機密解禁文書にみる日米同盟
読んでいると、いろいろわかってくる。そんな本だと思う。日米同盟には、サンフランシスコ条約できめられなかったことを安保条約が補うが、実はその具体的な中身は地位協定にゆだねられている。だけど、その内容はうわべだけで、それをこえる内容が交換公文という形でとりきめられているが、それでも、国民に、国際的に隠さなければならない内容のとりきめがあって、それが密約という形で積み傘られている。そして、その体制を支えてきたのが日米合同委員会という組織でもある。
アメリカの基地特権を認めた密約、指揮権を認めた密約、そのもとでひらかれる日米同盟の拡大。さまざまな密約が、どんな日米間の議論の経過でつくられてきたのかを明らかにするのが本書の内容。そもそも、その矛盾がピークに達するのが伊達判決であり、そこからはじまるのが、最高裁判決にいたる経緯である。日米の支配層にとって、憲法9条というのがどのように重石であり、この9条の重石をどのように克服していくのかが日米同盟の課題であったのかがよくわかるのだ。
なるほど、これが安保法制へとつらなる歴史である。それは日米同盟こそがその根源であるということと同時に、たとえ、安保を認める立場であろうが、ここまで異常な対米従属であっていいのか問いかける歴史でもある。
一点共同とはなかなか難しい。安保を横に置くとは、棚上げとは? このときだからこそ、いろいろ議論してみたい日本の現実、日米の現実がある。それがもたらしている危険も。ぜひ読まれて、議論が深まればいいと思うのだけれども。
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