自衛隊制服組、じわり政治の表に 統幕長しばしば官邸へ
ほんとうに自衛隊は「暴走」しているとしか言いようのない。政治が、軍事化することと、その政治に「軍人」が影響力をもつことは、間違いなく表裏一体のことなのだと思う。そう考えると相当これは危険なことになっている。
自衛隊制服組、じわり政治の表に 統幕長しばしば官邸へ(朝日新聞)自衛隊の制服組(自衛官)の影響力が安倍政権で強まっている。政治の表舞台である首相官邸に現れる機会が急増。防衛省では背広組(文官)との駆け引きの結果、部隊運用の権限も強めた。制服組の判断を政治が追認するだけになるのではないか。そんな懸念に政権は「文民統制(シビリアンコントロール)は確保されている」と繰り返す。
4月14日午後、自衛隊制服組トップの河野克俊統合幕僚長が首相官邸に姿を現した。黒っぽい制服の左胸には肩書を示す桜の記章。首相執務室に向かい、谷内正太郎国家安全保障局長らとともに安倍晋三首相と面会した。安全保障情勢についての説明とみられる。
河野氏は、3月18日に北朝鮮による弾道ミサイル発射を受けて緊急開催した国家安全保障会議(NSC)にも出席した。首相はその直後、一般に非公開のNSCの模様を自らのフェイスブックに投稿。椅子に座る首相の横で河野氏が身をかがめる写真を添え、「統合幕僚長から報告を受け、政府の対応を確認しました」と、制服組との一体感を強調した。
ログイン前の続き陸海空自衛隊の運用を一体化する統合幕僚監部が2006年に発足してから、首相が統合幕僚長と面会したのは少なくとも100回(23日現在、朝日新聞の「首相動静」による)。このうち、安倍首相の再登板後は76回を数える。
以前も統合幕僚長が官邸に入ることはあったが、震災対応や新旧交代のあいさつが中心。多くは防衛相や防衛省幹部(背広組)との同行だった。首相再登板後、熊本地震前まではほぼ週1回、地震発生後は2、3日に1度の頻度で入る。単独のこともある。
この傾向を後押ししたのは14年のNSC発足だった。NSC設置法は、首相が必要と認めるときは統合幕僚長に意見を述べさせることができる、と定める。NSC開催時の統合幕僚長の出入りは「首相動静」では数えられないため、実際の面会はもっと多い。
自衛隊は発足以来、政策の専門家である文官(背広組)が制服組より優位だとする「文官統制」が行われてきた。戦前、戦中に軍部が暴走した反省から生まれ、シビリアンコントロールを強化する制度と位置づけられてきた。
しかし安倍政権はこれを撤廃。昨年6月に成立した改正防衛省設置法により、背広組の官房長・局長らは、統合幕僚長、陸海空各幕僚長らと「対等に」防衛相を補佐すると定められた。防衛相と制服組との間で、報告や指示が直接行われることで、情報集約や意思決定を迅速化するのが狙いだった。
同法に基づき防衛省は昨年10月、大規模な組織改編を行い、自衛隊の運用を統幕に集約した。制服組の発言力は格段に高まった。防衛省幹部は「法律で制服組を抑える担保がなくなったのは問題だ。シビリアンコントロールの問題が出てくる可能性がある」と危惧する。……
憲法は、武力をもつことを禁じているから、文民統制をどう考えるかは難しい。だけど、日本で具体化されてきた、文官統制というやり方は、戦前、統帥権を口実に、軍部が、政府のチェックをうけずに、政治に介入することで、軍部の暴走をつくりだした反省のうえに、自衛隊を政治のもとにおき、その行動に抑制的な枠をはめるといううえで、一つの智恵として役割をまちがいなく果たしてきたとは思う。しかし、この間、その文官統制の枠がどんどん外されてきた。かつては制服が政治家と接触するのは禁じられていたが、いまはもうここまで官邸に入り込んでいるのだから!
この4月には、背広組中心の内部部局が担当していた運用計画作成業務の一部を、制服組中心の統合幕僚監部に移した。これまで運用計画は、指針となる「防衛相指示」を背広組が担う内部部局が作り、それに従って制服組の統幕が実際の計画を作成していた。その後、内部部局を通じて、「防衛相承認」となっていった。入り口と最終段階を背広組が握っていた。その「防衛相承認」の作成業務を統幕に移す。
昨年改定された日米防衛協力のための指針に基づく「同盟調整メカニズム」では、自衛隊と米軍の制服組が、平時から有事まで運用調整に当たる政治家や背広組は、制服組が決めたことを追認するだけになりかねない。うーん。
« 和田氏、20~40代の支持厚く 出口調査、無党派層は3割 | トップページ | 内閣支持率49.4%↑ 民進党支持率は急落7.3%↓ 「現行憲法で平和と安全守れない」52.1% »
「平和」カテゴリの記事
- 学術会議法人化は「終わりの始まり」 ノーベル賞・梶田隆章氏の警鐘(2025.02.11)
- 産業遺産情報センター(2025.02.10)
- ICC所長、米制裁を非難 約80カ国が共同声明(2025.02.09)
- 3月号ができました!(2025.02.08)
- 森友文書の不開示決定、高裁が取り消し「有無も答えないのは違法」(2025.01.30)
「政治」カテゴリの記事
- 学術会議法人化は「終わりの始まり」 ノーベル賞・梶田隆章氏の警鐘(2025.02.11)
- 産業遺産情報センター(2025.02.10)
- ICC所長、米制裁を非難 約80カ国が共同声明(2025.02.09)
- 3月号ができました!(2025.02.08)
- 3割近い公立小中校で教員不足の可能性 教頭会調査で指摘(2025.02.06)
« 和田氏、20~40代の支持厚く 出口調査、無党派層は3割 | トップページ | 内閣支持率49.4%↑ 民進党支持率は急落7.3%↓ 「現行憲法で平和と安全守れない」52.1% »
コメント