シリーズ東日本大震災 原発事故5年 ゼロからの“町再建” ~福島 楢葉町の苦闘~
町長も言っていたけど、はっきり言って、ゼロからの出発ではなく、マイナスからの出発だ。それほど、損害を受けている。そこが甘いんだけど。
東京電力福島第一原発事故による避難指示が、去年9月に解除された福島県楢葉町。全住民が避難した7つの自治体の中で、初めて住民帰還に踏み出した。しかしこれまでに町に戻った住民は全人口のわずか5%。その9割を50代以上の中高年が占める。商店、仕事場、医療・福祉機関、小中学校など様々な町の機能は失われたままだ。
自治体としての存続に危機感を抱く楢葉町は、事業者への帰還働きかけや新規の誘致、福祉サービスのゼロからの再建などに取り組み、住民が戻りやすい町を取り戻そうと奔走している。しかしその前には、一つの自治体だけでは解決しきれない様々な壁が立ちはだかる。
何年もの間、無人の町となり、すべての機能が停止してきた原発周辺の町は再生できるのか。その試金石とも見られている楢葉町の復興。避難解除からの4か月間を見つめる。
そうした損害とは何か。そのことは考えさせられる。そこにあった生活がどのような壊されたのか。そのことが、復興・再生の足かせになっている。そこを直視しないとなあ。産業の招へいなど、さまざまな奮闘がある。だけど、工場団地などを造成し、企業に補助金を出す政府の復興のやり方は、そこを直視しないから、なかなかうまくいかないのだろうなって感じた。そこにある人がどのように生活してきたのか、その生活を取り戻すために何が必要なのか、そこをみないと、福祉や暮らしの問題も解決しない。そう感じたのだ。ぼんやりとだけど、いまの楢葉の姿から考えさせられるのだけど。
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