“3.11”を忘れない61 その時、『テレビ』は逃げた~黙殺されたSOS~
3月にテレメンタリ―で放映されたドキュメントを見た。テレビ朝日と福島放送の共同制作で、原発事故のときに半径四〇キロに取材が入らなかった問題の自己検証番組だ。屋内退避指示が出された地域には物資は滞った。テレビにとどけられた膨大なSOS。そのとき、記者たちはさまざまな葛藤をもちながら、テレビは、安全を理由にその現場から「逃げた」のだ……。
東日本大震災、福島原発事故から5年。当時、福島から多数の「SOS」が様々な形で、我々に届いていた。その多くが、事故直後から、しばらく続いた「屋内退避指示区域」からの悲痛な声。そこで起きていたのは予想もしない命にかかわる混乱だった。しかし我々は、「取材者の安全確保」を理由に、福島県浜通り地域から引き揚げていた。多数の一般住民が取り残されているのに、『テレビ』は逃げてしまった。あの時、何が起きていて、なぜ“テレビは逃げた”のか。
原発事故というものの重みを今さらながら感じる。と、同時に、遅すぎるとはいえ、こうした反省をこめた番組がつくられるのは、とても大事なことだと思う。取材を再開の際の押し寄せる悲しみに、胸がつぶれる。テレビのもつ、報道のもつ役割を考えさせられる。
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