ルポ 貧困女子
これは思いのほか、というか、かなり面白かった。夏にお会いした時に、9月に本を出すと言っていたけど。
女性の貧困という点では、かなりしんどい話の本が多い。とりわけ性風俗との関係などが注目されがち。それはそれで、大事なテーマなんだけど、この本は、さまざまな若い女性のケースがとりあげられる。そこからうかびあがるのは多様な姿だ。そして、その多くが女性であるがゆえに、不可視化されている現状も明らかにされる。とりわけ、普通に暮らしている女性たちが多いこと。しかし、そこには、家族(福祉)依存といういまの構造のもとで、深く沈殿している貧困の姿があるのだ。そして、それは目に見える貧困とまさに裏腹にあるのだ。
なぜ、貧困がひろがるのか、そこにはやはり雇用の問題が大きい。50%を超える非正規という事態もそうだけど、たとえ正規であっても、女性にとって、不安定で厳しい状況が後半に存在する。
そして、結婚と出産のプレッシャーという点でも、女性を取り巻く環境がいま大きく変化していることも明らかにされている。生んで、働く女性像が一方でつくられ、多くの女性たちは、そこには「たどり着けない」現実がある…。つくられる、女性のなかでの分断という提起は、なるほど、いまの社会をみごとに言い当てているなあ。これはちょっと、素材にしなければいけないと思った次第。
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