を10日の間に23件繰り返した例があった。

 言いようのない怒りが、体を突き上げてくる。

2017/11/25

2017年11月25日の新聞社説

《朝日新聞》
改元の時期 国民不在で進む議論
鉄道の老朽化 安全の維持に万全を

《読売新聞》
東海第二原発 再稼働には総合的判断が要る
対「北」着弾訓練 自治体は対応力向上に努めよ

《毎日新聞》
三菱マテリアル系も不正 長期の放置で重ねた背信
野党の国会質問を大幅削減 慣行を踏みにじる行為だ

《日本経済新聞》
山一破綻20年、金融改革の再起動を

《産経新聞》
「森友」検査院報告 どんぶり勘定に疑念残る
東海第2原発 この40年超えが正念場だ

《東京新聞》
チーム解決力 素直に喜んで良いのか
東海第二原発 延命は割に合わない

 東京がとりあげたOECDの調査は、興味深いなあ。ちょっと詳しく知りたいけど。改元が国民不在というけれど、そもそも代替わりそのものが国民不在ではないのかなあ。天皇の地位は、主権の存する日本国民の総意に基くというこえれど、新しい天皇(いまの天皇もそうだけど)については、何も聞かれていないけどなあ。

勤務していない保育士届け出や「名前貸し」 都が改善指導

 森友でも問題になっていたことだけど…。こんなの許していたら保育は成り立たなくなる。

勤務していない保育士届け出や「名前貸し」 都が改善指導(NHKニュース)

 東京などで複数の保育施設を運営する会社が、実際には勤務していない保育士の名前を自治体に届け出たり、同じ保育士の名前を複数の施設で使う「名前貸し」を行ったりしていたとして、東京都が改善を求める指導を行ったことがわかりました。
 都から指導を受けたのは、東京 港区に本社があり、都内や神奈川県、千葉県などで認可保育所合わせて10施設を運営する会社です。
 都によりますと、ことし8月、「補助金を不正に受給している」という告発があり調査したところ、実際には勤務していない保育士などの名前を自治体に届け出たり、常勤として同じ保育士の名前を複数の施設で使う「名前貸し」を行ったりしていたことが明らかになったということです。
 都によりますと、複数の施設に名前の届け出がされていた保育士などは、去年4月からことし7月までに18人に上るということです。都内では、必ず施設に配置しなければならない「園長」が不在になっていたケースもありました。都は、運営会社に対し運営の改善や再発防止を求める指導を行い、区や市は、勤務実態のない保育士の登録による補助金の加算分の返還を求める方針です。
 補助金が支給される認可保育所については、自治体ごとに毎月、勤務する職員の名簿を提出する必要がありますが、専門家によりますと、届け出をする自治体が複数にまたがる場合、同じ保育士の名前が二重に届け出されていても見抜くのは難しいということです。
 保育施設の運営に詳しい保育研究所の村山祐一所長は「自治体をまたいで保育所を運営する場合、監査の主体が異なり名簿の照合ができなくなる。監査の盲点を狙った名前貸しの可能性がある」と指摘しています。
重複届け出が18人 3重届け出も
 東京都の調査で、複数の保育所に届け出がされていた保育士などは合わせて18人に上っています。このうち東京・国分寺市の保育所で勤務していると届け出があった園長や保育士など9人は、東京の大田区、墨田区、江東区、中野区、それに横浜市の2つの施設、千葉県市川市の保育所でも同じ時期に2重に届け出がされていたということです。
 都によりますと、このうち園長2人と保育士1人は実際には大田区と市川市の施設で勤務していて、国分寺市の施設では勤務の実態はなかったということです。さらに18人のうち2人は3つの施設にまたがって3重に届け出がされていたほか、期間が長いものでは1年間、2重に届け出がされていた保育士もいました。
タイムカードなど書き換えて監査すり抜ける
 自治体は、保育施設が適正に運営されているか確認するため定期的な監査を行っていますが、なぜ不正は見抜けなかったのか。都から指導を受けた保育施設の運営会社の元社員2人が自治体の監査をすり抜ける手口を証言しました。
 それによりますと、この運営会社では、自治体の監査が入るという連絡を受けて、自治体に届け出ていたうその職員名簿と帳尻を合わせるために、タイムカードなどを書き換えたということです。
 書類の書き換えを指示されたという元社員は「不正が見つかると園で働くスタッフに迷惑がかかると思い、しかたなく続けていた」と打ち明けています。
 また元社員の1人は、保護者の前で本名を名乗らないよう指示されていたということで、「自分の名前ではなく役割として指示された名前を言わないといけないことがあった。どこから情報が漏れるかわからないと考えたんだと思う」と話しています。
運営会社「深く反省、おわび」
 都から指導を受けた保育施設を運営する会社は「大切な子どもを預かる立場として、このような指摘を受けたことを深く反省し、おわび申し上げる。指摘事項を真摯(しんし)に受け止め、改善を進めていく」とコメントしています。

 会社とあるから、株式会社が運営する保育所ということになる。かなり露骨な組織的におこなわれていた感じがする。そもそも、かつての制度のもとでは、あまり想定されないことでもあるのだと思うが。
 株式会社がはいってきている以上、その儲け思考の行動は、本気になって、行政は監視をしないといけないのはあたりまえのこと。そして、違反があったときには、強い措置がとれるようにならないと、くり返されるのではないか? 保育所を運営する資格が問われるということなのだけど。

認可外保育含め、幼保原則無償化 自民提言 給付額上限触れず

 うむ。これが無償化の中身か!

認可外保育含め、幼保原則無償化 自民提言 給付額上限触れず(東京新聞)

 自民党は二十四日、教育無償化を柱とする「人づくり革命」に関する提言をまとめ、岸田文雄政調会長が首相官邸で安倍晋三首相に提出した。三~五歳児の幼稚園・保育園費用について、認可外保育を含め原則的に無償化するよう要請。政府はこれを踏まえ、来月上旬に二兆円規模の政策パッケージを閣議決定する。
 自民党は先の衆院選公約で、三~五歳児の教育無償化の対象を「全ての子供たち」とした。提言は「支援が真に必要な世帯に重点的に向けられる必要があるとの意見にも留意」と指摘。原則的な無償化に取り組むよう求めた。給付額の上限設定など具体策には触れなかった。
 ゼロ~二歳児の保育は、「待機児童解消が最優先課題」として三十二万人分の受け皿整備の前倒し実施を提案。当面は住民税非課税世帯を無償化対象とした。大学など高等教育の無償化に関しては、住民税非課税世帯とそれに準じる世帯を対象に、授業料免除や給付型奨学金の拡充を提案した。
 財源としては消費税率10%への引き上げに伴う増収分を活用し、企業にも「応分の負担」を求めるとした。二〇二〇年の実現が困難となった基礎的財政収支(プライマリーバランス)黒字化目標の再設定も提起した。

◆自民提言ポイント
一、三~五歳児は認可外保育を含め無償化。二〇一九年四月から一部先行実施、二〇年四月に全面実施
一、認可外保育所は、認可保育所保育料などの全国平均額を基準に無償化
一、支援を真に必要な世帯に重点的に向けるべきだとの意見に留意
一、ゼロ~二歳児保育は当面、住民税非課税世帯が無償化対象
一、待機児童解消を最優先に三十二万人分の受け皿整備を前倒し実施
一、高等教育は住民税非課税世帯と、それに準じる世帯を対象に授業料免除・給付型奨学金拡充
一、財源は消費税10%時の増収分を活用。企業も応分の負担
一、引き続き財政健全化の旗を明確に。プライマリーバランス黒字化目標を再設定

 ポイントの一つは、幼児教育無償化の内容。そもそも制限をここでもかけている。2つは高等教育の無償化はほぼ、やらないということ。きわめて限られた人への支援。3つめは財源の枠をはめる。これは抑制的にならざるをえない。
 問題は、無償化がなぜ必要なのか。無償化はどうあるべきなのかという視点とともに、財源論の抑制について、どう語るかだろうなあ。実は、あまり成功していない感じがする。

2017/11/24

2017年11月24日の新聞社説

《朝日新聞》
金融危機20年 新たな課題へ対応急げ
東海第二原発 廃炉が避けられない

《読売新聞》
サウジ王室混乱 過激な手法では改革は進まぬ
与党税調論議 所得税見直しは長期的視点で

《毎日新聞》
山一証券の破綻から20年 激震で先送りされたもの
トランプ氏の兵器売り込み 安保で商売は納得できぬ

《日本経済新聞》
サイバー寡占に競争当局は立ち向かえ
地震観測網を減災に生かせ

《産経新聞》
日馬書類送検へ 協会は事態を収束させよ
東芝の大型増資 猶予生かし再生の姿描け

《東京新聞》
高齢者の再犯 福祉との連携で防げ
森友検査報告 聞きっ放しは許されぬ

 東海第二原発は、あまりにもうちに近いから、やっぱりあまりにも怖いんです。この決定は。廃炉しかないでしょう。

南スーダンPKO 昨年7月 陸自宿営地に弾頭落下 首都ジュバ 戦闘そのものだった

 戦闘行為があったのかということがいろいろ言われてきたのだけど、もう隠しようがないレベルの問題。NHKがことし5月にNスぺでやった、戦闘のなまなましい話が確認されたということ。

南スーダンPKO 昨年7月 陸自宿営地に弾頭落下 首都ジュバ 戦闘そのものだった 近傍に戦車、頭上飛ぶ砲弾 資料に明記、cc(しんぶん赤旗)

 陸上自衛隊が南スーダンPKО(国連平和維持活動)に参加していた昨年7月、首都ジュバで発生した政府軍と反政府勢力の大規模な戦闘で自衛隊の宿営地上空を砲弾が通過し、複数の弾頭が宿営地内に落下していたことが、防衛省への情報公開請求や取材で分かりました。
 安倍政権は国会答弁で「発砲事案」などと言い換えて矮小(わいしょう)化し、派遣継続に固執しました。実際は戦闘そのものであり、一歩間違えれば現場の自衛官の生命にかかわる状況だったといえます。
 本紙は防衛省への情報公開請求で、陸上自衛隊研究本部が派遣部隊の報告に基づいて作成した「教訓要報」を入手しました。
 このうち、昨年7月の戦闘を経験した第10次派遣施設隊の「教訓要報」(今年4月13日作成)によれば、昨年7月8日午後5時30分ごろ、大統領府近傍で銃撃戦が発生。11日午後6時にキール大統領が停戦命令を発令しました。この間、自衛隊宿営地のあるトンピン地区付近の「トルコビル」で「戦車や迫撃砲を含む衝突」が発生したと明記されています。
 さらに、「宿営地への弾頭等の落下状況(平成28年7月14日までの時点)」との記述がありましたが、詳細は非開示でした。
 これに関して防衛省は本紙の取材に対して、「7月7日~11日にかけて大規模な武力衝突が発生し、戦車や迫撃砲が使用された。当時、日本隊宿営地で複数の弾頭を発見した。近傍で発砲した流れ弾が宿営地上空を飛来しており、その一部が落ちた可能性が高い」と回答しました。
 こうしたことから、南スーダン政府軍(SPLA)と反政府勢力(マシャール副大統領派)が宿営地をはさんで戦車や迫撃砲で砲撃戦を行い、その過程で弾頭が宿営地に落下したとみられます。
 今年5月28日放映のNHKスペシャルは、戦車の砲弾が宿営地上空を飛び交う中、家族あての遺書を書いたとの複数の隊員の証言を放映しています。
 国連は2011年7月の南スーダン独立に伴い、UNMISS(国連南スーダン派遣団)を創設。日本政府は12年1月から陸自部隊を派遣しましたが、昨年7月の大規模戦闘を受け、9月に撤退を検討。今年5月までに全面撤退し、活動を終了しました。

 海外派兵の実態もそうだけど、論理そのものは、こういう細工の上に乗っかっている限り、かならず、そういうごまかしが拡大するということでもあると思う。ほんとうに、監視し、批判していかないといけない。

2017/11/23

漫画 君たちはどう生きるか

61nvqjku6fl_sx351_bo1204203200_ ある意味では、少し不思議な現象でもあろうか。いまから80年も前に書かれた本の漫画版が、大ヒットである。それはなぜなのか?
 ボクがこの本を読んだのは、中学のときか高校のときか? 高校時代には、吉野源三郎の書いたものについて、友人と議論していたのだから、それより前のことだと思う。岩波の編集者の神様みたいな存在としての吉野源三郎は、高校時代にはすでに大きな存在だったのだということ。
 20代に高校生向けの新聞をつくっていたころ、推薦図書にこの本が入っていて、その感想文が出されていたから、そのときにも読んでいる。もっとも、当時の岩波版には、丸山真男の一文も載っていて、それがいろいろ物議をかもしたり。めんどくさい。
 というわけで、何度も読んだ本。とりわけ、「生産関係」のくだりのところは、強烈に覚えているわけでもある。社会的存在としての人間が、人間らしく生きることを探求する。思春期のまぶしいような模索の姿、葛藤したり、失敗したり、等身大の若者としてのコペルくんは、ほんとうにだれにも身近ということなのだろうと思うけど。
 もちろん、時代は変わった。社会的存在といっても、社会は得体のしれないほど複雑化している。個人として、生きることができ、個人であることが強く求められる時代に、社会をどう認識するのかも難しさもある。そのなかで、社会的存在としてのつながり、あり方はどうあるべきなのかの答えも難しい。そんな時代に、この本をどう具体的にうけとめるのか。
 単なるノスタルジーというわけでもないのだろうとは思う。ならば、そこにある普遍性のようなものに、人として、人とともに生きる生き方にやっぱり人はひかれるのだろうか? どんな人が、どのように読んでいるのか、とても知りたいと思うなあ。


2017年11月23日の新聞社説

《朝日新聞》
「森友」の検査 首相は再調査を命じよ
憲法70年 「合区」で改憲の無責任

《読売新聞》
クロマグロ規制 日本は未成魚の保護に努めよ
森友検査院報告 不透明な値引きに疑念が募る

《毎日新聞》
所得税の控除見直し より時代の変化に対応を
森友値引きは「根拠不十分」 やはり証人喚問が必要だ

《日本経済新聞》
経済改革の全体を見据えた税制議論を
中東の混迷を拡散させるな

《産経新聞》
代表質問 北朝鮮危機をもっと語れ
勤労感謝の日 「互いに」の思いを大切に

《東京新聞》
勤労感謝の日に考える 人生百年、定年は何歳?

