障がい者が学び続けるということ―生涯学習を権利として
とても素敵な本だった。障がいがある人の学びの場は、その発達を支えるとしう視点から、就学後も、高等部や専攻科づくりから、さらにいま学校卒業後の学びの場づくりへの大きく広がっている。各地の青年学級や大学のオープンカレッジ、大学づくり、福祉施設のとりくみなど多様なとりくみのレポートからは、なぜ、学びの場が必要なのか、どんな役割をはたしているのかがわかる。まさに学ぶことは、生きること。この本からは、障がい者の生涯学習は、まさに障がい者が「どう生きていくのか」の問題であること、発達保障の太い課題であることがわかる。障害者権利条約の時代、そのなかでキーワードとしての「合理的配慮」をどう実現していくのかという問題でもあること、本書で語られる当事者たちの生の声からは、そのことを含め、それがどれだけかけがえのないことであるかを教えてくれる。スポーツや愛・性など青年期の課題にも応える豊かな実践が示されていて、今後の発展の方向もしめしてくれている感じがする。
そういう生涯学習、障がい者の学習をテーマにした本であるが、いろいろなことも考えさせてくれる。ユニバーサルの大学の時代、大学も適格者主義を乗り越えることが求められるに違いない、そうしたとき、大学での障がい者の学びをどう考えるのか? さまざまな若者の困難、自立の期間がながくなるなかで、長いスパンで、若者をささえるこの障がい者の学びの経験から何を学ぶのか。そして、この実践が問いかけてきた、学校教育の在り方との関係をどう考えるのか、いろんな問題を考えるきっかけになるような本でもある。
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