韓国の「国家奨学金制度(給付型・所得連動返還型)」 から学ぶ
今日は、午後から大学評価学会の無償化科研の表題のシンポジウムに。「日本と同様に「東アジア型の家族負担主義」(小林雅之 2012)に類型化される韓国では、大学納付金の減額化が政治的争点となり、2008 年から給付型の国家奨学金が設けられている。その後も、支援の対象や内容(所得連動返還制度を含む)を拡充しつつあり、その経緯や仕組みの詳細を学ぶとともに、現状と課題を明らかにする。日本への示唆も多いと期待される」というテーマ。韓国教育開発院(KEDI)研究員 Kim Hoonho 氏の 「韓国の国家奨学金制度(給付型・所得連動返還型)――創設意図と仕組み」
と大学教育研究所(HEI)研究員 Yi Suyeon 氏の 「韓国の国家奨学金制度(給付型・所得連動返還型)――現状と課題」 。
数年前、韓国で学費(登録料)半額を掲げた運動が大きくひろがり、ソウル革新市政が生まれ、そして、半減へのとりくみがはじまった、ここまでが、ボクは知っていたが、その後どうなったのかということを教えてくれる内容だった。イミョンバク政権、そしてパクウネ政権のもとで、高等教育の予算はほぼ倍になっている。しかし、学費半減にはむかわず、奨学金の拡充に向かった。それでも、相当規模で給付制の奨学金は拡充され、事実上、学費半減にあたる奨学金を得ている学生は相当数にのぼるということ。日本と韓国との差は大きい。
だけど、すすめ方にはいろいろな問題がうきぼりになる。所得による制限と格差、成績による選別をつける競争的な設計。そして、大学のよる奨学金制度は、大学改革と連動させる。その弊害が大きい。うーん。そうなんだよなあ。
そしてなによりも、学費そのものに手をつけないもとでは、学費値上げへの圧力が必ずおこりうる。学費を下げる、思想と法的制度がどうしても必要であることも教えている感じがした、そういうシンポジウムだった。
なかなか刺激的で、おもしろかったし、なによりも勉強になったのだ。
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