教科書検定、修正要求何度も 「9条の実質改変」に難色
氏岡さんの記事。うーん、高校教科書の検定は相当大変だな。
教科書検定、修正要求何度も 「9条の実質改変」に難色(朝日新聞9今回の高校教科書の検定では、政府の考えと異なる表現に修正を求める検定意見が目立った。新設ページの構成が当初と大きく変わったケースもある。文部科学省は正確さなどを重視したと説明するが、執筆者らからは「従来より指摘が細かい検定だった」との声が出ている。
実教出版は「高校日本史A」に、「南京大虐殺」(南京事件)の見開きのコラムを新設していた。しかし、「扱いが不適切」との検定意見が付き、内容を大幅に変えることになった。
元のコラムでは南京で中国側と商取引していたドイツ人、中国側への謝罪をつづった日本軍関係者、村山富市元首相らの様々な見方や考えを紹介していた。「被害者の人数は諸説ある」との外務省ホームページの内容も盛り込み、連合国側の視点として犠牲者数を「20万以上」と触れた東京裁判の判決も盛り込んだ。
だが、文科省の教科書調査官は昨年12月、実教側に全体の見直しを求める検定意見を伝えた。「20万人以上は学問的通説ではないなど問題があった。多くの人を殺害したとの一面的な資料が選ばれていた」と文科省教科書課は説明する。
これに対し、執筆者の一人は「多様な立場の証言を載せたが、文科省から求められたのは犠牲者数の多様な説だった」と話す。
執筆者の記録などによると、調査官とのやりとりは以後5回あった。実教出版はまず1月半ば、犠牲者数を十数万人とする説や7万人とする説があるとの記述を加え、軍関係者の文から謝罪の表現を削った。
2月半ばには東京裁判判決を外し、日中両政府の合意で進めた歴史共同研究の報告書に差し替えた。犠牲者数に諸説あることを引き、日本側代表の文を紹介するなど修正を重ねた。それでも了承されなかった。
同月17日に提出し、合格した案は、殺害の理由や犠牲者数の見解の違いについて11の視点から考える構成にするもの。ある執筆者は「締め切り2日前、調査官が『これ以上やりとりしても難しい。ここは相談だが』と示してきた案。時間がなく、のまざるを得なかった」と振り返る。
コラムに載る資料は最終的に、外務省のホームページと村山談話、参考図書のリストだけになった。
文科省教科書課は「途中のやりとりの内容は言えない。仮に調査官が構成などを提案したとしても、実際に採用するかは会社側の判断だ」。
執筆者の一人は話す。「調査官の提案をその都度反映させたが、次々にダメ出しをされた。これまで数度、検定を受けているが、ここまで何度もやりとりするのは初めての経験。文科省が検定の透明化をめざすなら、途中経過を公表してほしい」
さらに検定以前に、書かされる=いってみれば自粛してというものもあろう。教科書全体をそうとう分析しないとだめだよなあ。教科書検定基準の改定は、ほんとうに深刻な事態をつくりだしているようだなあ。
« 「政治圧力」とメディア~危機に立つテレビジャーナリズム~ | トップページ | 「若者支援」のこれまでとこれから 協同で社会をつくる実践へ »
「教育」カテゴリの記事
- 石破さんのインタビュー本『保守政治家 石破茂』を読み始める(2024.10.02)
- 辺野古「抗告訴訟」 沖縄県が最高裁に上告 「都道府県が司法判断を求められない判決は容認できない」(2024.09.18)
- 10月号ができました(2024.09.11)
- 河野大臣「自由に働き方を決められる制度が大事」 希望者には“勤務時間の上限廃止”も 働き方の規制緩和を表明(2024.09.05)
- 小1の不登校が2年で倍増 「幼・保・小」の連携で対応(2024.09.01)
「平和」カテゴリの記事
- 石破さんのインタビュー本『保守政治家 石破茂』を読み始める(2024.10.02)
- 幌加内町の歴史資料館「笹の墓標展示館」引き継ぐ新施設完成(2024.09.30)
- 自民 石破新総裁 党幹事長に森山氏 官房長官に林氏 意向固める(2024.09.28)
- 「安倍氏の天敵」石破新総裁 自民党内に残る拒否感、どうなる衆院選(2024.09.27)
- 陸上自衛隊、米軍との共同訓練が常態化 沖縄の北部訓練場でジャングル戦参加を想定か 2017~23年度に22回実施 識者「日米の軍事一体化」(2024.09.25)
「政治」カテゴリの記事
- 石破さんのインタビュー本『保守政治家 石破茂』を読み始める(2024.10.02)
- 幌加内町の歴史資料館「笹の墓標展示館」引き継ぐ新施設完成(2024.09.30)
- 石破新総裁「期待する」52% 高齢層ほど期待感高く 毎日世論調査(2024.09.29)
- 自民 石破新総裁 党幹事長に森山氏 官房長官に林氏 意向固める(2024.09.28)
- 「安倍氏の天敵」石破新総裁 自民党内に残る拒否感、どうなる衆院選(2024.09.27)
「歴史」カテゴリの記事
- 幌加内町の歴史資料館「笹の墓標展示館」引き継ぐ新施設完成(2024.09.30)
- 先住権行使へ共同を 北欧地域の先住民族 サーミの評議会議長が講演 札幌(2024.09.17)
- 自民党総裁選で高市・石破・小泉氏が競る、決選投票の公算大きく…読売調査(2024.09.16)
- PFAS 公害裁判 そしてトラツバ(2024.09.12)
- 10月号ができました(2024.09.11)
« 「政治圧力」とメディア~危機に立つテレビジャーナリズム~ | トップページ | 「若者支援」のこれまでとこれから 協同で社会をつくる実践へ »
コメント