BPO:政府の介入批判、異例の意見書…NHKやらせ問題
うーん。予想されたといえばそうだけど。なかなかたいへんな今後。
BPO:政府の介入批判、異例の意見書…NHKやらせ問題(毎日新聞)NHK報道番組「クローズアップ現代」のやらせ疑惑の問題で、NHKと日本民間放送連盟による第三者機関「放送倫理・番組向上機構(BPO)」の放送倫理検証委員会(委員長・川端和治弁護士)は6日、「重大な放送倫理違反があった」とする意見書を公表した。その中で、この問題をめぐって放送に介入する政府・与党の動きが見られたことから「放送の自由と自律に対する圧力そのもの」と厳しく批判。BPOが政府・与党を批判する意見書を出すのは極めて異例。政治による放送への介入を許さない立場を示した。
問題の番組は、昨年5月14日に放送した「出家詐欺」の特集。多重債務者が、ブローカーを介して出家の儀式を受けて名前を変え、融資などをだまし取る詐欺の手口を伝えた。放送後、ブローカーとして登場した男性が「やらせだった」と訴えていた。
BPOの意見書は「記者が積極的に演技をさせて事実に見せかけたという意味での『やらせ』があったとは言い難い」とした。一方で「NHKのやらせの概念は視聴者の一般的な感覚とは距離があり、問題を矮小(わいしょう)化している。放送倫理の観点から自己検証すべきだった」と断じた。その上で、記者が裏付け取材をせずに男性をブローカーとして番組に登場させ、男性が登場した場面を隠し撮りに見せるなどして「報道番組で許容される演出の範囲を著しく逸脱した」ことから、重大な放送倫理違反があったと結論付けた。
また、自民党国会議員らの6月の会合で「マスコミを懲らしめるには広告料収入をなくせばいい」との発言があったことなどを「圧力」の例として列挙。高市早苗総務相が4月末、NHKを厳重注意したことも問題視した。放送局側にも「干渉や圧力に対する毅然(きぜん)とした姿勢と矜持(きょうじ)を堅持できなければ、放送の自由も自律も侵食され、やがては失われる」とし、努力を促した。
ただ、NHK内では、来年4月の番組改編期に向け、「クローズアップ現代」の見直しが検討されている。複数のNHK関係者によると、放送開始時からの国谷裕子キャスターを交代させ、放送時間も現在の午後7時半から午後10時に移す案が浮上しているという。……
これがそのBPOの「NHK総合テレビ『クローズアップ現代』“出家詐欺”報道に関する意見」。
中身そのものは、わりあいとまともというか、そうだよなっと思わせるものだとは思うのだけど。これを、テレビは、「重大な放送倫理違反があった」と報じ、新聞は、政府・自民党の行為は「放送の自由と自律に対する圧力そのもの」と報じた。NHKの行為そのものに問題があったことは重大だけど、それを口実とした政治介入はされに問題なこと。だけど、テレビは自身も問題であるということとともに、新聞と違って、免許による業務ということもあり、こういう報じ方になったのかと勘ぐってしまう。そのぐらい、この間の政府・自民党から、TVに対しておこなわれた介入は、きいてきているのかとも。
BPOから批判を受けた政府や自民党は、まったく意に関しない。高市総務相は、NHKに対する厳重注意の行政指導について「昨年5月に放送された『クローズアップ現代』の内容が放送法に抵触すると認められたため、放送法を所管する立場から必要な対応を行った」「放送法の番組基準は(放送事業者が自律的に守るべき)倫理規範ではなく、(拘束力がある)法規範性がある」としらんぷり。結局、NHKが、クロ現のような番組を締め出しにかかってしまうという結果にならないのかが危惧される。なかなか重大な事態か。
« 未就学児の教育費、家庭負担が高いのは「日本」…OECD調査教育・受験 未就学児 | トップページ | 高校生模擬選挙マニュアルに「集団的自衛権など避ける」 »
「メディア」カテゴリの記事
- 現場へ!)どうなる寄宿舎:1 支援学校、自立の場に危機(2023.03.27)
- (社説)日韓首脳会談 新たな協力築く一歩に(朝日新聞) うーん。(2023.03.17)
- 「誰が島を守るのか 〜沖縄 若き自衛隊員の葛藤〜」(2023.01.30)
- 『降板ならもう観ない』玉川徹さんモーニングショー”降板疑惑”に続投願う声 テレビ朝日「事実でない」(2022.10.14)
- 陸自、離島防衛のロケット砲訓練 北海道・矢臼別で実弾射撃(2022.10.10)
「政治」カテゴリの記事
- 23年度予算が成立 過去最大114兆円―岸田首相「物価高、切れ目なく対応」(2023.03.28)
- 現場へ!)どうなる寄宿舎:1 支援学校、自立の場に危機(2023.03.27)
- 国際法の視点から植民地支配責任を考える――「徴用工」問題に私たちはどう向き合うのか(2023.03.26)
- 生活保護支給額引き下げを取り消す判決 和歌山地裁(2023.03.24)
- 『児童福祉の戦後史 孤児院から児童養護施設へ』(2023.03.23)
「経済」カテゴリの記事
- 23年度予算が成立 過去最大114兆円―岸田首相「物価高、切れ目なく対応」(2023.03.28)
- 現場へ!)どうなる寄宿舎:1 支援学校、自立の場に危機(2023.03.27)
- 生活保護支給額引き下げを取り消す判決 和歌山地裁(2023.03.24)
- 長時間過密労働解消のたしかな道すじPart3-今こそ、給特法の改正と教職員の大幅増員を(2023.03.21)
- 『学びのきほん フェミニズムがひらいた道 』(2023.03.10)
« 未就学児の教育費、家庭負担が高いのは「日本」…OECD調査教育・受験 未就学児 | トップページ | 高校生模擬選挙マニュアルに「集団的自衛権など避ける」 »
コメント