大学と科学の岐路――大学の変容、原発事故、軍学共同をめぐって
これまでも、大学と科学ののあり方について貴重な発言を続けている著者。ボクも国立大学の法人化の時期に、何度も企画でお世話になった。その池内さんが、商業主義と競争原理で歪められ荒れる大学と科学の現場を告発する。
圧巻は、国立大法人化は、何をもたらしたのか。その一〇年を、自らの大学運営経験から総括する。ボクも知らなかったこと、忘れてしまったことがたくさんある。そして、その現場でおこっていることは、直接、その現場に接しない人にとっては驚愕の連続である。
しかも、科学研究の現場では、STAP細胞事件など生命科学の分野などで研究不正が繰り返される。その構造を本書は解き明かす。また原発事故におけるSPEEDIの問題や再稼働をめぐって科学のあり方そのものを問う。
終章はいま急速に進む軍学共同問題。デュアルユースという科学の両義性の名で科学者の責任はまぬかれるのか。本質的な問いかけがなされている。
もちろん、大学改革をいま議論するとき、大学と科学の関係は、そのすべてではない。大学における教育や若者の自立の課題は、ユニバーサル時代の大きな課題だし、そういう変化のなかで、外的なグローバル化という問題をどうといなおすのかには、もっと新しい、より構造化した議論が必要ということもある。
だけど、池内さんの世代の、原理にもとづいたそういう議論はやっぱり必要だ。そういうこともあらためて考えさせられるし、そういうものに学びながら、現在の課題にしっかりむきあっていかないといけないとも思うところ。
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