暴走する自衛隊
山口から立候補することになった(びっくりポン)纐纈さんの新著。とっても、お世話になっています。この本は、ボク的にはとってもおそしろかった。そもそも安保法が制定される過程は、まさに自衛隊の暴走にいろどられると言っていい。そのことを感じていたので、いたっとくる本。日米軍事一体化がすすむなかで、軍事の論理を優先しようとしているのがその背景。そこに、軍事大国化をめざす動きが観念的な自立志向として立ち現れる。それが、とりわけ現れるのが文官優位への攻撃であるというわけ。文民統制を理解するのは確かにむずかしい。そもそも日本国憲法は軍隊の存在を排除している。では66条をどうりきするべきなのか? くどいまでのこのような規定があるのには理由がある。それが先の戦争への強い反省。統帥権をたてに軍部の暴走は容認されていく。だからこそ、日本型の何重にもの軍の統制が模索されてきたはずだと。
そもそも、軍と民主主義は両立するのか。この重い課題を正面から考えながら、現実に存在する強大な実力装置をどうコントロールするのかを考える。一方で、9条の理想をベースに、軍事にたよらない安全保障のありようを追求しながら、現実に存在する「軍」と、どう向き合っていくのかを、理念的にも、歴史的にも考察していくのが趣向。そして、現実の自衛隊の暴走が、その軍と民主主義の両立ということから、どのように乖離しているのかを明らかにしていく。一見して、矛盾した議論だが、その矛盾をつくりだしている現実から出発して、議論を組み立てている、なかなか知恵の発揮どころを模索した議論であるのだ。選挙でもぜひがんばってほしいなあ。
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