「小中一貫」で学校が消える―子どもの発達があぶない
今年四月から、小中一貫の「義務教育学校」が、正式に法的な制度化されたことをご存知だろうか。学校教育法が改正され、その一条でいう学校に、「義務教育学校」が位置づけられたのである。そもそも、小中一貫校は、「特区」制度なども使って、全国的に増えたといわれる。すでに現在でも一一〇〇を超える小中一貫校がつくられている。ところが、その教育効果やデメリットが検証されたとは決していえず、学校教育法「改正」の際に、その口実とされた「中一ギャップ」だとか「自尊感情の低下」なども、それが必ずしも実証されたわえではないことも明らかになっている。むしろ、多くの場合、これを口実に小中学校の統廃合の口実にもなっている実態があるのだ。一方では、エリート校づくりの思惑ですすめられるというケースもある。だからこそ、そのため導入反対運動も広がっている。
この間、市民と研究者の手で「学校統廃合と小中一貫校を考える全国交流集会」が積み重ねられてきたわけだけど、その成果のうえに、本書は、大都市から過疎地まで、多様なケースについて、政策的背景を分析しながら、教育学、心理学、財政学など多角的視点から検証をすすめている。さらには、各地のケースについて、現地の運動を紹介しながら、分析している。平成の学制改革の名の下ですすめられる小中一貫だけれど、その多くの例が子どもの発達や成長不在ですすめられ、この「改革」が子どもたちをいっそう追い詰めることになりかねないものであることが、明らかになっている。
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