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2015/04/06

教科書検定 領土に関する記述は2倍以上に増加

 また、教科書をめぐる熱い時期がやってきた。

教科書検定 領土に関する記述は2倍以上に増加(NHKニュース)

 来年4月から中学校で使われる教科書の検定が行われ、今回初めて新たな検定基準が適用されたのに伴って、「政府の統一的な見解に基づいた記述がされていない」などとして6か所が修正されたほか、「社会」のすべての教科書に沖縄県の尖閣諸島や島根県の竹島の記述が盛り込まれ、領土に関する記述の量はこれまでの2倍以上に増えました。
 今回の検定は主に来年4月から使われる中学校のすべての教科の教科書104点が対象となりました。このうち、「社会」の教科書2点がいったん不合格になりましたが、内容を修正して再申請した結果、6日開かれた文部科学省の審議会で最終的にすべての教科書が合格しました。
 今回は、去年、告示された新たな検定基準が初めて適用され、▽日本の戦後処理やいわゆる従軍慰安婦問題、東京裁判の記述について、「政府の統一的な見解に基づいた記述がされていない」という意見が合わせて4件、▽関東大震災の混乱のなかで殺害された朝鮮人の人数について、「通説的な見解がないことが明示されておらず、生徒が誤解するおそれがある」という意見が2件つき、合わせて5点の教科書の6か所の記述が修正されました。
また、領土に関する教育を充実させる必要があるとして、教科書作成などの指針となる「学習指導要領の解説書」も改訂され、沖縄県の尖閣諸島と島根県の竹島を「我が国固有の領土」と明記することなどが求められるようになったのに伴い、「社会」の教科書20点すべてに尖閣諸島や竹島の記述が盛り込まれて、領土に関する記述の量はこれまでの2倍以上に増えました。
 このほか、中学校の教科書としては平成に入って初めて「南京事件」に触れていない教科書が1点あったほか、14年ぶりに「慰安婦」の記述をした教科書が1点ありました。さらに、東日本大震災に関する記述がすべての教科に盛り込まれ、5年後に東京で開かれるオリンピック・パラリンピックのことや、「LINE」、「ヘイトスピーチ」といったことばも初めて登場しています。…

 検定基準がかわり、政府の見解の記述というものが幅をきかすというのが、たぶん大きな特徴になるだろう。まだ、文科省のHPで、詳しい決定結果はアップされていないので、それを見ないとなあ。と、同時に、自主規制圧力が強まっているから、やはり白表紙本をみないと。ところが、検定教科書の公表は、いちばんはやい東京の教科書センターでさえ、5月26日から。8月末までに市区町村の教育委員会の「採択」が行われるわけだから、あまりにも期間が短い。いろいろ学ぶ武器をつくるのが正直言ってたいへんというのが現状だ。そのへんもたぶん見越している。採択期間も短いから、どれだけのオープンさでおこなわれるのか?教育委員会の議論の事前の作業は公開されない懸念もあるし。うーん。たいへんな採択をめぐるたたかい。心して考えないと。

 NHKニュースでの藤田英典さんのコメントは「政府見解を盛り込むことに異論はないが、その扱い方全体を見ると政府の意向に近い形で強調するような結果で、バランスを欠いているのではないか。逆の立場の見方が圧縮されたり、多面的な出来事や問題の本質が分からなくなるような傾向が、一部出ていると思う」、領土に関する記述については、「中国や韓国の見方のどこが問題なのか、その不当性を国際法や歴史的な経緯などから説明できるだけの知識を持つためには、相手の主張もきちんと理解しておく必要があるが、中国や韓国の主張の内容がほとんど記述されていないと感じる。国際社会で、日本の側から見た主張だけを繰り返せば議論は堂々巡りになってしまう」、「18歳に選挙権を与えようとしている時代に、国民として自分なりの判断力を養うためには、複合的な事実は複合的なものとして教科書に記述し、子どもたちが多面的にとらえる力、考える力を育てることが重要だ」と。

 ちなみに、元教員などでつくる「学び舎」の教科書については、「学習指導要領の目標や内容に照らして基本的な構成に重大な欠陥がある」としていったん不合格となりました。例えば、帝国主義の時代の項目で「19世紀にニジェール川河口にあったオポボ王国の話」を記載するなど、事典にもほとんど取り上げられていない事例が多く、「生徒が歴史の大きな流れを理解するには不十分」とされました。また、「問い直される戦後」という項目では、当初、見開きで、いわゆる従軍慰安婦問題などを取り上げていましたが、中国の女性の体験として記載している内容が「中学生の健全な情操の育成に必要な配慮を欠いている」とされたほか、元慰安婦の女性の証言に「政府の統一的な見解に基づいた記述がされていない」という意見がつくなど、この2ページだけで6件の意見がつきました。「学び舎」では、教科書全体の構成を見直したうえで、慰安婦問題などを取り上げていたページから元慰安婦の具体的な証言や写真などを削除し、ほとんどの部分を中国残留孤児や日中国交正常化と戦後補償の記述に差し替えました。ただ、従軍慰安婦の問題を巡り、謝罪と反省を示した「河野官房長官談話」などは掲載し、「現在、日本政府は『慰安婦』問題について『軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような資料は発見されていない』との見解を表明している」という政府見解を加えて、最終的に合格しました。「学び舎」の代表執筆者で「子どもと学ぶ歴史教科書の会」の安井俊夫代表は「暗記中心ではなく、子どもたちが楽しく考えながら学べる教科書をつくろうとこれまでにない事例も盛り込んだ。慰安婦については戦後を問い直すというテーマに適していると思ったが、不合格になっては意味がないので、議論の末、記述を差し替えた。今回を、子ども目線、現場目線の教科書つくりの第一歩としたい」と話しています。との報道です。

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