戦争孤児―「駅の子」たちの思い
戦後日本の平和意識の分厚さというものは、あの戦争の体験によるということは、まちがいない。たしかにそれは、植民地主義への反省=加害の責任という点では、不確かさがあるものの、この国の人々が戦争をとおして経験した苦難の大きさは、ボクらの世代には想像ができないほどのものでもある。そして、それこそが、加害や植民地支配というものとコインの裏表の関係にある人権蹂躙でもあったのだと思う。
その戦争の体験の一つに、この「戦争孤児」ということがある。70年前、戦争がきっかけで親を失い孤児となった子どもたちは12万人を超えた。「浮浪児」という言葉は、ボクの子どものころにもあったが、中には駅で生活をする孤児もいて、「駅の子」と呼ばれることもあったそうだ。つらい記憶を思い出したくないと、ほとんどはその経験を語ってこなかった。しかし、今、その孤児たちが、自らの体験を話し始めている。とりわけ戦争法制定に直面し、二度と、戦争する国になってはいけないと。京都では、孤児が中学生に直接話をする取り組みも始まっている。
本書では、その「駅の子」たちの姿を、全体像もおいながら、収容された施設をとおして調査をすすめた、何人かの孤児たちの人生を追う。「終戦は生きるための戦いの始まりだった」という駅の子たちの思いは胸に迫る。悲しみや苦難、そして出会い。戦後の児童養護の原点がそこにもある。そして、筆者の調査は、障害のある孤児たちの戦後の歩みにまですすんでいる。全然、知らないことばかりの「孤児」の物語。その発掘と継承のもつ意義は、戦争体験の継承の新たな動きとしても注目されると思う。とてもいい本だと思います。
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