日本の朝鮮侵略史研究の先駆者 歴史家山辺健太郎と現代
この本は、面白かった! 山辺健太郎といえば、ボク的には、朝鮮への植民地支配史ではあるのだが(岩波新書だとか数冊もっている)、獄中非転向だとか、共産主義運動史の研究だとかも多いんだろうけれども。結構、その人生は、強烈な個性にいどろられながらも、神秘的だったりする。小学校を出て、高等教育を経ず、研究の道に入る経緯だとか、とりわけ、歴史研究における植民地支配研究の欠落から、その研究に向かう経緯、その際の金天海などとの交流など、あまり知らない話も知ることができたわけだけど。
強烈に伝わるのは、日本を知るうえでの、植民地支配研究の必要性への執着。そして、その研究方法としての一次資料の重視。これはそれぞれ、刺激的で、迫ってくるものがある。国会図書館憲政資料室の主として、研究をつづけたその半生は、すごいというか。
同時に、この本そのものは、朝鮮植民地支配研究をふりかえりつつ、その遅れが日本に何をもたらしているのかを問いかけるものになっている。植民地支配を免罪する議論は、すでに戦前に形成され、そして戦後初期から体系的にもちこまれ、現在にも至っている。それが日本の得意な、国家支配を強化するための、大国としての野望を支えるナショナリズムの基底となっていることもよくわかる。
共産党の本部職員を離れていった経緯などは触れられていない。それを知るのは宮本顕治あたりか? まあ、形に収まりそうな人ではないなあ。これは。そこにまた興味がそそられる。この本がつくられる過程で、ほんのちょっとだけ、本編とはかかわりなく、ほんとにちょっとだけ、かかわりをもったのだけど。
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