ただ涙を流すのではなく “分断する世界”とアウシュビッツ
BS1スペシャル。
100万人を超えるユダヤ人が虐殺されたアウシュビッツ強制収容所。その悲劇を伝え続けているのが、世界各国出身のガイドたちだ。今、ガイドたちは、大きな危機感を抱いている。移民や難民をめぐり広がる排斥の声。世界が分断を深める中で、自分たちは何を伝えるべきなのか。ただひとりの日本人ガイド・中谷剛さんも語るべき言葉に悩んでいる。揺れるアウシュビッツのひと冬を追った。ナレーションは俳優・東出昌大。
涙をながすだけではなく、考えてほしい――その重い言葉を反芻しながら見て。排外主義的な感情や空気が広がるなかで、悩みながら伝える、日本人ガイドを追う。
日本で、ボクらが加害について考えるとき。まず、被害者が、生きた1人の人間だったことからはじまる。そして、その痛みや悲しみに共感する。しかし、被害者が去り、時代が変化する中で、必要なのは、その事実を普遍化し、抽象化すること。しかし、いまの時代の流れのなかで、それでどこまで伝えていくことができるのか。そういう揺れと悩みのなかに彼もまたいる。それはまた、ボクらにつきつけられて大きな課題である。とりわけ、日本は、戦争体験に依拠しすぎてきたところがあるのかもしれない。一方で、歴史の事実を逆手に愛国に動員することは、イスラエルでも中国でもおこなわれているし、日本でも形を変えながら、突き付けられる課題でもあろう。
うーん。重いなあ。それでも、こうしたいろいろな努力の蓄積をしっかり学びながら、考えていかなければいけないとも思うなあ。
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