 うーん。ほんとうに定年は何歳??? いつまで働くの??? もちろん働くことそのものはいいことだしねえ。しかし、いまのような働かされ方ではねえ。

慰安婦像受け入れ文書に署名 米サンフランシスコ市長

 「慰安婦」問題というのは、日韓の外交問題という性格にはとどまらない問題というのは当たり前の話なのだが…。自分の国のことだけを考えていると、そのことがわからなくなる。この像があらわしているように中国にも、そしてフィリピンにもたくさんの犠牲者がいるのだけど。

慰安婦像受け入れ文書に署名 米サンフランシスコ市長(東京新聞)

 米サンフランシスコ市のリー市長は22日、旧日本軍の慰安婦問題を象徴する少女像の設置を受け入れる文書に署名した。複数の市関係者が明らかにした。市議会が14日、民間からの像の寄贈を受け入れる決議を採択していた。
 大阪市の吉村洋文市長はリー氏に対し、市議会決議を拒否しなければサンフランシスコ市との姉妹都市関係を解消すると文書などで申し入れ。日本政府も「極めて遺憾だ」(安倍晋三首相)と決議拒否を求めていた。リー氏は今回、像受け入れを明確に示し、両市の姉妹都市関係の解消が決定的となった。
 少女像は地元の民間団体がサンフランシスコ市に寄贈。

 日本という国は、はたしてどこに行ってしまうのだろうか? あまりにも悲しい。

2017/11/22

2017年11月22日の新聞社説

《朝日新聞》
米の対北政策 敵視だけでは前進せぬ
ドイツ政治 党利超えて連立交渉を

《読売新聞》
ヘイトスピーチ 事前規制には慎重に臨みたい
テロ国家再指定 北朝鮮の新たな挑発に備えよ

《毎日新聞》
東京の金融都市構想 都は役目をはき違えるな
北朝鮮「テロ支援国」再指定 脅威封じる新たな足場に

《日本経済新聞》
与野党は争点を明確に具体案を競い合え
北のテロ国家再指定は妥当だ

《産経新聞》
「チバニアン」高まる興味、地学離れ止める契機に
テロ国家再指定 北を「犯罪国家」と断じた米、日本は被害者を取り戻す好機だ

《東京新聞》
人工知能搭載 ロボットにも9条あり
テロ国家再指定 北朝鮮は自滅を選ぶな

 米朝は、いろいろ激しいやり取りをしているが、一方で、いろいろな駆け引きと交渉などのされているのだろうと思う得るのだけど。だからこそ、交渉をなのだし、挑発をかさねて、それが暴発する危険性も感じるだけに。うーん。手がかりを、それぞれの利害を、ていねいに読み取ることが必要なのだけどなあ。

百田尚樹氏「娘さんは慰み者になる」 沖縄での講演 詳報と検証

 沖縄タイムスが、例の百田氏の講演の検証をおこなっている。ここまで酷い講演を、それを名護という場所で、よくもおこなったものだと、心の底から、強い怒りがわいてくるのだけど。

百田尚樹氏「娘さんは慰み者になる」 沖縄での講演 詳報と検証(沖縄タイムス)

 作家の百田尚樹氏が10月27日、沖縄県名護市内で講演した。「反対運動の中核は中国の工作員」「中国、韓国から来ている。怖い」と発言し、取材に訪れた本紙記者を名指しして「娘さんは慰み者になる」「機関紙」などと語った。講演後の記者とのやりとりが動画でインターネット配信されたこともあり、議論が続いている。実行委員会発表で600人以上が参加した講演会の内容を詳報し、事実関係を検証する。

<自民党の勉強会>危険への接近論 再び

 百田氏「2年前に沖縄のことで散々たたかれた。あの時は自民党の私的な勉強会。講演が終わった後の雑談で、『私は目の敵にされてるんで、沖縄の二つの新聞社はつぶさなあかんのですけど。ははは』と言った。弾圧というのは公的権力、あるいは暴力で封じること。私はただの作家。記者は言論弾圧の意味をもう一度考えてほしい。普天間基地の周囲は、1970年の航空写真では何も写っていない。ほとんど畑。沖縄全体の人口は戦後70年で1・9倍に増えているが、普天間基地(宜野湾市)は6倍。基地の近くに住めば商売ができると」

 普天間飛行場の土地は戦前、宜野湾の中心部だった。村役場や学校があり、9千人以上が住んでいた。米軍がその土地を占領し、住民が収容所にいるうちに基地を造った。つまり、基地より先に住民がいて、暮らしがあった。この事実は繰り返し指摘されているが、百田氏は2015年、自民党本部の勉強会で「危険への接近」論を唱えて以来、同じ主張を続けている。この時の勉強会ではほかに「騒音がうるさいのは分かるが、選んで住んだのは誰なのかと言いたくなる」「沖縄は本当に被害者なのか」「沖縄のどこかの島が中国に取られれば目を覚ますはずだ」とも語っている。これらの発言について釈明はない。

<憲法改正>軍隊保持「当たり前」

 百田氏「日米安保をじっくり読むと、米軍が守る日本の領土とは施政権が及ぶ所。(中国が尖閣諸島に公船を派遣し続ければ)日本が実効支配していないから出ないと言う可能性もある。もしここで自衛隊が『憲法9条があって攻撃できない。アメリカさん頑張ってください。うちは後方で』と言ったら誰が戦いますか。まず自衛隊が第一線で戦うこと。今の憲法ではそれができない。専守防衛だから」
 「安倍(晋三)総理は、憲法改正しないと日本を守れない、と言っている。世界で軍隊を持たない国は24カ国。小さい都市国家、比較的大きいのはアイスランドで年中氷。こんな国、誰が取りますか。残るのは小さな島。ナウル、バヌアツ。何の資源もない。取る理由がない。軍隊というのは家に例えたら防犯用の鍵で、財産を守るためにかける。鍵をかけない国は貧乏長屋みたいなもの。軍隊を持つのは当たり前」

 尖閣有事が起き、日本の実効支配が及ばなくなったら米軍は出動しないという可能性は広く議論されている。しかし、これは安保条約や米国の政策の問題であり、日本の憲法の制約とは関係がない。軍隊のないナウル、バヌアツについては2014年にも「くそ貧乏長屋」とやゆし、報道されている。

<戦争被害>沖縄以外の犠牲強調

 百田氏「沖縄を捨て石にしようとか、沖縄ばかりに犠牲を強いて知らん顔している、という思いは全くない。沖縄戦で、日本は沖縄を防衛するために命がけで戦った。神風特攻隊が最も出撃したのは沖縄。沖縄では(民間人)9万4千人が亡くなっているが、沖縄以外でも70万人以上死んでいる。決して沖縄の皆さんだけが被害に遭ったのではない」
 「確かに、その後沖縄は米国に占領されて多くの基地が造られた。今も基地のそばに住むという大変な不幸とともに生活しておられる。これは本当に申し訳ない。けれども今、沖縄の重要性はすごく高まっている。地政学的に国の防衛のために大事な場所。私たちは同じ日本人。沖縄の人を分ける考えは全然ない。沖縄は大好き。素晴らしい沖縄の地を守っていかないといけない」
 「翁長(雄志知事)さんが早く辞めてもらわないとあきません。那覇市長の時に龍柱を建てた。中国の属国です、いつでも来てください、そう思われても仕方ない。皆さんの中の、若い生きのいいのはゲリラとなって龍柱をつぶしてください」

 百田氏が踏襲する「戦争で犠牲になったのは沖縄だけではない」という論は、沖縄戦の重要な側面に触れていない。どの都市を空襲するかは米軍の選択だったが、沖縄は日本軍が本土を守るための時間稼ぎの戦場として選んだ結果、被害が甚大になった。また、沖縄では日本軍が住民を差別し、スパイ視し、虐殺した。

<中国脅威論>工作員断定、根拠なし

 百田氏「中国は尖閣を取る、琉球も自分の領土と言っている。沖縄の2紙は中国の脅威を報道しない。一番被害を受ける皆さんが最も知らされていない。インターネットがあれば分かる。沖縄にはたぶんインターネットがないんじゃないか。すみません。冗談でっせ」
 「抗議活動では日当が1日何万円と払われている。全国から沖縄に来る交通費、宿泊費を考えると、とてつもない額になる。カンパだけじゃ無理。では資金源はどこか。本当の中核は。はっきり言います。中国の工作員です。なかなか証拠はみえないが、中国からカネが流れている。なぜか。日本と米軍を分断したい。いつか尖閣を奪う時に米軍の動きを止める」

 基地建設反対運動に中国から人と資金が流れていると断言したが、講演後、根拠を尋ねる本紙記者の取材には「ない。それを調べろと僕は言っている。そうとしか思えないというニュアンス」と話した。

<高江の抗議活動>中韓に言及、差別否定

 百田氏「きょうは我那覇真子(実行委員長)さんと美ら海水族館に行った。その後。『次はどこいくの?』『百田さん、次は高江のテント村行きませんか?』『えっ? 高江のテント村? 怖いやん、悪い人いっぱいおるんやろ?』『悪い人と言ったらあきません。市民ということですから』『市民? 沖縄県民どれくらいおんの?』『半分くらいです』『じゃあ、あとの半分は?』『知らんところから来てます』『ほな、いろんな県から来てるの?』『いろんな県じゃない。中国や韓国から来ていますよ』『嫌やなー、怖いなー、どつかれたらどうすんの?』『大丈夫、私が先生を守ります』『それやったら行く(笑)』。行ったら車が1台置いてあって、中に漢和辞典がある。日本語勉強している人がおるんかなあ」

 本紙の取材には「中国人、韓国人が怖いと言ったら差別だけど、一連の流れがある」「県外、海外から活動家が来ているのが怖いと言った。差別意識は全くない」と説明した。取材の様子は講演会の実行委員会などが動画で撮影し、ネットで配信した。本紙は翌日付の記事で、百田氏の講演内容と事後の説明を併記した。

<沖縄の新聞>本紙記者22回名指し

 百田氏「沖縄の言論空間は異常。政治家でさえも二つの新聞に逆らえない」
 「まともな記者が正しいことを書いても上のデスクにつぶされる。あるいは無理やり偏向させられる。出世もしたい。阿部(岳記者)さんはもう、悪魔に魂を売った記者だ。家に帰ったら嫁さんがいる。娘さんがいる。知らんけど。中国が琉球を乗っ取ったら、阿部さんの娘さんは中国人の慰み者になります。それを考えて記事を書いてください。給料アップのために、沖縄全体をおとしめるような記事を書かないでください」
 「沖縄のほとんどの新聞は新聞じゃない。機関紙です」

