「明治産業革命」の遺産登録決定 日韓、審議前に合意
なんか、今日のこのニュースを新聞で読んだり、テレビで見ていると、いろいろ考え込んでしまう。
「明治産業革命」の遺産登録決定 日韓、審議前に合意(東京新聞)ドイツ・ボンで開催中の国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界遺産委員会は五日、「明治日本の産業革命遺産」の世界遺産登録を決めた。歴史問題をめぐり対立していた日本と韓国が土壇場で折り合いがつき、全会一致での登録となった。
日本の世界遺産登録は「富士山」(山梨、静岡両県)、「富岡製糸場と絹産業遺産群」(群馬県)に続き三年連続。日本の文化遺産としては十五件目。
今回の遺産は、幕末から明治期の重工業発展の歴史を示す二十三施設で、福岡、長崎、静岡など八県にまたがる。五月にユネスコの諮問機関・国際記念物遺跡会議(イコモス)が「西洋技術を日本のニーズや伝統に適合させ、五十年余りという短期間で本格的な産業化を達成した」と評価し、登録を勧告していた。
登録をめぐり韓国側はこれまで、二十三施設のうち長崎市の端島(はしま)炭坑(軍艦島)など七施設で、「戦時中に朝鮮半島から五万七千九百人が強制労働を強いられ、九十四人が死亡した」と主張。五日の世界遺産委員会で日本の申請が全会一致で決定した後、ユネスコ日本代表部の佐藤地(くに)大使は「一九四〇年代にいくつかの施設で、多くの朝鮮半島出身者が意思に反し、厳しい環境で働かされた」と言及し、韓国側に配慮を示した。
佐藤大使はさらに「インフォメーションセンターの設置など、犠牲者を記憶にとどめる適切な措置」を取ると表明。韓国の趙兌烈(チョテヨル)外務第二次官は「日本政府の声明を真剣に受け止める。被害者の苦痛を記憶に残し、歴史の傷を癒やすための重要な一歩だ」と述べた。
産業革命遺産をめぐり、韓国側は当初、七施設を申請対象から外すよう日本側に要求。日本側は、遺産の対象時期が一八五〇年代から一九一〇年までで戦時中と時期が異なるとしていた。六月下旬の日韓外相会談では、産業革命遺産と韓国が申請する「百済の歴史地区」の両方の登録に「双方が協力する」ことで大枠で一致した。
しかし、韓国が世界遺産委員会の審議で「強制労働」を盛り込んだ意見陳述を用意しており、日本側が難色。当初は四日の予定だった審議が延期された。協議は五日も続き、日本が委員会の場で韓国の意向を反映した説明をすることで合意。全会一致で登録に賛成する見通しが立ち、審議が開かれた。
もちろん、韓国の外交姿勢などについては、現時点でいろいろな議論が成り立つのだとは思う。だけど、そもそも、問題の根源は、日本の植民地支配にあり、同時に、そこでおこなわれた被害に戦後どのように向き合ってきたのかという問題がある。だけど、そのことについては、ほとんどふれられることはない。
なぜに、ここまで植民地支配とそのもとでの被害に対して、日本では正面から向き合わないのかと、正直、愕然とする。その被害の傷にものすごく無頓着だ。テレビなんかを見ていると、ものすごく孤立感を感じる。日本のいまの環境に住む、韓国の人たちや、アジアの人たちはなおさらなろうなって、思えてくる。政府は、決着ずみというが、そもそも、被害について、きちんとした調査や認定がどこまでおこなわれたのか。被害者に政府として謝罪したのか?もともと、根源には、アメリカに庇護されての「講和」というものがあるのだけど、日韓条約で、植民地支配をどう考えるのかについて曖昧にしてしまったその経緯は、条約50年の今年に、ほとんどっていってほど、検証もされることはない。うーん。
そもそも、世界遺産の登録だけど、いろいろ前向きにがんばっている人たちがいるわけだから、あまり文句は言いたくはないけど、こんどの、「明治日本の産業革命遺産」なんて、かなり強引なくくり方、萩だとか、松下村塾なんて見ると、かなり政治的というか、イデオロギッシュ。古き良き明治とそれをつくった幕末という物語が見える。だから、正直、共感できない。
だけど、炭鉱などはいちばん典型だけど、現地で語りつがれているのは、過酷な労働という面も大きいのだと思う。だから強制労働をよこにおいても、そこで働かされた人たちの暮らしの過酷さということは共有されている。そういう意味では、きちんと議論すれば、その歴史についての共有がひろがる条件もあるのかもって思ったりもする。
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