沖縄の基地問題にかかわっては、さまざまな言説が、ネット上で飛び交う。その内容のひどさ、あらぬデマをとばしては、沖縄の県民のたたかいに難癖をつける。だけど、そのネット言説が、あたかも真実であるかのように、受けとめてしまう本土の人たちもいる。その一つ一つに反撃するのはたいへんだけど、決定版として、発信しようというとりくみが、沖縄にはさまざまにある。その一つが、この沖縄タイムスの連載。
国と対立する沖縄は「生意気」か?【誤解だらけの沖縄基地・27】(沖縄タイムス)
「地方のくせに国に逆らうとは何事か」「金をもらいながら、基地に反対するのはおかしい」
米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設で、国と県の対立が激化する中、「沖縄は生意気だ」といった主張が平然と飛び交う。
名護市長選や知事選で示した民意の実現を目指す民主主義としての当然の在り方、国と地方の対等な関係、基地を押し付けられてきた沖縄の歴史、日本全体で安全保障の負担を分かち合うという基本的な認識-。
全国の注目を浴びる翁長雄志知事が就任以来、繰り返してきた言葉だが、沖縄への無関心なのか、臭い物にふたをする感覚なのか、県外で浸透しているとは言えないようだ。
「普天間」や「辺野古」は、沖縄問題の象徴になっている。ただ、すべてではない。
例えば、面積では、県内の米軍基地全体は約2万2900ヘクタール、普天間飛行場は480ヘクタールで約2%だ。
東京ドーム102個分の普天間がそっくりそのままなくなっても、極東最大の嘉手納基地や米国外で唯一のジャングル訓練施設である北部訓練場など32施設、東京ドーム4770個分の基地が県内に残る。
普天間の辺野古移設のほか、東村高江の集落を取り囲むヘリパッド建設や那覇軍港の浦添移設にも反対意見が多く、また米軍関連の事件・事故、航空機騒音、環境汚染など問題は山積している。
一方で、翁長知事は昨年12月のインタビューで「(普天間の早期返還、辺野古移設反対の)一点に絞ってやっている。五つも六つも抱えることはなかなか簡単ではない」と、他の問題に手を付けられない複雑な心境を語っている。
つまり現段階では、全基地撤去を求めているわけでも、国の施策のすべてに反対しているわけでもない。「これ以上の負担を受け入れるわけにはいかない」と、たった2%にすぎない土地の返還を県内移設の条件なしで認めてほしい、と訴えているだけだ。
しかも、普天間は71年前の沖縄戦で軍事占領され、使われてきた土地だ。「奪った土地に基地を造り、そこが老朽化したから新しい土地をよこせ。嫌なら代わりの案を出せ、というのは理不尽で、政治の堕落だ」と翁長知事は言う。
それが、「生意気」なのだろうか。……
これが連載の一覧。
もう一つは、「沖縄米軍基地問題検証プロジェクト」の小冊子『それってどうなの? 沖縄の基地の話。』
1-1 辺野古基地は、普天間の代替施設であり、「新基地建設」ではない。
1-2 何もないところに普天間基地が建設され、住民が後から周りに住み始めた。
1-3 辺野古の基地:キャンプ・シュワブは、住民が誘致して建設された。
1-4 辺野古に移設されれば、沖縄の基地負担は格段に軽減される。
1-5 普天間基地は、人権の問題ではなく、政治の問題である。
1-6 基地は人権問題を引き起こしておらず、政治的な解決を図るべき問題である。
1-7 辺野古に移設されれば、危険性は格段に減少する。
1-8 辺野古に造る新基地は普天間の3分の1の面積に縮小される。
1-9 アメリカが要求する通り、辺野古に基地を移転しないと普天間が返還できない。
1-10 沖縄には、面積で、日本の米軍基地の74%が集中しているというのは、負担を誇張するための数字の操作であり、自衛隊との共用施設の中では、23%でしかない。
1-11 岡本行夫元首相補佐官発言「辺野古の海は砂地だけ。サンゴ礁も生物もいない」。
2-1 オスプレイは、高性能の新型機であり、欠陥機ではない。
2-2 空陸一体の部隊で分散配置できないので、沖縄に基地をまとめて置いておくしかない。
2-3 海兵隊は殴り込み部隊だから沖縄に駐留させる必要がある。
2-4 沖縄の海兵隊は対中国、対北朝鮮への抑止力として重要な存在だ。
3-1 基地をなくしてどうやって沖縄を守れるのか。基地をなくす方が人権問 題である。
3-2 辺野古反対は、米国の信頼を失い日米同盟をつぶす。
3-3 米国は、日本を守るためには、中国との武力衝突も辞さない。
3-4 辺野古新基地建設は、日本政府ではなく米国の強い要望である。
3-5 沖縄は地理的にいい位置にあるから米軍が集中する。
3-6 米海兵隊は中国から日本を守ってくれている。
3-7 安全保障環境が厳しくなっている。だから沖縄の米軍基地は必要だ。
3-8 アメリカはその地理的重要性から沖縄を重視しており、沖縄に米軍基地をおかなければ戦略が成り立たないと考えている。

