軍事立国への野望 安倍政権の思想的系譜と支持母体の思惑
「軍事立国づくり」をねらう安倍内閣。本書は、そのねらい、到達、担い手、矛盾を多角的に明らかにするのが本書。
まず小森論文が、戦争法案の問題性と安倍改憲のねらいを分析、続く山田論文は、日本の軍事力の到達点を、ハードの面でどこまできたのかを明らかにしつつ、システムやソフトの面の現状を報告。俵論文では、その政治の舞台での担い手が日本会議という右翼団体であることをその主張や実態とともに明らかにする。石川論文では、グローバル展開をすすめ、軍事立国を支持する財界の思惑と右翼的動向とのジレンマを示す。そして、内海論文で、日本の戦後処理のあり方と不十分な反省が、アジアとの間で決定的な矛盾をつくっていることを明らかにする。
個人的にもつきあいの深い筆者ばかりなので、思わず手に取った。この間の議論をそうまとめして、緊急出版という感じだけど、改憲の動きが新たな局面を迎えている今、ぜひ手にとりたい一冊。注文としては、日米同盟の現段階をするどく分析する論文をもう1本用意してほしかったなあ。
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