 本紙の阿部記者が事前に申し込んで取材に行くと、最前列中央の席に案内された。講演会は前半の単独講演と後半の我那覇委員長とのトークで計2時間20分。百田氏はその間、阿部記者の名を22回挙げ、一方的に問い掛け続けた。阿部記者が本紙コラム大弦小弦で「慰み者」発言などに触れると、ツイッターで「講演中、沖縄タイムスを強く非難しましたが、阿部記者を非難はしていません。多少いじりはしましたが」と反論した。

 しっかり反論し、なんとしても、こうした嘘を許さない。そのために、がんばらないとなあ。

「慰安婦問題」を子どもにどう教えるか

513uy6v5jzl_sx348_bo1204203200_ 読んでいて、背筋がピンとなります。平井先生が、教師として、どのように子どもたちと向き合ってきたのか、その実践の記録。とにかく、熱く、真っ直ぐな、直球勝負の平井先生である。
 「慰安婦問題」をどう教えるかというテーマ設定だけで、足がすくむ。そのくらい現場の教師たちに、右翼勢力が直接的な攻撃をかけ、学校現場がゆれたこの20年だ。だけど、平井さんの情熱で、まわりの先生や、学校もよくがんばったと思うなあ。この20年は、とくかに90年代後半、元「慰安婦」が名乗り出たことによって、「慰安婦」問題が7社の中学校の歴史教科書に載ったことから、右派による激しい教科書攻撃、教育現場への圧力がつよまり、ついに現在では「慰安婦」問題の記述がある教科書は1社、授業で取り組む教師もほとんどいなくなったという20年だ。だけど、平井さんは、韓国で元「慰安婦」に出会い、沖縄で元ひめゆり学徒に教えを請い、自ら歴史の現場に足を運んで獲得した「戦争」の実相と「平和」への思いを教室の子どもたちとともに学びあったのだ。学んだ子どもたちの姿も、さまざまな困難に直面した時に、平井さんの思いも、読んでいて涙が出てくる。悔しさと感動と。そんな20年にわたる実践記録。
 へなちょこのボクの、さまざまな悩みや葛藤を直球でしかってくれ、いろいろなことにチャレンジするときに、背中を押してくれる。行動力あふれ、学びにみちた、平井さんに負けないよう、ボクもがんばらなきゃねえ。


2017/11/21

2017年11月21日の新聞社説

《朝日新聞》
地球温暖化 米政権は現実を見よ
代表質問 説得力競いあう論戦に

《読売新聞》
核廃棄物説明会 謝礼金で動員は信頼を損なう
衆院代表質問 希望の建設的議論に注目する

《毎日新聞》
首相演説への代表質問 自民も不満をのぞかせた
ボンでのCOP23閉幕 日本の石炭火力に厳しく

《日本経済新聞》
パリ協定の実行へ日本は積極的役割を
日産の不正招いた組織の断層

《産経新聞》
COP23と日本 脱原発では気温下がらぬ
銀行の構造改革 顧客優先の視点忘れるな

《東京新聞》
COP23閉幕 「脱炭素」が加速する
代表質問始まる 野党の追及が物足りぬ

 COP23。もう23だ。ボクらは、あきらめて無関心になってはいないか。事態は日本は逆行する事態にはかわりないし、アメリカで右派が執拗に否定する。しかし、現実には、少しずつすすんでいる。うーん。

米兵事故:在沖米軍トップ、知事に謝罪 容疑者は基地内飲酒か

 うーん。米兵による事件、米軍による事故は、際限なく続いているのだ。

米兵事故:在沖米軍トップ、知事に謝罪 容疑者は基地内飲酒か(沖縄タイムス)

 在沖米海兵隊の上等兵(21)が那覇市で飲酒運転し死亡事故を起こした疑いで逮捕された事件で、在沖米軍トップのニコルソン四軍調整官は20日、沖縄県庁で翁長雄志知事と会談し謝罪した。知事は「米軍の対策は極めて不十分だ」と抗議。相次ぐ事件・事故に「信用できず、とてもよき隣人とは言えない」と強く批判した。
 一方、県警捜査関係者によると、上等兵は逮捕前の任意の取り調べに「基地内で酒を飲んだ」と話したという。那覇署が供述の裏付けや防犯カメラなどから走行ルートの特定を進めている。同署は21日、上等兵を那覇地検へ送検する方針。
 ニコルソン氏は会談冒頭、頭を下げて謝罪。「米国を代表し被害者と遺族に哀悼の意を表したい」と述べた。また「われわれの駐留の結果、事件が起きたことに謝罪する」と語った。その上で「県民の怒りへの言い訳はない。改善に向けた取り組みをしてきたが努力が足りなかった」と述べた。
 一方、翁長氏は繰り返される事件・事故に「県民は勘弁してくれという気持ちだ」と重ねて批判した。ニコルソン氏は会談後、記者団に公務外にもかかわらず容疑者が軍車両を運転していた理由を「捜査中だ」と明らかにしなかった。
 会談に先立ち、富川盛武副知事は県庁に外務省沖縄事務所の川田司大使、沖縄防衛局の中嶋浩一郎局長を呼び抗議した。富川氏は米軍の飲酒禁止措置に触れ「(措置は)過去に何度もあった。歯止めがかかるか疑問だ」と不信感を示した。
 19日午前、那覇市の国道58号で牧港補給地区所属の上等兵が運転する米軍トラックが同市の男性会社員(61)の軽トラックと衝突し、男性は死亡した。那覇署は、自動車運転処罰法違反(過失運転致死)と道交法違反(酒気帯び運転)の疑いで上等兵を逮捕した。

 なぜ、事故が続くのか? 当たり前である、軍は軍事が優先される。
 たとえば、米軍基地内での性暴力について米国防総省が基地別件数公表しているが(2013~16米会計年度)、在日米軍基地では、4年間の合計で最も多いのが米海軍横須賀基地(神奈川県)の176件だそうだ。次いで米空軍嘉手納基地(沖縄県)で110件、米海兵隊キャンプ・シュワブ(同)で96件など。海兵隊はほかにキャンプ・コートニー 76、キャンプ・バトラー 70、岩国 60、普天間 54。ものすごい数字だ。
 先日は、事件の数字の発表もあったばかり。軍事が優先されれば、こんな犯罪はどうでもいいとでも考えているとしか思えない。

 これだけ続けばあきらめが蔓延する。だけど、沖縄ではそれを突き破り、島の、人々の生存をかけた怒りが充満しているのだと思う。沖縄はさらに怒っている。


2017/11/20

2017年11月20日の新聞社説

《朝日新聞》
五輪と公文書 組織委の「穴」をふさげ
カンボジア 強権的手法に苦言を

《読売新聞》
出所者更生支援 再犯抑止が治安向上のカギだ
GDPプラス デフレ脱却の好機を逸するな

《毎日新聞》
子育て支援と企業の役割 財源の負担も大事だが
自民の合区解消改憲案 「参院論」が単純に過ぎる

《日本経済新聞》
「サケ不漁の謎」解く調査を
ネット広告への信頼をどう高めるか

《産経新聞》
相次ぐ鉄道の停電トラブル 保守・点検「現場力」の低下が心配だ
国連対日「報告」、人権を蹂躙する国に言われる筋合いはない 「慰安婦」めぐる捏造の撤回求めよ

《東京新聞》
クルド問題 自決と安定両立できる
対日人権勧告 聞きっぱなしにするな

 企業負担というのなら、しっかりした税なりの制度としてするのが、まっとうな議論だろうなあ。与党は、先の総選挙で、幼児教育の無償化を掲げ、二〇一八年の予算から、その具体化が図られようとしている。しかし、制度設計をめぐっては、認可外を対象に含めるなどの問題も含め、揺れに揺れ、いまのところ、どのような形で具体化されるかは定かでない。そもそも、待機児を解決せずに、制度設計しても、格差が拡大するだけではないのか。たしかに、幼児教育の無償化には積極的な意義がある。ただ、この幼児教育無償化の議論は、アメリカの経済学者、ジェームズ・J・ヘックマンらの「幼少期の教育がその後の人生を左右する」という調査(ペリープログラム)がベースにあるとされる。しかし、ヘックマンらの調査は、かなり質の差のある幼児教育を対象におこなわれたと言われている。幼児教育の重要性を言うのなら、その質をどう高めるかの議論も不可欠だと考えられるのである。そのことと逆行するような、規制緩和のもとでの無償化は、まったく正反対の施策だと言わなければならないのではないか。

「共産と連携、死んでも…」 前原氏、最後の代表を決意

 昨日から、朝日が、希望・民進の合流劇の顛末を、シリーズで記事にしている。

「共産と連携、死んでも…」 前原氏、最後の代表を決意(朝日新聞)

 7月の東京都議選で、都知事の小池百合子率いる「都民ファーストの会」が躍進すると間もなく、若狭勝や細野豪志ら国会議員が東京・本郷の「鳩山ビル」の一室に集まるようになった。

小池氏「護憲、遠慮願う」前原氏「当たり前」深夜の密談
 後に、小池が立ち上げる新党「希望の党」の結党メンバーたちが衆院選戦略を練る拠点だった。
 小池の国政進出計画は、初当選を果たした昨年7月の都知事選後から動き出した。小池は周辺に「政党名を『希望の党』にしたい」と意欲を示し、10月に自らが塾長を務める政治塾「希望の塾」を開講した。
 今年2月には、「希望の党」の商標登録を出願。8月に入ると、衆院選で掲げる政策の取りまとめや、新党のPR動画の作成準備に入った。若狭と細野を中心に、9月の時点で独自候補約70人の選定を終えていたという。
 小池の念頭にあったのは、東京、大阪、愛知の3知事が連携して、地方自治のトップとして国政に挑む構図だった。都知事選や都議選のような旋風を起こして、3大都市圏で一定の勢力を得る。さらに2019年参院選と、その前後の衆院選で政権獲得を目指す――という構想だ。
 9月17日に臨時国会冒頭での衆院解散の可能性が報じられると、小池は東京・丸の内のパレスホテルで、愛知県知事の大村秀章と秘密裏に会談。「3都で連携して、地方自治を訴えませんか」と切り出した。大村も5月ごろから、細野ら東海地方が地盤の国会議員らと会合を重ね、地域政党の立ち上げを模索していた。
 小池は、日本維新の会代表で大阪府知事の松井一郎とも連携交渉を進め、9月30日には3人で記者会見。地方分権や成長戦略の共通政策をまとめ、衆院選での協力を申し合わせたことを明らかにした。だが、希望が失速するなか、大村が戦線から離脱し、小池のねらいは頓挫した。……

 小池さんの、この自民党政治の枠の中での、政権交代というこれまで何度も失敗してきたことに固執する、時代錯誤ぶりはやっぱりなあという感じではあるのだけど、前原さんは、共産党も含めた共闘に、ここまで、身もだえ、葛藤しているのかとあらためて驚かされる。その拒否的な思想は、どこから生まれるのかなあ。強い保守的指向と言えば、それまでだけど、保守の人でも、共産党とともにという人はいまや少なくないわけで。そもそも共産党排除ということをめぐっての葛藤であるのだから。うーん、何だろうなあ。そして、これは、まだまだこれからも続くのだろうなあ。

労働者階級の反乱 地べたから見た英国EU離脱

51fqls6hjol_sx303_bo1204203200_ ブレイディ みかこさんの本、やっぱりおもしろいなあ。ボクのイギリスへの知識は、ボクが世界にさまざまな問題について、関心をもつようになったのは、すでにイギリス病ということが日本でいわれてずいぶんたっていたし、ほぼサッチャー以降だろうなあ、ということで、一通りに知識があっただけで、やっぱり薄っぺらい理解だったなあと思わされる。
 全世界を驚かせた2016年6月の英国国民投票でのEU離脱派の勝利。ブレグジットについては関心は高いし、そのことについて、海外では「下層に広がった醜い排外主義の現れ」とする報道が多かったりもするわけだけど。実は、
イギリス国内では「1945年以来のピープル(労働者階級)の革命」と評す向きも多いそうだ。そのことを考えようというのが本書。実際に、離脱に賛成した白人労働者の声、実態をていねいに取材する。そこから、白人労働者のとはどういう人たちかということをうかびあがらせる。そして、その労働者たちの歴史をふり返る。これがおもしろい。世界で最初に産業革命を経験し、最初に労働運動が始まった国イギリス。そこでは労働者たちこそが民主主義を守ってきた。そこへの誇り。そして、ブレグジットが、グローバル主義と緊縮財政により社会のアウトサイダーにされつつある彼らが投じた怒りの礫だったというのなら、実際に存在する分断をどうのり越えていくのか。移民である著者が、白人労働者の生の姿を紹介するのがおもしろい。そこにあるイギリスの現代史のおもしろさ。やっぱり勉強せんなあかんなあ。『ピープル』もぜひ読んでみた。コービンやサンダースのCOはどぶ板というのも面白い。
 同時に、日本やアメリカとの共通性と、差異をどうつかむのかということもいろいろ考えさせられる。いまの社会をつかんでいくうえでは、もっといろんなことを知らなければいけないし、そうしないと本当の論点はわからない。自分の論点の設定や理解がいかに一般的で、浅いことかということを痛感させられるのだけどなあ。

