憲法70年 “平和国家”はこうして生まれた
昨日のNスぺ。
日本国憲法の施行から70年を迎える。今、新たな資料の公開で憲法誕生の知られざる舞台裏が明らかになりつつある。
たとえば「昭和天皇実録」などの公開で浮かび上がった新事実。それは昭和天皇が敗戦直後の昭和20年9月4日、勅語で「平和国家の確立」を明らかにし、憲法改正の調査を命じていたことである。
さらに幣原喜重郎首相が戦争放棄をマッカーサーに提唱。GHQは戦力不保持の草案を作成する。しかし、GHQ草案の条文に「平和」の文字はなかった。では、どこから来たのかー。
番組では、近年、発掘された新たな資料をもとに、日本国憲法が誕生していく1年8か月を描く。
最初の天皇勅語のくだりは、おいおい天皇をめぐるこういう描き方は、いいのかというかなりの不安からはじまった。総じて、天皇への評価は? 天皇制の維持に走った支配層の動きへの評価も甘い。中盤は、よく知られた、マッカーサー・幣原会談から、1章と2章のバーターの話など。やや普通の描き方。そして、後半が帝国議会の小委員会での議論になるわけだけど。ここはそれなりに見せるところがあったけれども……。大きな戦争の違法化などへの意識があったり、国中に厭世観が広がり平和意識の背景になったことはそうだけど、だけど、そのことをふまえつつ、外務省などは、戦争の加害面をこの時点から覆い隠し、戦争を軍部の責任におしつけることをしてきている。だから、さまざまな政治的な思惑のなかで、憲法の議論がすすんでいる。だから、公表された小委員会の会議録を見ても、きっとそんなに単純なものではない。天皇制のあつかいからはじまって、そうとう右往左往があり、ときにはGHQも介入している。だから、一面的な描き方という感はぬぐえないけどなあ。ただ、おもしろかったのは、それでも、さまざまな議論が、ここではなされていること。鈴木義男と油井先生関係なども知らなかったし。
ちなみに、川村さんのこんな本がある。題して『日本国憲法はこうして生まれたー施行70年の歴史の原点を検証する』。これはなかなかいろんな資料を読みこなしていて、かつ、視野も広い。こちらをぜひ読んでほしいところだな。
« 子どもたちの階級闘争――ブロークン・ブリテンの無料託児所から | トップページ | 2017年05月01日の新聞社説 »
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- ソウルの春(2025.02.05)
- ちあきなおみ 〜喝采と沈黙の間で〜(2025.02.03)
- 「崩れゆく世界遺産 軍艦島を守れ~閉山50年 よみがえる生きた証~」(2025.02.02)
- やり直し会見、会場に400人以上 フジの体質問う質問目立つ(2025.01.27)
- 戦争のトラウマ 兵士たちの消えない悪夢(2025.01.20)
「平和」カテゴリの記事
- 産業遺産情報センター(2025.02.10)
- ICC所長、米制裁を非難 約80カ国が共同声明(2025.02.09)
- 3月号ができました!(2025.02.08)
- 森友文書の不開示決定、高裁が取り消し「有無も答えないのは違法」(2025.01.30)
- 戦争のトラウマ 兵士たちの消えない悪夢(2025.01.20)
「読書」カテゴリの記事
- 絵本作家のいわむらかずおさんが逝去 フジテレビ労組、組合員が急増 専務が労組とのやり取りで辞意表明(2025.01.23)
- いのち・人権・平和、 響きあう想いをことばにのせて 落合恵子 × 藤井克徳(2025.01.22)
- 「『オールドなもの』への敵意──左右対立の消失と新たな争点」、【詳細】内乱首謀した疑いで拘束 ユン大統領 取り調べ終了(2025.01.15)
- 孫来襲、2月号ができています。(2024.12.30)
- ハン・ガン ノーベル文学賞受賞記念講演「光と糸」(2024.12.20)
「政治」カテゴリの記事
- 産業遺産情報センター(2025.02.10)
- ICC所長、米制裁を非難 約80カ国が共同声明(2025.02.09)
- 3月号ができました!(2025.02.08)
- 3割近い公立小中校で教員不足の可能性 教頭会調査で指摘(2025.02.06)
- ソウルの春(2025.02.05)
「歴史」カテゴリの記事
- 産業遺産情報センター(2025.02.10)
- ソウルの春(2025.02.05)
- 「崩れゆく世界遺産 軍艦島を守れ~閉山50年 よみがえる生きた証~」(2025.02.02)
- 森友文書の不開示決定、高裁が取り消し「有無も答えないのは違法」(2025.01.30)
- 戦争のトラウマ 兵士たちの消えない悪夢(2025.01.20)
« 子どもたちの階級闘争――ブロークン・ブリテンの無料託児所から | トップページ | 2017年05月01日の新聞社説 »
コメント