福島に農林漁業をとり戻す
これは、そうとうおもしろかった。福島についてはいろいろな議論がある。なかには、かなり感情的な、事実を誇張したり、誤認したりする議論もあることは事実。だけど、とりわけ政府筋が流すデータを信頼しきれないというのも事実だ。それはそれで、経過的な根拠があるのだから。それでも、福島で生きていくというのは、一つの選択肢である。そして、福島を離れることも、いま決断しないことも含め。だからこそ、いったいあの原発事故の被害とはどういうものだったのか、その被害の実相の何が明らかにされ、国は何を明らかにしてこなかったのか。そして、この事故のために失われたものとはいったいなんだったのか。その損害とはなんだったのか。そして、何が回復し、どんな困難が生じているのか。何をなすべきなのか。そういうことを一つ一つ明らかにしていくことこそが、これからの方向を考えるうえでの前提であるはず。とても困難だけど、福島で生きていく以上、そのことを選択肢にするのならば、考えなければならない生業の再生の状況をさぐるのがこの本の課題。現地のとりくみは、ほんとうに気の遠くなるような積み上げが1つひとつおこなわれている。それでも、その道筋はほんとうに困難だ。その大きな要因は、やはり政治に、国にある。ただただ帰還を優先する。そこには、復興にいたる科学的なつみあげがないだから。若い研究者たちの、そういう粘り強い、現地と一体となった労作であるのだ。(批判を承知での感想)
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