憲法のポリティカ―哲学者と政治学者の対話
敬愛するお二人の対談なので、おもしろくないわけがない。とても知的な刺激に満ちた本だった。
「本当に異常な事態です。憲法の条文が常に無視され続けていくような近代国家なんて想像がつかない。」(岡野八代)、こういった憲法をめぐる状況下で、この二人が憲法について語る。まずは、「安倍的なもの」からはじまり、お二人らしく、立憲主義に。しかも、法律家のそれではなく、より本質的なものをめざし、ものごとを動的にとらえようというところがおもしろい。続いて、九条に。岡野さんの、立憲主義をつきつめれば九条の厳密な解釈が必要という趣旨の議論に思わず、ひきこまれる。後半どんどん、おもしろくなる。九条を天皇制とからめ、そして沖縄問題へ。ここは高橋さんとはボクは、ちょっと意見が違うのだけど、だけどその現実に向き合う思いは同じであるはず。そして集団的自衛権に。圧巻は第三部の「憲法をめぐる思想的課題」。岡野ワールドに完全にやられた感。彼女のケアの議論のおもしろさ。そこにある、自立した個人よりも、依存した存在であること、そのために関係性のなかで、法的な問題もとらえていこうとする議論は、いまのヘイトスピーチの問題のみならず、さまざなな弱者の権利を考えていく上では、ものすごく重要で、納得的。そういう視点を九条にうなげるなかでの、これからの世界の構想は魅力的で、ボクはすごく共感できた。引き続き、岡野さんの本を読みたいと思った!
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