給食費未納 子どもの貧困と食生活格差
給食費未納の問題は、もう10年ほど前から大きな問題になってきたわけで、いろいろな議論にもなってきた。そして、埼玉のある市では、給食費未納が三カ月続いた場合「給食を提供しない」ことを決定するまでに至ったわけで。「保護者の責任の問題」「払わないなら食べるな」という意見も根深くある。だけど…。
本書は、この給食費の問題に潜む本当の問題を探っていく。そこに見える「子どもの貧困」。その実態は、子どもの成長に直結する問題。本書は、子どもの貧困をめぐる現実と制度について、ほんとうにていねいに解説する。そのうえで、給食の役割を考えるうえで、その歴史を振り返る。欠食児童対策からはじまった給食は、戦時中、子どもの体づくりという視点から広がっていく。また、当時、一部の子ども対象にすすめられたさい、スティグマにならないような配慮が、学校ぐるみでおこなわれていたことなどは驚く。いまの自己責任論の異常さも考えさせられる。そして、戦後の混乱期に欠食児童対策がすすめられ、地方を軸に、様々取り組まれていく。完全給食が実施されたたところでは、どんな成果があるのかもよくわかる。子どもの成長を支えるという点でも、同時に、子どもにとってのセイフティネットという側面からも、この給食を無償化していくことは大きな課題であることがわかる。鳫さんらしい、データが満載された、とっても使える本になっているのだなあ。
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