MOTアニュアル2016 キセイノセイキ
今日は、まず、都立現代美術館へ。いっぱい並んでいるピクサー展を横目に、キセイノセイキ展に。「今の社会を見渡すと、インターネットを通して誰もが自由に声を発することができる一方で、大勢の価値観と異なる意見に対しては不寛容さが増しているように思われます。表現の現場においても、このひずみが生み出す摩擦はしばしば見受けられます。そうした中で、既存の価値観や社会規範を揺るがし問題提起を試みるアーティストの表現行為は今、社会や人々に対してどのような力を持ちえるでしょうか」というのがモチーフ。たとえば、藤井光のインスタレーション《爆撃の記録》は、強烈な印象。何もないがらんどうの展示室なのだから。ただ作品につけられるキャプションだけが……。キャプションの文字を読んでいくと、東京大空襲に関する資料名であることがわかる。いろいろ想像が書きたてられる。そう、これはかつて東京都が祈念館建設のために収集した戦争資料の一部なのだが、一九九九年に建設は凍結された……。この未完のプロジェクトを「想像の祈念館」として再生した作品であることが最後にあかされる。様々な年齢の人々に一九〇〇年から一九四五年までの日本を含むアジアで何が起きたかを答えてもらい、その口元の動きだけを映像でつなげた作品もあった。その発言の危うさ。ヘイトスピーチに近い発言もあり、そうした人々の意識が無言の「空気」のような圧力となっていく。うーん。
そのほか、危険物、裸体、暴力、戦争、死などの表現が続く。直接的な政治的メッセージではなくとも、この時代の内と外にある「規制」と、「表現」の持つ意味を問いかける、とても刺激的で、いろいろ考えさせられた美術展だった。
この美術館はもしかしたらはじめて? そもそも深川など行ったことがない。結構、人が集っていて、散策をしているのには驚いた。深川めしの店屋さんは並んでいるし。若い人が多いし。へーと驚いた。
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