ヒトラーとナチ・ドイツ
仕事の合間に読んでいるから、ちょっと時間がかかってしまう。だけど、興味深く読みきった。戦後のドイツの「過去の克服」のとりくみは、いろいろ学んできたけど、ナチス時代のドイツをきちんと、整理して学んだのはあまりない。いろいろ知らないことも多く、歴史的な経緯などもかなりしっかり学ぶことができた。たしかに、なぜ、ヒトラーのようなものが、政権につくことができ、独裁体制を敷くようになったのか。政権についた時点では、多数派を形成していたわけでもないのに…。むしろ、保守派が、ヒトラーを軽く見、彼を利用しようとしていた経過だとか、それを逆手にとって、権力を拡大していくヒトラーのやり方とか。ヴァイマール時代の憲法がなぜ形骸化していったのか、そもそも内包する制度上の欠陥への自覚というか、議論の弱さも。そのもとで、どのようにヒトラーは国民を引き付けたのか。この点も、いまの政治とだぶらせながらいろいろ考えさせられる。ナチ化とはいったい何だったのか、それになぜ国民は追随したのか? そしてなぜホロコーストへすすんでいったのか、それをなぜとめることはできなかったのか。ドラスティックに展開していく歴史の進行を、息をのみながら読み通すことができる。うーん、すごいなあ。だけど、こういう歴史の大波の問題について、しっかり議論し、向き合おうというところがドイツの現代史でもあるのだろうなあ。日本では、こうした歴史の進行について、きちんと、向き合った議論がどれだけなされているのかということも、考えさせられる。ほんとうに、日本でいま起きていることで、歴史と重ねて考えなければならないことは、多いと思うだけに。よくよく考えたいし、考えさせられた。
ちなみに、筆者は、同年代。予備校の同級生だったなあ。
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