労働者階級の反乱 地べたから見た英国EU離脱
ブレイディ みかこさんの本、やっぱりおもしろいなあ。ボクのイギリスへの知識は、ボクが世界にさまざまな問題について、関心をもつようになったのは、すでにイギリス病ということが日本でいわれてずいぶんたっていたし、ほぼサッチャー以降だろうなあ、ということで、一通りに知識があっただけで、やっぱり薄っぺらい理解だったなあと思わされる。
全世界を驚かせた2016年6月の英国国民投票でのEU離脱派の勝利。ブレグジットについては関心は高いし、そのことについて、海外では「下層に広がった醜い排外主義の現れ」とする報道が多かったりもするわけだけど。実は、
イギリス国内では「1945年以来のピープル(労働者階級)の革命」と評す向きも多いそうだ。そのことを考えようというのが本書。実際に、離脱に賛成した白人労働者の声、実態をていねいに取材する。そこから、白人労働者のとはどういう人たちかということをうかびあがらせる。そして、その労働者たちの歴史をふり返る。これがおもしろい。世界で最初に産業革命を経験し、最初に労働運動が始まった国イギリス。そこでは労働者たちこそが民主主義を守ってきた。そこへの誇り。そして、ブレグジットが、グローバル主義と緊縮財政により社会のアウトサイダーにされつつある彼らが投じた怒りの礫だったというのなら、実際に存在する分断をどうのり越えていくのか。移民である著者が、白人労働者の生の姿を紹介するのがおもしろい。そこにあるイギリスの現代史のおもしろさ。やっぱり勉強せんなあかんなあ。『ピープル』もぜひ読んでみた。コービンやサンダースのCOはどぶ板というのも面白い。
同時に、日本やアメリカとの共通性と、差異をどうつかむのかということもいろいろ考えさせられる。いまの社会をつかんでいくうえでは、もっといろんなことを知らなければいけないし、そうしないと本当の論点はわからない。自分の論点の設定や理解がいかに一般的で、浅いことかということを痛感させられるのだけどなあ。
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