風かたか 「標的の島」撮影記
「風かたか」は、「風よけ」のことだ。子どもの成長を願う母の思いを歌った古謝美佐子さんの「童神」にもその語がある。昨年の元米海兵隊員による暴行・死体遺棄事件に抗議する県民大会で、稲嶺進名護市長が、「『風かたか』になれなかった」とのスピーチをしたことからとられている。これから生きる世代が、平和に生きていけることを願い、自らが「風よけ」にとの思いが込められている。本の帯には、沖縄を日本の風よけにするのかという批判の言があるが、こっちがいいなあとボクは思う。
県民がいくら民意を示しても、沖縄では、高江・辺野古で米軍の新基地建設がすすむ。さらには宮古・石垣島も自衛隊による要塞化がすすめられている。沖縄の軍事拠点化は、まさに沖縄を戦場にすることを意味する。それは、日本全体の戦場化につながるのだから。二一〇五年から一年余の現地からの迫真のリポートである。
ただ、三上さんの思いが綴られている本でもある。それは三上さんの思いで、沖縄におこっていることは、つねに様々な面がある。政府の横暴、警察の忖度? 暴力的な抑圧。だけど、平和で、豊かな文化的なたたかい。そうしたなかで起こっていることをどう使えるのか。悔しい思いや、そこにある感動や。連帯の熱い思いや……。
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