2017/11/19

2017年11月19日の新聞社説

《朝日新聞》
日産の不正 現場見ぬ経営の危うさ
姉妹都市 市民交流を続けてこそ

《読売新聞》
日産無資格検査 効率経営の死角が招いた不正
COP23閉幕 米国抜きのパリ協定に道筋を

《毎日新聞》
学校の頭髪黒染め指導 理不尽な強要ではないか
日産無資格検査で報告書 教訓とすべき不正の温床

《日本経済新聞》
森林環境税を導入する前に

《産経新聞》
不明土地の増大 政府挙げて対策を進めよ
GDP1.4%増 内需が支える成長を図れ

《東京新聞》
週のはじめに考える 産業政策は未来拓くか

在日米軍事件・事故21万件超 1952年度以降 日本人1092人が犠牲

 あらためて、ものすごい数だなあ、これは。

在日米軍事件・事故21万件超 1952年度以降 日本人1092人が犠牲(しんぶん赤旗)

 在日米軍の兵士や軍属らによる事件・事故が、旧日米安保条約が発効した1952年度から今年9月末時点で21万件を超え、日本人の死者は1092人に上ることが、日本共産党の赤嶺政賢衆院議員の要求に防衛省が提出した資料で明らかになりました。件数と死者数は、同省が日米地位協定18条に基づく損害賠償の関係上、把握しているもの。52年度以前と、本土復帰前の沖縄は含まれておらず、被害者が損害請求しなかった事件も多数あるため、実際ははるかに多いとみられます。
 資料によると、事件・事故の総数は21万1104件。このうち「公務上」が4万9884件、「公務外」が16万1220件で、死者は、公務中521人、公務外571人です。昨年4月には沖縄県うるま市で元米海兵隊員の軍属が女性を殺害。16日に裁判員裁判が始まっています。
 また、地位協定18条に基づき、公務中の事件・事故に対して日本側が支払った賠償額は累計約92億円。日本側が25%、米側が75%を分担し、日本側がいったん100%を立て替えますが、米側が支払いを怠っている場合も少なくないため、実際の金額はさらに多いと見られます。
 一方、件数では圧倒的に多い公務外の事件・事故では、ほとんどが被害者の“泣き寝入り”となっています。

米軍の事故件数、死亡者数
     件数  死亡者数 賠償額(円)
 公務上  4万9884  521 91億8457万8千
 公務外 16万1220  571 ─
 合 計 21万1104 1092
 ※防衛省提出資料から

 これが地位協定と密約のもとで、裁かれないですすんできたということ。
 うーん。

「ホロコーストの記憶」を歩く 過去をみつめ未来へ向かう旅ガイド

16 ナチの歴史はある程度詳しく知っているつもりであった。だけど、この本を読んで、600万人の犠牲者という重みを感じた。なによりも子どもの犠牲者150万人…。とてつもない数である。そして、そこには1人ひとりの人生があったということ。ナチのそうした迫害にあらがった人たちがこれだけヨーロッパにはいたこともまた、感動的である。それこそがもう一つの歴史であると。さらに、そうした歴史をヨーロッパではどれだけ、心に刻もうとしているか。忘却に抗う人々のとりくみ。その規模や深さについてはものすごく考えさせられるのだ。集団としての本気度といえばいいのか。そのことがいまの社会のなかでどのように大切なのか。ものすごく心に刻まれる本であったなあ。やっぱり、自分は、ちっぽけだよ。世界はすごいなあ。きっと、未来はここからはじまるんだよ。


2017/11/18

2017年11月18日の新聞社説

《朝日新聞》
政治家の言論 その荒廃ぶりを憂える
所信表明演説 首相こそ「建設的」に

《読売新聞》
銀行の業務削減 低金利下で生き残る正念場だ
所信表明演説 長期展望がないのは物足りぬ

《毎日新聞》
膨らみ続ける所有者不明地 有効活用のための対策を
安倍首相が所信表明演説 この説明では物足りない

《日本経済新聞》
開かれたアジアへ課題多い

《産経新聞》
核のごみ説明会 李下に冠をただすなかれ
所信表明演説 国難にどう対処するのか

《東京新聞》
砂川再審問題 歴史の闇を照らした
首相所信表明 「国難」と叫ぶのなら

 政治家の劣化問題は、その背景も含め、そうとうよく考えなければならない問題だな。小選挙区制の問題ももちろんあるが、そもそも、いろいろなことがきちんと問われない社会なのだもの。砂川事件再審問題もそう。いろいろな新事実があっても、政治を優先するのか。歴史的に形成された、道理を重視しない構造。それを問わないメディア。うーむ。なあ。

米兵による強盗殺人、賠償額4割で示談 差額は日本政府

 なんだかなあ。酷い話だよなあ。

米兵による強盗殺人、賠償額4割で示談 差額は日本政府(朝日新聞)

 2006年に神奈川県横須賀市で起きた米兵の男による強盗殺人事件で、被害者の遺族が17日、「見舞金」として米政府が約2800万円を支払う内容の示談を受け入れた。民事裁判では約6500万円の賠償を元米兵に命じていたが、その4割ほどにとどまる。日米間の合意で、差額は日本政府が支払う形になる。
 米側は、元米兵を「永久に免責する」ことも示談の条件として求めていた。遺族の山崎正則さん(69)はこの条件を削除するよう強く求めて交渉を続けてきたが、横浜市でこの日、示談書に署名した。「1円も弁済しない米兵を免責するのは納得できないが、米側に今日まで引き延ばされた。苦渋の選択だ」と話した。
 事件は06年1月に発生。パート社員の女性(当時56)が出勤途中、道を尋ねるふりをして近づいてきた公務外の米空母乗組員の男に殺害され、現金1万5千円が奪われた。内縁の夫の山崎さんらは損害賠償を求めて提訴。元米兵に約6500万円の賠償を命じた09年の一審判決が確定した。
 ログイン前の続き元米兵は現在も、無期懲役刑で服役中。日米地位協定には米兵の公務外の事件・事故について、本人に支払い能力がない場合、米政府が補償する制度がある。米側は15年6月、防衛省を通じて確定判決額の4割ほどの見舞金支払いと元米兵と米政府の「永久免責」を条件に示談を提案していた。
 一方で遺族側は、見舞金と判決額の差額について、日本政府に支払いを求める手続きに入った。1995年に沖縄で起きた少女暴行事件後、日米地位協定の運用改善が図られ、96年の日米特別行動委員会(SACO)の合意で、日本政府が差額を支払う努力をすることが盛り込まれた。防衛省によると、この仕組みで払った差額は13件、約4億2800万円に上るという。
 また、06年に横浜市で酒に酔った米軍人に殴られ、鼻の骨を折られたタクシー運転手の田畑巌さん(71)もこの日、確定判決額の約4割の約62万円を米側が支払う示談書に署名した。

 被害者・遺族にとっては苦渋の選択でしょう。そもそも、制度的に、そういうふうになってしまっている。この構造は、地位協定やSACO合意に連動する……。そこも、問われないとなあ。

首相の所信表明

 あの総選挙からもずいぶんたっているし、国会を開いてから半月たってやっとの所信表明。聞いていて、まずおどろいたのは、その短さ。まあ、国民に、語りたいこと、語らなければならないと彼が考えていることが、あまりにもないということかなあ。

 中身的にも、ちょっとなあ。基本、総選挙の演説の延長線上で、オレは国民から信任されたんだと言いたげ。実際は、比例では3割台、絶対得票は17%程度というものなのにだ。あいかわらず、北朝鮮問題を「国難」として、恫喝する。そこには対話への冷静さは微塵もない。軍事拡大への挑発的な言葉だけが並ぶ。で、少子高齢化に話がすすむ。
 おきまりのAIからはじまるが、気になったのは、ひとつは、「三歳から五歳まで、全ての子どもたちの幼稚園や保育園の費用を無償化します。〇歳から二歳児も、所得の低い世帯では無償化します」という。無償化はいいことではあるが、「待機児童解消を目指す安倍内閣の決意は揺るぎません」とつなげる。ここでこの間すすめているのは、規制緩和ではないのか。加配をなくす、保育士の有資格でなくてもいいようにする、などなど。ほんとうにこれで、保育の質が保ているのか、安全はたもているのか。保育の質が伴わない無償化は、「保育の無償化」にはなっていかないのではないか。
 2つめは、「真に必要な子どもたちには、高等教育を無償化します」という表現。「真に必要な子」というのは誰が判断するのだろう?何という上から目線か。結局、「ニーズに応え、『人づくり革命』」というのだから、目的や実態はすけてみえるというものではないのか?
 「消費税の使い道を見直し」というが、そもそも「税と社会保障の一体改革」のときは何と言っていたのと言いたくなる。なんなんだよ、この議論は?(以下略)

 ちなみに所信表明はこれ。

2017/11/17

2017年11月17日の新聞社説

《朝日新聞》
憲法70年 改憲ありきの姿勢では
日本人拉致 落胆の日々に終止符を

《読売新聞》
米国の慰安婦像 姉妹都市解消はやむを得ない
診療報酬改定 効率化へ介護と連携強めたい

《毎日新聞》
チバニアン実現に一歩 地球史に親しむ機会に
米大統領のアジア歴訪 安定への戦略が見えない

《日本経済新聞》
角界は暴力根絶へウミを出せ

《産経新聞》
小池氏の代表辞任 都知事を全うできるのか
加計学園問題 獣医学部生かす議論せよ

《東京新聞》
パラダイス文書 税逃れは社会を壊す

 大阪市長もそうだけど、読売も、そう。いつの間にか、狭義の強制性の否定にとどまらず、強制の全否定に突き進んでいく。「慰安婦」たちがどんな状態におかれていたのかは、さまざまな証言や裁判などの資料でも明らかなはずなのにね。つくずく歴史修正主義者というのは、際限のない歴史修正につきすすんでいくということを感じさせてくれるなあ。

参院合区解消、改憲案に 自民 一票の平等損なう恐れ

 何だろうなあ。この改憲案。意味も解らないし、筋も悪い。

参院合区解消、改憲案に 自民 一票の平等損なう恐れ(東京新聞)

 自民党憲法改正推進本部(細田博之本部長)は十六日、衆院選後初の全体会合を開き、参院選の合区解消について、条文案の作成を本格化させることを決めた。選挙制度を法律で定めるとした憲法四七条に、参院議員は各都道府県から「少なくとも一人が選出される」と盛り込むことを検討している。自民党は改憲について憲法への自衛隊明記など四項目で検討しているが、条文化作業へ移るのは合区解消が初めて。自民党の改憲案に盛り込み、来年の通常国会で発議を目指す。 
 全体会合では四七条を巡り、(1)参院では各都道府県一人以上の議員選出を明記(2)選挙区割りは人口以外の要素も勘案して決める-などの文言を追加する「方向性」を提示した。出席者からは「条文のたたき台を示すなど、早急に次のステップに移ってほしい」など賛成意見が相次いだ。
 石破茂元幹事長は会合で、憲法一四条との関係が不明確だと指摘し、このままでは「国民投票には耐えられない」と指摘した。憲法一四条は有権者の投票価値の平等を求めている。都道府県の人口規模は異なり、合区を解消すれば、投票価値の平等が損なわれ、憲法全体の整合性が問われることになりかねない。合区を導入したのも、最高裁から一票の格差是正を求められたからだ。
 自民党が合区解消を目指すには、改憲勢力の協力が欠かせない。だが、公明党の山口那津男代表は「(憲法)全体の整合性からいっても適切とは言い難い」と否定する。日本維新の会の松井一郎代表も「自民党の党利党略」と指摘している。
 合区は昨年の参院選で初めて導入され、人口の少ない四県が「徳島・高知」と「鳥取・島根」の二選挙区となった。これに伴い、「一票の格差」は最大三・〇八倍まで縮小した。

 議会制民主主義の原則は、議員を代表者として、政治が運営されることになろうが、そのためには、一票の平等を基礎に、多様な声が国会に代表者を通じて反映することでしょう。その原則の関係はどうなるのかは何ものべられていない。しかも、多様さはさまざまな、側面があるのに、なぜ、ことさら県という地域性が打ち出されるのか? 92条で選挙単位と規定するそうだけど、地方自治の単位とちがって、そのことと選挙の原則は整合しないではないか。うーん。

