旧日本軍731部隊の講演会を高知県が後援拒否
うーん。現実には、こんなことがどんどん広がっていくのか? そうであるならば、たいへんである。
旧日本軍731部隊の講演会を高知県が後援拒否(高知新聞)■有識者「内容で判断なら検閲」と批判■
旧日本軍の細菌戦部隊「731部隊」をテーマとした講演会の後援申請を、高知県が「県の政策、施策の推進に寄与し、公益性があるもの」という高知県の方針に合致しないとの理由で拒否していたことが分かった。高知県は主催者に対し、731部隊に関する政府の公式見解と食い違う講演の後援は認めない、という趣旨の説明をしている。後援の是非判断に際し、政府への忖度(そんたく)があったことを事実上、認めた形だ。有識者からは「講演内容で判断するならまさに検閲」との指摘が出ている。
この講演会は、3月29日に高知市立自由民権記念館で開かれる「731部隊と日中戦争」で、高知市の平和資料館「草の家」の会員らでつくる市民団体が主催する。中国ハルビン市の「侵華日軍第七三一部隊罪証陳列館」の金成民館長(52)が講演する予定だ。
主催団体の事務局長、岡村啓佐氏(64)によると、2月12日に高知県と高知市に後援を申請し、高知市からは2月19日付で「承認決定」の通知書が届いた。
高知県からは2月26日付で、尾﨑正直知事名で「後援非承認」の通知が届いた。それによると、「高知県共催及び後援事業承認事務取扱要領」に明記された五つの承認基準のうち、2項目めの「県の政策、施策の推進に寄与し、公益性があるもの」に該当しないため、後援を認めなかった。
主催団体の事務局長、岡村啓佐氏らが3月8日と3月15日、高知県の見解を直接尋ねた。
双方の了解の下で岡村氏が残した3月15日の音声記録によると、高知県側の窓口となった高知県地域福祉部の井上達男副部長は席上、「国(の認識)では731部隊の細菌戦等に関する具体的な資料が確認できていない」「歴史の検証となると、積極的に判断できかねた」と答えた。
一方、岡村氏らが2015年12月に高知県立美術館で開いた731部隊や沖縄戦の写真展については、高知県は後援を認めている。
この違いについて、高知県地域福祉部の井上副部長は面談で、「写真展は芸術文化の一分野。文化の振興に寄与することから(文化生活部の所管で)後援となった。今回は戦争の歴史に理解を深めるということで文化という観点になじまない。対応できる所管(部署)もない」と説明している。
また主催者側が「国や外務省の流れを忖度したということか」と尋ねると、井上副部長は「そこは一定事実としてある」と答えた。
731部隊による細菌兵器の開発や使用については、米国が保存している資料や部隊関係者の証言などから、専門家は「事実」としている。しかし、政府は2003年と2012年の2回、衆院議員の質問主意書に対する答弁書を閣議決定した際、731部隊の存在は認めたものの、細菌兵器の開発や使用などは「資料が確認されていない」などとして認めていない。
高知県地域福祉部の井上副部長は高知新聞の取材に対し「地方行政として国の見解は参考にせざるを得ない」と話している。
ときの政権の、というか政権担当者の考えが、どんどん幅をきかす。それを忖度する。
高知大学の岡田健一郎准教授がコメントをよせている。戦争法でがんばった岡田さん。民主主義論でもがんばっているが。「憲法21条が規定する表現の自由の下、自治体には、市民が広く議論できる場を提供する責務がある。後援や共催もその一つ。高知県や政府の考え方に合わないから後援しない、というのは問題だ。内容で判断するなら、まさに検閲につながる。今回の拒否は『お上の意思に反するものは認めない』というメッセージになりかねない。萎縮効果は小さくない。」と。そのとおりだ。
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