若者、「大学」で青春 福祉事業組み合わせ、4年制の学び広がる
朝日配信の記事に注目。
知的障害の若者、「大学」で青春 福祉事業組み合わせ、4年制の学び広がる(朝日新聞) 2017年7月22日05時00分知的障害のある若者の学びを支える疑似的な「大学」の開設が相次いでいる。発達に寄り添い、時間をかけて学んでもらい、社会に送り出す。障害の有無にかかわらず青春を楽しみ、人生を考える時間を持ってほしいという、親や支援者の思いも後押しする。
■関心事を論文に・意欲増し生き生き
福岡市東区の「カレッジログイン前の続き福岡」で13日、知的障害のある福岡県新宮町の男性(19)がパソコンに向かっていた。自らの関心に沿って調べ、論文を発表する「自主ゼミ」の時間だ。
男性はネットゲームをテーマに選んだ。「大好きなゲームのことを勉強できて楽しい。発表も頑張りたい」。担当の小谷彰さん(35)は「1、2年目は手助けが必要だが、4年目にもなると、一人でさくさくと仕上げますよ」。
カレッジ福岡は、国の福祉制度を使って2012年にできた4年制の「福祉型大学」で、社会福祉法人鞍手ゆたか福祉会(福岡県)が運営する。学位は得られないが、現在、特別支援学校高等部を卒業した知的障害者29人が「一般教養」「文化芸術」「スポーツ」など10教科を学んでいる。
同会の長谷川正人理事長(56)は、知的障害のある次女(26)が高等部を卒業する際、もっと経験を積ませたいと留年を提案した。だが、実現せず、次女は福祉事業所で働き始めた。「進学という進路がなく、高等部では就労を意識した教育に偏りがちだ。仲間と青春を楽しみ、時に悩み、成長する時間がもっと必要だと考えた」という。
高等部の卒業者の進学には現在、特別支援学校に設置された専攻科(2年)という選択肢がある。だが、特別支援教育に携わる研究者らでつくる「全国専攻科(特別ニーズ教育)研究会」によると、知的障害が対象の専攻科があるのは全国で9校だけだ。
「もっと学ばせたい」と考える親は多く、近年は障害者総合支援法の自立訓練事業(2年間)を使って「福祉型専攻科」を設ける社会福祉法人が増えている。長谷川理事長は、これに就労移行支援事業(同)を組み合わせて4年制とすることを考えた。給付金が支給され、利用は原則無料だ。
理念は賛同を集め、15年までに長崎県大村市と東京都新宿区、北九州市、福岡県久留米市を含む5カ所に「カレッジ」が誕生した。
北九州市小倉北区の近藤和子さん(47)の長女、芹香さん(19)はカレッジ北九州の2年生。入学後は練習を重ねて一人で通学できるようになり、自信が生まれて合宿の支度も自分でやるなど意欲が増したという。和子さんは「生き生きとしている」と、娘の成長を感じている。
福岡女学院大の猪狩恵美子教授(特別支援教育)によると、高等部卒業後、職場の人間関係につまずいて離職する知的障害者が少なくない。「青年期にじっくりコミュニケーションスキルを磨き、失敗しても立ち直る経験を積ませるためには、『大学』のような時間が必要だ」と話す。…
人権(社会権)規約の13条を批准し、高等教育の無償化は大きな課題になる。ならば、それは、適格者主義ではなく、すべての人の発達保障が基礎にあるべきだ。猪狩さんが言うように、「青年期にじっくりコミュニケーションスキルを磨き、失敗しても立ち直る経験を積ませるためには、『大学』のような時間が必要だ」なのだ。専攻科の取り組みから、さらなる高等教育の保障へ! 大きな挑戦が続いているのだ!
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