被告は黙秘貫く うるま市女性殺害・第2回公判

 昨日に引き続き、今日も公判が続く。

被告は黙秘貫く うるま市女性殺害・第2回公判(沖縄タイムス)

 昨年4月にうるま市で県内在住の女性=当時20=を暴行しようとして殺害したなどとして、強姦致死、殺人、死体遺棄の三つの罪に問われた元米海兵隊員で軍属だったシンザト・ケネス・フランクリン被告(33)の裁判員裁判の第2回公判が17日、那覇地裁(柴田寿宏裁判長)で始まった。午前中に柴田裁判長が初公判に続いて被告人質問を実施したが、ケネス被告は黙秘権を行使して検察・弁護側双方の質問に答えなかった。
 第2回公判では被害者の遺体を司法解剖した法医学者が証言。検察側の質問で「棒で殴ったり首を絞めたりした被告の暴行行為で、被害者が死亡する可能性があった」と述べた。午後は弁護側が質問する。

 昨日の初公判では、ケネス被告は罪状認否で「強姦致死と死体遺棄については、有罪と認める」と述べた一方、「殺すつもりはなかった」として殺人罪の起訴内容を否認したという。そして、その後、被告は「黙秘権を行使する」と述べ、犯行の詳細を問いただす検察側の反対質問に答えなかった。
 検察側は冒頭陳述で「暴行現場で被害者の後頭部を棒で殴り、首の後ろ付近をナイフで刺したりした行為などから殺意が認定できる」と指摘。「計画的かつ身勝手な犯行で、遺族の処罰感情は極めて強い」と述べたのに対し、弁護側は冒頭陳述で「暴行現場で被害者を刺してはいない」と反論。棒で殴り、首を絞める行為についても「被害者が亡くなる危険性が高い行為とは言えない」としたという。その上で殺意を否定。「連日多くの報道がされ、事件に抗議する県民大会も開かれたが、裁かれるのは米軍や基地ではなく被告人だ」とも主張した。
 同じ、沖縄タイムスに、上間さんが、長いコメントを出している。
【傍聴記】「良き隣人」占領いつまで 上間陽子さんが見た、うるま市女性暴行殺害事件初公判
 そこでも言われているように、しかし、その犯人(被告)は、殺人訓練をうけた「良き隣人」という名の支配者なのだ。

2017/11/16

2017年11月16日の新聞社説

《朝日新聞》
加計問題審議 行政監視を担う使命
相撲界の暴力 事件生む素地の解明を

《読売新聞》
加計文科委審議 疑惑の追及には証拠が必要だ
小池代表辞任 希望は「現実路線」を堅持せよ

《毎日新聞》
天皇陛下の奄美群島訪問 離島の人々に心寄せる旅
希望の党の小池代表辞任 身勝手さが拭えぬ結末だ

《日本経済新聞》
外部環境に揺さぶられない強い経済を
RCEP交渉も忘れるな

《産経新聞》
日馬富士の暴行 また好角家を裏切るのか
インド太平洋戦略 中国止める海洋国連合に

《東京新聞》
日馬富士が暴行 ファンに分かる対応を
「加計」問題審議 通り一遍の説明では

 相撲は興味ないので、それほど、関心のある事件ではないが、なぜ、真相が明らかになってこないかは不思議だなあ。加計問題。読売は情けないなあ。かつての社会部の伝統はどこに行ったのか? しかし、与党はあまりにもひどいのだけど。

2017/11/15

2017年11月14日から11月15日の新聞社説

2017年11月14日
《朝日新聞》
日中首脳会談 接点見いだす努力こそ
ヘイト規制 差別許さぬ意識深化を
《読売新聞》
企業中間決算 好業績は人への投資の機会だ
日中首脳会談 相互訪問で地域の安定を図れ
《毎日新聞》
与野党の質問配分見直し 自民党の主張は間違いだ
首相と中国首脳が会談 前向きな機運が出てきた
《日本経済新聞》
安倍首相と習主席は相互訪問へ準備を
神鋼の不正報告は不十分だ
《産経新聞》
大谷の渡米表明 「若者よ、海外へ出でよ」
神鋼の品質不正 統治不全で信頼を失った
《東京新聞》
TPP11合意 見えない新・貿易秩序
日中首脳会談 小さな一歩を「実り」に

2017年11月15日
《朝日新聞》
小池代表辞任 一連の騒動は何だった
米アジア政策 ここでも自国中心か
《読売新聞》
日馬富士暴行 横綱の品格はどこに行った
「出国税」 結論ありきでは理解得られぬ
《毎日新聞》
めぐみさん拉致から40年 解決への粘り強い努力を
日馬富士関が後輩に暴行 横綱を名乗るに値しない
《日本経済新聞》
保育・教育無償化は所得制限が前提だ
ライドシェア敵視は時代遅れ
《産経新聞》
日米の北包囲網 変わらぬ危機に向き合え
拉致40年 母の悲痛な思いに応えよ
《東京新聞》
少年法論議 教育力で立ち直りを
年金の支え手 給与明細を見てみよう

毎日新聞世論調査 改憲「急ぐ必要ない」66% 内閣支持10ポイント増46%

 ふむ。流動的というか、何というか。

毎日新聞世論調査 改憲「急ぐ必要ない」66% 内閣支持10ポイント増46%(毎日新聞)

 毎日新聞は11、12両日、全国世論調査を実施した。衆院選で自民党など憲法改正に前向きな勢力が衆院の3分の2を超える議席を維持したことを受け、国会が改憲案の発議を急ぐべきか尋ねたところ、「急ぐ必要はない」との回答が66%で、「急ぐべきだ」の24%を大きく上回った。安倍内閣の支持率は衆院選前の前回調査(9月26、27両日)から10ポイント増え46%、不支持率は6ポイント減の36%だった。(5面に関連記事と「質問と回答」)
 憲法9条第1項(戦争放棄)と第2項(戦力不保持)はそのままにして、自衛隊の存在を明記する改正案に「賛成」は33%、「反対」は29%と意見が分かれた。「わからない」も34%あった。質問が異なるため単純に比較はできないが、9月2、3両日の調査では「反対」が34%で、「賛成」は27%だった。
 安倍晋三首相は5月、2020年の改正憲法施行を目指す考えを表明したが、最近は「スケジュールありきではない」と述べている。改憲案の発議を「急ぐ必要はない」は自民支持層でも51%と半数を超えた。
 首相は来年9月に2期目の自民党総裁任期が満了する。3期目も「総裁を続けた方がよい」は35%で、「代わった方がよい」が53%を占めた。今回、内閣支持率は不支持率を上回ったが、必ずしも首相の人気が回復したとはいえない。内閣を支持する理由は「他に良い人や政党がないから」が46%で最も多く、不支持の理由は「安倍さん本人を評価していないから」が49%でトップだった。

 これが質問と回答。

2017/11/13

自主避難者を集計に含めず、福島など3県分

 おそらく、そうなっているのだろうと思われていたのだけど、実際になあ。

自主避難者を集計に含めず、福島など3県分(読売新聞)

 復興庁が毎月公表している東日本大震災の避難者に、福島、宮城、神奈川県の自主避難者が含まれていないことがわかった。
 復興庁は東京電力福島第一原発事故による自主避難者を含めて報告するよう求めているが、3県は自主避難者への住宅無償提供が今年3月末で打ち切られたことに伴い、除外していた。専門家らは「原発事故による避難実態の過小評価につながる恐れがある」と懸念を示している。
 復興庁は、避難者について「原発事故による自主避難者を含む」「震災前の住居に戻る意思がある」などと定義。都道府県の報告を基に全国の人数を集計している。10月12日時点の全避難者は8万1866人いた。
 読売新聞が47都道府県に避難者の集計方法を確認したところ、福島など3県は4月以降、自主避難者を含めていなかった。避難者数は3月から4月にかけて9493人減り、うち3県は7162人(福島5120人、宮城1377人、神奈川665人)だった。自主避難者数がどの程度含まれているかは不明だが、福島、神奈川県は「大半が自主避難者」と話し、宮城県は「どれくらいかはわからない」とする。……

 たんに住宅提供がなくなったということにはとどまらないよなあ。さまざまな情報提供のサービスからもはずされていくのだろうなあ。どんどん、なかったこと、終わったことにされていく。酷いなあ。

シン・ゴジラ

64039640x445 やっと、テレビで放映されたので、見ましたけど。ここのパーツは、いろいろおもしろいところはちりばめられているのだけど(石原さとみも出ているし)、全体としては、訴えるものは弱いんだよねえ。なんだろう、この見た後の感想は。まあ、こんなもんかね。基本、出ている政治家たちも若手官僚も薄っぺらくてねえ。


2017/11/12

2017年11月11日から11月12日の新聞社説

2017年11月11日
《朝日新聞》
「加計」開学へ これで落着とはならぬ
「多弱」の野党 再編より、まず政策だ
《読売新聞》
「加計」獣医学部 教育の質確保が最優先課題だ
トランプ演説 具現化が問われるアジア戦略
《毎日新聞》
希望の党の共同代表選 分裂しても続く路線対立
「加計」獣医学部が認可へ 説明もしないまま開学か
《日本経済新聞》
TPP11を礎に質高い自由貿易圏つくれ
北朝鮮に米中一体で圧力を
《産経新聞》
がん基本計画 治療と仕事の両立支援を
出国税 使い道の説明が足りない
《東京新聞》
希望の党 目指す政治の再定義を
「加計」認可答申 疑惑の免罪符ではない

2017年11月12日
《朝日新聞》
子育て支援 「すべて無償化」の前に
米抜きTPP 「多国間」を粘り強く
《読売新聞》
日露首脳会談 政権安定を領土交渉に生かせ
米国抜きTPP 保護主義圧力に先手を打った
《毎日新聞》
文書管理ガイドライン改正 まず公務員の意識改革を
米国抜きTPPで大筋合意 自由貿易立て直す土台に
《日本経済新聞》
クールジャパン再生へ政府の役割見直せ
「加計」乗り越え特区の再起動を
《産経新聞》
TPP11大筋合意 保護主義を阻む礎とせよ 米政権に粘り強く復帰促せ
《東京新聞》
週のはじめに考える 夜道を照らす月の人

 政党の問題を、その基盤にある思想的な問題も含め、構造的に、歴史的に、きちんと分析しないとなあ。何もできていないなあ。考えられてないし、勉強できていない。とほほ。

<日本学術会議>子どもの被ばく不安根強く 専門家の丁寧な説明必要

 いまも、どう考えるかはとても難しい問題。迷い、悩みながらの日々。

<日本学術会議>子どもの被ばく不安根強く 専門家の丁寧な説明必要(河北新報)

 日本学術会議の臨床医学委員会は、東京電力福島第1原発事故に関する報告書「子どもの放射線被ばくの影響と今後の課題-現在の科学的知見を福島で生かすために」を公表した。事故によるがん発症率への影響は小さいと結論付けた国連科学委員会の調査報告書を支持する一方、子どもの被ばくに関する不安が横行する社会状況を憂慮。被災者に配慮した説明の重要性など専門家の対応を求めた。
 国連科学委は2014年4月、事故による福島県での明確ながんの増加は「予想していない」とする報告書を公表。日本学術会議は報告書の科学的根拠をチェルノブイリ原発事故との比較や世界保健機関、国内外の研究論文などで検証した上で、国連科学委の見解に理解を示した。
 一方で「国や地方自治体などは国際機関の評価結果の浸透に努めているが、子どもの健康影響に関する不安は根強い」と強調。その背景として研究者が「リスクは小さく容認できるとする基準」と一般社会の「リスクがゼロでなければ容認できないとの認識」に事故から6年半以上たっても隔たりがあると指摘した。
 福島県が全県民を対象にした県民健康調査の集計結果を巡っても各専門家の解釈の相違があり、結論は数十年後にしか分からない点が不安に拍車を掛けているとした。
 小児甲状腺がん発見のために超音波診断を大規模実施した結果、過剰診断や異常が早期発見された子どもと家族の精神的負担も増しているとする課題も提起。
 被検者の子どもや家族へのケアの重要性を訴え「誰のため、何のための検査なのかという原則に立ち返り、医療倫理面からも調査の在り方について議論を深める必要がある」と提言した。
 日本学術会議は放射線防護・リスクマネジメント分科会が15年1月~今年7月に議論し、「子どもの放射線被ばくの影響」「放射線の影響をめぐるさまざまな見解」「提言に向けた課題の整理」の3点について9月に報告書をまとめた。
 同分科会委員で東大大学院人文社会系研究科の一ノ瀬正樹教授(哲学)は「放射性物質で多くの人が不安になったのは事実で、国連科学委の報告書には不安を抱きながら事故後をどう生きるのかという視点が欠けている。専門家は丁寧に説明し、国民全体で考えることが大事だ」と話す。

