なぜ母親は娘を手にかけたのか ―居住貧困と銚子市母子心中事件
うーん。読んでいて胸がしめつけられて、つぶれそうになる。この事件は、2014年9月24日におこった「銚子市母子心中事件」。離婚して、年頃の中学生の娘を抱えた母親が公営住宅に住みながら、生活苦から家賃を滞納して、県から住居を追われるという窮状に直面し、ついに愛する娘を手にかけてしまったというもの。そして、この時期、そうした経済的困難を原因とした悲しい事件が相次いだ。ちょうど、ボクは貧困のシリーズをやっていて、それをどう考えるのか、どのように社会制度を問うていくべきなのかを考えていた。
いうまでもなく、この事件は決して、特殊な事件ではなく、今日の日本社会に存在する問題が凝縮している。なによりも雇用の問題。だれだってすぐに生活が不安定になってしまうような雇用状況がそこにある。しかし、生活を支えるうえでの社会制度のなかでも、とりわけ生活の基盤とも言える住まいについての、社会制度がどれだけ貧困なのか、経済的に困難な家族を、こともあろうに、追い出し、死に追い詰めていくという住宅制度とはいったいなんなんだろうか。そして、シングルマザーの貧困は、このような事態に実際に直面している。まさに、もっとも子どもを愛し、子どもと向き合っていた母親を、このように追い込んでいく、その社会のあり方とはいったいなんなんだろうか。そこにある制度のなかでも、教育費の問題などもあらためて考えさせられる。
本書は、再発防止の方策をさぐるため、自由法曹団や、生健会、中央社保協、住まいの貧困ネットなどが調査団を結成してすすめた調査にもとづいてつくられたもの。ほんとうに、こんな社会でいいのか、を問いかけている。
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