強制収容所のバイオリニスト―ビルケナウ女性音楽隊員の回想
著者のヘレナ・ドゥニチ‐ニヴィンスカさんは、1915年生まれのポーランド人。アウシュヴィッツ=ビルケナウに収容されたのはユダヤ人だけではなく、非ユダヤ系の人たちも、政治犯などが収容されていた。彼女は、自宅に反ナチス活動家を下宿させたことで、母親とともに逮捕された。アウシュヴィッツに移送された。ここが注目の1点目。
アウシュヴィッツまでの彼女たちの道のりをみると、独ソの密約による支配がもたらしたものを痛感させられる。覇権主義的な国家がもたらしたものが何であったのかの歴史の証言者でもある。これが2点目。
そして、アウシュヴィッツ=ビルケナウの女性音楽隊のこと。ナチスの収容所での音楽の役割などは、「収容所のマエストロ」のようなすぐれたドキュメンタリーもある。生きるための音楽ということはそうだけど、ここでは、囚人を送りだしたり、迎えたりするそういう音楽隊だ。もちろん、休日の音楽会、ときとして秘密の音楽会もあったわけだけど。だけど、音楽隊の人たちは、生きるには、良心の呵責に耐えて弾くほかなかったという体験だ。そして、そのため、戦後、多くの人はそのことを誰にも明かさなかった。そうした収容所での非人間的な体験や音楽隊の実態を、克明に記した回想録になっている。
重い内容を問いかける。人間とは、人間にとって自由とは、人間の尊厳とは。その問いを忘れてはいけないなあ。
« 肥田舜太郎さん100歳=広島原爆で被爆の医師 | トップページ | 2017年03月21日の新聞社説 »
「音楽」カテゴリの記事
- 遺骨はある 海底炭鉱で待つ183人(2025.10.06)
- 辺野古の抗告訴訟、住民の原告適格認める 福岡高裁 と 「奇妙な果実 怒りと悲しみのバトン」(2024.05.15)
- 籠城2日目は(2022.11.24)
- 「OKINAWA ジャーニー・オブ・ソウル」(2022.05.26)
- 強制収容所のバイオリニスト―ビルケナウ女性音楽隊員の回想(2017.03.21)
「文化・芸術」カテゴリの記事
- 在日文学の普遍性、刻みつけ 大阪で「金石範生誕100年記念シンポ」(2025.12.23)
- 遺骨はある 海底炭鉱で待つ183人(2025.10.06)
- 記録をひらく 記憶をつむぐ(2025.09.23)
- なぜ学生にもスキマバイトが広がったのか…背景にブラックバイト「泣いている学生はたくさん」と大内裕和氏 「黒川の女たち」(2025.07.28)
- 「風の声」「ドキュメント 医療限界社会 追いつめられた病院で」(2025.06.04)
「平和」カテゴリの記事
- 『あなたを忘れない 朝鮮からの満州移民』 前衛3月号ができています(2026.02.08)
- 改憲暴走も白紙委任か 自維動き急 中道「論議深化」憲法真ん中共同 共産党訴え(2026.02.03)
- 平和の外交にチェンジ(2026.02.01)
- 1年ぶりの靖国・遊就館(2026.01.29)
- 明日からは総選挙だ……。そして、今日は、恒例の記者クラブ党首討論(2026.01.26)
「読書」カテゴリの記事
- 『あなたを忘れない 朝鮮からの満州移民』 前衛3月号ができています(2026.02.08)
- きょうされんの『TOMO』1月号の「新春インタビュー 吉田恵里香 × 斎藤なを子 私の声だって、みんなの声だって、 決して消えることはない」(2026.01.21)
- 「教員の『働き方改革』はいま?」(2026.01.11)
- 2月号ができています。(2026.01.03)
- 在日文学の普遍性、刻みつけ 大阪で「金石範生誕100年記念シンポ」(2025.12.23)
「政治」カテゴリの記事
- 『あなたを忘れない 朝鮮からの満州移民』 前衛3月号ができています(2026.02.08)
- 「ママ、戦争止めてくるわ」(2026.02.07)
- 差別と分断をあおる極右・排外主義の政治に、断固として反対を貫きます(2026.02.04)
- 改憲暴走も白紙委任か 自維動き急 中道「論議深化」憲法真ん中共同 共産党訴え(2026.02.03)
- 「タックス・ザ・リッチ」 大株主・大企業応援から、国民の暮らし第一の政治に――物価高から暮らしを守り、暮らしに安心を(2026.02.02)
「歴史」カテゴリの記事
- 『あなたを忘れない 朝鮮からの満州移民』 前衛3月号ができています(2026.02.08)
- 「ママ、戦争止めてくるわ」(2026.02.07)
- 1年ぶりの靖国・遊就館(2026.01.29)
- 菊池事件の再審認めず 死刑判決下した特別法廷は「憲法違反」と認定(2026.01.28)
- きょうされんの『TOMO』1月号の「新春インタビュー 吉田恵里香 × 斎藤なを子 私の声だって、みんなの声だって、 決して消えることはない」(2026.01.21)


コメント