「映像‘17 沖縄 さまよう木霊(こだま)~基地反対運動の素顔~」
MXテレビの沖縄バッシングからしばらくたつけど、もう1度、この問題の根底にはなにがあるのか、そのことを考えることが大事だと思って、このMBSのドキュメンタリーを、しっかり見てみた。
2016年夏。沖縄県北部にある東村高江地区での動きが全国ニュースで伝えられました。
米軍の新たなヘリの離着陸帯(ヘリパッド)の建設工事が進む中、それに反対する地元住民など県民たちが連日座り込みを続けていたゲートの前に大量の機動隊員が投入され、住民たちが強制排除されたのです。工事用ダンプの進入を阻止するため、住民たちがとった手段が座り込みでしたが、この日以来機動隊との緊張関係が一気に高まっていきました。
沖縄の小さなこの村に全国の府県警から機動隊員の派遣が続く中、フェンス越しに抗議していた県民にむけて、一人の大阪府警機動隊員が「ボケ、土人が」と発言。沖縄県民を辱めるものとして県内外から大きな批判を浴びましたが、一方で「そもそも住民側の暴言が原因だ」として機動隊側を擁護する声が広まりました。それに呼応するかのようにヘリパッドに反対して抗議行動をする人々を「沖縄県民はいない」「過激な暴力集団」、はては「テロリスト」呼ばわりする言葉がインターネットを中心に拡散していきました。反対派住民が「患者搬送中の救急車を止めた」という架空の話がSNS上で広げられたことが、「無法な暴力的集団」とのイメージづくりに大きな役割を果たし、東京のローカル局はそうした「風説」に沿うかたちでこの1月に番組を放送、メディアがお墨付きを与える情況になっています。
いま沖縄の新基地反対運動に対して投げかけられる、様々なことばとレッテル。
沖縄のやんばるの森で展開される運動を覆うこれらの「風説」は、虚と実がないまぜにされ、まるで木霊のように反響し、拡散されていきます。わたしたちは昨秋から沖縄・高江地区に入って住民たちの話を聞きました。「過激派」とレッテルを貼られた人に会い、「反対派住民が救急車を止めた」とSNSに発信した人物を訪ねました。そうして、さまよう「風説」の真偽を確かめて歩きました。そして見えてきたのは…
安倍政権が今国会で重要視している「テロ等準備罪」。
過去3度も廃案になった「共謀罪」が形を変え、市民の権利が制限されかねないと危惧される「テロ等準備罪」法案提出の動きが、いま沖縄を覆っている言説の背後に潜んでいるのではないだろうか…
あらためて、ネットであふれる沖縄バッシングのものすごさに、胸がつぶれそうになる。そして、沖縄の、平和への思いが、なぜにこうも、歪められてしまうのか。事実にもとづかない報道が、マスメディアにまで広がってしまうのか……。
あきらかにある、政治的な動き。儀保さんたちの思いに、同じように、悲しい、悔しい思いを、強く持つ。
だけど、なんで、こうも、そういうバッシングに、からめとられてしまうのだろうか? 実際に、おこっていることは、共謀罪をめぐる動きと重なって、「テロ対策」なるものが、いかに、住民に敵対してくるのかをまざまざと見せつけられるだけに、ほんとうにこれはただごとではないだけに。
メディアも、メディアリテラシーも、そして、ボクらの言論というものも、いま本当に問われているということを痛感させられる。そして、民主主義を踏みにじって、すすめられる沖縄の事態を決して、許してはならないのだ!と。
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