火葬を前に婚約者が指輪 NHK記者、結婚間近に過労死
NHKの過労死事件の真相がだんだん明らかになりつつある。やっぱり、企業というものは、こういうものだ。だからこそ、厳しい規制と監視が必要なのだけれども。
火葬を前に婚約者が指輪 NHK記者、結婚間近に過労死(朝日新聞)日本放送協会(NHK)の記者だった佐戸未和(さど・みわ)さん(当時31)が4年前に過労死していた問題で、佐戸さんの両親が13日、東京都内で記者会見を開いた。
「かけがえのない宝、生きる希望、夢、そして支えでした。娘亡き後、私の人生は百八十度変わり、心から笑える日はなくなりました」。母は娘を失った悲しみを口にした。
「未来に平和を」という意味を名前にこめた。3人きょうだいの長女で、弟や妹の面倒をよくみる孝行娘だったという。05年にNHKに入局。鹿児島放送局での勤務を経て、10年に東京・渋谷の首都圏放送センターに異動した。亡くなった当時は東京都庁の記者クラブに在籍。5人の担当記者の中で佐戸さんが最も若く、「人間関係が希薄だ」とぼやいたこともあったという。母は、過労死の原因の一つに「チームワークの悪さがあったと思う」と指摘した。佐戸さんは当時結婚を控えており、遺体を火葬する前、婚約者がその指に指輪をはめたという。
両親によると、死後3年間は命日の1カ月ほど前にNHK側から連絡があり、日程調整の上で弔問を受けていた。だが、今年は命日の4日前になっても連絡がなく、代理人を通じて問い合わせた後で、命日の2日後の26日に訪問があったという。当時、佐戸さんと親交があったNHK職員から過労死の事実が局内で周知されていないと聞かされた。「不名誉な案件として表に出さない方針ではないか」と疑念を抱き、今夏以降、過労死の事実を局内全体に周知するよう求めてきたという。弔問について、NHK広報局は取材に「毎年命日の後にうかがっており、ことしは7月末にご自宅を訪問した」と答えた。
会見の最後、父は集まった記者に呼びかけた。「この場に未和と同業の記者の皆さんがいらっしゃる。自分のこととして考え、未和のような過労死で亡くなるということが絶対にないようにしていただきたい」
■NHKと遺族、公表の経緯に食い違い
佐戸さんは2013年7月24日ごろ、うっ血性心不全を起こして急死。過重労働が原因で死亡したとして、14年に労災認定された。死亡前1カ月間の時間外労働(残業)は159時間にのぼった。
NHKは死後4年以上たった今月4日夜のニュース番組で、佐戸さんの過労死について発表。翌5日に開いた上田良一会長の記者会見などで、4年余りにわたって公表しなかった理由について、「代理人から、ご両親は公表を望んでいないというふうに聞いていた」と説明していた。
だが、佐戸さんの父は会見で「亡くなった当時は娘を突然失った悲しみで、公表について考えたこともなかった」とした上で、「両親が公表を望んでいないという事実はない」と反論した。両親の代理人の川人博弁護士も「私が公表しないでほしいと言ったことはない」と述べた。
NHKは「労災認定後に(佐戸さんが所属していた)首都圏放送センターの責任者がご自宅を訪問したとき、謝罪を申し上げたと認識していた」とも説明していたが、父はこれも否定。労災認定された14年の弔問の際に同センター長から受け取った文書の一部に言及し、「哀悼の意を表す(とは書いていたが)、一言のおわびも記載されていない」と指摘した。
両親はNHKの公表の方法や内容への不満も吐露した。両親によると、NHKが公表に踏み切った当日の午後も公表の時期や方法について協議していたが、打ち合わせを終えて自宅に戻ると、NHKから突然、「数社から取材があった」ことを理由にその日の夜に放送すると告げられたという。報道内容について母は、「9時のニュースで2分ほど放送しただけで、がっかりした」と話した。……
過労死というものが、どれだけ本人にとっても苦しくつらいものであるのか。残された人間にとって、どれだけ悲しいものなのか。何とも言えない思いになる。どうしても許せないし、許してはいけない。こうしたことが放置される社会を、政治を変えなくてはいけない。そのために何が必要なのか。「働き方」改革という掛け声が空々しい。政権や与党からは、その改革すらまともに論議しよう、訴えようという姿勢も感じられないのだから、よけいに。うーん。
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