日裁判所の奇妙な慰安婦判決

4時ごろに、請求棄却のニュースが流れて、目をうたがった。じっとしていることができず、とりあえず夜は、仕事をひとまずおいて、どんな判決か詳しく知りたくて報告集会にかけつけた。
日本のメディアは正確に報道しないから。しかたがないので、ハンギョレのHPから。
日裁判所の奇妙な慰安婦判決(ハンギョレ新聞)「慰安婦は性奴隷」と著述した吉見義明教授
捏造と言った発言者に損害賠償求めた訴訟で敗訴
「聞く人が捏造とは評価しなかったはず」
「不当判決です。弁護士として惨めです」
20日、東京千代田区、東京地方裁判所の前。「不当判決」とハタの前で、慰安婦問題の解決のために活動する日本の市民団体の注目を集めた「吉見裁判」の判決内容が紹介された。裁判に参加した最年少の弁護士である武藤行輝氏は原告敗訴の事実を伝えながら「裁判官の判決を聞いて頭が真っ白になりました。期待に応えられず、申し訳ありません」と述べた。その周辺を取り巻く約100人の日本の市民たちは「不当な判決を許さない」「吉見教授の名誉を守ろう」と叫んだ。
東京地方裁判所33部(裁判長原克也)はこの日、日本国内慰安婦問題研究の権威である吉見義明・中央大学教授(69)が桜内文城・前衆議院議員(日本維新の会所属)に対して提起した名誉毀損訴訟で、「原告の請求を退ける」として原告敗訴を言い渡した。
裁判が大きな注目を集めたのは、現在の慰安婦問題をめぐる最大の争点である「慰安婦制度は性奴隷制度だったのか」について、日本司法の判断が下されるものと期待されていたからだった。
事の発端は2013年5月、桜内前議員が外国特派員協会記者会見で「慰安婦は性奴隷」という吉見教授の著述について、「捏造であるということが、いろんな証拠によって明らかにされている」と述べたことだった。吉見教授は桜内前議員に対し、この発言の撤回と謝罪を求めたが、拒否されたことを受け、同年7月26日名誉毀損による損害賠償を請求する訴訟を起こした。
吉見教授側は、当初楽勝を予想していた。桜内前議員が「捏造」と発言したため、自分の発言が名誉毀損ではないことを証明するには、吉見教授が「慰安婦が性奴隷ではないことを知りながら性奴隷という研究結果を発表した」という点を証明する必要があったからだ。
原裁判長は原告の訴えを退けた判決理由で、桜内前議員が口にした「捏造」と言葉は、(発言の文脈から)聞く人にとっては(通常の意味の)捏造を意味するのではなく、著書に対する論評に過ぎないということだった。裁判所は判決文で「本発言(桜内前議員の「捏造」という発言)は口頭で述べた短いコメントだ。中立的立場の通訳もこの言葉を『誤り』、『不適当な』という程度の意味であるであるインコレクト(incorrect)と訳した」と述べた。彼は続いて性奴隷部分については「従軍慰安婦が『性奴隷だったのか』そのものではなく、そのように評価できるか否かの問題」であるとし、「事実に使用されている捏造という言葉はふさわしくない」と指摘した。川上詩朗弁護士は「慰安婦制度が性奴隷制であるか否かについては判断を避けた、非常に形式的な判決だ」と批判した。
吉見教授は判決後開かれた報告大会で「判決は非常に残念で憤りを憶えるものだった。一人の研究者にとって、研究結果が『捏造』と言われるのがどれほど個人の名誉を毀損し、人格を傷つけるものなのかを、裁判所が理解していなかった」と述べた。吉見教授は判決に不服として控訴する予定だ。
しかしまあ、わけのわからない判決なんだ・。まず「捏造」の定義を、すりあえる。事実をねじまげたのが捏造だけど、そのような受け取り方がされない表現だったと。なんじゃそれ。「捏造」といったのは、事実の指摘ではなく、意見ないし論評の表明だというのだ。だから「捏造」の内容をはなから問題にしない。
しかし、それでも、「捏造」といったことは「原告の客観的な社会的評価を低下させるもの」ということは認める。
だけど、原告の著書には、「捏造」で問題となっていることが記述されている事実があるのだから免責されるということになってしまう。意見ないし論評の域を出ず、違法性はないのだというのだ。
最高裁の判決を、強引にねじまげて、争点の中身にはいることなく、名誉棄損による損害賠償の対象にならないというわけだ。
まあ、ほとんど結論が先にあるという裁判の典型だよなあ。そんなふうな判決をひきだしてしまうのが、ネトウヨなどの動きであり、それに支えられた政権の態度であり、それにひっぱられるような社会の雰囲気か。うーん。これはまずいよなあ。
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