18歳からわかる 平和と安全保障のえらび方
若い執筆者たちによってつくられた本はやっぱりちゃんと読まないとなあ。そのストレートな問題意識にとっても心をゆさぶられる。昨年からの戦争法反対・廃止のたたかいは、民主主義そして立憲主義をめぐるたたかいであるが、本質的には、平和主義をめぐるたたかいでもある。ではその平和主義において、どんなことが問われるべきであるのかを追求する。そして、その問いは、九条の政府解釈をめぐる問題からさらに、自衛隊の有り様、そして安保条約というものにまで迫っていく。渡辺治さんの薫陶をうけた若者たちの手によるものだけに、問題意識の枠組みの多くは、渡辺さんのそれ。それそのものはボクも異論はない。若者らしく、それをみずからの物として追求している。ボクもあまり考えたことのない視点にまでおよんでいて、読んでいてとても勉強になった。きちんとした議論をひろげたいという執筆者たちの思いのあふれた本だと思う。
たくさんの小論をあわせて編んだこういう著作は、どうしても論文でできに差がでる。読んでいて、よくできているなあと思ったのは、秋山くんや佐々木くんのもの。あと、志葉さんのものもよかった。とにかく1本の長さは限られている。それだけに、なかなか多くのことを論じるのは難しい。そこで、どうしても、たくさんのことを1本で言わなければならない無理も生じるのもあったなあ。同時に、若者向けのテキストというのも難しい。読者をどう想定してつくるのか、ここが一番悩ましい。総じて、かなりハードルの高い議論だけど、それもまたいま求められているという思いもあるのだろうなあ。そういうことも含め、大いに論議して欲しいし、実際の若者の感想をいちばん聞きたいもの。付け加えるならば、若者の目の前で直面している、生活や労働の問題と、こうした問題が、どのようにむすびついていくのか。そんな議論にも発展して欲しいとも思う。これをきっかけに、学習と議論の文化がもっと多彩に広がって欲しいと思うなあ。
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