 「不安を抱きながら事故後をどう生きるのかという視点」というのは、なるほどと思う。そこに立った、対処こそ必要なのだと痛感させられる。なかったことのように、不安を軽視し、安全を強調するのは、やっぱりまちがいだと思う。

都内公立小中校の不登校過去最多

 最近、忙しくって、世の中でおこっているさまざまなことをきちんと、考えることができなくなっている。たとえば、これ。

都内公立小中校の不登校過去最多(NHKニュース)

 昨年度、東京都内の公立の小中学校で、不登校だった子どもは1万1300人あまりと、過去最多となったことが都教育委員会の調査でわかりました。
 東京都教育委員会によりますと、昨年度、公立の小中学校で病気と経済的な理由を除いて30日以上学校を欠席した不登校の子どもは、小学生が全体の0.52%にあたる2944人、中学生が全体の3.6%にあたる8450人で、いずれも同じ基準で調査を始めた平成10年度以降、最も多くなりました。
また、年間90日以上と長期間欠席した子どもは小学生が1513人、中学生が5538人で、中学生では不登校全体の65.5%を占めました。
 主な要因としては、友人や教職員との関係の問題や、学業の不振があげられていますが、学校や教育センターなどで、相談や指導を受けていない児童や生徒はあわせて1436人いたということです。
 東京都教育委員会は「学校外での居場所作りを支援するほか、子どもたちの状態を正しく理解するための手引きを作成するなど、不登校の子どもを増やさないように教育現場をサポートをしたい」としています。

 行政の調査と言ってしまえばそれまでだけど、いったい東京の、そして全国の学校現場で難がおこっているのか。選挙などでも、なかなか争点にならないのだけど、かなり深刻なことが、さらに進んでいて、軽視できない感じがする。

 東京で言えば、こんな調査の発表もあった。
平成29年度「児童・生徒の学力向上を図るための調査」の結果について
 学力競争の激化、学テ体制は東京でも激しいし。
 そして
東京都公立学校教員勤務実態調査の集計について(速報値)
 教員の働き方が、そもそも過労死レベルの労働を前提につくられているということが、行政の調査で提示されたわけだから、一刻も放置できない。
 さらに、これら一連のことがどう関連しているのか。いろいろ考えることが必要な材料である。

2017/11/10

2017年11月10日の新聞社説

《朝日新聞》
米中首脳会談 「協調」演出に潜む懸念
出国税 あまりに安直で拙速だ

《読売新聞》
トラック運賃 サービス労働を防ぐ新ルール
米中首脳会談 「北」への危機感にズレがある

《毎日新聞》
トランプ・習近平会談 非核化への責任を果たせ

《日本経済新聞》
財政規律欠く補正予算のバラマキ避けよ
がん免疫療法の普及へ道筋を

《産経新聞》
韓国の晩餐会 愚かさにも限度があろう
米中首脳会談 動かぬ習主席に失望した

《東京新聞》
外国人実習生 介護担える働く仲間に
米中首脳会談 確実な「北」制裁実行を

 米中首脳会談。うーん、この2つの国の2人だけをみていると、世界はかわらないなあと思ってしまうけれども。だけど、この2つの国がいま世界のなかで、どんな位置にあり、どのような課題が突き付けられているのかということを考えるということが大事なのだろうなあ、とも思うけどなあ。

<山形大パワハラ>センター長「偏差値40」連呼 職員組合が暴言・書き置き公表

 山形大の事件も、あまりにもひどすぎる。

<山形大パワハラ>センター長「偏差値40」連呼 職員組合が暴言・書き置き公表(河北新報)

 山形大xEV飯豊研究センター(山形県飯豊町)の職員3人が今年3~5月、センター長の男性教授からパワーハラスメント(パワハラ)を受けたとして相次いで退職した問題で、同大職員組合は9日、センター長が職員に残したとされる侮辱的な書き置き類4枚の画像を公表する一方、職員に浴びせていた暴言の内容を明らかにした。職員は組合を通じ、大学の公式な謝罪を求めているという。
 組合によると、4枚は昨年9月ごろ、職員の机の上に置かれるなどしていた。いずれもセンター長の筆跡とみられ、このうち一つはコピー機選定について「誰が選んだ」「ボケが!!」「遅くて使えん」と書き殴られていた。
 さらに、筆記具がそろっていないとして職員を「役立たず」と罵倒する書き置きや張り紙の位置が悪いと叱責(しっせき)する書き込みもあった。
 職員はこのほか、センター長から繰り返し人前で「偏差値40 偏差値40」と言われ、傷ついたと組合に相談していた。職員は、苦痛を感じたセンター長の発言を可能な限りメモしていたという。
 職員は昨年9月、学内のハラスメント防止規程で定められた窓口に相談した後、雇い止めに遭っており、組合はセンター長による「報復の可能性」を指摘。職員は「大学が何の謝罪もしていないのは許せない」と話しているという。
 飯豊研究センターでは、はさみを投げ付けられたとする訴えや、退職で生じるセンターの損失を穴埋めするよう多額の寄付を迫られたという声が、退職した職員たちから上がっている。
 山形県庁で記者会見した職員組合の品川敦紀執行委員長は「書き置きの画像や『偏差値40』という暴言はパワハラの一端を示す証拠の一部。名誉棄損(きそん)であることは明確だ」と批判した。
 センターでパワハラ被害の訴えが続出していることについて、小山清人学長は10月5日の定例記者会見で「パワハラがあれば処分している。処分はしておらず、パワハラは把握していない」と述べていた。

 たしかに大学という職場は、おどろくほどパワハラは多い。密室性みたいなものもあるし、研究者には、なかなかそういう関係性のうえで、いろいろあったりもするし。だから、かなり自覚的にこうした問題に向き合っていかないと、ほんとうに、泥沼のように事件が続く。非正規職員が増大している職場だけになおさら。
 だけど、ものすごく気になるのは、こうした産学協同でつくられている組織というのは、そもそも、組織の実相がよくわからないところがあること。大学のホームページにも、このセンターについては、ほとんど掲載されていない(https://www.yamagata-u.ac.jp/jp/search/?query=%E9%A3%AF%E8%B1%8A%E7%A0%94%E7%A9%B6%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC&submit=%E6%A4%9C%E7%B4%A2
 大学の自治とかともまったく無関係にあるのかなあ。そういうところの存在というものをどう考えるのかなあ。なども、気になるところなのではあるのだが。

新聞記者

51l8dva8kl はじめて望月さんを知ったのは、軍学共同にかかわるシンポだったと思う。鋭く、かつ、づけづけ質問する人がいるなあと思った。そして、いまや、もっとも輝いている記者になっている。すごいなあ。でも、彼女、日歯連事件を含め、ほんとうに調査取材を続け、スクープも連発してきた。その取材力と行動力は、やっぱりすごいし、そこには、「記者魂」がたしかに存在する。(もちろん、この記者魂と、先日のNHK過労死の問題など、働き方の問題をどう考えるのかといういまやとても難しい問題はあるが、それはまたの機会に)
 ボクらの世代は、民主的なジャーナリズムの人も、ある意味では、師匠みたいな人がいて、その人から教えられながら、チーム(組織)の中で、育っていくというのが普通だったと思うけど、もっと個人の内的な動機を核にしながら、ある意味で、個人の取り組みの中で、記者として育ってきている感じがする。そこもまた新しい世代の登場という感じもする。だから、そこから学ぶべきことも多いのだろうしなあ。その一方で、苦しみや葛藤のようなものもあるのだろうし。そういうなかで、権力犯罪をしっかり視野に入れながら、権力に対峙していく。うーん、彼ら、彼女らと、どうつながったり、とみに歩んでいくのか。などなど、いろいろ考えるなあ。


2017/11/09

2017年11月09日の新聞社説

《朝日新聞》
再エネの普及 送電線の「空き」活用を
無電柱化 技術革新で加速させよ

《読売新聞》
会計検査院報告 復興費の無駄遣いをなくそう
トランプ訪韓 「北」の孤立化で強固な結束を

《毎日新聞》
中間貯蔵施設の運用本格化 福島復興の新たな一歩に
トランプ氏の韓国国会演説 核放棄を迫る強い警告だ

《日本経済新聞》
健保の経営規律向上へ経済界は結束を
日米韓の対北連携は大丈夫か

《産経新聞》
てるみくらぶ事件 利用者守る仕組み整備を
トランプ氏演説 金正恩氏に「決断」迫った

《東京新聞》
米韓首脳会談 対話の道開く機会に
座間事件 ネットに「命の門番」を

 トランプの東アジア訪問の報道は、なぜこれほどもずれるのかなあ。ゴルフとか、皇帝とか。どこで、だれに向かって、何を話ているのか。もっと、本質をていねいに見ていかないとなあ。ひどいことが多すぎる。

46台が基地内に資材搬入 30代男性1人が拘束

 辺野古がたいへんなことになっている。沖縄防衛局は今月6日から、辺野古崎北側のK9護岸に加え、新たに辺野古崎西側のK1、N5の二つの護岸工事を開始しているのだ。砕石を波打ち際に投下する作業が確認されている。

46台が基地内に資材搬入 30代男性1人が拘束(琉球新報)

 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を巡る新基地建設で9日午前9時ごろ、海に投下するための砕石などを積んだ工事車両46台が基地内に入った。
 工事を止めようとゲート前に座り込んでいた約60人は機動隊に強制排除された。
 工事に反対する30代の男性が1人、基地内に拘束された。男性は機動隊に対し「拘束する根拠を示せ」と言い続けていたが、機動隊の隊員らは「ゲート、ゲート」と言って男性の腕を押さえながら基地内に入った。

 そもそも環境省がレッドリストに指定したサンゴ14群体が見つかり、7月に防衛局が確認した際、すでに白化が進行、9月末、専門家の助言を得る防衛省設置機関「環境監視等委員会」に報告した時、14群体中13群体が死滅していたという経過。県は、2カ月以上報告しなかった防衛局を問題視し、10月2日、工事を止め、サンゴ類の環境保全措置を県と協議するよう行政指導したにもかかわらず、防衛局は従っていないのだ。つまり政府は無法にあっても作業をすすめるという姿勢。ほんとうに沖縄には無法で対処しようとしている。そして暴力的に反対運動を排除する。
 しかしそれでも、知事が言うように、「政府は、なりふり構わず埋め立て工事の着手という既成事実を作ろうと躍起になっておりますが、半年以上をかけたK9護岸の進(しん)捗(ちょく)が約100メートルで止まっており、計画されている護岸総延長の約1・2%にすぎない状況であります。今回、2カ所の護岸への着手も、工事が進んでいるように見せかけているだけであり、二度と後戻りができない事態にまで至ったものではありません」のだ。
 「私は辺野古に新たな基地を造らせないという県民との約束を実現し、辺野古・大浦湾の世界的にもまれな生物多様性と自然環境を子や孫の世代に受け継ぐためにも、あらゆる手法を適切な時期に行使し、これからも全力で戦う考えであります」という知事の決意を支持する。

「子どもの貧困」を問いなおす: 家族・ジェンダーの視点から

51sv1qofpjl_sx350_bo1204203200_ やっと、読み終えました。津富先生は、「この本は切れてる 特に第二部までは目の覚めるよう」と書いていたけど、ほんとうにそう。ものすごく刺激をうけた。湯沢さんの、貧困対策と教育、家庭の位置づけの議論からはじまって、なぜ「子どもの貧困」を問うのか、新自由主義をとうフェミニズムの役割をしてきする藤原さん、どこに貧困があるのかを実証的にあらためて押さえないしおししながら、その対策を提起する阿部さん……。後藤さんたちの議論を踏まえながら、アンデルセンの議論とむすびつけて、家族主義を問いかける蓑輪さんの議論も教えられたし、実際の家族の実相をどう把握するのかという点で、丸山さんや鳥山さんの議論はたくさん教えられた。三部だって、おもしろく、刺激的。DVと貧困の関係をどう考えるかの吉中さんの議論はなるほど。それにつづくジェンダーの議論は、実際にはどんな選択(の困難)があるのかを考える論考や、ケヤに封じ込められるその実態との隣接の問題なども、考えさせられる。そして、この本を送ってくれた杉田さんが、ずっと対象の女性たちと自分との間にあるものにこだわりながら、性的サービス労働へのまさざしを問い、彼女たちの自立を考える姿勢にあらためて頭なさがったのです。ものすごく勉強もしたくなる本だと思います。

