ルポ 保健室 子どもの貧困・虐待・性のリアル
保健室への注目は、教育の世界では、もうずいぶん前からあったわけだけど、この本を読むと、そのありようが、さらに大きく変容していることがわかる。それは、子どもの世界が大きく変容しているということなのか。マスク依存の子どもたちからはじまって、生きづらい子どもの姿がさまざまに語られる。とりわけ、とりあげられた3人の事例は、貧困と虐待、そして、不登校、性的マイノリティと、さまざまだが、一定の期間をとおしてその事例を追うことで、子どもが何に直面し、苦しみ、どんな支援を求めているのかがよくわかるものになっている。そこから、保健室の現代的な役割、課題なども明らかになるのだかが。
だけど、保健室の現状も厳しい。チーム学校ということが言われていても、学校全体が、子どもに一致して向き合うような、運営のありようも、そして体制も保障されていないからだ。子どもが、子ども世界がこれだけ変容しているもとでは、だれがどのような専門性を発揮していくのかは、かなりしっかりした議論が必要な感じがする。だけど、実際には、個々の実践の努力によりかかっている現状がある。そのギャップをどううずめていくのか。学校も、行政も、どうあるべきなのか、相当突っ込んだ議論が求められていることを痛感させられる。そのためにも、いまある実践から学びたいものであるのだけど。
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