機密解禁文書にみる日米同盟
読んでいると、いろいろわかってくる。そんな本だと思う。日米同盟には、サンフランシスコ条約できめられなかったことを安保条約が補うが、実はその具体的な中身は地位協定にゆだねられている。だけど、その内容はうわべだけで、それをこえる内容が交換公文という形でとりきめられているが、それでも、国民に、国際的に隠さなければならない内容のとりきめがあって、それが密約という形で積み傘られている。そして、その体制を支えてきたのが日米合同委員会という組織でもある。
アメリカの基地特権を認めた密約、指揮権を認めた密約、そのもとでひらかれる日米同盟の拡大。さまざまな密約が、どんな日米間の議論の経過でつくられてきたのかを明らかにするのが本書の内容。そもそも、その矛盾がピークに達するのが伊達判決であり、そこからはじまるのが、最高裁判決にいたる経緯である。日米の支配層にとって、憲法9条というのがどのように重石であり、この9条の重石をどのように克服していくのかが日米同盟の課題であったのかがよくわかるのだ。
なるほど、これが安保法制へとつらなる歴史である。それは日米同盟こそがその根源であるということと同時に、たとえ、安保を認める立場であろうが、ここまで異常な対米従属であっていいのか問いかける歴史でもある。
一点共同とはなかなか難しい。安保を横に置くとは、棚上げとは? このときだからこそ、いろいろ議論してみたい日本の現実、日米の現実がある。それがもたらしている危険も。ぜひ読まれて、議論が深まればいいと思うのだけれども。
« SEALDs 民主主義ってこれだ! | トップページ | 「多様な教育機会確保法案」についての緊急学習会 »
「平和」カテゴリの記事
- ICC所長、米制裁を非難 約80カ国が共同声明(2025.02.09)
- 3月号ができました!(2025.02.08)
- 森友文書の不開示決定、高裁が取り消し「有無も答えないのは違法」(2025.01.30)
- 戦争のトラウマ 兵士たちの消えない悪夢(2025.01.20)
- 米各地で反トランプ集会 「沈黙するな」と気勢(2025.01.19)
「読書」カテゴリの記事
- 絵本作家のいわむらかずおさんが逝去 フジテレビ労組、組合員が急増 専務が労組とのやり取りで辞意表明(2025.01.23)
- いのち・人権・平和、 響きあう想いをことばにのせて 落合恵子 × 藤井克徳(2025.01.22)
- 「『オールドなもの』への敵意──左右対立の消失と新たな争点」、【詳細】内乱首謀した疑いで拘束 ユン大統領 取り調べ終了(2025.01.15)
- 孫来襲、2月号ができています。(2024.12.30)
- ハン・ガン ノーベル文学賞受賞記念講演「光と糸」(2024.12.20)
「政治」カテゴリの記事
- ICC所長、米制裁を非難 約80カ国が共同声明(2025.02.09)
- 3月号ができました!(2025.02.08)
- 3割近い公立小中校で教員不足の可能性 教頭会調査で指摘(2025.02.06)
- ソウルの春(2025.02.05)
- 昔のお家芸も「グループ外に出す覚悟」パナソニックがテレビ撤退検討(2025.02.04)
「歴史」カテゴリの記事
- ソウルの春(2025.02.05)
- 「崩れゆく世界遺産 軍艦島を守れ~閉山50年 よみがえる生きた証~」(2025.02.02)
- 森友文書の不開示決定、高裁が取り消し「有無も答えないのは違法」(2025.01.30)
- 戦争のトラウマ 兵士たちの消えない悪夢(2025.01.20)
- 「べらぼう」がはじまった(2025.01.06)
コメント