2017/11/08

2017年11月08日の新聞社説

《朝日新聞》
ユネスコ 米国の脱退は無責任だ
ロシア革命 世紀を越えて問う足跡

《読売新聞》
連続青酸死死刑 裁判員の負担は大きかった
介護報酬改定 家事援助の見直しが必要だ

《毎日新聞》
終わらぬ日銀の異次元緩和 長期化の弊害を直視せよ
高止まりする若者の自殺 座間事件は私たちの問題

《日本経済新聞》
国も企業も歴史的株高を成長につなげよ
サウジ皇太子の危険な賭け

《産経新聞》
FRB議長指名 「正常化」の仕上げ着実に
高等教育の無償化 学力と意欲で絞り込みを

《東京新聞》
COP23 大切なステップだから
3%賃上げ要請 目的はよしとしても…

 座間の事件はやっぱり気になるなあ。若者の自殺との関連も。高等教育だとか、幼児教育の無償化は、どんどんひどいその正体があきらかになりつつあるのだけど。しっかりした、議論を、きちんとしめさないとなあ。引き続きがんばらないとなあ。

2017/11/07

2017年11月05日から11月07日の新聞社説

2017年11月05日
《朝日新聞》
政治の可能性 「そんなもん」を超えて
《読売新聞》
技能実習法施行 監督強化で制度の適正化を
習氏の対日政策 関係改善へ指導力を発揮せよ
《毎日新聞》
トランプ歴訪と北朝鮮問題 危機の打開は国際協調で
《日本経済新聞》
100年に1度の変革に挑む自動車産業
農漁業改革の手を緩めるな
《産経新聞》
津波防災 「迷わず避難」を次世代に
TPP11 この機を逃さず合意図れ
《東京新聞》
週のはじめに考える ロシアはどこへ行く

2017年11月06日
《朝日新聞》
黒髪指導 生徒の尊厳を損なう愚
株価上昇 日銀の買い入れ再考を
《読売新聞》
監査制度改革 企業会計不正の防止に生かせ
首相賃上げ要請 高い目標に見合う政策が要る
《毎日新聞》
ロシア革命から100年 強権統治という負の遺産
教育無償化の議論始まる 場当たりでは無理を生む
《日本経済新聞》
パリ協定のルールづくりで存在感示せ
日本の映像産業を育てるには
《産経新聞》
危険運転致死傷罪 常識に沿う不断の改正を
3%賃上げ要請 脱デフレの正念場迎えた
《東京新聞》
東欧の右傾化 分断の再現はごめんだ
朝鮮通信使 「誠信交隣」に学びたい

2017年11月07日)
《朝日新聞》
日米首脳会談 中ロ巻き込む外交を
座間の事件 救いの手をネットにも
《読売新聞》
日米首脳会談 強固な同盟を対「北」で示した
《毎日新聞》
北朝鮮めぐる日米首脳会談 試される非核化の構想力
《日本経済新聞》
日米主導でアジア安定への道筋を
《産経新聞》
日米首脳会談 同盟の絆で国難突破せよ 中国念頭に海洋戦略一致も大きい
《東京新聞》
米大統領のアジア歴訪 戦略的外交を展開せよ


助け合いたい~老後破綻の親、過労死ラインの子~

61zgvk1w8il_sx357_bo1204203200_ とっても重いテーマなので、買ってから、なかなかページを開けなかった。話そのものは、「夫の介護が始まった」「働けない息子」「過労死ラインの夫たち」「実家の困窮」「再生、そして…」と進んでいく。その展開は、貧困が、だれもが陥る可能性のある、どこにでもあることを教えてくれる。だからこそ、重いのだけど。登場人物たちが、みなさん真面目で、誠実であることが、逆に気になったりするのだけど、家族の問題を沈殿させないために、何が必要なのかを考えないといけないなあ。そして、事例的には、さらにさまざまな実態の側面もあるから、もっといろいろ多面的に考えることも必要なのだと痛感させられる。相方が、北海道に持って行ったけど、学生さんたちは、手にとってくれるだろうか。いろいろな議論が、そこからはじまってくれればいいなあと、強く思うのだけどなあ。


2017/11/04

2017年11月04日の新聞社説

《朝日新聞》
宗教改革500年 言説と技術で動く歴史
大統領訪日へ 「日米蜜月」だけでなく

《読売新聞》
糖尿病1000万人 生活習慣の改善で予防しよう
新FRB議長 政策継続を期した堅実な人選

《毎日新聞》
朝鮮通信使が世界の記憶に 尊重しあう姿勢学びたい
トランプ政権のFRB人事 中銀の独立性は大丈夫か

《日本経済新聞》
政策正常化へ重責負う次期FRB議長
電力自由化の成果検証を

《産経新聞》
NY車突入テロ ISの誘い遮断へ全力を
ユネスコと日本 国益守る主張ためらうな

《東京新聞》
博物館へ行こう! 動植物、化石も文化だ

 アメリカで、思いもよらぬことが政治の上で次々おこることの背景には、このアメリカの経済危機というものがあるのだろうし、そのもとで、FRBは何をやってきたのかは、それはそれで重要な問題なのだろうなあ、とは思うが。何もしらんなあ。この問題は。くそ。

韓国大統領「日米韓軍事同盟は望ましくない」 対北朝鮮

 うーん。日本はなあ。

韓国大統領「日米韓軍事同盟は望ましくない」 対北朝鮮(朝日新聞)

 韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は3日、北朝鮮危機に対応する日米韓3カ国の協力について「北の核とミサイル挑発に対応する上で重要であり、更に緊密になるべきだ」と述べる一方、「3国軍事同盟の水準に発展することは望ましくない」と語った。大統領府が、シンガポールメディアのインタビューでの発言として発表した。
 文氏は「日本が北の核を理由に軍事大国化の道を進めば、ASEAN(東南アジア諸国連合)国家との関係でも望ましくない」とも語った。一方で、「韓国の安保にとって、韓米同盟が何よりも重要だ」とも強調。トランプ米大統領の訪韓について「韓国民を安心させ、半島の緊張を緩和する効果がある」と述べ、米韓首脳会談で軍事的選択よりも対話に向けた協議を進めたい考えを示唆した。
 また文氏は中国との関係について「経済だけでなく、北の核問題を平和的に解決する戦略的協力でも非常に重要になった」と述べた。中韓両国は10月31日、関係改善を巡る共同文書を発表。その際に、中国は日米韓協力が軍事同盟に発展することへの懸念を表明していた。

 「米韓首脳会談で軍事的選択よりも対話に向けた協議を進めたい考えを示唆した」というところが、すごいわけで。そういうことを、しっかり、日本もできればいいのになあ。日本はなにしろ、トランプと蜜月で、力による……というわけだからなあ。だんだん、どんどん、危なくなる。

関東大震災「検見川事件」 デマで県出身者犠牲 識者「今につながる差別」

 この問題を、地方紙が、自らの地域の問題として、重ねて論じるのは、とっても大事な視点だよなあ。沖縄への差別と重なるこういう事件があったと。

関東大震災「検見川事件」 デマで県出身者犠牲 識者「今につながる差別」(琉球新報)

 1923年9月1日に発生した関東大震災の直後、「朝鮮人が井戸に毒薬を入れた」などのデマを信じた自警団らによって、朝鮮人らが殺害された。当時の新聞記事によると、その中には沖縄県出身者も含まれていた。千葉県内で3人が犠牲になった「検見(けみ)川事件」だ。この事件に詳しいジャーナリストらは、デマや殺害の背景に「差別」を読み取り、現在、沖縄が置かれている状況とも重ね合わせる。
 検見川事件は大震災発生から4日後の23年9月5日、現在の千葉市内で発生した。同年10月17日付「報知新聞」によると、犠牲者は「沖縄県中頭郡潰太村 儀間次郎(21)」ら3人となっている。東京から避難の途中、地元の青年でつくる自警団員30人余りに囲まれ、こん棒や日本刀で「めちゃめちゃに惨殺」されたという。
 伊江島出身の島袋和幸さん(69)=東京都=は30年ほど前から検見川事件を調べてきた。犠牲になった3人は沖縄、秋田、三重の出身だった。自警団に捕らえられた際、言葉のなまりから朝鮮人と決めつけられたと分析する。
 島袋さんは新聞記事にあった「潰太村」を「北谷町桑江」と推測し、周辺で聞き取り調査を行った。しかし、手掛かりはつかめなかった。大震災から94年がたち、事件の存在そのものが忘れられていく中、島袋さんは「事件から学ぶことがあるのではないか」と学習会を企画した。
 3日、那覇市のなは市民活動支援センターで開かれた学習会では、ジャーナリストの安田浩一さん(53)=千葉県=が講演した。検見川事件について最近、雑誌に執筆した安田さんは「事件は『昔の話』では片付けられない」と指摘する。「デマを支えたのは差別だ。今も在日コリアンや沖縄に対する差別があり、つながっている。社会を壊さないために差別を否定し、声を上げる必要がある」と強調した。

 決して、過去の問題ではないわけで。これだけ、差別的言説が広がっていて、しかも、かつてと同じように、それをうえから政治(当時は軍や警察)が、それを推進する。そして、その差別は、朝鮮人に対するものにとどまらず、思想弾圧や、他の人々への差別と重なっている。そういうことを今の問題として、考えなければいけないよなあ。

2017/11/03

2017年11月03日の新聞社説

《朝日新聞》
補正予算 また「抜け道」なのか
名著ふたたび 混迷の時代だからこそ

《読売新聞》
座間9遺体発見 異常犯罪が映すSNSの危険
世界の記憶 「慰安婦」の政治利用を止めよ

《毎日新聞》
日本版GPS本格運用へ 新産業を導くインフラに
文化の日の改称運動 復古主義と重なる危うさ

《日本経済新聞》
患者本位の効率医療に役立つ診療報酬に
地銀は収益構造の転換を急げ

《産経新聞》
トランプ氏の来日 今こそ同盟の真価発揮を

《東京新聞》
憲法公布71年 平和主義は壊せない

 今日は憲法発布の日。それが明治の日の。ことしは、トランプで慌ただしいなあ。そして憲法がこれだけ危ういというのに。

内閣支持52%、不支持40%…読売世論調査

 続いて、読売新聞。

内閣支持52%、不支持40%…読売世論調査(読売新聞)

 読売新聞社は、第4次安倍内閣の発足を受け、1日夕から2日にかけて緊急全国世論調査を実施した。
 安倍内閣の支持率は52%で、衆院選直後の前回調査(10月23~24日)の52%から横ばいだった。不支持率は40%(前回37%)。
 政党支持率は自民党42%(前回43%)、立憲民主党14%(同14%)、希望の党5%(同5%)などの順で、無党派層は25%(同24%)だった。

 

 ほかにも、「野党再編について聞くと、『立憲民主党を中心に再編する』35%、『再編する必要はない』32%、『民進党出身の議員が再び一つの政党にまとまる』13%、『希望の党を中心に再編する』10%の順となり、意見が分かれた。年代別では、50歳代以上で『立民党中心』がトップを占める一方、40歳代以下では『必要はない』が最多。無党派層では『立民党中心』と『必要はない』が各34%で並んだ。 自民党に対抗する野党連携のあり方は『共産党を除く野党が連携した方がよい』が32%、『共産党を含む野党が連携した方がよい』が30%、『野党が連携する必要はない』が28%だった。立民支持層では『共産党を含む野党が連携』が50%に上った」。これは、興味深いなあ。

 「安倍首相が重視する北朝鮮問題に関連し、国際社会が北朝鮮との対話と圧力のどちらを重視すべきかと聞くと、『対話重視』48%が『圧力重視』41%を上回った。同 様の質問をした今年2、7、9月の各調査では『圧力』が多かったが、逆転した。今回調査では、男性で『圧力』50%が『対話』42%を上回ったが、女性は『対話』53%、『圧力』33%となった。内閣支持層では『圧力』、不支持層では『対話』が多数派だった」。これも、相当、興味深い。

9条自衛隊明記、52%反対 総裁3選は51%望まず

 世論調査がいくつかでた。まずは共同。

9条自衛隊明記、52%反対 総裁3選は51%望まず(東京新聞)