4-1 尖閣有事の際は、在沖海兵隊がただちに出動してくれる。
4-2 沖縄から基地がなくなれば尖閣を諦めなくてはいけない。
4-3 「北朝鮮」の脅威に備えるためにも基地が必要。
5-1 米軍がフィリピンから撤退すると中国が南沙を占領したように、沖縄に 米軍がいなくなると、中国はただちに尖閣を占領する。
5-2 沖縄に米軍がいなくなると、中国の脅威にさらされる。
5-3 中国が尖閣諸島を狙っており、沖縄の米軍が守ってくれている。
5-4 翁長知事は中国からお金を貰っている。
5-5 沖縄の人は中国系だから中国を引き入れようとしている。
5-6 琉球王国の王府は、中国伝来の人々が支配していた。その子孫たちは今でも沖縄の有力者で中国に取り入ろうとしている。
5-7 米中は戦争しようとしている。
5-8 中国は覇権国家だ。今後も海洋進出を止めないだろうから、沖縄の米軍基地は野心を阻むため必要だ。
5-9 中国は南沙諸島で勝手に人工島を建設している。中国はいつか沖縄へも 触手を伸ばしてくる。米軍の抑止力が不可欠だ。
6-1 沖縄の経済は、基地に依存している。
6-2 沖縄は貧乏県だから、生きるためには基地も必要だろう。
6-3 基地負担の見返りとして沖縄は財政的に優遇されている。
6-4 沖縄振興予算は、基地負担と引き換えの優遇措置である。
6-5 基地の中で働いている従業員が多くいる。基地がなくなると困る。

7-1 米軍に守ってもらっているため、地位協定で米軍に特権を与えるのは当 たり前。
7-2 最近、沖縄の人は「差別だ」と騒ぐけど、被害妄想もはなはだしい。
7-3 米兵による性犯罪発生率は、沖縄県のそれよりも低い。米兵による事件・事故の被害は、誇大に宣伝されている。

8-1 政府は建設意思を固めており、地元がどう反対しようが辺野古新基地建 設は阻止できない。
8-2 沖縄の基地反対運動は日当2万円が支給されている。
8-3 反対派は、中国の工作員に扇動され中国に内通している。大半は韓国・中国人、日本国籍でも帰化人。
8-4 辺野古基地周辺集落の住民は反対運動をまったくしていない。
8-5 反対運動は、補償を受けるための駆け引きの道具である。
8-6 沖縄の地元紙、沖縄タイムスと琉球新報は偏向新聞だ。
8-7 普天間周辺の住民をはじめ、沖縄県民には移設賛成の人も多いのに、その声は中国などの影響下にある偏向した地元マスコミによって握りつぶさ れている。
8-8 辺野古に集まっているのは「自称」市民たち。
8-9 辺野古についても地元の人たちに決めさせればいいことで、本土の人間が反対するというのはオカシイ。
8-10 基地の地主は国から毎年膨大な金をもらって、六本木ヒルズに住んでいる。
8-11 沖縄の基地反対派は安全保障を否定する、一国平和主義者だ。
8-12 基地反対派には沖縄独立派が多く、沖縄を日本から独立させてその後中国領にするつもりだ。
8-13 反基地運動が、基地問題の人質として普天間第二小学校の移転を妨害した。
ここから、冊子はダウンロードできる。
ちゃんと学ばなければならないなあ。
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