 共同通信社が第四次安倍内閣の発足を受けて一、二両日に実施した全国緊急電話世論調査によると、憲法に自衛隊を明記する安倍晋三首相の提案に反対は52・6%で、賛成38・3%を上回った。内閣支持率は49・5%で、九月二、三両日の前回調査に比べて5・0ポイント増加。不支持率は38・3%。首相(自民党総裁)が来年秋の総裁選で三選を果たして首相を続けてほしいは41・0%。続けてほしくないは51・2%だった。
 首相の下での憲法改正に50・2%が反対、賛成は39・4%だった。首相は一日の会見で、改憲に関し、自民党内で具体的な条文案の策定を急ぐ考えを示したが、国民の理解が広がっていない実態が明らかになった。
 衆院選で与党が三分の二議席を確保し、政権を維持した選挙結果について、よかったは32・5%、よくなかったは28・7%だった。どちらともいえないは37・4%。
 二大政党による政権交代について、実現する状況になった方がよいと思うが56・2%で、思わないの35・2%を大きく上回った。
 野党連携の在り方を尋ねると、「できるだけ多くの野党が一緒になり、政権交代を目指す政党をつくる」19・3%、「それぞれの党を維持した上で、協力して与党に対抗する」37・8%、「政策課題ごとに与党に是々非々で対応する」34・9%と回答は割れた。
 安倍内閣が優先して取り組むべき課題を二つまで尋ねたところ、「年金・医療・介護」が42・5%で最も多く、「景気や雇用など経済政策」39・6%、「子育て・少子化対策」31・5%と続いた。「憲法改正」は6・8%で八番目だった。



 実は、世論調査の質問なんて、じつにいい加減なんだけど、そこから、何に注目するのかが大事か。

2017/11/02

2017年11月02日の新聞社説

《朝日新聞》
安倍新内閣 謙虚というなら行動で
学び直し 大学の針路探る機会に

《読売新聞》
第4次安倍内閣 少子化対策の実効性が肝心だ

《毎日新聞》
座間で9人の遺体発見 現代の闇に戦慄を覚える
第4次安倍内閣が発足 「国会に連帯責任」自覚を

《日本経済新聞》
「丁寧な国会運営」会期だけでなく中身も
技能実習は根本から見直しを

《産経新聞》
座間9遺体事件 悪意を放置していいのか
第4次安倍内閣 緊張感保ち国難にあたれ

《東京新聞》
第4次安倍内閣発足 憲法を重んじる政治に

 ご祝儀相場感はないのが一方で、この内閣のいまおかれている位置をしめしているとは思うけど、もう一方で、その本質への批判的な指摘もまた弱いのも事実。そういう、ある意味での緊張感のなさが、支えているという面もあるのはよく見ておかなければいけない。

「生活保護バッシング」がやまない本質的理由

 さいきさんのインタビュー。どこかで、こういう企画をしなくっちゃいけないなあ。

「生活保護バッシング」がやまない本質的理由 「陽のあたる家」さいきまこさんに聞く

 どこにでもいそうな幸せな家族が、夫の病を機に貧困に陥り、周囲の偏見にさらされつつも生活保護を受給して前に進みだす過程を描いた『陽のあたる家』(2014年貧困ジャーナリズム大賞特別賞受賞)。目に見えづらい貧困の状況で将来への希望を失う子どもたちを描いた『神様の背中』など、次々と話題作を発表しています。
 苦しい状況の人々が互いをたたき合う光景がしばしば繰り広げられる、いまの日本社会。なぜ人々は不寛容になるのでしょうか? さいきさんに、お話を聞かせてもらいました。

なぜ間違った情報が広まるのか
 ――さいきさんはこれまでの作品で、思いがけず突然貧困に陥って苦しむ家族の姿、またその人たちの命が生活保護によって救われる様子を、丹念に描いていらっしゃいます。また最新刊『助け合いたい』では、「家族で助け合わねば」という“良心的”な気持ちと行動によって、老夫婦と息子や娘が、どんどん悪い状況に追い詰められていってしまう様子を伝えています。最初はなぜ、貧困や生活保護のことを描こうと思われたんでしょうか?
 離婚してシングルマザーになってしばらく後に、老後はどうなるだろう? と思って老齢基礎年金を調べたら、驚くほど少ない額でした。「これでは生きていけない、どうしよう」と不安でノイローゼになりかけたとき、生活保護のことを知って、「どうしようもなくなれば、これがある」と思い、救われたことがありました。
 ところが2012年、人気お笑い芸人の親御さんが生活保護を受けていることが連日報道され、バッシングが起きました。でも調べてみたら、親御さんは正規の手続きを踏んで受給していたし、ご本人も一定額の仕送りをしていて、不正受給でもなんでもなかった。なのにマスコミも一部の政治家も「生活保護は不正だらけ」「受給は恥ずかしいこと」というメッセージを発し、生活保護制度そのものや受給者のことをたたき続けました。
 「このままでは世間はずっと生活保護を誤解したままだ」と思い、将来の自分の備えのためにも、生活保護制度の仕組みや、受給者の姿を漫画で描こうと思ったんです。……

 『「子どもの貧困」を問いなおす: 家族・ジェンダーの視点から』も、3分の2までいったぞ。だいぶ深まってきた。引き続き、いろいろ深めて、次の企画を考えないと。少し、生活保護について、調べてみる。

元脱走米兵が見た辺野古 基地内から出てくる機動隊に衝撃 「日本政府が向いているのはどっち?」

 やっぱり、いろいろ考えさせられる記事だなあ。脱走兵に対しては、日本でも支援の運動があったなあ。

元脱走米兵が見た辺野古 基地内から出てくる機動隊に衝撃 「日本政府が向いているのはどっち?」(沖縄タイムス)

 1日、沖縄県名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブに向かって、1人でブーイングする男性がいた。ベトナム戦争に反対し、脱走した元米兵のクレイグ・アンダーソンさん(70)だ。「軍事力を誇示しても自国の平和は守れない」が持論で、基地を強化すれば周辺の国々を緊張させ、緊張が長く続けば核戦争につながると考える。世界各地に170カ所以上もの基地を持つ米国と、自衛隊だけでは足りないから米軍の力も必要だと信じる日本政府に「一体どこまで持ちたがるのか」と顔をしかめた。
 脱走したのは20歳の時。米軍横須賀基地に停泊中の空母から逃れ、市民団体の手引きでスウェーデンに渡った。来日はそれ以来となる。辺野古での抗議活動は道向かいから見守った。
 衝撃を受けたのは機動隊が基地外ではなく、中から出てきて座り込みを中止させたこと。「日本政府は市民ではなく、米軍の方を向いている」と感じた。
 抗議する住民、警察官、埋め立て資材を運ぶダンプカー運転手それぞれの表情を見て、「ここにいるみんなが不幸な気持ちだと思う。とはいえ、座り込む以外に抗議の仕方が見つからないのも分かる」と戸惑った。
 米国民の間ではイラク・アフガン戦争が14年続き、厭戦(えんせん)ムードが漂う。軍事費は国家財政を大きく圧迫している。「だからきっと、米軍基地はこの先長くは続かない」。ブーイングをした手を、祈るようにペットボトルのお茶へ添えた。

 「日本政府は市民ではなく、米軍の方を向いている」は痛烈だよなあ。と、同時に、いまのアメリカの現状から言って、「だからきっと、米軍基地はこの先長くは続かない」という指摘も貴重なものだよなあ。その長さは別として、本質的に続かないものなのだということなのだと思う。よくよくうけとめたいと思う。

2017/11/01

2017年11月01日の新聞社説

《朝日新聞》
野党質問削減 立法府が空洞化する
朝鮮通信使 交流の記憶を未来へ

《読売新聞》
日比首脳会談 アジア安定へ米国含む連携で
南海トラフ地震 予知に頼らぬ体制作りを急げ

《毎日新聞》
民進党が参院中心に存続 「元のさや」には戻れない
トランプ選対の元幹部起訴 疑惑はますます深まった

《日本経済新聞》
金融緩和を生かす構造改革を進めよ
野党は政策の旗を鍛え直せ

《産経新聞》
南海トラフ地震 新たな対策の確立を急げ
南シナ海問題 「海洋強国」抑える外交を

《東京新聞》
ロシアゲート 捜査の突破口が開いた
広辞苑第7版 言の葉の宇宙に遊ぼう

 民進党、立民、希望をめぐるごたごたは、まだまだいろいろ続きそうだなあ。自民党と対抗していくためには、保守もふくめた共同が必要だから、いろいろおこる。だけど、大きく前進していくには、反安倍の立場を明確にしながら、無党派を結集していくしかないこともはっきりしたわけだし。そういう意味で、市民の運動が、より政治に参加していくことこそが、大事なのだと思うけどなあ。
 朝鮮通信使の話は、ちょっと嬉しい話。

基地負担軽減、有名無実化に 沖縄に日本版海兵隊 政府検討、米軍移転後に

 嘉手納へのFA35がはじまって、ますます、沖縄の基地負担の増大がすすんでいるわけだけど、それに加えて、次のような話もはじまっている。

基地負担軽減、有名無実化に 沖縄に日本版海兵隊 政府検討、米軍移転後に(琉球新報)

 防衛省・自衛隊が来年3月に新設する陸上自衛隊の「水陸機動団」を沖縄県の米軍キャンプ・ハンセンにも配備する方向で検討していることが31日分かった。複数の関係者が明らかにした。2020年代前半に在沖縄米海兵隊約8千人がグアムなど国外に移転することをにらみ、次期中期防衛力整備計画(中期防)に盛り込むことを目指している。ハンセンに自衛隊が配備されれば、海兵隊移転による「沖縄の基地負担軽減」は有名無実化する。地元合意もなく県民の反発は必至だ。
 防衛省関係者によると、日米両政府が8月、外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)の共同発表で、南西諸島を含めた自衛隊の態勢を強化するため、基地の共同使用促進を再確認したことを受け、ハンセンなど在沖米軍基地の共同使用に向けた協議を開始した。
 日米両政府は06年5月に合意した米軍再編ロードマップ(行程表)で、ハンセンについて「陸上自衛隊の訓練に使用される」と明記。既に自衛隊による訓練数が増加しているが、在沖米海兵隊の国外移転により運用に空きができる。そのため自衛隊の使用増加が可能になるとみられている。
 水陸機動団は「日本版海兵隊」と呼ばれており、離島奪還作戦などへの対処を目的とする。オスプレイを導入することが決まっており、県内離島での訓練も見込まれている。
 来年3月に約2100人で編成し、長崎県の相浦(あいのうら)駐屯地に2個連隊が配備される。当初計画では約3千人、3個連隊を新設する予定となっており、残る1個連隊の配備先としてハンセンが検討されている。
 ただ、防衛省は3個連隊目を新設するかを決定しておらず、流動的な部分も残る。また米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設など、米軍基地建設に反対する県民感情を踏まえ「難しいのではないか」(同省関係者)との声もある。

 沖縄から米軍が移転していっても、そこに自衛隊が入れば……。基地負担はかわらないではないか。むしろ、自治体を含めた、負担は、大きくなることもありうるではないのか? 沖縄のたたかいは、続くなあ。

 ところで、FA35については、こんな記事もある。
 最新鋭のF35、部品不足深刻 米監査院報告、高額費用にも警鐘。安全性もいろいろ。

消費税配分、見直し提言=教育全面無償化に反対-財務省

 いやはや、すごいねえ。この財務省という役所は!

消費税配分、見直し提言=教育全面無償化に反対-財務省(時事通信)

 財務省は31日の財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の分科会で、都道府県の収入となる消費税収の配分ルール見直しを提案した。安倍政権が掲げる教育無償化政策に関しては、高等教育の全面無償化に反対する考えを示した。
 国は現在、8%の消費税を一括徴収した上で、1.7%分を地方に振り向けている。都道府県への配分のうち75%は、各自治体内の事業者の売り上げに応じて決まる。しかし、大都市周辺の住民が地元ではなく、東京や大阪など大都市で買い物をするケースは多く、地方消費税は大都市に偏る傾向が指摘されている。財務省は今回、売り上げではなく人口を重視することを提言し、税収が集中する現在の仕組みの是正を迫った。
 財務省は自治体の「貯金」となる基金残高が過去最高となっていることも問題視し、地方創生関連事業費が積み残されている可能性を指摘。地方交付税交付金の算定基準となる地方財政計画の見直しも求めた。
 教育関連では、安倍政権が衆院選公約に掲げた幼児教育無償化について、保育料の値上げを助長しないよう留意すべきだと強調。大学など高等教育に関しては、全面無償化すれば「高所得世帯にも受益が及び、(所得)格差はかえって拡大するため、適切ではない」と提言する一方、定員割れ大学に対する私学助成金の減額方針も示した。

 これまでもおこなわれてきたものだろうが、資料をだして、財政上の問題を指摘するなどは、その内容についての是非は別としてわからないことはないけど、そもそも、政治の政策判断について、意見をこういう形で言うなんて。しかも、教育無償化への反対や、社会保障の抑制などかなり踏み込んだ内容で言っているのだもの。いったい財務省は何様だろうねえ。これもまた、日本の政治の一側面であるのだろうが…。

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